現在では、月額制のサンプルサービスが数多く存在し、その中でも「Splice」「Loopcloud」「LANDR Samples」の3つは特に人気の高い選択肢として知られています。音楽制作において、サンプル素材のクオリティと選びやすさは、作品の完成度を大きく左右します。
これら3つのサービスをすべて実際に利用してきた立場から、今回は「LANDR Samples」にフォーカスし、どのような特徴があるのか、他サービスとの違いや、実際の使い勝手、コスト面のメリット・デメリットについて詳しくレビューしていきます。
LANDRはマスタリングや音楽配信などでも知られるプラットフォームですが、近年はサンプルライブラリにも力を入れており、価格の安さや統合サービスの充実度で注目を集めています。一方で、ユーザー体験の面ではやや気になる点もあるのが正直なところです。今まさにサンプルサービス選びに悩んでいる方や、SpliceやLoopcloudからの乗り換えを検討している方にとって、判断材料のひとつになるはずです。
この記事が参考になれば幸いです。
1. LANDR Samplesとは?

LANDR Samplesは、300万点以上のロイヤリティフリー音楽サンプルを提供する音楽制作支援サービスです。プロデューサーやアーティストが求めるサウンドをスピーディに見つけ出し、簡単に制作に取り入れることができる環境を提供しています。
- ロイヤリティフリー:商用利用可能。面倒な著作権処理は不要。
- 3,000,000点以上のサンプル:ワンショット、ループ、ブレイク、キック、パッドなど多種多様。
- AI支援の検索機能:好みのサウンドをよりスマートかつ迅速に発見可能。
- DAWと連携可能な専用プラグイン:ブラウズ → オーディション → ドラッグ&ドロップで即作業。
- 毎週のサンプルパック配布:アクティブユーザー向けに毎週新しい素材を提供。
- Chromaticとの統合:ループベースのインストゥルメント「Chromatic」での楽曲制作も可能。
2. LANDR Samplesのプラン一覧・比較

LANDR Samplesでは、音楽制作の目的に応じて選べる複数のサブスクリプションプランが用意されています。それぞれのプランは段階的に機能が拡張されており、上位プランになるほど、より多くのツールと特典を活用でき、プラグインやマスタリングなどサンプル以外の音楽制作を全方位的にサポートするツールを利用できます。
サンプルのみプラン「Samples Pro」
料金: ¥400/月(年払い¥4,800)、または ¥900/月(月払い)
このプランは、音楽制作に必要なサンプル素材をしっかり活用したいクリエイターに最適です。3,000,000点以上のロイヤリティフリーサンプルから、年間1,200クレジット分を自由に選んでダウンロードできます。サンプルのみを利用したい方はこちらのプランで良いでしょう。
- 年間1,200サンプルクレジット
- 専用プラグインでDAWと連携可能
- 毎週更新のサンプルパックプレゼント
- Chromatic(ループ楽器)への無制限アクセス
全方位プラン「LANDR Studio」
LANDR Studioは、Samples Proの全機能に加えて多数プラグインの使用、楽曲のマスタリングからストリーミング配信まで音楽制作を包括的に網羅するプランです。3つのプランがあり、全てにサンプル利用が含まれます。
Studio Essentials
料金: ¥625/月(年払い¥7,500)、または ¥1,600/月(月払い)
サンプル
- 年間1,200サンプルクレジット
- 専用プラグインでDAWと連携可能
- 毎週更新のサンプルパックプレゼント
- Chromaticプラグインへの無制限アクセス
マスタリング&配信
- MP3マスタリング無制限
- Spotifyを含む150以上の配信プラットフォームに楽曲リリース無制限
その他プラグイン
- LANDRおよびSynchro Artsのプラグイン(計¥67,000相当)
- その他パートナープラグインおよび講座(計¥67,000相当)
Studio Ultimate
料金: ¥800/月(年払い¥9,600)、または ¥2,200/月(月払い)
サンプル
- 年間1,800サンプルクレジット
- 専用プラグインでDAWと連携可能
- 毎週更新のサンプルパックプレゼント
- Chromaticプラグインへの無制限アクセス
マスタリング&配信
- MP3マスタリング無制限
- Spotifyを含む150以上の配信プラットフォームに楽曲リリース無制限
- 高音質WAVマスタリング:年間36曲
その他プラグイン
- LANDR Mastering Plugin Standardプラグイン
- LANDRおよびSynchro Artsのプラグイン(計¥100,500相当)
- その他パートナープラグインおよび講座(計¥201,000相当)
Studio Pro
料金: ¥1,680/月(年払い¥20,160)、または ¥2,700/月(月払い)
サンプル
- 年間2,400サンプルクレジット
- 専用プラグインでDAWと連携可能
- 毎週更新のサンプルパックプレゼント
- Chromaticプラグインへの無制限アクセス
マスタリング&配信
- MP3マスタリング無制限
- Spotifyを含む150以上の配信プラットフォームに楽曲リリース無制限
- 高音質WAV & HDWAVマスタリング無制限
その他プラグイン
- LANDR Mastering Plugin Proプラグイン
- LANDRおよびSynchro Artsのプラグイン(計¥167,500相当)
- その他パートナープラグインおよび講座(計¥201,000相当)
LANDR Studioは、ブラックフライデーなどでセールになる場合があります。セールに関する詳しい記事は以下を参考にしてください。
3. LANDR Samplesのメリット
LANDR Samplesを利用するメリットとして、以下のような点が挙げられます。
他のサンプルサービスと比べて安い

