- Vintage Vault 2めちゃくちゃ内容量あるけど実際使える音源なの?
- Vintage Vault 2だけで曲は作れる?
- Vintage Vault 2は重い?
このように思いってこの記事を読んでいるのではないでしょうか?
今回は、名機ビンテージシンセサイザー、リズムマシンを網羅したソフト音源UVI「Vintage Vault 2」をレビューします。
私も実際に使っていますが、質が高くビンテージシンセサイザー、リズムマシン音源がまとめて欲しい方にはオススメのソフト音源です。
この記事は、そんなUVIの「Vintage Vault 2」を導入すべきメリットや使用する上での注意点。そして、各音源について解説していきます。
ぜひ、参考にしてくださいね。
目次
1. Vintage Vault 2とは?
UVIが開発するビンテージシンセサイザー、リズムマシンをモデルとしたプラグインソフト音源集です。
それぞれのプラグインソフト音源は単体でも販売されています。
<Vintage Vault 2の概要>
開発会社 | UVI |
価格(定価) | 定価599USD(約65,000円) |
ソフト音源(52種) | Cameo(3種) / Digital Synsations Vol. 2(3種) / OB Legacy(6種) / PX Apollo / UVS-3200 / UVX80 / BeatBox Anthology 2 / Darklight IIx(3種) / Digital Synsations(4種) / Emulation One(2種) / Emulation II(2種) / Mello / String Machines / The Beast(3種) / UltraMini(2種) / UVX-10P / UVX-3P / Vector Pro(3種) / Vintage Legends(6種) / WaveRunner(7種) |
発売日 | 2017年8月31日 |
こんな人には特にオススメ!
- ビンテージシンセ、リズムマシンをまとめてたくさんほしい

2. Vintage Vault 2を導入するメリット
UVI Vintage Vault 2の導入をおすすめするのには次のような点があるからです。
- 名機ビンテージシンセ、リズムマシンを網羅
- 生楽器を必要としない曲であればVintage Vault 2のみで完結可能
- 質が高い
- 内容量の割に安い
メリット1. 名機ビンテージシンセ、リズムマシンを網羅
名機ビンテージシンセ、リズムマシンをマニアックなものまで網羅しています。
Vintage Vault 2一つでかなりの量のシンセサイザーが手に入ります。ビンテージシンセサイザーのエミュレート音源をまだ一つも持っていない方は一気に手に入るのでとてもオススメです。
ArturiaのV Collection 7のように、生音に近いピアノ、エレピ、オルガンなどの音源はありませんが、シンセサイザーの種類でいえばVintage Vault 2が圧倒的に多いです。

それぞれの元となったシンセサイザーは以下です。
Cameo(3種) | Cameo CM、Cameo CX、Cameo CZ→Casio CZシリーズ |
OB Legacy(6種) | UV-1→OB-1、SEM XP-12→Xpander、Matrix-12 M-6k→Matrix-6、6R、Matrix-1000 UV-XXX→OB-X、OB-Xa、OB-SX UVSR-2→MSR-2 Six-12→OB-12、OB6 |
Vector Pro(3種) | Vector Pro 22→YAMAHA SY 22 Vector Pro VS、Vector Pro VX→Prophet VS |
Vintage Legends(6種) | CS-M→YAMAHA CS-80などCSシリーズ Synthox→Elka Synthex Kroma→Rhodes Chroma FMX1→YAMAHA DX1 U1250→Kurzweil K250、K1000 ENERGY→DK Synergy |
WaveRunner(7種) | WaveRunner 360→PPG 360 WaveComputer WaveRunner Orange→Waldorf MicroWave XT WaveRunner 2.0→PPG WAVE 2 WaveRunner 2.3→PPG WAVE 2.3 WaveRunner X WaveRunner Terminal D WaveRunner Terminal U |
Digital Synsations(4種) | DS77→YAMAHA SY77 DS1→KORG M1 DSX→Ensoniq VFX DS90s→Roland D50 |
Digital Synsations Vol. 2(3種) | DK5S→KAWAI K5000 DS-890→Roland JD-800、JD-990 DZmo→Fizimo |
Emulation One(2種) | Emulation One、Drumulation One→E-mu Emulator |
Emulation II(2種) | Emulation II、Drumulation→E-mu Emulator II |
Darklight IIx(3種) | Page B、Page P、Page U→Fairlight CMI IIx |
The Beast(3種) | The Beast FM II、The Beast Terminal、The Beast Box→Synclavier Ⅱ |
UltraMini(2種) | Classic、XL→Mini Moog、Mini Moog Voyager |
その他 | Mello→Mellotron String Machines→Solina他11モデル PX Apollo→Poly Moog UVS-3200→KORG PS-3200 UVX80→AKAI AX80 UVX-10P→Roland JX-10P UVX-3P→Roland JX-3P BeatBox Anthology 2→リズムマシン100モデル以上 |
メリット2. 生楽器を必要としない曲であれば、Vintage Vault 2のみで完結可能
リズムマシンも豊富にあり、テクノ・エレクトロなどリアルな生楽器を必要としない楽曲であれば、全てのパートがVintage Vault 2だけで揃うので、作曲を完結させることができます。
メリット3. 質が高い
これは完全に個人的意見ですが、音が良いと感じることがとても多いです。
他のメーカーが出している名機ビンテージシンセサイザーをモデルとしたプラグインソフト音源もありますが、比べるとより質の高さが目立ちます。
さらにマニアックなモデルもエミュレートしており、シンセサイザーマニアも唸るラインナップでしょう。
メリット4. 内容量の割に安い
価格は定価599USD(約65,000円)。パッケージされたプラグインソフト音源集全てに言えることかもしれませんが、この内容量であれば安い値段だと思います。
実際に単品で全て買うと総額2,600ドル(約29万円)かかります。
Vintage Vault 2だけで、比較的リーズナブルにソフト音源が揃うのが良い点です。

3. Vintage Vault 2を利用する前に知っておきたい注意点・デメリット
しかしながら、扱う上で注意点もあるとわかりました。
具体的には、次のような点があります。
- ビンテージシンセ、リズマシンのみ収録なので、生楽器音源は入っていない!
