他では見ない面白い仕様のソフト音源を次々と発表するTracktion。
新作のNovumは、自分のファイルも読み込み可能なグラニュラーサンプラーですが最大の特徴は自動で6つのレイヤーに分解する点です。
そんな一風変わったグラニュラーサンプラーNovumを実際に使ってレビュー、使い方も解説します。
是非参考にしてください。
1. Tracktion「Novum」とは?
Novumはあらゆるオーディオをインポートし、最大6つのレイヤーを抽出し、レイヤーを個別に調整し、トーンカラーを調整することができる新しいサンプラーグラニュラーシンセです。
1つのサンプルから魅力的なインストゥルメントを作成できます。視覚的に音作りできるシンセAbyssやキックドラムジェネレーターChop Sueyのプラグインクリエーターがデザインした創造性を刺激する素晴らしい操作画面を持っています。
DAWのテンポに同期させてリズミックに利用することもできますし、ピッチを自動で推定する機能もあるのでファイルを読み込んだ際のピッチコントロールも簡単です。作曲ソフトDAWの拡張機能AU(Audio Unit)、VST3プラグインとして利用できます。
開発会社 | Tracktion |
操作画面 | |
製品名 | Novum |
価格(定価) | 179ドル |
主な仕様 | グラニュラーサンプラーシンセサイザー |
2. 導入するメリット
Novumを導入するメリットは主に以下のような点が考えられます。
- 面白い音作り機能
- ファイルの読み込み可能
面白い音作り機能
Novumの音作りは、一般的なグラニュラーシンセなどと比べるとかなり幅広くユニークです。
6つのレイヤーに分解してそれぞれ個別に操作できるだけでなく、独自のHOMOGENIZE機能で滑らかでベルベットのようなテクスチャー作り出したり、カラーパレットを利用して各レイヤーのサウンドを様々なバリエーションで調整できます。シンセっぽくないサウンドでもシンセサイザー的な音に変化することもできます。
グラニュラーの粒を大きく長くして一般的なサウンドの音源としても利用できますし、DAWと同期したリズミックで実験的なサウンドとして利用したり、細かい霧状のテクスチャーやパッドとして利用することできます。
一般的なシンセサウンドとしても利用できますが、実験的なサウンドやテクスチャー、パッドサウンドが特に得意な音源です。
ファイルの読み込み可能
ファイルの読み込みが可能ですので、使い方は無限に広がるでしょう。
読み込んだファイルも自動で6つのレイヤーに分解することができます。
3. 利用する前に知っておくべき注意点
しかしながら、利用する前に知っておくべき注意点もあります。
扱いが難しい場合も…
一般的なシンセなどと比べると扱いが難しいと感じる場合があるかもしれません。ですので、誰にでもおすすめできるというわけではありません。パラメータの設定によって音のバリエーションがかなり多いため、狙ったサウンドに持っていくことに苦労する場合もあるでしょう。
特にファイルをインポートする場合は、読み込む際に選択されているプリセットに注意が必要です。選択されたプリセットのパラメータ設定を引き継ぎますので、設定によっては読み込んだファイルの原型がほとんどわからないサウンドに変化する場合があります。
ただし、サンプルレイヤーを変えずにプリセットを変更できます。レイヤー右側にあるロックボタンからサンプルの音色(TIMBRE)をロック、エンベロープをロックすることができます。この状態で他のプリセットを選択すると、レイヤーやエンベロープを変更せずに様々なバリエーションを試すことができて便利です。
4. 口コミ・評判を紹介!
Novumの口コミ・評判をまとめました。
個性的な仕様で興味を持っている方も多い印象でした。使っている方の評価も高いです。
早速買ってしまった、TracktionのNOVUM,こういうデジデジした音は大好物。でもリバーブとディレイは切って使うのが自分流。
これは面白い。次世代のクリエイティブグラニュラーシンセFX。オーディオをインポートし最大6つのレイヤーを抽出し、レイヤーを個別に微調整して生成。300以上のファクトリパッチ。AU/VST3/silicon対応
引用:Twitter
5. Novumに関するセール情報
Tracktionはブラックフライデーのみならず、たまにセールを行います。
Novumは、リリース記念のイントロセールとして30%OFFで販売されています。
最新のセール情報は以下をご覧ください。
6. インストール・アクティベーション方法
Tracktion製品のオーソライズ、アクティベートは以下の3STEPで完了します。
- https://marketplace.tracktion.com/activateでシリアルナンバーと個人情報を入力(販売サイト購入の場合)
- Tracktion Download Managerをインストール
- 起動してログインし、製品をインストール
※Novumは、Dawesome NovumとDawesome Novum Contentをインストールする必要があります。Novumを起動して、左上メニューからREGISTER CONTENT PACKを選択して、Contentを読み込みます。
7. 使い方を解説!
