テキスト発音機能WordBuilderが搭載されたコーラス音源Hollywood Backup Singers。
洋楽なバックシンガーが扱えるコーラス音源ですが、入力したテキストを歌うWordBuilderが気になったので実際に使ってみました。
この記事ではそんなHollywood Backup Singersをレビュー。導入するメリットやデメリット・注意点からインストール・アクティベーション方法、使い方、セール情報まで解説します。
是非参考にしてください。
1. EastWest「Hollywood Backup Singers」とは?
Hollywood Backup Singersは、EastWestが開発するバックコーラス、ボーカル音源です。6つのカテゴリからなる87のインストゥルメントと588種類の表現力豊かなソロフレーズなどを収録しています。
単純な母音、子音だけでなくソロフレーズそして、入力したテキストを歌わせるWordBuilder機能が搭載されています。
6つのカテゴリは以下のものがあります。
- Vowels:Ah、Ooなど母音の通常バージョンと表現力豊かなバージョン(Exp)、レスリースピーカーキャビネットで録音されたバージョン(LES)があります。
- Consonants:b、d、g、j、l、m、n、r、th、vなど子音があります。
- Combo MOD:モジュレーションホイールを使って通常の母音タイプと表現力豊かな母音タイプの複数のレイヤーを切り替えたり、サブフォルダー(Xfde)の場合は、モジュレーションホイールを使ってこれらのレイヤー間をクロスフェードする様々なインストゥルメントが含まれています。
- Solo Phrases:キーで分けられたソロフレーズがあります。レスリースピーカーキャビネットで録音されたバージョン(LES)もあります。それぞれのボーカルはソロで録音されています。
- Keyswitch:複数のアーティキュレーションを1つにまとめたもので、母音、子音、ソロフレーズをまとめたものがあります。
- WB Multi:入力した文字を歌うWordBuilderで使用するためにあらかじめ設定されたマルチインストゥルメントが含まれています。テキストエディターでフレーズを入力、または222のフレーズプリセットから選択するだけで単語を歌います。
作曲ソフトDAWの拡張機能VST 2、VST 3、AU、AAXプラグインとして利用できます。
開発会社 | EastWest |
操作画面 | |
製品名 | Hollywood Backup Singers |
価格(定価) | 299ドル |
主な仕様 | バックコーラス・ボーカル音源 |
2. 導入するメリット
Hollywood Backup Singersを導入するメリットは主に以下の点が考えられます。
- 複雑な和音のウーアー系コーラスワークを瞬時に作ることができる
- 多数フレーズプリセット+作成可能なWordBuilder
複雑な和音のウーアー系コーラスワークを瞬時に作ることができる
個人的には複雑な和音のウーアー系コーラスワークを瞬時に作ることができる点が一番便利で利用できると思いました。
コーラスワークを実際にレコーディングする場合、それぞれのラインに必要な人数分レコーディングする必要がありますが、Backup SingerではMIDIで複雑な和音のコーラスワークも洋楽なバックシンガーの声で瞬時に作ることができ、かなり時短できます。
また、様々なデフォルトの発音だけでなく、WordBuilderで発音を指定したりモジュレーションホイールでコントロールして「ウー→アー」などクロスフェードすることも可能です。
多数フレーズプリセット+作成可能なWordBuilder
キーごとに分けられたソロフレーズがたくさんあるだけでなく、入力したテキストを歌うWordBuilderにもたくさんのプリセットがあります。種類があるだけでなくWordBuilderを使った拡張性も高いのでネタ切れすることなくボーカルフレーズを利用することができます。
3. 利用する前に知っておくべき注意点・デメリット
Hollywood Backup Singersを利用する前に知っておくべき注意点として入力したテキストを歌うWordBuilderは編集も必要で扱いが難しい点があげられます。
プリセットをそのまま利用する場合でも曲調によって長さや母音、子音のバランスなどが異なりますので、リアルに聞こえるように調整が必要です。不自然になってしまう場合があると思います。
また、基本的にはWordBuilder100,000語の辞書にある英語もしくは、Phonetics、Votox2種類の発音記号を扱う必要がありますので、扱いが難しいだけでなく邦楽に合わせにくい場合もあるでしょう。
4. 口コミ・評判を紹介!
