UVIの実機をモデルとしたシンセサイザー音源といえば「Vintage Vault」がありますが、別途で販売されている「Synth Anthology」もあります。
Synth Anthologyは値段も安くVintage Vaultの簡易版のように思いますが、実際は収録されているシンセも少し異なる音源になります。
この記事では、そんなSynth Anthology 3をレビュー、メリットや注意点・デメリットから使い方まで解説します。
是非参考にしてください。
ソフトシンセに関するまとめ記事はこちらをご覧ください。

1. UVI「Synth Anthology 3」とは?
Synth Anthology 3は、UVIが開発するシンセサイザーコレクション音源です。
名機ハードウェアシンセサイザーをたくさん収録しつつ、全ての音源を同じパラメータで操作可能な使い勝手の良い音源です。
Synth Anthology 2との主な違い、アップデート点は以下になります。
- 55モデルのハードシンセサウンドが新たに仲間入り
- 追加のハードウェアから生み出した542波形を装備
- ユーザーインターフェイスの更新
- EQを含むFXセクションの更新
- ChordとPhraseモードを含むアルペジエーターの更新
- 新ファクトリープリセットを1000+追加
Synth Anthology 3になり、サンプル数など内容量が倍近くまで増えており、デジタルからアナログまでかなり充実した仕様に進化しました。
UVI Workstation(無料)もしくはUVI「Falcon」内で起動する製品でVST、AU、AAXなど作曲ソフトDAWの拡張機能「プラグイン」として利用できますが、単体での起動(スタンドアローン)も可能です。


開発会社 | UVI |
操作画面 | ![]() |
製品名 | Synth Antology 3 |
モデル | Access Virus C / Akai AX80 / Alesis Andromeda / Alesis Fusion / ARP 2600ARP Chroma Polaris ARP Odyssey / ARP Quadra / Casio CZ-1 / Casio VZ-1 / Casio HZ-600 Casio VZ1 / Cavagnolo Exagone / Clavia NordLead / Clavia NordLead 3 / Crumar Spirit Dave Smith Prophet 6 / Davoli Davolisint / Dotcom Modular / Elka EK44 / Elka Synthex EML ElectroComp 101 / EML SynKey / EML Synthi AKS / Emu Emax / E-MU Emulator 2 Ensoniq ESQ-M / Ensoniq Fizmo / Ensoniq SQ80 / Ensoniq VFX / Fairlight CMI IIx Formanta Polivoks / JEN SX1000 / Kawai K3 / Kawai K4R / Kawai K5000 Kawai Synthesizer-100F / Korg 800DV / Korg DS8 / Korg DSS1 / Korg DW8000 Korg M3 / Korg Minilogue / Korg MS20 / Korg MS-50 / Korg M1 / Korg Polysix Korg Prologue / Korg PS3100 / Korg PS-3200 / Korg 01RW / Korg Triton / Korg Wavestation Korg X3R / Mellotron M400 / M-Liberation / M-Memory / M-Mini / M-Modular 3p M-One / M-Poly / M-Sonic Six / M-Source / M-Subsequent 37 / M-37 / NED Synclavier 2 Novation Basstation 2 / Novation Peak / Novation Nova / Novation Ultranova / Oberheim Matrix 6 Oberheim Matrix-12 / Oberheim OB6 / Oberheim OB-X / Oberheim SEM / Oberheim Xpander / OSC OSCar Powertran Transcendent 2000 / PPG 1020 / PPG Modular / PPG Wave 2.3 / RLD D-110 • RLD D-Fifty RLD Fantom-G6 / RLD JD800 / RLD J-6 / RLD J 60 / RLD JD-990 / RLD J 106 / RLD Jup 4 RLD Jup 8 / RLD JX8P / RLD SH-5 / RLD System-100 / RLD System-700 / RLD 3o3 / RLD VP330 RSF BlackBox / RSF Kobol / RSF Modular / SCI Prophet 5 / SCI Prophet VS / Seiko DS301 / Siel DK80 Sequential Circuits Six-trak / Studio Electronics ATC / Studio Electronics Boomstar 5089 / Studiologic Sledge / Teenage Engineering OP-1 Teenage Engineering OP-Z / Teenage Engineering PO-14 / Teenage Engineering PO-16 / Vermona Synthesizer / Vermona Tiracon 6V Waldorf MicrowaveXT / Waldorf Pulse / Waldorf Pulse 2 / Waldorf Q / Waldorf Wave / Waldorf Quantum Yamaha AN1X / Yamaha CS-80 / Yamaha CS20m / Yamaha DX7 / Yamaha DX100 / Yamaha FS1R Yamaha SY-2 / Yamaha SY77 / Yamaha SY22 / Yamaha V50 / Yusynth |
サンプル/プリセット | 30331サンプル/3554プリセット |
容量 | 14.47GB(FLACロスレス圧縮済、非圧縮WAVサイズは29.84GB) |
価格(定価) | 149ドル |
UVI製品は、サブスクリプション「SonicPass」で利用できるようになりました。UVIのサブスクリプションに関する詳しい記事は以下を参考にしてください。


