【1記事で網羅】最新セールまとめ

Pianoteq 9使い方!MODARTTのフィジカルモデリングピアノ音源

レコーディング方法からピアノの構造まで自由に調整できるフィジカルモデリングピアノ音源Pianoteq 9。

9になって、主に変わった点は

  • 響板モデルの改良(ステレオ感・空間表現の向上)
  • 最大8本のマイクを3D空間に配置できる新しいマイクパネル
  • Thunderペダル、Hammer Toneスライダー、リバーブのLow cutなどの追加
  • 新楽器Triple Harp、全グランドピアノの「Sombre」プリセット

などがあげられます。

この記事ではそれらを含めた使い方を画像なしでもわかるように解説します。公式の英語マニュアルはこちらをご覧ください。

インストゥルメントパックやバージョンの違いについては以下の記事を参考にしてください。

Pianoteq 9使い方やレビュー!Stage・Standard・Pro・Studioの違いも比較!MODARTTピアノ音源どれがおすすめ?
※インストゥルメントパックによってパラメータが異なる場合があります(電気ピアノやSyngularでは一部のパラメータが別のものに置き換わります)。

1. 画面構成と基本操作

Pianoteqの画面は大きく2つのセクションに分かれています。

Instrumentセクション(上部・楽器の絵の周り)
楽器の絵をクリックすると開くTuning/Voicing/Designの3つのパネル。ピアノの調律・ハンマー・響板といった「楽器そのもの」の物理パラメータを調整します。
Audio Engineeringセクション(下部)
左からVelocity(ベロシティカーブ)、中央にVolume/Dynamics/Condition/ペダル、Output(Mics & Mix)、右下にAction/Mallet Bounce/Equalizer/Note Effects/Effects/Reverb。録音や仕上げに関する部分です。

上部のプリセット関連ボタン

画面上部にはプリセットメニューと、以下のボタンが並んでいます。

  • プリセットメニュー:内蔵の楽器・プリセット、追加した楽器(ptqファイル)、保存したプリセット(fxpファイル)を選択します。左右の矢印で前後のプリセットに移動でき、矢印を右クリック(または長押し、Shift+クリック)すると前後の「楽器」に切り替わります。
  • Edit(本のアイコン)/Save:プリセットの編集と保存。保存時にプリセット名とバンク名(初期値はMy Presets)を入力します。
  • Copy/Paste:現在のパラメータの一部を選んでコピーし、別のプリセットに貼り付けます。
  • Freeze:楽器やプリセットを切り替えても変えたくないパラメータを選んで固定します。ある楽器の設定を別の楽器に「持ち運ぶ」のに便利です。
  • Random(サイコロ):Tuning/Voicing/Designのパラメータをランダムに変更します。Audio Engineeringセクションのパラメータは変わりません。右クリック(または長押し)で「少しだけ」ランダマイズできます。
  • Undo/Redo:最大100回まで取り消し・やり直しができます。右クリックで最後の変更内容が表示されます。
  • A/B:2つのプリセットA/Bを切り替えて比較できます。右クリック(または長押し)でAとBの違いの一覧が表示されます。
覚えておくと便利な操作
・スライダーを右クリック→MIDI ► Assign MIDI Controlを選んでMIDIコントローラーのノブやペダルを動かすと、そのパラメータにMIDIコントローラーが割り当てられます
・Shiftを押しながらスライダーやカーブの点を動かすと微調整できます
・Alt+クリック(またはAlt+Enter)でスライダーを初期値に戻せます
・fxp/ptq/MIDIファイルは画面にドラッグ&ドロップで読み込めます

「楽器」と「プリセット」の違いは、画面上のパラメータだけを変えたものが同じ楽器の別プリセットで、例えば「NY Steinway D Prelude」と「NY Steinway D Classical」はマイク位置が違うだけの同じ楽器、「NY Steinway D」と「K2」は別の楽器です。

