人気のソフトシンセサイザーといえばXfer Records「SERUM」がほぼ一番目に上げられるでしょう。
そんな大人気のXfer Records「SERUM」がなぜ人気なのかをレビューします。加えて、使い方も解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ソフトシンセに関するまとめ記事はこちらをご覧ください。

目次
1. SERUMとは?
Xfer Recordsが出しているウェーブテーブル方式のソフトシンセサイザー音源です。
デジタルで冷たいサウンドが特徴ですが、特に魅力的なのはオシレーター。デフォルトでもたくさんありますが、オシレーターを作成することができます。
SERUMはSplice Pluginsにて9.99ドル(1000円程度) / 19ヶ月の月額払い(サブスクリプション)が可能です。
※Splice Pluginsは通常の月額払いと違い、支払いの義務はなくいつでも停止することが可能です。

<SERUMの概要>
開発会社 | Xfer Records |
操作画面 | ![]() |
製品名 | SERUM |
仕様 | ウェーブテーブルシンセサイザー |
オシレーター(作成可能) | Analog42種 / Digital56種 Spectral35種 / Vowel11種 |
プリセット | 450以上 |
価格(定価) | 189ドル Splice Plugins 9.99ドル / 19ヶ月 |
<補足>ウェーブテーブルとは?
初代ウェーブテーブルシンセサイザー「PPG WAVE」(2.2と2.3があります)
サンプルデータ、または波形を合成したりしながら音を作る方式。
アナログシンセサイザーと違いオシレーターの種類が豊富な点も特徴です。SERUMでは自分のオーディオをオシレーターとして取り込むことも可能です。

2. SERUMを導入するメリット
実際に、「SERUM」を使用していて、メリットだと感じたのは次の3点です。
- 幅広い音作りができるオシレーターがある
- わかりやすいGUI(操作画面)
- エフェクトも魅力
順に解説していきます。
メリット1. 幅広い音作りができるオシレーターがある
ウェーブテーブルシンセサイザー全般に言える良い点でもありますが、普通のアナログシンセサイザーと違いオシレーターの種類が多く、かなりいじれます。
デフォルトでは、Analog42種、Digital56種、Spectral35種、Vowel11種あります。
自分のオーディオを取り込んだり、波形をエディットして新しいオシレーターを作ることも可能です。
メリット2. わかりやすいGUI(操作画面)
パラメータをいじると何が変わったかが視覚でもわかりやすい仕様となっており、シンセサイザー初心者にとっても優しいです。
自由度も高く、画面もわかりやすいので初心者から上級者までおすすめできます。
メリット3. エフェクトも魅力
エフェクトはHYPER/DIMENSION、DISTORTION、FLANGER、PHASER、DELAY、CHORUS、COMPRESSOR、REVERB、EQ、FILTERの10種類あります。
数はそこまで多くないですが、性能としてCHORUS、PHASERあたりがSERUMの音と非常に相性の良いエフェクトだと感じました。

3. SERUMを利用する前に知っておきたい注意点・デメリット
ただ、使用する上で注意すべき点があります。
注意点1. デジタルな冷たいサウンドなので、アナログ感はない
ウェーブテーブルシンセの中でも特にSERUMは、基本的にデジタルな音になります。ですので、アナログ感が欲しい方にはおすすめできません。合わないジャンルもあると思います。
私のまわりでもSERUMは良いけど、自分の作る音楽には合わないと言って使用していない方もいます。
シンセサイザーの音源を一通り揃えたい場合は、デジタルシンセサイザーとしてSERUMを持ち、別にビンテージシンセサイザーをモデルとした音源(アナログシンセなど)も手に入れることをおすすめします。
ビンテージシンセやリズムマシンがまとめて手に入るUVI「Vintage Vault 3」、鍵盤楽器を網羅できるArturia「V Collection 8」などがおすすめできます。


