- 鍵盤楽器をまとめてほしい!
- Keyscapeって実際どんな音が入っているの?
- 鍵盤楽器はKeyscapeだけ買っておけばOK?
このように思っている方も多いのではないでしょうか。
Keyscapeはベース音源Trilianやシンセサイザー音源Omnisphereなど数々の高クオリティ製品を開発するSpectrasonicsからリリースされている鍵盤楽器を網羅した音源です。
この記事では、Keyscapeを実際に使ってレビュー、メリットやデメリット、注意点からインストール・アクティベーション方法も解説します。また、収録されている36もの鍵盤楽器を一つ一つ紹介していきます。
是非参考にしてください。
ピアノ音源のまとめ記事はこちらをご覧ください。

目次
1. Spectrasonics「Keyscape」とは?
ベース音源Trilianやシンセサイザー音源Omnisphereなどを開発するSpectrasonicsの鍵盤楽器を網羅したソフトウェア音源です。
ピアノやエレクトリックピアノ、トイピアノ、クラビネットなど全部で36ものモデルが存在し、それらのうちから2つを組み合わせたDUO仕様のプリセットもあります。
作曲ソフトDAWの拡張機能VST、AU(Audio Unit)、AAXプラグインとして利用できます。
開発会社 | Spectrasonics |
操作画面 | ![]() |
種類 | Acoustic Pianos : LA Custom C7 / Wing Upright Piano / Wing Tack Piano Electric Pianos : Rhodes Classic Mark I / Rhodes LA Custom “E” / Vintage Vibe Electric Piano / Wurlitzer 140B Wurlitzer 200A / Electric Grand CP-70 / Pianet N / Pianet M / Pianet T / Weltmeister Claviset Belltone Keyboards : Celeste / Chimeatron / Dulcitone Clavinets : Clavinet C / Clavinet Pianet Duo / Vibanet Key Bass : Rhodes Piano Bass / Vintage Vibe Tine Bass / Weltmeister Basset 1 / Weltmeister Basset 2 Mini Piano : Mini Student Butterfly / Rhodes 1946 Pre-Piano / Toy Piano Classic / Toy Piano Glock Toy Piano Grand / Toy Piano Saucer Bell Plucked Keyboards : Clavichord / Dolceola / Electric Harpsichord Vintage Digital Keys : MKS-20 / JD-800 / MK-80 Wind Keyboards : Harmochord |
価格(定価) | 399ドル |

2. 導入するメリット
導入するメリットは主に以下の5点が考えられます。
- 鍵盤楽器がたくさん手に入る
- 使い方が簡単!
- プロも絶賛するサウンド
- Omnisphere 2と連携できる
鍵盤楽器がたくさん手に入る
Keyscapeはこれ一つで36もの鍵盤楽器が手に入ります。
値段はそこまで安くありませんが、これだけの内容量であれば納得です。特にエレクトリックピアノ系やトイピアノ系が多いです。
スティービーワンダーやチックコリアも使う比較的新しいメーカーのVintage Vibe製品も公式協力のもとソフトウェア化されており、ビンテージのアナログなキーボードのみならず、新しい製品やデジタルキーボードも音源化されていますので、幅広い音作りが可能です。
また、ただ一般的な製品をソフトウェア化したわけではなく、レアでいまだに音源化されたことがないような鍵盤楽器もあります。
使い方が簡単!
それぞれの楽器に合わせたパラメータがあって、初心者の方でも簡単に操作ができます。
Spectrasonics製品は簡単なイメージがあまりなかったので、意外な点でした。
他のピアノ音源などに比べてもシンプルでわかりやすい操作性です。
プロも絶賛するサウンド
Cory Henry、Herbie Hancock、Jacob Collier、Shaun Martin、Robert Glasperなど数々のアーティストが実際にKeyscapeで演奏する映像がYouTubeであがっており、アーティストから絶賛されています。
アーティストが実際に演奏してどのような音が鳴っているか要チェックです。
Omnisphere 2と連携できる
これはOmnisphere 2をお持ちの方のみのメリットですが、Omnisphere 2内にKeyscapeを拡張機能のように追加(Keyscape Creative)できます。音作りの幅は無限大に広がるでしょう。

3. 利用する前に知っておきたい注意点・デメリット
しかしながら、利用する前に知っておくべき注意点・デメリットがあります。
- グランドピアノは1種類
- オルガン系(Hammondなど)はない
グランドピアノは1種類
※上記カバー動画でKeyscapeのグランドピアノを使用しています。
収録されているグランドピアノはYamaha C7がモデルのもののみになります。
一般的に音源化されることが多いSteinwayのピアノ音源は存在しません。音は良いですがSteinwayのピアノ音源が欲しい場合は、他のピアノ単体音源も視野に入れた方が良いかもしれません。