2. Morphing / Layer

※モーフィング機能でハープシコードが最終的にはSteinwayのピアノに変化する動画です。

Standard以上で使える

  • 複数の楽器をモデリングレベルで変化させる「Morphing」
  • 複数の楽器を重ねる、鍵盤に振り分ける「Layer」

は、右上のMorph / Layersボタンから設定できます。

MorphingとLayerの違いは、Layerは複数の楽器の音を指定した比率でミックスする(Pianoteqを複数立ち上げて重ねるのと同じ)のに対し、Morphingは楽器の物理パラメータそのものを中間の値にした「1つの新しい楽器」を作る点です。例えばVibraDrum、CimbaHarp、GlockenTinesのような実在しない楽器を作れます。

MorphingもしくはLayersを選択し、「please select a preset」からプリセットを選択します。選んだ楽器(レシピの「材料」)がリストに並び、それぞれの比率が左の列に表示されます。Randomボタンで自動的に選ばせることもできます。

  • 左端のMorphingスライダー:レシピ全体のモーフィング量をコントロールします。右クリックでMIDIコントローラーに割り当てれば、DAWのオートメーションでモーフィング量を動かすこともできます。Stopボタンで自動適用を止めます。
  • M/S:各楽器を個別にミュート/ソロで聴けます。
  • Edit:各楽器の画面に切り替わり、通常のパラメータ通り個々に音作りできます。ドロップダウンからRename、Save、Save asも可能です。選択した楽器はゴミ箱マークから削除できます。
  • Add another 〜:新しい楽器を追加します。
  • Clear:全ての設定をクリアします。
  • Random:モーフィング、レイヤーをランダムに設定します。楽器の数は自分で追加した数で固定されます。
  • Freeze:モーフィングで変化させたくないパラメータを選択してフリーズさせます。エフェクト、リミッター、ペダル割り当て、Output設定(マイク構成)は物理パラメータではないため初期状態でフリーズされています。
  • Flatten:すべての楽器を1つの独立した楽器に統合します。
  • Smooth x2:モーフィング動作中に発生する可能性のあるグリッチを回避しますが、CPU使用量が増加します。
メモ
Layerでそれぞれの楽器を鍵盤によって分離したい場合は、Layerした後に「Note Edit」でノートごとにボリュームを調整することでできます。例えば低音部をハープ、高音部をビブラフォンにしたい場合は、ハープの高音域とビブラフォンの低音域のボリュームをNote Editで0にし、中音域でクロスフェードさせます。レイヤーではVolumeとAttack Envelopeの2つをノートごとに編集できるので、片方の楽器のアタックだけを弱めて、もう片方のアタックを強調するといった使い方もできます。

3. Tuning

Tuningパネルでは、ピアノ調律師が行う調律の作業をすべてPianoteq上で行えます。楽器の絵をクリックして開くパネルの左側がTuningです。

  • Diapason:基準となるA(中央のCの上のA)の周波数です。標準の440Hzから、ドロップダウンメニューで他の値に変更できます。
  • Temperament:音階の調律法(音律)です。標準のEqual temperament(平均律)のほか、Pythagore(純正5度ベース、6世紀)、Zarlino(純正3度と5度ベース、1558年頃)、Meantone/Well temperament/Werckmeister III(バロック音楽で使われた不等分律)、Flat(オクターブ比を厳密に2にする、シンセと合わせる場合など)から選べます。

DiapasonとTemperamentは、それぞれメニューで「Detune notes」を選択すると、Note Edit – Detuneパネルが開き、ノートごとにデチューンすることができます。

Pianoteqの調律の特徴は、あらかじめ計算された周波数表に従うのではなく、実際の調律師と同じように弦の不調和性(インハーモニシティ)を考慮して調律する点で(Flat以外)、和音の響きがより豊かになります。

Unison tuning

ピアノのハンマーで叩かれる3本の弦は、全く同じ周波数で調律されているわけではありません。音の音色や色を変えるために、熟練したピアノ調律師は、この3本の弦の間に小さな調律の違いを導入します。