注意点2. セールをほぼ行わない
表は横にスクロールできます▼
販売店 | Splice Plugins | Plugin Boutique | 楽天 | Rock oN eStore |
価格 | 月額9.99ドル (約1,045円) ×19ヶ月 |
189ドル (約19,850円) |
19,932円 | 19,833円 |
販売店の特徴 | ・月額制(払い切れば手に入る仕組み) ・いつでも解約できる ・途中からまとめ払いもできる ・3日間の無料トライアル ・購入後すぐに使用できる |
・海外販売店 ・買い物をすると無料で別の有料プラグインが手に入る ・購入後すぐに使用できる |
・国内販売店 | ・国内販売店 |
商品リンク | Splice Plugins | ▶︎Plugin Boutique | ▶︎楽天 | ▶︎Rock oN |
SERUMは他のシンセサイザー音源に比べるとセールをすることがほぼありません。
ただし、Splice Pluginsにて月額払いでSERUMを利用できますのでおすすめです。
- 9.99ドル(1000円程度) / 19ヶ月
※通常の月額払いと違い、支払いの義務はなくいつでも停止することが可能です。

4. SERUMの無料プリセット・ウェーブテーブル
プリセットを配布しています。まだ少ないですが今後増やしていく予定ですのでぜひチェックしてみてください。
その他、SERUMで使える無料プリセットやウェーブテーブルを配布しているところは以下があります。
無料プリセット・ウェーブテーブル
- Cymatic.fm
- Echo Sound Works Vintage Inspired
- Gravitas Create
- Synth Ctrl Vaporwave Keys and Pads
- Gum Road Lofi Presets
- Black Lotus Audio
- STANDALONE MUSIC
- Sound Terminal
- Free Wavetables
Xfer Records「SERUM」プリセット・ウェーブテーブル追加方法
右上MENUからShow Serum Presets Folderを選択し、フォルダを表示します。
プリセットの場合は、Presetsフォルダにダウンロードしたfxpファイルを、ウェーブテーブルの場合はTablesフォルダにダウンロードしたwavファイルを入れます。
有料プリセット
SERUMのプリセットはPlugin Boutiqueにて多数あり、SERUMと1300ものプリセット、500のMIDIファイルがセットになったExpanded Bundleなどもあります。
また月額制サンプルサービスSplice Soundsでもプリセットを手に入れることが可能です。

