2019年8月に発売したのドラム音源MODO DRUM。他のドラム音源と何が違うのか、どういった特徴があるのかMODO DRUMについてレビュー、使い方も解説します。
ぜひ参考にしてくださいね。
ドラム音源に関するまとめ記事はこちらをご覧ください。

目次
1. MODO DRUMとは?
IK Multimediaのフィジカル(物理)モデリング音源といえばベース音源「MODOBASS」。今となればベース音源の代名詞だったTrillianと肩を並べるほどの人気音源になっています。
そんなIK Multimediaからドラムのモデリング音源が登場。ドラムのモデリング音源は史上初です。
VST、AU、AAXなど作曲ソフトDAWの拡張機能「プラグイン」として利用できますが、単体での起動(スタンドアローン)も可能です。
<MODO DRUMの概要>
開発会社 | IK Multimedia |
操作画面 | ![]() |
製品名 | MODO DRUM / MODO DRUM SE |
ドラムセット | 10のキット(SEは2つのキットJazzy、Studioを収録) |
発売日 | 2019年 |
価格(定価) | MODO DRUM 299.99ユーロ MODO DRUM SE 149.99ユーロ |

2. サンプリング音源とフィジカル(物理)モデリング音源の違い
フィジカル(物理)モデリング音源と聞くと、サンプリング音源と何が違うのかと疑問に持つ方もいらっしゃるかもしれませんね。
サンプリング音源は、サンプルを元に音作りをします。対して、フィジカル(物理)モデリング音源は仮想的に音色をシュミレートして音を作ります。
フィジカル(物理)モデリング音源の例としては、MODO DRUM、MODO BASSの他にもピアノ音源のMODARTT「Pianoteq」などがあります。仮想的に音色を変えれるのでこれらのモデリング音源は細かくパラメータを設定できるという特徴があります。
他にもサンプリング音源に比べ、ストレージ容量が節約できるといった利点もあります。



3. 導入するメリット
IK Multimedia「MODO DRUM」のメリットは主に次の2点あると思います。
- 細かな設定が可能なパラメータ
- ジャンルを網羅した幅広いドラムセット
(1)細かな設定が可能なパラメータ
チューニングはもちろんのことドラムセット一つ一つを分解してシェルやヘッド、直径や深さまでかなり細かく音作りすることが可能です。スティックやキックペダルもカスタマイズできます。
さらには叩くドラマーの性質までコントロール可能。叩く位置の正確さを設定し、リアルさを出すためルーズにすることもできます。
これは初のフィジカルモデリング音源だからこそできる設定で他のドラム音源ではできない設定がたくさんあります。
パラメータの中でも特に素晴らしいと思ったのはMIDI CCで細かくコントロールできるハイハットの開き具合です。
金物類はサンプルのようですがオープン、クローズの2種類ではなく、そのあいだをよりリアルに再現することが可能です。
(2)ジャンルを網羅した幅広いドラムセット
ドラムセットはBlack Oyster、Djentleman、Jazzy、Extreme、Reference、Bubinga、Grungy、Plexi、Studio、Rock Customの10種類あります。ロック、メタル、ジャズからオールドモデルまで幅広くあるので、どのジャンルでもマッチするドラムセットが見つかると思います。
先ほど紹介した細かな設定が可能なパラメータもありますので、音作りの幅はかなり広いです。
4. 利用する前に知っておきたい注意点・デメリット
しかし、利用する前に注意すべき点があります。
それは、「作り込む必要がある」という点です。
オケに合った良いドラムサウンドにするには一つ一つドラムの音を作っていく必要があると感じました。
プリセットはエフェクトがガンガンかかっていますし、ルーム感もありそのままでは使いにくいなと感じる部分があります。
一つ一つドラムを音作りし直して、オリジナルのドラムセットを作っていくことをおすすめします。
5. 口コミ・評判を紹介!
実際に、利用している人の口コミが気になりませんか?
そこで口コミをご紹介。
全体的な評価はとても良いです。
「エフェクトなしのスッピンの音が聞きたいんや!」という声にお応えして、全エフェクトバイパス、RoomはMid Studio固定で各キットを鳴らしてみました。これだけあれば出ない音はない。特徴捉えてていいですな〜。#ModoDrum @ikmultimedia_jp pic.twitter.com/DalHroR29e
— Minatnoy (@Minatnoy) August 8, 2019
MODO DRUMはいいぞ pic.twitter.com/8RSGgefmBI
— M-Ito (@it_guitar) August 17, 2019
6. MODO DRUMに関するセール情報
IK Multimedia製品は、頻繁にセールをおこないます。
ただし、MODO DRUMが対象になるセールは、そこまで多くはありませんので手に入れたい方は定期的にチェックしておきましょう。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。