  • Unison width:3つの弦が生み出す最低周波数と最高周波数の差を調整します。
  • Unison balance:3弦の中間の周波数を、最低音側(-1)〜最高音側(+1)まで調整できます。0が工場出荷時の設定値です。

Octave stretching

ピアノではオクターブを少しストレッチ(広げて)調律するのが普通ですが、その量は好みの問題です。Advanced TuningパネルのStretchメニューで調整でき、主に高音域で効果が現れます。パラメータを1に設定すると、弦の自然な不調和性に沿ってわずかにストレッチされます。ストレッチを全くしたくない場合は、Temperamentを「Flat」にします。

「Transfer the stretching into Detune note-edit」を使うと、不調和性によるデチューン量をDetuneパラメータに転送し、Note Edit – Detuneパネルでセント単位の値として確認できます。

Direct sound duration

Unison widthを変更すると、物理的な結果として直接音の持続時間自体が変わります(ハンマーを変えた時にも起こります)。このパラメータを使って、その持続時間を独立して変更することができます。ピアノの音は最初に速く減衰する「直接音」と、その後ゆっくり減衰する「残留音」からなり、ここで調整するのは前者です。

Advanced Tuning

調律があらかじめ計算された周波数表に従うのではなく、自分で調律することもできます。+ボタンから開くAdvanced Tuningパネルでは、TemperamentメニューとKeyboard Mappingメニューから自作のScalaファイルやキーボードマッピングを読み込むことができます。

楽器をリチューニングする際には、「String tension(弦の張力)」を変更するか、「Full rebuild(フルリビルド)」するか選べます。弦の張力を変えると楽器の音色に影響を与え(張力が下がると不調和性が大きくなる)、フルリビルドでは同じピッチで同じ音色になるようにすべての弦を再調整します。

StretchメニューではHarmonic stretchingのチェックで、不調和性を考慮した自然なストレッチ(調律師が耳で行う方法)か、倍音を基音の整数倍とみなすハーモニックなストレッチかを選べます。値を1より大きくすると音域が広がり、小さくすると縮まります。

1オクターブに多くの音を持つ音律について:MIDIは1チャンネルあたり128音しか扱えないため、31-EDOや53-EDOのような音律は通常の鍵盤では収まりません。Advanced TuningのKeyboard Mappingメニューで「extended layout for up to 16*128 notes」を有効にすると、16のMIDIチャンネルを使って最大2,048音まで拡張でき、メインチャンネルの次のチャンネルは1オクターブ上、その次は2オクターブ上…として演奏できます。

4. Voicing

ピアノの弦は、フェルトで覆われたハンマーで叩かれます。調律師の「整音(ボイシング)」はハンマーフェルトを加工して、好みの形、硬さ、弾力性に調整する作業で、Pianoteqでも同じことができます。ボイシングパネルには以下のコントロールがあります。

  • Hammer hardness:ハンマーの硬さを全体で、または3つの異なるベロシティごとに調整できます。Piano(MIDIベロシティ約41)、Mezzo forte(約70)、Forte(約98)に対応し、フェルトが硬いほど明るい音になります。強く弾くほど硬くするのが自然ですが、あえて逆にして特殊な効果を作ることもできます。
  • Spectrum profile:最初の8つの倍音の強さを個別に調整する小さなスライダーです。1番目のバー(基音)を上げると全体の基音成分が強くなります。ピアノのブランドによって7〜9番目の倍音は他より弱くなるのが普通で、これはメーカーが決めたハンマーの打点に関係しています。
  • Hammer noise:ハンマーの打撃音のウェイトを調整します。大きくするとピアノのすぐそばに立っているように感じられます。
  • Hammer tone(バージョン9で追加):アタック音を暗くしたり明るくしたりするスライダーです。ハンマーの低い「木の衝撃音」を強調するか、高い「弦との接触音」を強調するかを調整します。
  • Soft pedal:ソフトペダル(ウナコルダ)の滑らかさをコントロールできます。実際のウナコルダは3本の弦を叩かなくなるのではなく、フェルトの柔らかい部分で叩くようになります。
電気ピアノ・クラビネットの場合:Hammer hardness、Spectrum profile、Hammer noiseは同じですが、加えてPickup symmetry(ピックアップを音源の真正面に近づけるほど1オクターブ上の成分が増え、幅広い音色になる)とPickup distance(近づけるほど歪み、強弱による音色変化が大きくなる)があります。クラビネットではA-C(下ピックアップ)/B-C(上ピックアップ)/A-D(両方)/B-D(両方・逆相)の4つのピックアップ設定と、Bright/Treble/Medium/Softのレジスタースイッチが使えます。Syngularではハンマー関連の代わりにVibratoとTremoloのRate/Depthがここに表示されます。

