プロ御用達のストリングスをはじめとするハイクオリティ音源を出しているSpitfire Audio。
しかし、高額なのでなかなか手を出しづらいのが悩みどころ、、
実は、Spitfire Audioは多数の無料のプラグインを出しています!
無料のプラグインを総称して「Spitfire Audio LABS」と言います。
なんとBeyonceの楽曲OTHERSIDEでもこの無料のSpitfire Audio LABSから「Soft Piano」「Strings」が使用されました。
今回は、現在あるLABSのプラグインを全て使ってみて、一つ一つ特徴をご紹介していきます。軽く使い方にも触れています。
※追記:Spitfire Audioのオーケストラ音源「BBC Symphony Orchestra DISCOVER」がアンケートに答えるなど条件がありますが、無料でもらうことが可能になっています。(通常49ドル)


Spitfire Audio「LABS」の無料プラグイン一覧!
※記事作成時から次々に新しい無料プラグインが追加されています。今後追記予定です。
- FROZEN STRINGS
- SYNTH PADS
- CHOIR
- CHRANGO
- ELECTRIC PIANO
- AMPLIFIED CELLO QUARTET
- DRUMS
- STRINGS
- SOFT PIANO
- MODULAR PIANO
- SCARY STRINGS
- PEEL GUITAR
- DULCIMER
- MUSICBOX
- PEDAL PADS
※プラグイン名をクリックすることでその説明に直接飛びます。見直しの際などに活用ください。
この中で特にFrozen Strings、Strings、Charango、Softpiano、Dulcimerは使ってみる価値のあるプラグインだと思います。
一覧のプラグインを上から順番にご紹介していきますね!
(1)FROZEN STRINGS
ストリングス音源。このFrozen Stringsは、オーケストラ音源「Albion V Tundra」の制作にもつながったとのこと。
6人の弦楽器奏者でレコーディングされたこの音源は、弦の擦れる音が強調されておりその名のとおり凍えるような寒い音を演出しています。
音の種類は以下の8種類。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、アタック、リリース、リバーブです。
劇伴に使われるような音源だと思いますが、アタックを一番速くしてリリースを無くせばMellotron(※1)っぽい音にすることも可能です。
しかし、アタックの立ち上がりは一番速くしても遅いです。またノートオンしたままにすると音が変化していくのでコントロールが難しいです。
(※1)Mellotron M4000D
(2)SYNTH PADS
5つのビンテージシンセをリバーブ、ギターペダル、そして選択されたアウトボードのギアを通して2018年5月にレコーディングされた音源。10種類の音が用意されています。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、アタック、リリース、リバーブに加え、ディケイ、サスティン、バリエーション(音を付加させる)があります。
ペダルやアウトボードを通しているからか原音にエフェクトが乗っている場合があります。なのでリリースをゼロにするとわかりやすくぶつ切りになる音源がいくつか確認できました。これが逆にサンプリングっぽく面白いと思いました。
(3)CHOIR
初の合唱団ライブラリーを作成するために2017年6月にレコーディングされた音源。
音色は一つだけです。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、アタック、リリース、リバーブ、ディケイ、サスティンです。
こちらもノートオンし続けると音が変化します。
(4)CHARANGO
2006年にコンデンサーマイク「ノイマンKM184」で録音された南米アンデス地方周辺の民族楽器チャランゴ。
Spitfire Audioを始めるきっかけとなった楽器だそうです。
音はこちらの3種類
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、リバーブ、タイトネスです。
チャランゴ1、2の違いは1がギターでいうところののリア、2がフロントみたいな感じでした。チャランゴの音源には、初めて触れたので比べるものがありませんが、十分に使える音だと思います。
(5)ELECTRIC PIANO
2018年4月にレコーディングされたヴィンテージのエレクトリックピアノ。
コーラス、DIの2種類のプリセットがあります。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、リバーブ、タイトネス、バリエーションです。
エレピの音源はさすがに有料のものにかなうはずもなく、また他のLABS音源と違い割とスタンダードな音源として勝負していることもありこれは正直使えないと思いました。
(6)Amplified Cello Quartet
2017年にレコーディングされた音源。チェロとは別の部屋にアンプを置いて録音されました。音の種類はこちらの6種類。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、リバーブ、リリースのです。
かなり普通ではない音が多いです。
(7)DRUMS
2012年にドラマーのOliver Watonとレコーディングされた音源。
ドラムセットは1つで2オクターブ分の音の種類があります。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、リバーブです。
音は良いと思いましたが、各音を分けることができず使い勝手は悪いと思います。
(8)STRINGS
大本命のストリングス。14人の弦楽器奏者をヴィンテージのBBC AXB1を含む広範囲のマイクでレコーディングされました。
音の種類はこちらの3種類。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、リバーブ、リリース、タイトネスですが各音によって操作できるものが異なります。アンサンブル、ロングはタイトネスなし。ショートはリリースがありません。
これは操作性などの面からSpitfireの音源が欲しくなるような音源です。
使ってみて、もっと細かく操作したい!パートを分けたい!と言う方はSpitfireのストリングス音源を購入しましょう!
