人気のソフトシンセサイザーといえばXfer Records「Serum」がほぼ一番目に上げられるでしょう。
そんな大人気のXfer Records「Serum」がなぜ人気なのかをレビューします。
加えて、使い方も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ソフトシンセに関するまとめ記事はこちらをご覧ください。
1. Xfer Records「Serum」とは?
Serumは、Xfer Recordsが開発するウェーブテーブル方式のソフトシンセサイザー音源です。
デジタルなサウンドが特徴ですが、特に魅力的なのはオシレーター。
デフォルトでもたくさんありますが、オシレーターを自分で作成することができます。
作曲ソフトDAWの拡張機能VST2.4、AU、AAXプラグインとして利用できます。
無料Demoバージョン
体験版の無料バージョンはMac OS XとWindowsで利用でき、15分間に制限されています。
<SERUMの概要>
開発会社 | Xfer Records |
操作画面 | |
製品名 | Serum |
仕様 | ウェーブテーブルシンセサイザー |
オシレーター(作成可能) | Analog42種 / Digital56種 Spectral35種 / Vowel11種 |
プリセット | 450以上 |
値段(定価) | 189ドル Splice Plugins 9.99ドル / 19ヶ月 |
<補足>ウェーブテーブルとは?
初代ウェーブテーブルシンセサイザー「PPG WAVE」(2.2と2.3があります)
ウェーブテーブルは複数の波形形状を含むテーブルを使用して音を作る方式です。あらゆる波形を合成し、波形間をモジュレーションできるのでアナログシンセサイザーと違いオシレーターの種類が豊富で細かくエディットできる点が特徴です。Serumでは自分のオーディオをオシレーターとして取り込むことも可能です。
Xfer Records SERUM ▶︎ADSR Sounds ▶︎Plugin Boutique ▶︎Splice Plugins(月額払い) ▶︎SONICWIRE ▶︎楽天 ▶︎Rock oN ▶︎公式
2. 導入するメリット
実際にSerumを使用していて、メリットだと感じたのは次の3点です。
- 細かくカスタマイズできるオシレーター
- わかりやすいGUI(操作画面)
- エフェクトも魅力
順に解説していきます。
メリット1. 細かくカスタマイズできるオシレーター
ウェーブテーブルシンセサイザー全般にいえる良い点でもありますが、普通のアナログシンセサイザーと違いオシレーターの種類が多く、かなりいじれます。
デフォルトでは
- Analog:42種
- Digital:56種
- Spectral:35種
- Vowel:11種
あります。
それだけでなく、自分のオーディオを取り込んだり、波形を自分で描いて新しいオシレーターを作ることも可能です。
メリット2. わかりやすいGUI(操作画面)
パラメータをいじると何が変わったかが視覚でもわかりやすい仕様となっており、シンセサイザー初心者にとっても優しいです。
自由度も高く、画面もわかりやすいので初心者から上級者までおすすめできます。
メリット3. エフェクトも魅力
エフェクトは
- HYPER/DIMENSION
- DISTORTION
- FLANGER
- PHASER
- DELAY
- CHORUS
- COMPRESSOR
- REVERB
- EQ
- FILTER
の10種類あります。
数はそこまで多くないですが、かかり方がわかりやすく使い勝手が良いです。
CHORUS、PHASERあたりがSERUMの音と非常に相性の良いエフェクトだと感じました。
3. 利用する前に知っておきたい注意点・デメリット
ただ、Serumを使用する上で知っておくべき注意すべき点があります。
- デジタルなサウンドなので、アナログ感はない
- セールをほぼ行わない
- 使い方によっては重い
注意点1. デジタルなサウンドなので、アナログ感はない
ウェーブテーブルシンセの中でも特にSerumは、基本的にデジタルな音になります。ですので、アナログ感がほしい方にはおすすめできません。
合わないジャンルもあると思います。
私のまわりでもSerumは良いけど、自分の作る音楽には合わないと言って使用していない方もいます。
シンセサイザーの音源を一通り揃えたい場合は、デジタルよりなソフトシンセとしてSerumを持ち、別にビンテージシンセサイザーをモデルとした音源(アナログシンセなど)も手に入れることをおすすめします。
ビンテージシンセがまとめて手に入る物として以下の製品が人気です。