5. Design

このパネルでは、弦の長さや響板(サウンドボード:弦の振動を空気に伝える木の板)の特性など、ピアノのデザインパラメータをコントロールすることができます。

Soundboard

実際のピアノでは響板の機械的インピーダンス(弦の振動に対して響板がどれだけ抵抗するか)を変えることはできませんが、Pianoteqでは2Dのコントロールポイントとスロープを動かすだけで調整できます。

  • Impedance:インピーダンスが大きいほど音が長くなります。
  • Cutoff:この周波数を高く設定すると、高い倍音が多くなります。
  • Slope(旧Q Factor):このファクターが大きいほど、高い倍音が早く減衰します。

String Length

弦の長さを最大10メートルまで選べます。ピアノの音を特徴づける「不調和性(インハーモニシティ)」は弦が短いほど大きく、倍音の周波数が理論値からずれてベルのような音になります。弦を長くするほど不調和性は減り、10メートルではほぼゼロになります。違いは低音域で最もはっきりします。

Strike point

弦(打楽器ではバー)をハンマーやマレットで叩く位置を調整することができます。右クリックして「Humanize」を選択することで、人間が演奏しているかのように打点をランダムに変化させることもでき、平均打点の両側でどれだけ変化させるかを設定できます。特にクロマチックパーカッションに向いています。

Sympathetic resonance / Duplex scale

  • Sympathetic resonance:弦の共鳴のウェイトをコントロールします。共鳴はダンパーの位置(=サステインペダルの状態)に依存します。いくつかの鍵盤を音が出ないようにゆっくり押さえたまま、他の音をスタッカートで弾くと、押さえた音に共鳴が生まれるのが聴き取れます。
  • Duplex scale:チューニングピンとフレームの間、駒とフレームの間のダンパーで止められていない弦の部分から発せられる共鳴のウェイトをコントロールします。1872年にSteinwayが特許を取った仕組みで、音の倍音成分を豊かにします。
メモ
ブリュートナーのピアノは共鳴目的の4弦目(アリコート弦)を張っています。そのため、Blüthner Model 1ではDuplex scaleが4弦目の共鳴をコントロールする「Aliquot Strings」というパラメータになります。

Blooming

スティールドラム用に設計されたパラメータですが、他の楽器でも使用できます。薄い鋼板の非線形な応答によって、アタック中に低い倍音から高い倍音へエネルギーが移動し「ボイーン」という音になる効果です。

  • Energy:低倍音から高倍音に伝達される機械的エネルギーの量を制御します。
  • Inertia:このエネルギーの転送速度を制御します。大きいほど転送に時間がかかります。
電気ピアノの場合:Vintage Tines MKI/MKIIでは、ハンマーで叩かれた時のタインのノイズ「Tine noise hammer」と、ダンパーが当たった時の「Tine noise damper」を別々に調整できます。ImpedanceとSympathetic resonanceはアコースティックと同じで、Bloomingも使えます(MKI Blooming Gritプリセットなど)。Syngularでは響板パラメータの代わりにシンセでおなじみのAttack/Decay/Releaseと、弦の長さに相当するHarmonicity(下げるとベルのような音に)が表示されます。

プラグマークからは外部オーディオ入力の設定が可能です。

  • Dry / Wet:外部入力のDry/Wet量を調整できます。
  • Wood / Strings:外部オーディオ信号が、楽器のキャビネットと弦のどちらを刺激するかを選択します。