2. UVI「Vintage Vault 4」との違い
UVIのビンテージシンセサイザーを網羅した音源と言えば「Vintage Vault 4」が挙げられます。

Vintage Vaultは一つ一つのシンセからインスパイアされた独立した操作画面を持つ複数の音源ですが、Synth Anthologyは一つの画面同じパラメータで操作する音源になります。
Vintage Vaultはリズムマシンなども収録されており、一つ一つ単体でも販売される充実したパッケージ音源です。
ただし、Synth AnthologyにはVintage Vaultに収録されていないシンセサイザーがいくつかあり、今でも手に入る近年のシンセNordLeadやProphet 6、MiniLogueなども収録されている点が特徴です。
ですので、
- Vintage Vaultはビンテージシンセコレクション
- Synth Anthologyはハードウェアシンセコレクション
とされています。

2. 導入するメリット
Synth Anthology 3を導入するメリットは主に以下のような点が考えられます。
- 安い
- 同じ操作画面で簡単に操作できる
安い
シンセサイザーを網羅した音源の中では、一二を争う安さで132ものハードウェアシンセの音が手に入ります。
他の音源では倍以上かかる場合もあるでしょう。
同じ操作画面で簡単に操作できる
これがVintage Vaultとの最大の違いであり、Synth Anthologyの魅力だと思います。
Vintage Vaultは一つ一つのシンセからインスパイアされた独立した操作画面を持っていますが、Synth Anthologyはモデルを超えて素早く操作できます。
パラメータが統一されているので、それぞれの使い方を知る必要がなく初心者の方でも簡単に操作できるでしょう。
4. 利用する前に知っておくべき注意点デメリット
しかしながら、利用する前に知っておくべき注意点・デメリットもあります。
- 他の製品が良い場合も…
- iLokアカウント(USBは無くてOK)+UVI Workstationで起動する
他の製品が良い場合も…
▼表は横にスクロールできます▼
メーカー | Arturia | UVI | UVI | IK Multimedia | IK Multimedia | Native Instruments |
製品名 | V Collection 9 | Vintage Vault 4 | Synth Anthology 3 | Syntronik 2 | Sampletank 4 | Komplete 14 |
価格 | 599ドル(約¥71,880) | 599ドル(約¥71,880) | 149ドル(約¥17,880) | CS:無料 SE:99.99ユーロ(約¥12,998) 通常版:199.99ユーロ(約¥25,998) MAX:299.99ユーロ(約¥38,998) | Custom Shop:無料 SE:149ユーロ(約¥19,370) 通常版:299.99ユーロ(約¥38,998) MAX:499.99ユーロ(約¥64,998) | SELECT:¥26,800 STANDARD:¥80,600 ULTIMATE:¥161,300 COLLECTOR’S EDITION:¥242,000 |
収録内容 | 鍵盤楽器(ピアノ/エレピ/オルガンなど)・ビンテージシンセ | ビンテージシンセ・リズムマシン | ビンテージ〜近年のシンセ | ビンテージシンセ | ほぼ全ての音源を網羅 | ほぼ全ての音源を網羅 |
個々の音源のパラメータ | 独立__________________________________ | 独立__________________________________ | 共通__________________________________ | 共通__________________________________ | 共通__________________________________ | 独立__________________________________ |
補足 | シンセサイザーは独自のものがほとんど | |||||
詳細 | 詳細記事 | 詳細記事 | 詳細記事 | 詳細記事 | 詳細記事 |
※価格は変動することがあります。
注意点として、Vintage Vaultなど他の音源も必ずチェックしておきましょう。
Synth Anthologyは安くて使い勝手が良い点が魅力ですが、同社のVintage VaultやArturia「V Collection」と比べると個々のパラメータはかなり劣ります。さらにVintage Vaultには、Synth Anthologyのリズムマシン版とも言える「Beatbox Anthology」も含まれており一つ一つのシンセサイザーが独立しているだけでなくリズムマシンも数多く収録されています。
個人的には実機をさわっている気分になれるパラメータがあるVintage VaultやV Collectionの方が好きです。このようにそれぞれ特徴が異なりますので、自分に合ったものを見つけてから購入することをおすすめします。
プラグインソフト音源集やビンテージシンセ収録音源は以下のようなものがあります。
- Arturia「V Collection 9」
鍵盤楽器(ピアノ、エレピ、オルガンなど)、ビンテージシンセ - UVI「Vintage Vault 4」
ビンテージシンセ、リズムマシン - UVI「Synth Anthology 3」
ビンテージシンセ〜近年のシンセ。一つのプラグイン共通パラメータでコントロールする音源。 - IK Multimedia「Syntronik 2」
ビンテージシンセ。一つのプラグイン共通パラメータでコントロールする音源。 - Native Instruments「Komplete 14」
ほぼ全ての音源を網羅。ただしシンセサイザーは独自のものがほとんどで、ビンテージシンセがモデルのものは少ない。 - IK Multimedia「SampleTank 4」
ほぼ全ての音源を網羅。一つのプラグイン共通パラメータでコントロールする音源。
- Arturia「V Collection 9」