7. IK Multimedia製品のインストール・アクティベーション方法
2020年8月新たにIK Product Managerがリリースされ、インストール・アクティベーションはかなり簡単になりました。以下の4STEPで完了です。
- IK Multimediaにアカウント登録
- IK Product Managerをダウンロード・起動してログイン
- IK Product Manger「Register Product」からシリアルナンバー入力
- オーソライズ・製品をインストール
8. 使い方を解説!
ここからはIK Multimedia「MODO DRUM」の使い方について解説していきます。
左上からプリセットを選択でき、主に真ん中上部にある6つの項目に別れています。
- MODEL
- CUSTOMIZE
- PLAY STYLE
- ROOM
- MIXER
- GROOVES
MODEL
ドラムセットを選ぶ項目です。ここではドラムをセットごと変更します。
ドラムセットはBlack Oyster、Djentleman、Jazzy、Extreme、Reference、Bubinga、Grungy、Plexi、Studio、Rock Customの10種類あります。
CUSTOMIZE
それぞれのドラムを選んだり、カスタマイズする項目です。
ドラムセットのうちのスネア、バスドラなど一つを選択すると上部に他に使えるスネアやバスドラが表示され選択することで変更できます。
左上EDIT KITから新たにドラムをドラムセットに追加することが可能です。
右クリックでEnabledにすることでドラムセットに加わります。解除するときも同様にチェックの入ったEnabledを押して解除します。
右上のEDIT ELEMENTからそれぞれのドラムを細かくカスタマイズできます。
Kick
内側、外側それぞれのDAMP(音の長さ)、VOLUME、TUNINGを操作できます。内側の面(キックペダルが当たる部分)はCoatedとClearの2種類選択可能です。
真ん中にあるパラメータでは直径(DIAMETER)、深さ(DEPTH)が調整可能です。またPoint、Sharp、Roundedの3種類からシェルを選択できます。
TOM BUZZ、SNARE BUZZはタム、スネアの共振を調整でき、ROOMで部屋全体の録り音、OVERHEADは上から狙う録り音にどれだけ反映するか調整できます。
Tom
基本的にはKickと同じですが、Tom Group EditingでTom類を一括して設定できます。
Snare
基本的にはKickと同じですが、Snareはスナッピーの設定がありLarge、Mediumの選択とTENSIONで響き具合(スナッピーの締まり具合)をコントロールできます。
PLAY STYLE
この項目ではSnare、Tomsの左手、右手叩く範囲とボリューム、Kickの踏み方(Heel-Up、Heel-Down)とスティック、キックペダルの種類が選択できます。
Snare、Tomsの叩く範囲は広くするほど音にばらつきが出ます。
キックペダルはFelt、Plastic、Wood
スティックはNo Tip、Teardrop Nylon、Teardrop Wood
のそれぞれ3種類あります。
ROOM
その名の通り、どこでレコーディングしたか部屋を設定できます。右真ん中にあるミキサーマークから部屋の鳴りのボリュームを調整できます。
部屋の設定はBooth、Mid Studio、Garage、Bunker、Large Studio、Cathedral、Club、Venue、Warehouseの9種類あります。
MIXER
それぞれのドラムの音量、PAN、エフェクト、FX(SEND1、2)が調整できます。
エフェクトは全部で19種類あり、同社が出しているT-Racksなど人気のエフェクト譲りのエフェクトです。
エフェクト19種類
Compressor、Comp 2A、Comp 76、Gate、Punch、Clipper、Big Pig、Crusher、Distortion、Plate Reverb、Room Reverb、Inverse Reverb、Hall Reverb、Delay、Tape Delay、Phaser、Chorus、Flanger
また、それぞれのミキサーの下部にあるMasterをBusにすることでトラックをまとめることも可能です。
パラアウト(各ドラム別々トラックを作る)の際もここからMasterをDAWに変更し、DAWでオーディオトラックを立ち上げてアウトを受け取ります。
右端のOH/ROOMを押すことでそれぞれのOVERHEAD、ROOMに送る音量設定、全体の音量設定ができます。
GROOVES
1400種類以上のMIDIパターンがあります。
ジャンル、カテゴリ(イントロ、サビなど)、長さ、拍など細かに設定でき、そのままドラッグ&ドロップでDAWにMIDIパターンを置くことができます。
曲の場所によってカテゴリ分けされているので、このMIDIパターンのみで1曲のドラムパターンが完成できると思います。
右下SYNCで右側のBPM、SYNC TO DAWでDAWに合ったBPMになります。さらに右にある2分の1でハーフテンポ、2で倍にすることも可能です。星マークでお気に入り登録もできます。
MIDI CCでコントロールする
右上の設定からMIDI CCでHihatの開き具合、Snare、Tomは打点の位置をコントロールできます。
それぞれ左側のEnable〜をオンにし、MIDI CCの番号を入力。あとはDAW上でMIDI CCのオートメーションを書けばその通りに変化します。
Hihatの場合オープン、クローズは全てMIDI CCでのコントロールとなります。
まとめ
MODO DRUMはMODO BASS同様にかなり細かくいじれる音源で、音作りの幅はかなり広いと感じました。
作り込む必要はありますが、どんなジャンルにも対応できる使い勝手の良いドラム音源だと思います。
この記事が参考になれば幸いです。