6. Velocity

Audio Engineeringセクションの左側にはベロシティコントロールカーブがあり、クリックしてコントロールポイントの追加、ダブルクリックで削除でき、ドラッグしてカーブを修正することができます。

上部のメニューから

  • ベロシティ(Velocity)
  • ノートオフ(Note-off)
  • ペダル(Pedal)
  • アフタータッチ(Aftertouch)

のカーブを個別に調整することができます。グラフを右クリックすると、ベロシティプリセットの選択・管理メニューが開きます。

  • Calibration:便利な機能で、キャリブレーションボタンを押してキーボードキャリブレーションアシスタントの指示に従いMIDIキーボードを弾くと、使っているキーボードとペダル、自分の演奏スタイルにあったベロシティカーブを形成します。少なくとも一度は実行することが推奨されています。
  • Reset:表示中のベロシティカーブを初期カーブに戻します。
  • G:グローバルベロシティカーブのオン/オフです。オンにすると、プリセットを変更しても作成したベロシティカーブが優先されます。
  • Velocity Offset:キャリブレーション後に、強弱記号の表示をドラッグしてフォルティッシモ側やピアノ側のダイナミクスをさらに強調できます。PROでは1音ごとに設定でき、左手と右手のバランス調整などに使えます。

キーボードにアフタータッチがなくても、画面上の鍵盤をクリックしたまま上下にドラッグすればアフタータッチを試せます。

Sustained notes damping(マレット楽器向け):ビブラフォンなどの奏者がサステインペダルを踏んだまま特定の音だけマレットで止める奏法を再現します。「Low-velocity note-on」(弱いベロシティで弾いた音を止める)または「Aftertouch」(アフタータッチの値に応じて止める)を選べ、どの楽器でも使えます。

7. Output(Volume・Dynamics・Condition・ペダル・Mics & Mix)

Audio Engineeringセクションの中央には、音量やダイナミクス、ピアノの状態、ペダル、そしてマイク設定への入り口があります。

メーター / Volume / Dynamics / Condition

  • メーター:クリックするだけでON/OFFできるリミッター(L)付きのボリュームVUメーターです。リミッターは大きすぎる振幅を抑えてクリップノイズを防ぎます(クリップするとメーター右のLEDが点灯します)。
  • Volume:音のボリューム。スライダーをダブルクリックすることで、ノートごとに調整することができます。
  • Dynamics:ピアニッシモとフォルティッシモの間のラウドネスレベルをコントロールします。1音ごとに適用されるため、アタックやディケイを変えずに歪みなくダイナミクスを調整できる「理想的なコンプレッサー」のように使えます。こちらもダブルクリックしてノートごとに調整できます。
  • Condition:ピアノの状態を、調律したての新品から完全にくたびれた状態まで調整できます。右にいくほど不安定な音になります。右クリックして「Random seed」を変えると、何千通りもの「壊れた楽器」のバリエーションを楽しめます。

ペダル

4つのペダルにはそれぞれ12種類のペダルモードを割り当てられます。ペダルを右クリックすることで各ペダルの設定を変更できます。

Sustain:ダンパーを上げて鍵盤を離しても弦を響かせます。連続的に動作するため「ハーフペダル」も可能です
Soft(ウナコルダ):ハンマーの当たり方を変えて音色を柔らかくします
Harmonic:サステインペダルの共鳴効果を保ったままスタッカートで弾けます
Sostenuto:ペダルを踏んだ時点で押さえていた音だけを伸ばします。「Ignore the sustain pedal」でサステインで上がったダンパーを捕まえないようにできます
Super Sostenuto:ソステヌートで保持した音を、実際のピアノでは不可能なスタッカートで弾き直せます
Rattle(バスーンペダル):羊皮紙が弦に触れてファゴットのようなビリビリした音になる、歴史的ピアノ(KremseggのBesendorferなど)にあったペダル
Buff Stop:革やフェルトを張った木の棒を弦に押し当てて音を柔らかく短くします。ハープシコードではレジスターボタン(L8’、U8’、4’)を右クリックしてどのレジスターに効かせるかを選べます
Celeste(モデレーター):ハンマーと弦の間にフェルトを挟んで柔らかい音にします。右クリックでフェルトの厚さを調整でき、「Reverse the celeste pedal」でペダルを踏まなくても有効にできます
Pinch Harmonic:弾いた瞬間に弦の特定の位置に触れてハーモニクス(ハープのフラジオレット)を出します
Glissando:ハープやギターのグリッサンドのように滑らかなアタックにします
Mozart Rail:鍵盤の深さとハンマーと弦の距離を減らして、より柔らかく弾けるようにします
Thunder(バージョン9で追加):人間離れした強さで鍵盤を叩く、轟くようなフォルティッシモのためのペダルです