iLokアカウント+UVI Workstationで起動する
Vintage Vaultと同じく、iLokアカウント(USBは持っていなくても大丈夫です)でのアクティベートが必要かつ、UVI Workstation(無料)もしくはUVI「Falcon」で起動する音源ですので、初心者の方は使えるようになるまでで戸惑う可能性があります。
下記のインストール・アクティベーション方法を参考にしてください。
5. 口コミ・評判を紹介
Synth Anthologyの口コミ・評判をまとめました。
評価は高く、初心者の方にはVintage VaultよりSynth Anthologyをすすめている方もいます。
UVIのSynth Anthology。いつか使えると思って買ったやつが今出番やでw
音いいし、非の打ち所がない!素晴らしいっす!
Synth Anthology 2 が40%オフみたいですが、シンセ詳しくない人は Vintage Valt 3買うより幸せになれるのでおすすめです。もはやVV3音探すのめんどくさ過ぎてSA2しか使ってない
引用:Twitter
6. Synth Anthology 3に関するセール情報
UVIはブラックフライデーのみならず頻繁にセールを行います。
Synth Anthology 3もセール対象になり、価格が11,000円まで下がる場合があります。
また、UVI製品は公式にログインしてアップグレードで購入可能になる場合があるので、チェックしておきましょう。
最新のセール情報は以下をご覧ください。