月額制のサンプルサービスとしては、SpliceやLoopcloudがよく知られていますが、定価ベースで見るとLANDRは業界最安水準のサービスです。
特にSpliceは、最も安いプランでも12.99ドルとやや高額です。しかもドル建てのため、円安の影響を受けてしまい、実質的に月額2,000円近くになることもあります。付与されるクレジット数はLANDRと同じく月100クレジット程度ですが、LANDRの「Samples Pro」年間プランなら、月額わずか400円。場合によっては、Spliceの1ヶ月分の価格でLANDRを5ヶ月使えることもあるほどです。
Loopcloudについては、定価ではLANDRより高めに設定されていますが、期間限定でセールが実施されることもあり、その場合は一時的にLANDRより安くなることもあります。ただし、注意すべきなのは、その価格がずっと続くわけではないという点。セール価格は初年度限定や数ヶ月のみの適用など、何らかの制限があることが多く、2年目以降は通常価格に戻ってしまうケースがほとんどです。
毎月の出費をできるだけ安定して抑えたい方にとっては、常に安価でシンプルな価格設定のLANDRは、非常に現実的で魅力的な選択肢といえるでしょう。
Studioプランで全てを完結できる

楽曲制作からマスタリング、リリースまでを行う場合、多くのクリエイターは複数のサービスにまたがって課金しているのが現状です。しかし、LANDRのStudioプランを活用すれば、それらの工程を1つのプラットフォームで完結させることができます。
特に、サンプルサービスと配信代行サービスは別々にサブスクリプション契約している人も多いですが、これらをLANDR Studioで統合すれば、出費をまとめて抑えられるというメリットがあります。さらに、マスタリング機能やプラグイン、オンライン講座など、付加価値の高い特典も含まれているのが魅力です。
たとえば、SpliceとTuneCore Japanを別々に契約しているような人がLANDR Studioに切り替えた場合、月々の料金が大きく下がるだけでなく、作業の手間やアカウント管理の煩雑さも軽減できます。
4. LANDR Samplesを利用する前に知っておくべき注意点
しかしながら、LANDR Samplesを利用する前に知っておくべき注意点もあります。
使い勝手
もちろん、LANDR Samplesにもデメリットは存在します。Splice・Loopcloud・LANDRすべてを使用した経験がありますが、LANDRは全体的に使い勝手の面でやや劣る印象があります。
具体的には、ページの読み込みがやや遅かったり、検索機能やジャンル選択の精度が他社よりも粗かったりと、細かな点で劣るなと感じることがありました。SpliceやLoopcloudと比べるとその点だけ注意が必要です。
とはいえ、LANDR Samplesはアカウント登録をしなくても、ブラウザ上でそのまま検索や試聴が可能です。まずは実際にページにアクセスしてみて、自分にとって使いやすいかどうかを確かめてみるのが良いでしょう。
同じように、SpliceやLoopcloudも登録前に試聴機能を提供しているため、3サービスを比較してみることをおすすめします。使い心地に問題がなければ、LANDRはコスト面で非常に大きなアドバンテージを持つサービスです。
LoopcloudやSpliceとの細かな比較は以下の記事を参考にしてください。