Mics & Mix(マイクの配置とミキシング)

Pianoteqは響板とその放射の物理モデルによって楽器から発生する音場をシミュレートしているため、ピアノの周りのどこにでも、響板の真上にでも、ピアノの下にでもマイクを設置することができます。マイクを置いた位置の音圧と音圧勾配が計算されるので、無指向性マイクも指向性マイクも再現できます。

Mics & Mixボタンをクリックするとマイクウィンドウが開きます(マイクエリアにカーソルを合わせてドラッグすると別ウィンドウとして切り離せます)。マイクを楽器の周りの任意の場所にドラッグして、その方向を選択することができ、バージョン9では最大8本のマイクを3D空間に配置できます。

  • マイクの種類:無指向性・カーディオイド・8の字など、U87(omni/cardio/fig8)、DPA 4006/4007/4011/4041、C414(omni/cardio/fig8)、CMC6 MK2/MK4、SF-12/24、R84といった有名ブランドのモデルに加え、モデルの音場をそのまま歪みなく捉える「perfect-omni」「perfect-fig8」の2つの理想マイクから選べます。
  • Proximity effect compensation(近接効果補正):チェックされている場合、マイクが響板に近い時の低音の増加を自動的に補正します。
  • Link to:複数のマイクを簡単に移動させるには、マイクメニューの「Link to」を使うか、リンクさせたいマイクの間をダブルクリックします。リンクしたマイクはまとめて移動・回転・間隔の調整ができます。
  • Mic Presets:マイクエリアを右クリックするかMic Presetsメニューから、マイク設定を保存・読み込みできます。
  • ふたの開閉(Lid position):ふたの上端にカーソルを合わせてドラッグすると開閉できます。放射モデルの一部なので、マイクが拾う音に直接影響します。
代表的なマイクテクニック
・AB:無指向性マイク2本を約50cm離して配置(左右を逆にしたものはPianoteqではBAと表記)
・XY:カーディオイド2本をできるだけ近づけ、90〜135度の角度で向かい合わせる
・ORTF:カーディオイド2本を約17cm(人間の耳の間隔)離し、110度で配置
・MS:無指向性(M)と8の字(S)をできるだけ近づけて90度で配置し、L=M+S、R=M-Sで出力

Mixer / Compensation / Stereo width / Sound speed

  • Mix(ミキサー):最大8本のマイクを最大8つの出力(Bus)にミックスできます。マイクと出力の組み合わせごとに、Mute/Solo、Volume、Pan、左右のDelay、極性(LまたはRをクリック)を調整できます。「Mixed Output」のタイトルをクリックすると出力を追加・削除できます。
  • Compensation:Level compensationとDelay compensationをオンにすると、マイクと出力を結ぶ各ラインのレベルとディレイをそれぞれ補正します。オフにするとマイクの生の音になり、ピアノから離れるほど音量が下がりディレイが増えます。
  • Stereo Width:楽器のステレオイメージを狭くしたり、広くしたりすることができます。
  • Sound Speed:音波が空気中を進む速度(時間単位)を変更します。開発時に使われていたパラメータがそのまま公開されているものです。

Binaural(バイノーラルモード)