7. UVI製品のインストール・アクティベーション方法
UVIの製品のオーソライズはiLokアカウントが必要となります。(USBは無くても大丈夫です。)
iLokに関する詳しい記事は以下をご覧ください。

- UVIでアカウント作成
- UVI Portalをダウンロード・インストール・ログイン
- UVI PortalのRedeem Serialからシリアルナンバー・iLok User IDを入力
- UVI Portalで製品をインストール
- iLok License Managerでアクティベート
※Synth Anthology 3は無料のUVI Workstationもしくは有料のUVI Falconで起動する製品です。UVI Workstationもインストールする必要があります。
8. 使い方を解説!
ここからは実際に使い方を簡単に解説します。
Synth Anthology 3は公式の日本語マニュアルがありますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
OSC
MAINとSUBからなるオシレーターエリアです。
電源ボタン:それぞれのオシレーターは左上からオンオフ可能です。
VOL:それぞれ丸いノブからオシレーターの音量を調整できます。
PAN:オシレーターのステレオ位置を調整できます。
PD:サブオシレーターのフェイズディストーションモードを選択します。
AMT:フェイズディストーションの量を調整できます。
下部のパラメータは左端のMAIN、SUBで切り替えることができます。
AMP:ADSR(アタック、ディケイ、サスティン、リリース)を調整できます。
VELOCITY:ベロシティをオンオフできます。(オフの場合最大に固定)
VELOCITY→ATTACK:ベロシティがアタックに作用します。
FILTER:OFF、ローパス、バンドパス、ハイパスからフィルターを設定します。ADSRでフィルターエンベロープを調整できます。
CUT / RES:カットオフとレゾナンスを調整できます。
VEL:ベロシティの感度を調整できます。
DEPTH:フィルターエンベロープの深さをできます。
EDIT
それぞれのオシレーターのピッチやステレオなどを調整できます。
左上からMAIN、SUBのパラメータを切り替えます。
MONO:モノもしくはポリフォニックに設定します。
OCT / SEM:ピッチを調整できます。
DEPTH:ポルタメントの深さを調整できます。
TIME:ポルタメントの時間を調整できます。
BEND:ピッチベンドの範囲を調整できます。
OFF / ALT / UNI:ステレオモードを切り替えます。(オルタネイトパン、ユニゾン)
SPREAD:ステレオの広がりを調整できます。
DETUNE:ユニゾンに音程差を生み出します。
COLOR:隣接サンプルを利用して音色を変化させます。
Modwheel:モジュレーションホイールでVIBRATO、TREMOLO、FILTER、DRIVEをコントロールできます。それぞれRATE(速さ)やDEPTH(深さ)、AMOUNT(量)を調整できます。
※SUBの場合、DRIVEではなくPWM(パルスモジュレーション)
STEP
ステップシーケンサーを調整できます。
STEPS:ステップの数を調整できます。
SPEED:ステップの音価を調整できます。
DELAY:最初のステップのタイミングを調整できます。
RISE:モジュレーションの変化がスムーズになるタイミングを調整できます。
SMOOTH:ステップ間の変化をスムーズにする補完値を調整できます。
下部から対象となるパラメータを名前をクリックしてオンオフ、それぞれの量や深さをコントロールできます。
LFO
LFOは上部で波形とスピード(SPEED)を調整できます。クロックマークでDAWと同期し、3つのモード再トリガー(RETRIGGER)、再トリガーオフ(NO RETRIGGER)、レガート(LEGATO)から選択できます。
STEP同様に、下部から対象となるパラメータを名前をクリックしてオンオフ、それぞれの量や深さをコントロールできます。
FX
以下の7種類のエフェクトがあります。
- BIT CRUSHER(ビットクラッシャー)
- EQUALIZER(イコライザー)
- SPARKVERB(リバーブ)
- THORUS(コーラス)
- DRIVE(ドライブ)
- PHASOR(フェイザー)
- DELAY(ディレイ)
それぞれ名前をクリックしてオンオフできます。
ARP
MAIN、SUBそれぞれのアルペジエーターを調整できます。
UP、DOWN、UP/DOWN、CHORD、PHRASEの5種類から選択できます。
STEPS:ステップ数を調整できます。
SPEED:ステップの音価を調整できます。
OCTAVE:オクターブ単位でピッチ範囲を調整できます。
GATE:ステップの長さを調整できます。
ステップバー:各ステップのスライダーバーは、ベロシティを調整できます。
ステップピッチ:各ステップの下にある数字は半音単位でピッチを変化させます。
リンクマーク:各ステップの下にあるリンクマークでスラーに設定できます。
まとめ
Synth Anthology 3はVintage Vaultの簡易版のように思うかもしれませんが、他の製品ではあまり見ない近年のシンセサイザーも収録された使い勝手も良い音源です。
ただし、シンセサイザーを網羅した音源はたくさんありますので、他の製品も比べてみてあなたに合った一番良い製品をみつけることをおすすめします。
この記事が参考になれば幸いです。