- UVI「Vintage Vault 4」:ビンテージシンセやリズムマシンがまとめて手に入る
- Arturia「V Collection 10(X)」:ビンテージシンセや鍵盤楽器がまとめて手に入る
注意点2. セールをほぼ行わない
Serumは他のソフトシンセに比べるとブラックフライデーなどのセール時期も含めてセールをすることがほぼありません。
ただし、Splice Pluginsにて月額払い(Rent-to-Own / 借りる→自分のものに)でSerumを利用できますのでおすすめです。
9.99ドル(1000円程度) / 19ヶ月で通常の月額払いと違い、支払いの義務はなくいつでも停止そして再開することが可能です。全て払い終わると完全に自分のものになります。
買い方・購入方法まとめ
販売店 | Splice Plugins | ADSR Sounds | Plugin Boutique | SONICWIRE | 楽天 | Rock oN eStore |
値段 | 月額9.99ドル (約1,378円) ×19ヶ月 | 189ドル (約26,082円) | 189ドル (約26,082円) | 26,125円 | 26,092円 | 26,125円 |
販売店の特徴 | ・月額制(払い切れば手に入る仕組み) ・いつでも解約できる ・途中からまとめ払いもできる ・3日間の無料トライアル ・購入後すぐに使用できる | ・海外販売店 ・買い物をすると無料で別の有料プラグインが手に入る ・購入後すぐに使用できる | ・海外販売店 ・買い物をすると無料で別の有料プラグインが手に入る ・購入後すぐに使用できる ・購入の5%分ポイント ・50ポンドで1トークンのRewards+Tokens (1トークン=1.25ポンド分のポイントorクーポン) | ・国内販売店 | ・国内販売店 ・237ポイント還元 | ・国内販売店 ・1306ポイント還元 |
商品リンク | ▶︎Splice Plugins(月額払い) | ▶︎ADSR Sounds | ▶︎Plugin Boutique | ▶︎SONICWIRE | ▶︎楽天 | ▶︎Rock oN |
※ポイントは1ポイント1円で利用できます
また、Plugin BoutiqueやADSR Soundsでは、購入に応じてプラグインなどの無料特典がもらえます。最新の無料特典は以下の記事を参考にしてください。
注意点3. 使い方によっては重い
Serumは、使い方によってはCPU負荷が高くなる場合があります。
ユニゾンや同時発音数など発音を多くすればするほど重たくなる傾向にあります。
ただし、過度な設定をしなければ問題なく使用できると思います。
4. Serumの無料プリセット・ウェーブテーブル
プリセットを配布しています。まだ少ないですが今後増やしていく予定ですのでぜひチェックしてみてください。
その他、Serumで使える無料プリセットやウェーブテーブルを配布しているところは以下があります。
無料プリセット・ウェーブテーブル
Xfer Records「Serum」プリセット・ウェーブテーブル追加方法
右上MENUからShow Serum Presets Folderを選択し、フォルダを表示します。
プリセットの場合は、Presetsフォルダにダウンロードしたfxpファイルを、ウェーブテーブルの場合はTablesフォルダにダウンロードしたwavファイルを入れます。
有料プリセット
Serumのプリセットは有料でもたくさんのメーカーが販売しており、セールも頻繁に行っていますので下記のセールまとめ記事をご覧ください。
また、月額制サンプルサービスSplice Soundsでもプリセットを手に入れることが可能です。
5. 口コミ・評判を紹介!
Serumに関する口コミ・評判をまとめました。
やはり、定番のシンセだけあって評価は高いですがセールがないためなかなか手が出ない方も多いようでした。
serumを持っていない時点でベースミュージックを作る資格がない 終わり
serumのreverbフィルターとCombsフィルターの音やばすぎだろこれ絶対使い所どこかにはあるだろうけど
引用:Twitter
6. Xfer Records製品のインストール・アクティベーション方法
Serumのインストール・オーソライズ方法は主に以下の3STEPで完了します。
- Xfer Recordsでアカウント登録・製品登録
- 製品をダウンロード・インストール
- DAWで起動時にアクティベーションコードを入力
※Splice Pluginsで購入した場合のインストール・オーソライズ方法は下記の記事を参考にしてください。
7. 使い方を解説!