オルガン系(Hammondなど)はない
マニアックな鍵盤楽器まで音源化されていますが、オルガン系はありません。あくまでピアノ関連の音源が中心になります。
オルガンやビンテージシンセサイザーもまとめてほしい場合はArturia「V Collection 8」が最適でしょう。
高品質なオルガン音源のみ別途で手に入れるにはハモンド公認の音源IK Multimedia「Hammond B-3X」もおすすめです。


4. 口コミ・評判を紹介!
Keyscapeに関する口コミ・評判をまとめました。
アーティスト含め評価はかなり高いですが、値段も高いため購入までいたらず欲しいという声も多かったです。
keyscapeの音がリアルすぎて楽しすぎて寝るのを忘れて弾いてしまう…
ある程度弾くと処理落ちするのでパソコンをスペックアップしたい…
あとどっちも持ってるんですがいま自分が楽器店店員だったらivoryでなくkeyscape薦めますね
keyscape、ピアノとかエレピの音がいいのはもちろんなんだけど、こういう音もいい音で入ってるから最高。鍵盤下手くそだけど。
素晴らしい音源は数あれど、なぜkeyscapeを使うのか、色々語らせて頂きました。
引用:Twitter
5. Keyscapeに関するセール情報
Spectrasonicsは、ブラックフライデーのみならず販売サイトによってはセール価格で提供している場合があります。
Keyscapeもセール価格で売られている場合が多いです。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。