ここからは実際にNovumの使い方を解説します。
英語の公式マニュアルはこちらを参考にしてください。
プリセットは左側に一覧で表示されています。左上プリセットネーム左にある「< >」からも変更できます。
左上の検索窓から検索でき、様々な色で表現された各プリセットをダブルクリックして読み込むことができます。真ん中に拡大表示されている部分にドラッグ&ドロップして変更することも可能です。
左上メニューからBASICSを選択することで一覧からプリセットを選択することもできます。
U・B:Uはユーザーが指定したパック、BはデフォルトのBASICSパックなどパックごとに指定することができます。
星マーク:各プリセットをお気に入り登録できます。検索窓右上の星マークを選択するとお気に入り一覧が表示されます。
選択したプリセットのディスプレイは、上下にドラッグすることで立体的にレイヤーを表示することができます。
それぞれのレイヤーは電源マークでオンオフでき、波形を選択することで下部から細かく調整できます。レイヤー右側にあるロックボタンからサンプルの音色(TIMBRE)をロック、エンベロープをロックすることができます。
レイヤーの色は右クリックから変更することも可能です。
サンプルインポート方法
Novumは、ファイルをインポートして読み込むことも可能です。左側のプリセット一覧や選択されているプリセット、また分かれた6つのレイヤーにドラッグ&ドロップできます。各レイヤー以外の部分にドラッグ&ドロップすると自動で6つのレイヤーに分かれます。
TIMBRE
レイヤーのサウンドのバリエーションを提供します。中央がオリジナルの音色です。右に行くほど音色はノイズのようになり、上に行くほど音は柔らかく鈍くなり、下に行くほどシンセサイザーのようになります。
それぞれのパラメータはリンクボタンをオンにして全レイヤー同時操作することも可能です。
SIZE:粒の時間を決定します。
SAME DUR / SAME LEN:異なるピッチの粒を演奏する場合、秒単位の間を維持する(SAME DUR)か、同じサンプルの長さをカバー(SAME LEN)するか、どちらかを選択できます。
DENSITY:粒の密度を調整できます。値が高いほどCPU負荷が高いです。
SYNC / FREE:SYNCでDAWのテンポに同期します。
POS JIT:粒の位置にランダム性を持たせることができます。小さな値では音を滑らかにすることができます。
SKEW:個々の粒のエンベロープに影響します。高い値に設定すると粒のアタックが遅くなります。
TIME JIT:粒の時間にランダム性を持たせることができます。低い値では粒が規則正しく放出され、高い値ではランダムな時間で放出されます。
HOMOGENIZED:オンにすると、音色がより均一に聞こえます。音をなめらかにしたい場合に利用できます。
GAIN:粒のゲインを調整できます。
PAN:粒のパンニングを調整できます。
PAN JIT:粒のパンニングにランダム性を持たせることができます。
STEREO / MONO L / MONO R:モノラルL、R、ステレオを設定できます。
ENV
エンベロープは、ドラッグ&ドロップで自由に描くことができます。
ORIG:オリジナルのエンベロープに戻します。
CONST:クリックすると、エンベロープが一定になるように設定されます。
FORWARD / BACKWARD:前向きに進むか後ろ向きに進むかを決定します。
CYCLE / PING PONG / ONE SHOT:サイクルのモードを3種類から選択できます。
RETRIGGER / KEEP POS:ノートを追加した時、粒の位置をリトリガーするかキープするか選択できます。
SPEED:これはピッチに依存せず、再生速度を調整できます。
REL / ABS:RELATIVEはサンプルの元の速度に対する相対的な速度で、ABSOLUTEはサンプル全体の完全なサイクルで表示されます。
START:開始位置を調整できます。エンベロープ上部Sを左右にドラッグして調整することもできます。
L1 / L2:ループの始まりと終わりを調整できます。エンベロープ上部L1、 L2を左右にドラッグして調整することもできます。
OFFSET:再生位置のオフセット量を調整できます。
SYN
TRAS:半音単位でサウンドのピッチを調整できます。
PITCH:滑らかにピッチを調整できます。
DETUNE:細かくピッチを微調整できます。
REF PITCH:Hz単位の基本ピッチです。
ESTIMATE:クリックすると自動的にピッチが推定されます。
GLIDE:MPE GLIDEの範囲を調整できます。
PB:ピッチベンドの範囲を調整できます。
SYNTIFY:任意の信号を受け取り、アナログシンセなどで作成されたものに変換します。
FREQ:フィルターのカットオフ周波数を調整できます。下部からフィルタータイプを選択できます。
RESO:フィルターのレゾナンスを調整できます。
DIRT:サチュレーションを加えます。
DIST:下部からいくつかの種類を選択できるディストーションです。
COMB:コムフィルターの量を調整して金属的な音色を追加します。
FB:コムフィルターのフィードバック量を調整できます。
FREQ:コムフィルターは演奏されるノートに合わせて調整されますが、-2〜+2オクターブ間でオフセット量を調整できます。
OUT 1 / 2:基本的にはOUT 1がメインアウトになりますが、エフェクトチェーンをOUT 2に設定することができます。
PAN 1 / 2:それぞれのアウトプットのパンニングを調整できます。
FX
電源ボタンでオンオフ可能なエフェクトは以下の種類があります。
- REVERB
- CLOUDS
- SHIMMER
- DELAY
- PHASER
- CHORUS
エフェクトはプラスボタンから追加でき、各エフェクトを数字1もしくは2のアウトプットに設定できます。また、矢印をクリックしてチェーンの流れを設定でき、ドラッグ&ドロップで順番を入れ替えることも可能です。
MOD
右側の列がモジュレーションになります。プラスボタンから新しいモジュレーションソースを追加できます。
それぞれのモジュレーションソースを選択するとMODのエリアに詳細が表示され、調整できます。モジュレーションソースの一番上には、MAIN ADSRがあり、アンプエンベロープが調整できます。
DESTS:モジュレーション先となるパラメータ一覧です。右クリックからREMOVEで削除できます。
モジュレーションのアサイン方法は以下のステップで完了します。それぞれ選択すると紫色になります。
- アサインしたいパラメータを選択
- モジュレーションソース左にある円を選択
- 円を上下にドラッグしてモジュレーション量を調整する
まとめ
Novumは他ではみない全く新しいグラニュラーシンセ、サンプラーです。
特にテクスチャー系や実験的なサウンドなど雰囲気作りに最適で、劇伴などでは重宝する音源だと思います。
ポップスなどにおいても他と差をつける独創的なサウンドを作り上げることができるでしょう。
この記事が参考になれば幸いです。
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