5. Xfer Records製品のインストール・アクティベーション方法
Plugin Boutiqueにてインストール・オーソライズ方法が解説されています。
主に以下の2STEPで完了します。
- Xfer Recordsでアカウント登録・製品登録・ダウンロード
- DAWで起動時にアクティベーションコードを入力
6. Serumの使い方を解説!
できることが多いですが、これさえ知れば十分SERUMを使いこなせるという基本的なパラメータ、使い方を解説したいと思います。
英語のマニュアルはこちらになります。
具体的には、下記の順番で解説していきます。
- OSC
- FILTER
- VOICING & PORTAMENT
- MATRIX
- ENVELOPES
- LFO
- MOD、MACRO
- FX
- WAVETABLE EDITOR
(1)OSC
SERUMは2つのオシレーターとサブオシレーター、ノイズが音作りの基盤となります。それぞれ左上の青いボタンでオンオフできます。
OSC A/B
Analog42種、Digital56種、Spectral35種、Vowel11種から選択します。
画面はクリックすることで立体的な波形と平面の波形が表示できます。
上にあるOCT、SEM、FIN、CRSはそれぞれピッチを変更します。
OCT(Octave):1で1オクターブ変更、-4〜4まで
SEM(Semi):1で1音ずつ変更、-12〜12まで
FIN(Fine):100で1音変更、-100〜100ま
CRS(Coarse Pitch):1.00で1音変更、-64.00〜64.00まで
CRSが一番滑らかに音程を変化させることが可能です。
続いて波形の下にあるUNISON、DETUNE、BLENDは全てユニゾンをコントロールするパラメータです。ユニゾン音の細かな設定は上部のGLOBALにて別画面にあります。
UNISON:最大16までユニゾンを増やすことができますが、パラメータをあげるにつれてボタンが赤くなっていき、負荷も増えどんどん重くなります。
DETUNE:ユニゾンのチューニングを調整します。
BLEND:ユニゾンと中心の音の音量バランスをコントロールします。
PHASE:波形の開始場所を表しますが、RAND次第では変化がわかりづらいと思います。
RAND(Random Phase):波形の開始場所にランダム性を持たせます。
WT POS:画面を立体的な波形にするとわかりやすいですが、サブテーブルを含む波形のどの位置か設定します。画面右上の鉛筆マークでサブテーブルを含む波形が確認、エディットできます。
Warp Menu:22種類の波形をいじれる設定ができます。デフォルトでオフになっている中央下のノブです。平面の波形画面で見るとそれぞれどのように波形が変更されたかわかりやすいと思います。
残りはPANとLEVELになります。
SUB
6種類のサブオシレーターです。OCTAVE、PAN、LEVELがいじれます。また、DIRECT OUTでエフェクトを通らせないことも可能です。
NOISE
Analog16種、Attacks_Kick64種、Attacks_Misc54種、FP_Inharms10種、Organics16種、SOR27種あります。
PHASE、RANDはOSC A/Bと同様に開始位置とそのランダム性で、その他PITCH、PAN、LEVELがあります。
DIRECT OUTでエフェクトを通らせないことも可能です。残りは左上のボタン二つですが、鍵盤マークはノイズにピッチを持たせ、→マークはOne Shotモードでループしないノイズとなります。
(2)FILTER
Normal18種、Multi21種、Flanges32種、Misc25種あります。
普通のフィルター同様CUTOFF、RES(Resonance)の他にPAN、DRIVE、MIX、真ん中下のノブはフィルターによってFAT、FREQ、HL WIDなど変わります。
基本的にはフィルターにバリエーションをもたらす役割のノブですが、デュアルフィルターの場合はFREQとなり2つ目のフィルターのFrequencyをコントロールします。
左側のボタンはA(OSC A)、B(OSC B)、 N(NOISE)、S(SUB)に反映させるかどうか設定できます。鍵盤マークはキーに応じてフィルターが変化し、低い音ならしぼったCUTOFF高いキーなら開いたCUTOFFとなります。
PANは真ん中で左右同じフィルターで左に回すと左CUTOFFが開き、右CUTOFFがしぼられます。逆に回すとその逆になります。
(3)VOICING & PORTAMENT
MONO:モノフォニック
LEGATO:MONOが有効の時にENVELOPES、LFOが再トリガーされず滑らかにキーが移動します。
PORTA:CURVEを調整することが可能なポルタメントです。ALWAYSをオンにすることで常にPORTAがかかり、SCALEDでグライド間隔によってPORTAの時間が変わります。
(4)MATRIX
これから説明する項目ENVELOPES、LFO、MOD、MACROはドラッグ&ドロップで他のパラメータにアサインできますが、MATRIXの項目で操作することも可能です。
SOURCE:元となるLFO、ENVELOPESなどです。
AMOUNT:元の値からプラス、マイナスにどれだけ動くかを調整できます。
DESTINATION:アサインされたパラメータです。
TYPE:動き方(上がる、下がる、上下)を表します。