- UVI WorkstationもしくはFalconで管理される
- 同時発音数が多くなれば重くなる
しっかり確認しておきましょう!
注意点1. ビンテージシンセ、リズマシンのみ収録なので、生楽器音源は入っていない!
Vintage Vault 2はビンテージシンセ、リズマシンのみが収録されていますので、Vintage Vault 2のみで全ての楽器音源を網羅することはできません。
全ての音源を網羅という意味では、Native Instrumentsの「Komplete」が一番と言えます。しかし、網羅しているのと質が高いのは別ということを覚えておきましょう。
また、当然、ドラムならドラムのみ、ベースならベースのみなど一つの音源に特化した単体プラグインを買ったほうが良い場合があります。
パッケージされたプラグインソフト音源集3つの主な収録音源は以下です。
-
- Arturia V Collection 7 定価499ユーロ(約61,000円)
鍵盤楽器(ピアノ、エレピ、オルガンなど)、ビンテージシンセ - UVI Vintage Vault 2 定価599ドル(約65,000円)
ビンテージシンセ、リズムマシン - Native Instruments Komplete 12 定価69,800円
ほぼ全ての音源を網羅。ただしシンセサイザーは独自のものがほとんどで、ビンテージシンセのエミュレートは少ない。
- Arturia V Collection 7 定価499ユーロ(約61,000円)

注意点2. UVI WorkstationもしくはUVI Falconで管理される
Vintage Vault 2は一つ一つプラグインとして表示されるわけではなく、UVI Workstation(無料)もしくはUVI Falconで管理されます。
UVI Workstationで、それぞれプリセットがバラバラに表示されるものとシンセサイザー起動後、画面でプリセットを変える仕様のものがありますので注意しましょう。
注意点3. 同時発音数が多くなれば重くなる
UVI Workstationの右下で同時発音数(Voices)、負荷(CPU)がわかります。基本的に、同時発音数が多くなればなるほど重くなる傾向にあります。
Mono(モノフォニック)だと基本軽いですが、Poly(ポリフォニック)で発音数が多い場合は負荷が大きくなりますので注意してください。
4. Vintage Vault 2の各ソフト音源をレビュー!
ここからは一つ一つソフト音源をレビューしていきたいと思います。
下記の順番で解説します。
- Cameo(3種)
- OB Legacy(6種)
- Vector Pro(3種)
- Vintage Legends(6種)
- WaveRunner(7種)
- Digital Synsations(4種)、Digital Synsations Vol. 2(3種)
- Emulation One(2種)、Emulation II(2種)
- Darklight IIx(3種)
- The Beast(3種)
- UltraMini(2種)
- Mello
- String Machines
- PX Apollo
- UVS-3200
- UVX80
- UVX-3P、UVX-10P
- BeatBox Anthology 2
(1)Cameo(3種)
Casio CZシリーズをモデルとした3種類の音源。
Cameo CMはスタンダードな音源、Cameo CXはデュアルレイヤー音源でアルペジエーターが多めです。Cameo CZはWavetable方式に波形を詰め込んだ新しい音源です。
Cameo CZのみUVI Workstationでプリセットがバラバラであり、Cameo CMとCameo CXは起動してからプリセットを選べます。
(2)OB Legacy(6種)
Oberheimのシンセサイザーをモデルとした音源。UV-1はOB-1、SEMをXP-12はXpander、Matrix-12をM-6kはMatrix-6、6R、Matrix-1000をUV-XXXはOB-X、OB-Xa、OB-SXをUVSR-2はMSR-2をSix-12はOB-12、OB6をモデルとしています。
こちらはSix-12のみUVI Workstationでプリセットがバラバラであり他は起動後にプリセットを選べます。全体的に分厚い音が特徴です。
(3)Vector Pro(3種)
ベクトルシンセシスという加算方式のシンセサイザーProphet VSをモデルにしたVector Pro VS、Vector Pro VX。
Vector Pro VSがスタンダードな音源で、Vector Pro VXがデュアルレイヤー音源です。
そしてもう一つVector Pro 22はYAMAHA SY 22がモデルの音源です。
YAMAHA SY 22はSequentialがYamahaに買収された後にProphet VSを基に作られたシンセサイザーです。
Vector Pro VXのみ起動後プリセットを選びます。
(4)Vintage Legends(6種)
CS-MはYAMAHA CS-80などCSシリーズ、SynthoxはElka Synthex、KromaはRhodes Chroma、FMX1はYAMAHA DX1、U1250はKurzweil K250、K1000、ENERGYはDK Synergyがモデルの音源です。
こちらは、Vintage Legendsの名前でまとめられていません。それぞれの名前でリストにありますのでご注意ください。
CS-M、Synthoxのみ起動後にプリセットを選びます。
(5)WaveRunner(7種)