できることが多いですが、これさえ知れば十分Serumを使いこなせるという基本的なパラメータ、使い方を解説したいと思います。
英語のマニュアルはこちらになります。
具体的には、下記の順番で解説していきます。
- OSC
- FILTER
- VOICING & PORTAMENT
- MATRIX
- ENVELOPES
- LFO
- MOD、MACRO
- FX
- WAVETABLE EDITOR
(1)OSC
SERUMは2つのオシレーターとサブオシレーター、ノイズが音作りの基盤となります。それぞれ左上の青いボタンでオンオフできます。
OSC A / B
それぞれのオシレーター上部から
- Analog:42種
- Digital:56種
- Spectral:35種
- Vowel:11種
を選択します。
画面はクリックすることで立体的な波形と平面の波形が表示できます。
上にあるOCT、SEM、FIN、CRSはそれぞれピッチを変更します。
OCT(Octave):1で1オクターブ変更、-4〜4までピッチを調整できます。
SEM(Semi):1で1音ずつ変更、-12〜12までピッチを調整できます。
FIN(Fine):100で1音変更、-100〜100までピッチを調整できます。
CRS(Coarse Pitch):1.00で1音変更、-64.00〜64.00までピッチを調整できます。
CRSが一番滑らかに音程を変化させることが可能です。
続いて波形の下にあるUNISON、DETUNE、BLENDは全てユニゾンをコントロールするパラメータです。ユニゾン音の細かな設定は上部のGLOBALにて別画面にあります。
UNISON:最大16までユニゾンを増やすことができますが、パラメータをあげるにつれてボタンが赤くなっていき、負荷も増えどんどん重くなります。
DETUNE:ユニゾンのチューニングを調整します。
BLEND:ユニゾンと中心の音の音量バランスをコントロールします。
PHASE:波形の開始場所を表しますが、RAND次第では変化がわかりづらいと思います。
RAND(Random Phase):波形の開始場所にランダム性を持たせます。
WT POS:画面を立体的な波形にするとわかりやすいですが、サブテーブルを含むテーブル波形の位置を設定します。画面右上の鉛筆マークでサブテーブルを含む波形が確認、エディットできます。
Warp Menu:22種類の波形を変化させる設定ができます。デフォルトでオフになっている中央下のノブです。平面の波形画面で見るとそれぞれどのように波形が変更されたかわかりやすいと思います。
PAN:左右のパンニングを調整できます。
LEVEL:レベルを調整できます。
SUB
6種類のサブオシレーターです。OCTAVE、PAN、LEVELが調整できます。また、DIRECT OUTでエフェクトを通さない設定も可能です。
NOISE
- Analog:16種
- Attacks_Kick:64種
- Attacks_Misc:54種
- FP_Inharms:10種
- Organics:16種
- SOR:27種
から選択できるノイズオシレーターです。
PHASE、RANDはOSC A/Bと同様に開始位置とそのランダム性で、その他PITCH、PAN、LEVELがあります。DIRECT OUTでエフェクトを通さない設定も可能です。
鍵盤マーク:ノイズにピッチを持たせます。
→マーク:One Shotモードでループしないノイズとなります。
(2)FILTER
- Normal:18種
- Multi:21種
- Flanges:32種
- Misc:25種
から選択できるフィルターです。
通常のフィルター同様CUTOFF(カットオフ周波数)、RES(レゾナンス)が設定できます。
真ん中下のノブはフィルターによってFAT、FREQ、HL WIDなど変化します。
基本的にはフィルターにバリエーションをもたらす役割のノブですが、デュアルフィルターの場合はFREQとなり2つ目のフィルターのFrequencyをコントロールします。
左側のボタンは
- A:OSC A
- B:OSC B
- N:NOISE
- S:SUB
に反映させるかどうか設定できます。
鍵盤マーク:キーに応じてフィルターが変化し、低い音ならしぼったCUTOFF高いキーなら開いたCUTOFFとなります。
PAN:真ん中で左右同じフィルターで左に回すと左CUTOFFが開き、右CUTOFFがしぼられます。逆に回すとその逆になります。
DRIVE:歪み量を調整できます。
MIX:ミックス量を調整できます。
(3)VOICING & PORTAMENT
MONO:モノフォニックに設定されます。
LEGATO:MONO有効時にENVELOPES、LFOが再トリガーされずキー移行できます。
PORTA:キーの移行時間を調整できます。CURVEでを上下にドラッグして移行するカーブを調整することも可能です。ALWAYSをオンにすることで常にPORTAがかかり、SCALEDで間隔によってPORTAの時間が変化します。
(4)MATRIX
これから説明する項目ENVELOPES、LFO、MOD、MACROはドラッグ&ドロップで他のパラメータにアサインできますが、MATRIXの項目で操作することも可能です。
SOURCE:モジュレーションソースとなるLFO、ENVELOPESなどを選択できます。
AMOUNT:元の値からプラス、マイナスにどれだけ動くかを調整できます。
DESTINATION:モジュレーションをアサインするパラメータを選択できます。
TYPE:動き方(上がる、下がる、上下)を選択できます。
CURVE:値の動き方、カーブを調整できます。
(5)ENVELOPES