Hollywood Backup Singersに関する口コミ・評判をまとめました。
評価はとても高く、気になっている方も多いようです。
凄く気になるソフトだが矢島美容室を思い出してしまうのは私だけだろうか?
ジャズ系に適したボーカルやソロフレーズに加えこの音源の最大の武器のキーボードで任意の文字入力で歌わせるワードビルダーも搭載。まさに映画「ドリームガールズ」の世界。
やっぱりこれ使えそうだね!買おう!
ちなみに最近買って良かった音源の一つがHollywood Backup Singers。これとKWAYAで昔から作ってみたかったスタイルにチャレンジできる。
引用:Twitter
5. Hollywood Backup Singersに関するセール情報
EastWest製品はブラックフライデーのみならず、セールで安くなる場合があります。
Hollywood Backup Singersもセールの対象になります。
最新のセール情報は以下をご覧ください。
6. インストール・アクティベーション方法
EastWest製品は、iLokアカウントが必要(USBは無くてもOK)です。iLokに関する詳しい記事は以下をご覧ください。
- iLokアカウント登録・iLok License Managerダウンロード
- https://www.eastwestsounds.com/register/でシリアルナンバーとユーザー登録
- iLok License Managerを起動しログイン・アクティベート
- EW Installation Centerをダウンロード
- EW Installation Centerを起動してログイン・製品をダウンロード
7. 使い方を解説!
ここからは実際にHollywood Backup Singersの使い方を解説します。
英語の公式マニュアルはこちらをご覧ください。
Backup Singersは、EastWest Playで起動する音源です。左上Browserからプリセットを選択してダブルクリックしてロードします。
Player
基本的な音作りができるエリアです。
Stereoから以下の設定ができます。
- Stereo:録音されたオリジナルのステレオチャンネルを出力します。
- Mono:左と右のチャンネルを合計してデュアルモノチャンネルにします。
- Mono From Left:左チャンネルをデュアルモノに出力し、右チャンネルは破棄します。
- Mono From Right:右チャンネルをデュアルモノラル出力し、左チャンネルは破棄します。
- Swap Left and Right:左チャンネルと右チャンネルを入れ替えます。
Tune:COARSEとFINEの2つのモードでピッチを調整できます。COARSEは半音単位、FINEは半音の100分の1単位で音程を上下させます。数字横にある矢印から調整できますが、どちらかの名前をクリックしてノブを使って調整することもできます。
その他に、全体のPANやマスターフェーダー、ミュート(M)、ソロ(S)ボタンがあります。
STEREO DOUBLE:ステレオの広がりを調整できます。ONボタンの両側にあるボタンでLとRの信号を選択し、AMOUNTノブで任意の深さに設定できます。
REVERB:コンボリューションリバーブです。ONボタンでオンオフし、適用するリバーブの量をVOLUMEから調整、PRE-DELAYから開始時間を調整できます。 MASTER ONボタンは、Playのすべての楽器にリバーブが適用されます。
MIXESにはClose、Rear、Roomの3種類のマイクミックスがあります。ボリューム、パン、オンオフ(LOADED)、ミュート、ソロのコントロールがあります。
中央ディスプレイのMICROPHONESからもそれぞれのマイクポジションをクリックしてオンオフできます。
MICROPHONESは、上部からARTICULATIONSに切り替えることができます。アーティキュレーションセットと以下の基本的なコントロールがあります。
- ACT:アーティキュレーションをアクティブにします。
- LOAD:ロードまたはアンロードします。
- LEVEL:アーティキュレーションのボリュームレベルを調整します。