Spitfire Audio「Studio Strings Professional」
(9)SOFT PIANO
その名のとおりソフトなピアノはハンマーとひもの間に細切りのフェルトを置くことによって生まれました。
音は1種類、操作できるのはボリューム、ダイナミクス、リバーブのみです。
ピアノにフィルターをかけずにこの音源を使うのも一つの手ですね。普通のピアノ音源としては使えませんが割と使えるところはあるかもと思いました。
(10)MODULAR PIANO
ピアノやウーリッツァーの音に残響音エフェクトがかかったものが中心です。Grain Delay(ピッチシフトしたDelay)のようなエフェクトがかかっているものが多いですが、VARIATION(バリエーション)というパラメータで残響部分のみを取り除くことも可能です。
プリセットは12種類あります。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、バリエーション、リバーブ、ADSRです。
LABSの中ではプリセットも操作性も優れていると思います。
(11)SCARY STRINGS
アバンギャルドなストリングス。どのプリセットもノートオンのままで音色が変化します。その名の通り不気味なストリングスです。劇伴向けな音源です。
プリセットは3種類あります。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、バリエーション、リバーブ、アタック、リリースです。
(12)PEEL GUITAR
これはそこまでリアルなサウンドではないと思いました。動画で使われているように単音での使用に向いているかもしれません。
音の種類は3つあります。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、リバーブ、タイトネスのみです。
(13)DULCIMER
ハンマーダルシマー(ハンマードダルシマー)とも言われる楽器でその名の通りハンマーで叩いて演奏する。LABSの中でもかなり良いサウンドで即戦力だと思います。
プリセットはこちらの5種類。プリセットのうちHammeredがハンマーで叩くダルシマーならではの音でとても良いと思います。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、リバーブ、タイトネスのみです。
(14)MUSIC BOX
2つのMUSIC BOX(オルゴール)を録音して作られたものです。
なのでプリセットは2つあり、それぞれ可能なキー範囲が違います。Hannah Peel's Music Boxの方が低音より、Resonator Music Boxは高音よりのキー範囲になっています。
操作できるのはボリューム、ダイナミクス、リバーブ、タイトネスのみです。
(15)PEDAL PADS
ピアノやWurlitzer、ギターをエフェクトで加工して作られた音源です。
プリセットは多く12種類あります。
操作できるパラメータも多くボリューム、ダイナミクス、リバーブ、アタック、ディケイ、サスティン、リリースです。
パッドの音ですが、アタックをはやくリリースを短くしても味のある柔らかい音のままで使える音源だと思います。

まとめ
全体的に無料ということもあってスタンダードな音はあまりありません。
しかし、音のクオリティが高いものも多数あり使えるシーンさえあれば十分にはまる音源だと思います。
特に劇伴など映像に合わせるもので使い勝手が良さそうです。
全て無料だというのが信じられないですね。
ちなみに私が特に使えると思ったものはFrozen Strings、Strings、Charango、Softpiano、Dulcimer。
逆にElectric Pianoは使わないかなと思いました。
この記事が参考になったのなら幸いです。