マイクリストからVirtual headを選ぶと、ピアノの周りにリスナー(ダミーヘッド)の位置を設定できます。ダミーヘッドを物理的にモデリングしており、頭部を任意の方向に回転させることができ、サイズを大きくすることもできます。ヘッドフォンでのリアルさを高めるモードです。

マイクの位置は音に劇的な影響を与え、低域から高域までバランスの良い位置もあれば、強く色付けされた位置や特定の周波数がほとんど消える位置(波の節)もあります。どの位置でも完全にフラットにはならず、録音にはいつも色付けがあるので、いろいろな位置を試してみてください。

8. ACTION / MALLET BOUNCE / EQUALIZER / NOTE EFFECTS / EFFECTS / REVERB

ここからは右下のパネルで設定できるパラメータを解説します。パネル下のボタンは、選択したエフェクトとリバーブのオン/オフのショートカットになっています。

ACTION

ここでは、ピアノのアクション(機構)のいくつかの部分を調整することができます。

  • Damper Position:ノートがリリースされると、ダンパーが弦に戻り各倍音はダンパーの位置に応じて急速に減衰します。ハーフペダルを使った時の低音や、キーリリースベロシティを送るキーボードで特に効果がわかります。
  • Damping Duration:ダンパーの効率を調整します。
  • Last Damper:この値より大きいMIDIノート番号を持つすべての鍵盤にはダンパーがありません(実際のピアノの高音域と同じ)。
  • Mute:ダンパーを弦に押し付けミュートする量を調整します。
  • Key Release Noise:キーを離した時の音を調整します。
  • Sustain Pedal Noise:全てのダンパーが一斉に上がった時や、下がった時の「シュッ」という音を調整します。

MALLET BOUNCE

マレットがバーまたは弦(ツィンバロムなど)の上で跳ね返る様子を調整することができます(オンオフ可能)。クロマチックパーカッションで特に効果的です。

  • Initial Delay:最初のバウンドのディレイを調整します。
  • Vel. Sensitivity:感度が高いほど、強く弾いた時の最初のバウンドが長くなります(マレットを落とす高さが高くなるイメージ)。
  • Delay Loss:1回のバウンスから次のバウンスまでのディレイロスの量を調整します。
  • Velocity Loss:1回のバウンスから次のバウンスまでのベロシティロス量を調整します。
  • Humanization:これらすべてのパラメータのランダム変動を調整します。
  • Attack Env.:バウンスしたノートのみに適用するアタックエンベロープです。最初の音のアタックエンベロープはNOTE EFFECTSから調整できます。

EQUALIZER

初期状態(Main)のこのEQUALIZERは、後述のEQエフェクトと違い音を計算する前にモデルを変更する「前処理」として働きます。そのため自動的に音量補正がかかり、例えば中域を上げても中音域の鍵盤だけが急に大きくなることはなく、鍵盤全体の自然なバランスが保たれます。また通常の3バンドEQと違って非常に細かいカーブが作れます。クリックでコントロールポイントの追加、ダブルクリックで削除、ドラッグでカーブを修正します。

Res EqとRes Durでは、それぞれ共鳴音のEQと、共鳴音の持続時間を調整できます。

NOTE EFFECTS

モデルに直接作用する、1音ごとのエフェクトを調整するパネルです。

  • Vibrato:周波数のモジュレーションです。Depthはセント単位の深さ、Offsetは周波数変化がプラス寄りかマイナス寄りかを決めます。
  • Tremolo:音量のモジュレーションです。DepthはdB単位で、Relative PhaseでVibratoと組み合わせた時の同期の仕方を決めます。
  • Rate/Onset Duration/Shape/Phase:左側で変化の速さ、効果が現れるまでの時間、波形、位相を設定します。
  • Attack Envelope:アタックエンベロープを調整します。
  • Mono:一度に1音だけ鳴らすモノフォニックモードです。オンにすると、スラーで弾いた音のアタックを抑えるLegatoと、指定したレートで音程を滑らかにつなぐPortamentoが使えます。