5. 使い方を簡単に解説!
ここからは実際にLANDR Samplesの使い方を解説します。
LANDR Samplesは、ブラウザでも利用できますが、DAWを使う場合は、LANDR Samplesプラグインを利用することが一番楽です。
LANDR Samplesプラグインをダウンロード・インストールし、DAWで開いてログインするとLANDR Samplesブラウザ同様の画面で操作し、ドラッグ&ドロップでDAWに直接サンプルを貼り付けることができます。

サンプルを探す前に、左上のBPMとキー設定を忘れないようにしましょう。行き交う矢印マークを選択することでDAWのBPMと同期し、キー設定が行えます。この設定をオンにすることで、デフォルトのサンプルから変更されます。もし、BPM及びピッチの変更を無効にしたい場合は、行き交う矢印マークを選択してオフにしましょう。
For you、Search、Collectionを選択してサンプルを探します。Searchでは、キーワードやLoopもしくはOne-shot、BPM、Keyなどをソートして検索することができますが、右端のOther filtersを選択することでさらに細かな楽器やジャンル分類を表示することができます。

それぞれ再生ボタンで再生し、フォルダマークで自分のコレクションフォルダに追加、ハートマークでお気に入り、下矢印でダウンロードできます。

点3つの詳細マークからは、以下の3つが選択できます。
- Find similar sounds:選択したサンプルと似ていサンプルを検索することができます。
- View pack:選択したサンプルが入っているサンプルパックを表示します。
- View partner:選択したサンプルの制作者を表示します。

お気に入りやダウンロード、コレクションに入れたサンプルは、右上の各マークから一覧で表示できます。

再生すると下部のプレイヤーで波形が表示されます。右端の十字矢印マークをドラッグ&ドロップすることでDAWに直接貼ることができます。

左端から再生のループ設定、右側のフェーダーマークを開くとピッチ、BPM(2倍、2/1ボタンあり)を調整できます。
サンプルの保存先

サンプルの保存先は、右上設定マーク→Settingsから変えることができます。容量が必要になるので、外部SSDなどに設定しておくことをおすすめします。
まとめ
LANDR Samplesは、シンプルでわかりやすい料金体系と、音楽制作に必要な機能をひとつにまとめた統合型のサービスとして、非常にコストパフォーマンスに優れた選択肢です。特に、年間プランを利用すれば月額400円から始められるという手軽さは、他のサンプルサブスクと比べても群を抜いています。
SpliceやLoopcloudと比べて、検索性やUIの洗練度ではまだ劣る部分もありますが、それを補って余りある価格面のメリットと、Studioプランでの「制作からマスタリング・配信までの一括完結」という強みがあります。
最終的には、どのサービスが自分に合っているかを判断するには、実際に使ってみるのが一番です。LANDR Samplesも、登録なしで視聴や検索が可能なので、まずは一度試してみることをおすすめします。
この記事が、あなたの制作環境を見直すきっかけになれば幸いです。
質問等ございましたらコメント欄からどうぞ!