CURVE:値の動きの緩急を調整できます。
(5)ENVELOPES
エンベロープは3つあり、ENV1はAmp(音量のAHDSR)専用となっています。しかし、ENV2、3同様その他パラメータをアサインすることも可能です。
アサインの方法はENV1、2、3をドラッグしてアサインしたいパラメータにドラッグ&ドロップします。するとドロップしたパラメータが青くなります。青い範囲がENVに合わせて変化する範囲となります。範囲を変更するにはアサインしたパラメータの左上にある小さなパラメータを上下に変更することでできます。アサインするとENVの右側丸が「1」という表記になります。これはアサインされたパラメータの数です。
右クリックすることでアサインされたパラメータを見ることができ、Bypassでアサイン無効に、Removeでアサイン取り消しとなります。
(6)LFO
LFOも基本はENVELOPESと同じくドラッグ&ドロップでアサインします。フォルダのマークからプリセットを選ぶことができBasic11種、Misc7種、Sidechain7種あります。
MODE:TRIGはLFOはノートオンを始まりとし、LFOが常に周回します。ENVも同様にノートオンを始まりとしますが一度のみとなり周回しません。OFFの場合はノートオンを無視して再生とともに周回します。
RATE:LFOの速さです。
RISE:遅くすることで徐々にアサインしたパラメータ範囲が大きくなります。
DELAY:LFO開始時間を表します。遅くするとLFOがかかるタイミングが遅くなります。
SMOOTH:その名とおりLFOの出力を滑らかにします。マックスにするとLFOのかかり具合がかなり薄くなります。
BPM:オンにすることでBPMに合わせたLFOとなります。
ANCH(Anchor switch):BPMがオンの時有効でタイムコントロールを自動化した場合にLFOの再生位置が「ジャンプ」するかどうかを決定します。
DOT、TRIP:BPMがオンの時有効でそれぞれドットタイム、トリプレットタイムに変わります。
(7)MOD MACRO
MODはその名の通りMod Wheelにアサインされ、MACROはアサインすることでDry、Wetをまとめてコントロールすることが可能です。
(8)FX
エフェクトはHYPER/DIMENSION、DISTORTION、FLANGER、PHASER、DELAY、CHORUS、COMPRESSOR、REVERB、EQ、FILTERの10種類あります。
左の列をそれぞれクリックすることでオンオフでき、ドラッグすることで順番を変更できます。
(9)WAVETABLE EDITOR
ここまででも十分に使用できますが、最後に上級編としてオシレーター作成の項目を解説します。
オシレーター画面右上のペンマークからオシレーターが作成できるWAVETABLE EDITORが開きます。
Thumbnail
下部にあるサムネイルでは、ウェーブテーブルを構成するサブテーブルの表示、選択、並び替えを簡単に行うことができます。
クリックすると特定のサブテーブルを表示、編集することができ、ドラッグしてサブテーブルを移動できます。右側「▼」からプリセットを適用できます。
Draw Tool
左側にあるのは、描画するためのツールです。メイン波形の右下に設定されているグリッドサイズに関連して動作します。
基本的には見た目どおりのものが描けますが、わかりにくいものとして以下があります。
Interpolate linear:従来のツールのように描画するのではなく端点を結びます。
Interpolate curved:Interpolate linearに似ていますが、より緩やかなトランジションを持っています。
Nudge:波形の一部を上下に移動します。これはクリッピングに使用することができます。上下にドラッグすると波形の一部が急激に上下しているのがわかると思います。
FFT Area
FFTエリアでは、選択した波形のハーモニクス(倍音)と位相を描くことができます。
上段は一番左を基本波とし、右側に音を構成するハーモニクスを描くことができます。下段は、各ハーモニクスの位相オフセットです。開始位相をずらすことができます。
右クリックすると、プリセットやClear(削除)、描くための制限のメニューがあります。
Menu Bar
波形上のメニューバーから様々なプリセットなど一括変更が可能です。
Single:選択されている波形のみを変更します。
Process:Singleにあるような処理関数ですが、すべてのサブテーブルに適用されます。
Morph:既存のサブテーブル間に補間サブテーブルを作成または削除します。
Add/Remove:サブテーブルを挿入または削除します。
Sort:スペクトルプロパティに基づいて、既存のテーブルを自動的に並べ替えます。
Import/Export:ファイルをインポート(取り込み)・エクスポート(保存)します。
まとめ
SERUMはやはり大人気なだけあって使い勝手が良く、創作性もかなり高いです。
自由度が高いにもかかわらず、画面もわかりやすいので初心者から上級者までおすすめできます。
ちなみに、SERUMを月額払いで購入したい方はSplice Plugins、プリセットはSplice Soundsで手に入れることができます。
SERUMはセールをほぼしませんのでSplice Pluginsはおすすめです。


この記事が参考になれば幸いです。