ウェーブテーブル方式のシンセサイザーをモデルとした音源です。
WaveRunner 360はPPG 360 WaveComputer、WaveRunner OrangeはWaldorf MicroWave XT、WaveRunner 2.0はPPG WAVE 2、WaveRunner 2.3はPPG WAVE 2.3をモデルとしています。
WaveRunner X、WaveRunner Terminal D、WaveRunner Terminal Uのみ起動後にプリセットを選びます。
WaveRunner Terminal Dはドラム音源になります。
(6)Digital Synsations(4種)、Digital Synsations Vol. 2(3種)
90年代のデジタルシンセサイザーを網羅。
Digital SynsationsはDS77がYAMAHA SY77、DS1がKORG M1、DSXがEnsoniq VFX、DS90sがRoland D50をモデルとしています。
Digital Synsations Vol. 2はDK5SがKAWAI K5000、DS-890がRoland JD-800、JD-990、DZmoがFizimoをモデルとしています。
全てUVI Workstationにプリセットがバラバラにあります。
(7)Emulation One(2種)、Emulation II(2種)
それぞれE-mu Emulator、E-mu Emulator IIをモデルとした音源です。
Emulation Oneの中にドラムのみのDrumulation OneとEmulation Oneに分かれています。
しかし、Emulation II(2種)のEmulation IIとDrumulationは完全別物で表示されていますのでお気をつけください。
(8)Darklight IIx(3種)
Fairlight CMI IIxをモデルとした音源です。
Page B、Page P、Page Uに分かれておりPage PはUVI Workstationでバラバラのプリセットがある音源。
Page Bはドラムシーケンサー、Page Uは3トラックのシーケンサーで起動後にプリセットを選びます。
(9)The Beast(3種)
Synclavier Ⅱをモデルとした音源です。
The Beast FM II、The Beast Terminal、The Beast Boxに分かれておりThe Beast FM IIがスタンダードな音源です。
The Beast FM IIはFM音源の音であるのに対し、The Beast Terminalはサンプラーの音です。
The Beast Boxはリズムマシン音源です。
(10)UltraMini(2種)
Mini Moog、Mini Moog Voyagerをモデルとした音源です。
こちらはプリセットを起動後に選びますが、MonoもしくはPolyは起動前に選択します。実機ではできないPolyでめちゃくちゃ分厚いサウンドが可能です。
(11)Mello
Mellotronをモデルとした音源です。
こちらはプリセット数12の中から選びます。
機能面では、Arturia V Collection 7に入っているMellotronより劣ります。
(12)String Machines
EKO Stradivarius、Excelsior String Synthesizer、Solina String Ensemble、Crumar Performer、Elka Rhapsody、Yamaha、SS30、SK20、Hohner/Logan String Melody、PE2000 Korg Polyphonic、Ensemble Siel Orchestra、Roland VP330をモデルとしています。
こちらはプリセット別と起動後にプリセットを選ぶもの2つに分かれています。
String Machines 2が発売していますが、Vintage Vault 2に収録されているものはString Machinesのみです。
String Machines 2はなんと62のシンセをモデルとした音源です。
(13)PX Apollo
Poly Moogをモデルとした音源です。起動後プリセットを選びます。
(14)UVS-3200
KORG PS-3200をモデルとした音源です。KORG PS-3200はPoly Moogと似た仕様のシンセです。
220以上のプリセットがあります。起動後プリセットを選びます。
(15)UVX80
AKAI AX80をモデルとした音源です。
サンプラーで有名なAKAIが80年代に作ったシンセサイザーです。
起動後プリセットを選びます。
(16)UVX-3P、UVX-10P
それぞれRoland JX-3P、Roland JX-10Pをモデルとした音源です。
起動前にプリセットを選びます。
(17)BeatBox Anthology 2
リズムマシン100モデル以上を収録した音源です。
有名なモデルからかなりマイナーなものまで網羅しています。
Multi Outがプリセットにありこれはかなり便利です。
まとめ
UVIのVintage Vaultはこれでもかと言うほどマニアックなシンセサイザーやリズムマシンまで網羅しています。音のクオリティもかなり高くおすすめです。
質が高く、生楽器を必要としない曲であればVintage Vault 2のみで完結も可能だと思います。
特に80’s、90’sなどレトロなサウンドが欲しい方は購入して間違いないと思います。
この記事が参考になったのなら幸いです。
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