エンベロープは3つあり、ENV1はAmp(音量のAHDSR)専用となっています。しかし、ENV2、3同様その他パラメータをアサインすることも可能です。
アサインの方法はENV1、2、3をドラッグしてアサインしたいパラメータにドラッグ&ドロップします。するとドロップしたパラメータが青くなります。青い範囲がENVに合わせて変化する範囲となります。
範囲を変更するにはアサインしたパラメータの左上にある小さなパラメータを上下に変更することでできます。アサインするとENVの右側丸が「1」という表記になります。これはアサインされたパラメータの数です。
右クリックすることでアサインされたパラメータを見ることができ、Bypassでアサイン無効に、Removeでアサイン取り消しとなります。
(6)LFO
LFOも基本はENVELOPESと同じくドラッグ&ドロップでアサインします。
フォルダのマークからプリセットを選ぶことができ
- Basic:11種
- Misc:7種
- Sidechain:7種
があります。
MODE:TRIGではノートオンを始まりとし、LFOが常に周回します。ENVも同様にノートオンを始まりとしますが一度のみとなり周回しません。OFFの場合はノートオンを無視して再生とともに周回します。
RATE:LFOの速さを調整できます。
RISE:遅くすることで徐々にアサインしたパラメータ範囲が大きくなります。
DELAY:LFO開始時間を表します。遅くするとLFOがかかるタイミングが遅くなります。
SMOOTH:その名とおりLFOの出力を滑らかにします。マックスにするとLFOのかかり具合がかなり薄くなります。
BPM:オンにすることでBPMに合わせたLFOとなります。
ANCH(Anchor switch):BPMがオンの時有効でタイムコントロールを自動化した場合にLFOの再生位置が「ジャンプ」するかどうかを決定します。
DOT / TRIP:BPMがオンの時有効でそれぞれドットタイム、トリプレットタイムに変わります。
(7)MOD / MACRO
MODはMod Wheel(モジュレーションホイール)にアサインされ、MACROはアサインすることでDry、Wetをまとめてコントロールすることが可能です。
(8)FX
エフェクトは
- HYPER / DIMENSION
- DISTORTION
- FLANGER
- PHASER
- DELAY
- CHORUS
- COMPRESSOR
- REVERB
- EQ
- FILTER
の10種類あります。
左の列をそれぞれクリックすることでオンオフでき、ドラッグすることで順番を変更できます。
(9)WAVETABLE EDITOR
ここまででも十分に使用できますが、最後に上級編としてオシレーター作成の項目を解説します。
オシレーター画面右上のペンマークからオシレーターが作成できるWAVETABLE EDITORが開きます。
Thumbnail
下部にあるサムネイルでは、ウェーブテーブルを構成するサブテーブルの表示、選択、並び替えを簡単に行うことができます。
クリックすると特定のサブテーブルを表示、編集することができ、ドラッグしてサブテーブルを移動できます。右側「▼」からプリセットを適用できます。
Draw Tool
左側にあるのは、描画するためのツールです。メイン波形の右下に設定されているグリッドサイズに関連して動作します。
基本的には見た目どおりのものが描けますが、わかりにくいものとして以下があります。
Interpolate linear:従来のツールのように描画するのではなく端点を結びます。
Interpolate curved:Interpolate linearに似ていますが、より緩やかなトランジションを持っています。
Nudge:波形の一部を上下に移動します。これはクリッピングに使用することができます。上下にドラッグすると波形の一部が急激に上下しているのがわかると思います。
FFT Area
FFTエリアでは、選択した波形のハーモニクス(倍音)と位相を描くことができます。
上段は一番左を基本波とし、右側に音を構成するハーモニクスを描くことができます。
下段は、各ハーモニクスの位相オフセットです。開始位相をずらすことができます。
右クリックすると、プリセットやClear(削除)、描くための制限のメニューがあります。
Menu Bar
波形上のメニューバーから様々なプリセットなど一括変更が可能です。
Single:選択されている波形のみを変更します。
Process:Singleにあるような処理関数ですが、すべてのサブテーブルに適用されます。
Morph:既存のサブテーブル間に補間サブテーブルを作成または削除します。
Add/Remove:サブテーブルを挿入または削除します。
Sort:スペクトルプロパティに基づいて、既存のテーブルを自動的に並べ替えます。
Import / Export:ファイルをインポート(取り込み)・エクスポート(保存)します。
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まとめ
Serumはやはり大人気なだけあって使い勝手が良く、創作性もかなり高いです。
自由度が高いにもかかわらず、画面もわかりやすいので初心者から上級者までおすすめできます。
ちなみに、Serumを月額払いで購入したい方はSplice Plugins、プリセットはSplice Soundsで手に入れることができます。
SerumはセールをほぼしませんのでSplice Pluginsはおすすめです。
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