- TYPE:アーティキュレーション名が表示されます。キースイッチがプログラムされているMIDIノートや、モジュレーションホイールの値などの情報が含まれています。
左上からはMIDIやベロシティなどの設定ができます。
- MIDI PORT:どの利用可能なMIDIデバイスを有効にするかを設定します。
- MIDI CHANNEL:OmniモードではすべてのチャンネルでMIDIデータを受信しますが、1〜16はMIDIデータを受信する特定のチャンネルを示します。
- TRANSPOSE:入力されるMIDIノートを±1半音ずつ上げたり下げたりします。
- VEL. MIN / MAX:楽器の最小ベロシティと最大ベロシティの範囲を指定します。
- VOICE LIMIT:ボイス数の最大値を指定します。
- BIT DEPTH:ビットレートを設定します。
- SENSITIVITY:上下にドラッグしてダイナミックレンジのカーブを調整します。
PERFORMANCEは、楽器のサンプルプレイバックを変更するいくつかの設定があります。
- RND ROBIN RESET:同じ音を複数回鳴らした時に自然に聞こえるようにサンプルが入れ替わるラウンドロビンのサイクルをリセットします。
- PORTAMENTO:フレーズの中で隣り合う2つの音の間に短い先読みの動きを加えることで、ポルタメント奏法を再現します。
- LEGATO:モノフォニックになり、ノートのタイミングを調整することでレガート演奏を実現します。
- OTHER:トゥルーレガートで使用するために作られていますが、Backup Singersにはこのタイプの楽器が含まれていません。
ENVELOPEから5つのステージAHDSR(アタック、ホールド、ディケイ、サスティン、リリース)からボリュームのエンベロープを調整できます。
下部にある鍵盤は色分けされており、白は楽器の演奏可能範囲、黄色はサンプルがロードされていない範囲、青はキースイッチを示しています。
Instruments
右上のInstrumentsから読み込まれているすべての楽器とそのMIDIチャンネル、オーディオ出力、ボリュームコントロールが表示されます。右下からは、選択したインストゥルメントのパラメータがまとめられており、簡単に調整できます。
Mixer
上部のMixerからは、ロードされたインストゥルメントのチャンネルストリップが表示されフェーダー上からパン、ボリューム、ミュート(M)、ソロ(S)、エフェクト(FX)、サブミキサー(ミキサーマーク)、ロードのオンオフ、出力チャンネルの調整できます。
WordBuilder
Playerの左上から、入力したテキストを発音するWordBuilderが利用できます。プリセットはWB Multiをロードする必要があります。中央上部にはテキストエディターがあり、ここにバックアップシンガーに歌わせたいテキストを入力します。
VOICE
WordBuilderのすべてのテキスト、タイミング、コントローラーのデータはボイスファイルとして保存され、Voiceエリアからエクスポートやインポートが可能です。
右上の点3つから母音、ピッチのある子音、ピッチのない子音など音素の大きさが調整できます。
テキストエディターで入力した単語やフレーズは、3つのテキストモードがあります。ENGLISHモードで入力すると、WordBuilderは100,000語の辞書で見つけた英単語を自動的に他の2つのモードに変換します。正しくフォーマットされたテキストをPHONETICSまたはVOTOXモードで入力すると、それぞれのモードに翻訳されますが、ENGLISHモードには翻訳されません。
ENGLISH:テキストエディターで、入力された単語の状態をカラーコードで表示しています。
- ミディアムブルー:その単語がWordBuilderの100,000語の辞書で見つかったことを意味します。
- 水色:その単語が元々PHONETICSまたはVOTOXモードで入力されたもので、音声で表示されていることを意味します。
- 赤:その単語が辞書に載っていないか、音節の区切り方に誤りがあることを意味します。
- 濃い青:その単語が2つ以上の発音方法があり、辞書に複数の項目があることを意味します。単語の上で右クリックするとメニューが表示され、希望の発音を選択することができます。
