DJのようなピッチが下がりながらストップするサウンドを再現したいと思ったことはありませんか?
DAWを活用してそれを再現することも可能ですが、なかなか本格的なサウンドにはなりにくいです…
しかし、そのようなレコード・テープストップサウンドはプラグインエフェクトを利用すると簡単に再現できます。
この記事では、そんなテープストップエフェクトのひとつVengeance Sound「Vengeance Producer Suite(VPS) Tapestop」をレビュー、メリットやデメリット・注意点から使い方まで解説します。
1. Vengeance Sound「Vengeance Producer Suite(VPS) Tapestop」とは?
Tapestopは人気シンセサイザーAvengerで有名なVengeance Soundが開発しているプラグインエフェクトです。
DJのようなピッチが下がって音が止まるレコードストップ・テープストップエフェクトが再現できるエフェクトです。
それだけでなくシーケンサーも付いており、幅広いエフェクトが可能です。
開発会社 | Vengeance Sound |
操作画面 | ![]() |
価格(定価) | 55ドル |
主な仕様 | テープストップエフェクト |
2. 導入するメリット
使ってみて導入するメリットは主に以下の点が考えられます。
- シーケンサーなど細かく設定できる
- 様々なプリセットがある
シーケンサーなど細かく設定できる
ただストップ、スタートするエフェクトではなく、64ステップものシーケンサーが付いていてかなり多機能で細かく設定できます。スクラッチなどピッチが変化するようなエフェクトとしても使えます。
様々なプリセットがある
プリセットは多くありませんが、多様なエフェクトをかけることができます。
3. 利用する前に知っておくべき注意点・デメリット
しかしながら利用する前に知っておくべき注意点・デメリットがあります。
- eLicenserのUSBドングルが必要
- 同じようなプラグインエフェクトが多数ある
eLicenserのUSBドングルが必要
eLicenserのUSBドングルが必要になりますので、持っていない方はご注意ください。
同じようなプラグインエフェクトがある
同じようにテープストップサウンドが使えるプラグインエフェクトはたくさんあります。
多機能なのはVengeance Sound「VPS Tapestop」ですが、単純で簡単な操作性でただテープストップ、スタートする音だけほしい方はkiloHearts「Tape Stop Snapin」を検討してみるべきでしょう。Snapinと呼ばれるエフェクトの一種で、通常のVST/AUプラグインとして使用することも、SnapinホストのMultipassやSnap Heapなどと一緒に使用することもでき、エフェクトを組み合わせることができます。
※追記:Tape Stop含む合計32種のSnapinエフェクトが無料となりました!


4. 「Vengeance Producer Suite(VPS) Tapestop」に関するセール情報
Vengeance Sound製品は、ブラックフライデーのみならずたまにセールをおこないます。
割引率はそこまで高くない場合もありますが、Tapestopもセールの対象になることがあります。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。

5. 使い方を解説!
ここからは実際に使い方を解説します。公式の英語マニュアルはこちらをご覧ください。
Stop
一番でかく重要なStopボタンはその名の通り再生をストップします。DAWの再生には影響しません。
左クリック:クリックすると、ピッチダウンして止まり、離すとピッチアップして再生されます。
右クリック:クリックすると、ピッチダウンして止まり、もう一度クリックすることでピッチアップして再生されます。
Pitch
ピッチの範囲を設定します。100%でレコードと同じように停止します。
Tape Slip
このパラメータを使用すると、テープやレコードのWobbleサウンドをシミュレートできます。速度は、左側のRateで調整できます。
Filter
ローパスフィルターのカットオフを設定します。0%はフィルターがピッチダウンエフェクトに影響を与えず、100%はフィルターがピッチダウンエフェクトの終わりに完全に閉じます。
Slip(Filter):フィルターの横にあるスリップボタンを使用すると、Tape Slipでフィルターを制御できます。フィルターのカットオフは、Tape SlipのLFOとともに開閉します。
Volume
ピッチとフィルターに加えて、ピッチダウン、アップエフェクト中にボリュームを変更することもできます。音量パラメーターを使用して、正確にどの程度設定することができます。0%は音量が変わらず、100%でフェードアウトします。
Slip(Volume):フィルターと同様に、スリップボタンを使用してボリュームをTape Slipエフェクトに含めることができます。スリップボタンがアクティブになると、ボリュームもモジュレーションされます。(トレモロエフェクト)
Curves
Pitch、Filter、VolumeはCurvesからも調整できます。
カーブの終了位置を上下にドラッグしてそれぞれのパラメータと同じ調整ができます。
また、カーブの勾配をドラッグして調整することも可能です。
Power Down
ピッチダウンの時間を設定できます。
Power Up
このパラメータはPitch-Downとは正反対で、ピッチアップの長さ(テープまたはレコードの開始)を設定できます。0msでこのエフェクトを適用しないことも可能です。
Step Size
STOPボタンの下にあるStep Sizeはピッチの滑らかさを調整します。
0%が最も滑らかで、パーセンテージをあげていくとピッチが変化するステップが徐々あらわれます。
Slip(Step Size):Tape Slipエフェクトをステップさせることもできます。Slipがオフの場合、ピッチダウンおよびピッチアップエフェクトのみがステップされ、Tape SlipのLFOはスムーズに動作します。ただし、Slipがオンの場合、Tape SlipのLFOもステップされます。
シーケンサー(seq)
シーケンサーはStopボタンをコントロールします。ディスプレイ右下Onでオンオフします。
Length:シーケンサーの長さを調整します。
Offset:Tape Stopの内部シーケンサーは、ホストシーケンサー(DAW)の開始と停止と連動して実行されます。 シーケンサーが望ましくない位置から開始している場合などにこのOffsetを利用して開始位置を設定できます。
Resolution:ノートの長さを設定できます。標準設定は「16分」です。これは、シーケンサーのブロックが16分音符を表すことを意味します。
Reset:シーケンサーをリセットします。
その他
Input Gain、Output Gain、Bypassの他に、Limiterも付いています。Limiterのリリースは右下の「歯車」の記号をクリックしてアクセスできるシステムページで設定できます。
システムページには他にも以下の設定が可能です。
X-Fade Power-Up-> Original:Power Upのピッチが上がりきると元の信号にブレンドされますが、これによりクリック音が発生する可能性があります。ただし、このパラメーターを使用してスムーズなトランジションを作成できるため、「クリック」が発生しません。(0%=ハードスイッチング、100%=約50msのクロスフェード)
Fade In without Power-Up:パワーアップ時間が0.00msに設定されている場合、パワーアップは発生しないため、クロスフェードも不可能です。この場合でも、元の信号に切り替えたときにクリックが発生しないようにするには、ここでフェードイン時間を設定します。
Automation Quantize:Cubaseなどの一部のシーケンサーは、ASIOレイテンシに関連してオートメーションデータを送信する場合があり、100%同期されない場合があります。 Automation Quantizeパラメーターを使用すると、オートメーションデータをグリッドに量子化するため、この問題を回避できます。
まとめ
Vengeance SoundのTape Stopはかなり多機能で様々なことができます。ただし、ただテープストップのサウンドのみを求めている人には少し多機能すぎ、その分価格も高くなっていますのでご注意ください。
この記事が参考になれば幸いです。
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