EFFECTS

3つのエフェクトをチェーンでき、それぞれ切り替え可能です。エフェクトはTremolo、Wah、Chorus、Flanger、Phaser、Fuzz、Delay、Amp、Comp、EQから選択でき、Gainはすべてのエフェクトの後にかかります(メイン画面のVolumeと同じ働き)。

Delay(ディレイタイム、ms)、Depth(dB)、Feedback(%)、Mix、Monoスイッチ、Rate(LFOの周波数)、Stereo(左右のLFOの位相差)、Sync(テンポ同期)、Toneといったパラメータが複数のエフェクトで共通しています。

  • Tremolo:Shapeカーブをマウスで縦横にドラッグしてLFOの形を変えられます。
  • Wah:Wahスライダー自体がワウの直接コントロールで、右クリック→MIDIでコントローラーに割り当てられます。Auto-Wahモードでは音量でワウが動き、Sensitivity(左端でオフ、右に行くほど小さい音量でも反応)とDepth(周波数シフトの上限)を調整します。
  • Phaser:Phasingスライダーが直接コントロールで、Intensityで周波数スイープの幅(0〜100%)を決めます。
  • Amp:アンプシミュレーターで、Mix、Drive(歪み量)、Bass/Midrange/Trebleを備えます。
  • Comp:Ratio、Attack、Release、Threshold、Gainを持つ標準的なコンプレッサーです。
  • EQ:5バンドのパラメトリックEQです。コントロールポイントをドラッグして周波数とゲイン、Shiftを押しながらドラッグでQを変更、番号クリックで各バンドのオン/オフ、右クリックでフィルタータイプ(ローパス、バンドパスなど)を変更できます。

REVERB

コンボリューションリバーブで、スタジオからCathedralやTaj Mahalのような非常に長い残響、Plate、Spring、Speakers、Broceliandeなど様々なタイプを収録しています。StandardとPROではリバーブメニューの「Load WAV impulse…」から自分のIRファイルを読み込めます。

  • Mix:直接音に対する残響音の相対レベル(dB)
  • Duration:残響の長さ
  • Room size:5〜50m
  • Pre-delay:直接音から残響が始まるまでの時間
  • Tone:反射音のみに効くティルトEQ(左で暗く、右で明るく)
  • Tail / Early reflections:初期反射と残響テールの相対レベル(dB)
  • Low cut(バージョン9で追加):ウェット信号にかけるハイパスフィルターのカットオフ周波数。明瞭さを高めるのに使えます

9. Note Edit

右上「Note Edit」からノート毎にパラメータを細かく設定することができます。Standardではチューニング(Detune)とボリュームなど一部、PROではUnison width、Hammer hardness、Strike point、String length、Spectrum profile、Soundboard impedance、Damper positionなど全ての物理パラメータをノートごとに調整できます。

Note Edit可能なパラメータはそれぞれをダブルクリックすることでNote Editを開くこともできます。ウィンドウは画面上の好きな場所にドラッグでき、複数開いて同時に別々のパラメータ(例えばUnison widthとDirect sound duration)を編集することもできます。

個々のノートを上下して設定できますが、グラフ下のコントロールレールをダブルクリックして選択した「Control Note」のハンドルをドラッグすることで、カーブ全体を滑らかに描いて調整できます。Control Noteは全パラメータで共有されます(Spectrum profileは例外)。Shiftを押しながら点を動かすと微調整できます。

  • Random/Smooth/Rescale:カーブの形をランダム化、平滑化、拡大縮小するツールです。ボタンの周りでマウスをドラッグすると効果の度合いを変えられます。
  • Reset:全パラメータをプリセット(fxpファイル)に保存されている値に戻します。

まとめ

Pianoteqはピアノ構造から調整できるパラメータがたくさんあり、サンプリング音源では不可能な設定ができます。バージョン9ではマイクの配置がさらに自由になり、Hammer ToneやThunderペダル、リバーブのLow cutなど細かな調整項目も増えました。

理想のピアノ音源を作成できますが、初心者の方向けではない部分も多々あるので、この記事を参考により理解を深めることができれば幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です