PHONETICS / VOTOX:テキストの入力には、PHONETICSまたはVOTOX2種類の発音記号を使用することができます。PHONETICSモードでは、Phonetic Alphabetを使ってテキストを入力し、VOTOXモードでは、WordBuilder独自の音声記号を使ってテキストを入力します。
テキストエディター右上のプラス記号をクリックすると、PHONETICSまたはVOTOXの用語集が開きます。これらの用語集は、それぞれの表音文字のガイドとなっています。PHONETICSでは、英語で発音される各記号の例が掲載されており、VOTOXでは、その言語で利用可能なすべての認識された記号を含むメニューが用意されています。
TOOLS
UNDO(元に戻す)、REDO(やり直し)、BYPASSやノートを完全に消すPANICなど操作ツールがあります。
RESET POSITION:WordBuilderの再生位置をテキストの先頭にリセットするように指示します。
OPTIONS:タイマー、音色のデフォルト、イベント(MIDIによるコントロール)、一般的なデータに関するさまざまな設定が含まれています。
PHRASES:プリセットのフレーズを選択してテキストエディターに取り込んだり、独自のフレーズを追加して後で呼び出したりすることができます。
WORD
テキストエディターで単語や音節にカーソルを置くと、単語エリアにその単語の英語表記、音声表記、Votox表記が表示されます。SOLOボタンをクリックすることでソロにすることができます。
SYLLABLE
テキストエディターで単語や音節にカーソルを置くと、選択した単語の英語のスペルと、音節速度の状態が表示されます。
LEARN:音節内の各音が何ミリ秒続くかを手動で設定する代わりに、フレーズの演奏を記録し、そのタイミングを自動的に調整する機能です。音の長さに合わせて文字のタイミングを調整することができますが、タイムエディターで演奏を微調整しなければ完璧な発音にはなりません。LEARNを選択すると2つのモードがあります。
- Change Speed:WordBuilderが学習した再生情報に基づいて音素セグメントの長さを調整するように指示します。
- Sync/Draw Only:実際のタイミングの変更は行われませんが、タイムエディターの上部にあるタイムラインに各音節の長さがディスプレイされます。
LETTER
タイムエディターの左でVOTOXの文字をクリックするとその文字が選択されLETTERエリアで編集できるようになります。MIDIベロシティ変換オプションを適用して音節内の各文字の音量を変更したり、以下4つの演奏スタイルを選択して音節間の移行をコントロールしたりすることができます。
- Normal Attack:自然なアーティキュレーションです。
- Legato:音節から次の音節へとスムーズにつなげます。
- Staccato:次の音節から切り離された状態で演奏します。
- Slurred, Sliding:次の音節に向かって上方にスライドします。
TIME EDITOR
再生時に音節内の各文字を移動させたときの響きを微調整することができます。MIDIコントローラーはVOTOX文字ごとに1つずつサンプルがトリガーされます。デフォルトでは、WordBuilderはテキストエディターに入力する際にテキストの各文字に標準的な長さを使用しますが、バーの端をマウスでドラッグして音節内の各文字の開始時間と継続時間を変更することができます。
左側の2つの列にはPHONETICとVOTOXの文字が表示されます。文字ボックスの右下にあるプラスボタンをクリックするとオートメーションレーンが表示されます。オートメーションレーンは、名前をクリックすることで他のパラメータに変更することができます。
タイムエディターの上部にあるタイムラインには、50msごとにマーカーが表示され、タイムラインのMIDIノートオンの部分とMIDIノートオフの部分を白い縦線で区切っています。
まとめ
Hollywood Backup Singersは、便利なコーラス音源でWordBuilderという画期的な機能も搭載されています。
ただし、あくまで洋楽なバックシンガーですので楽曲によっては合わせにくい場合もあるかもしれないのでその点はご注意ください。
この記事が参考になれば幸いです。
質問等ございましたら下部のコメント欄からどうぞ!