6. Spectrasonics製品のインストール・アクティベーション方法
Spectrasonicsのインストール・オーソライズ方法は少しややこしいです。
Webと製品画面を行ったり来たりする必要がありますが、主に以下の7STEPで完了します。
- Spectrasonicsでアカウント作成、ログイン(Web)
- 「add a product your account」にシリアルナンバー入力(Web)
- 製品をダウンロード、インストール(製品)
- 製品を起動してChallenge Codeをコピー(製品)
- ログイン画面に戻り、「Authorize 製品名」をクリック(Web)
- Challenge Codeを貼って出てきたResponse Codeをコピー(Web)
- 製品画面にResponse Codeを貼る(製品)
7. 収録されている鍵盤楽器を一つ一つ解説!
ここからは収録されている鍵盤楽器を一つ一つ紹介していきます。
LA Custom C7
Yamaha C7グランドピアノを収録した音源です。ただのC7ではなく、ジムウィルソンが所有するカスタムされたC7です。
Wing Upright Piano
4つのペダルがある1900年のWing Upright Piano。6つのキャラクターから選択できるレトロなアップライトピアノです。
Wing Tack Piano
1800年代後半から1900年代初頭に登場し始めたTack Piano。ハンマーのフェルト面に画鋲や小さな釘を挿入し、ハンマーが弦を打つ音が明るくもろい音に変わります。こちらも6つのキャラクターから選択できます。
Rhodes Classic Mark I
言わずと知れたエレクトリックピアノの代名詞Fender Rhodes Electric Piano。
なんと10年ものRhodesサウンドの研究を経て開発されたそうです。1970年代初頭のMark Iをモデルとした音源です。プリセットの「Rhodes – Classic」がこのエレクトリックピアノです。Toneから8つのキャラクターが選択可能です。
Rhodes LA Custom “E”
Eddy Reynoldsによって、並外れた音色を持つ高度に改造された数少ないエレクトリックピアノ。「E Rhodes」の愛称で知られています。
Vintage Vibe Electric Piano
Vintage Vibe公式と協力して作られた音源です。Vintage Vibeは古いメーカーではありませんが、高品質かつ本格的なサウンドで数十年ぶりにゼロから作られたエレクトリックピアノで、スティービーワンダーやチックコリアも愛用しているメーカーです。
Wurlitzer 140B
1962年にリリースされたWurlitzerの140Bです。ヴィンテージの140Bは珍しく、ミュージシャンやコレクターによって同様に最も人気のあるモデルです。
Wurlitzer 200A
ライブミュージシャン向けに設計された200Aは1974年にリリースされ、前作であるモデル200に比べてアンプとスピーカーのデザインが更新されています。140Bと同じように、ヴィンテージ200Aは今日でもミュージシャンやコレクターに求められています。
Electric Grand CP-70
エレクトリックピアノとピアノの中間のような音色の1970年代後半のYamaha CP-70。こちらも多くのアーティストに愛される名機です。
Pianet N
元々は家庭での使用を目的としていたHohnerのPianetは、1960年代初頭から1980年代初頭にかけて生産されていました。Pianet Nの特徴的なサウンドは、1960年代の多くのヒット曲で聴かれます。
Pianet M
Pianet Mは1977年から1980年代初頭にかけてHohnerによって製造されました。Pianet Tとは異なり、Mには「モジュレーター」と呼ばれる組み込みのエフェクトユニットがあります。
Pianet T
Pianet Tは1977年から1980年代初頭にかけてHohnerによって製造されました。ライブをするミュージシャンを念頭に置いて作られたコンパクトでポータブルなPianet Tは、シンプルでトレモロ、コントロール、ボリュームノブさえありません。
Weltmeister Claviset
1960年冷戦時代に、アコーディオンメーカーのWeltmeisterによって東ドイツで製造された唯一の東ヨーロッパのエレクトリックピアノです。少しMarimbaのようなテイストがあるエレクトリックピアノです。
Celeste
1886年に発明されたCelesteです。このモデルは、1940年代後半にニューヨークでSimone Brothersによって作られました。Simoneモデルはまろやかな音が特徴です。
Chimeatron
カリヨンを現代的に取り入れたChimeatronは、1930年代にSchulmerich Bellsによって発明されました。チャイムの音色です。
複数の鐘を組み合わせて演奏できるようにしたもの。
Dulcitone
Dulcitoneは、1860年にスコットランドで発明されました。ベル系の音ですが、まろやかで甘い音です。
Clavinet C
名機Clavinet Cは一般的なD6とは異なって電子機器が少なく、パンチの効いたサウンドを持っています。
このモデルがソフトウェアでサンプリング、モデリングされたのはこれが初めてである可能性が高いとのことです。
Clavinet Pianet DUO
1978年から1982年までのHohner Clavinet E7とPianet T、2つのプロジェクトの最後に、両方を同じエンクロージャーに組み込んだハイブリッドバージョンを作成しました。Clavinet・Pianetのバランスを調整できかなり使い勝手良いです。
Vintage Vibe Vibanet
こちらもVintage Vibe公式と協力して作られた音源です。
2014年にリリースされたVibanetですが、スティービーワンダーが今「Superstition」を演奏する時はこのVibanetを使用する場合があります。
スティービーワンダー2015年のライブ映像では
- 下段:Vintage Vibe Electric Piano
- 上段:Vintage Vibe Vibanet
が使用されています。
Clavichord
1400年代に開発されたクラヴィコードはもともとは家で練習して音楽を作るためのキーボードだったため18世紀まではクラヴィコードのために作曲された音楽はほとんどありませんでした。
Dolceola
1903年から1907年にかけて製造され、巡回セールスマンによって25ドルで販売されました。小さな鍵盤で、音符ごとに1つの弦を打つハンマーが付いています。リリースノイズがガチャンと鳴りますが、調整可能です。
Electric Harpsichord
1960年代初頭にCannon Guildによって開発され、Baldwinが1966年から1970年代初頭にかけて販売したBaldwin Solid Body Harpsichordの音源です。
ビートルズの楽曲「Because」のアルペジオに使われた楽器です。
Mini Student Butterfly Piano
1930年代、Rudolph Wurlitzer Piano & Organ Companyが小さな家やアパート向けにButterfly Pianoシリーズを設計しました。Mini Student Butterfly Pianoは44鍵の小さなピアノです。
Butterflyと呼ばれるのは、ふたの部分が二つに分かれて翼のようになるためです。音色はピアノよりも金属的な音が混じっています。
Rhodes 1946 Pre Piano
世界初のエレクトリックピアノが初めてソフトウェアになりました。70年代の象徴的なRhodesサウンドとはかなり異なったサウンドです。
Toy Piano Classic
もともとはドイツの1800年代に作られたもので、弦の代わりに調整されたガラス棒を打つために木製のハンマーでシンプルなキーボードアクションを利用していました。その後、1930年に、機器設計者のアリスベネットによって、耐久性があり調整された金属棒を使用したものが作成されました。
Toy Piano Glock
音源の元となっているのはSchoenhut Glockenspiel Toy Pianoです。名前の通りGlockenspielに似た金属棒が使われていて、サウンドも似ています。
Toy Piano Grand
1930年代のMuse Toy Piano Grand。他のトイピアノに比べて、金属的な音色がまろやかになっていてフィルターがかかったような音です。
Toy Piano Saucer Bell
1930年代に作られたカスタムのJaymar Upright Toy Piano。金属的な音色が強くリリースも長いです。
Harmochord
1960年代にKoestler Companyによって西ドイツで製造されたHarmochord。電化されたハーモニウムです。ハーモコードはインディーズバンドで人気があり、その価値は珍しいヴィンテージ楽器への関心の復活とともに急速に高まっています。空気を送ることで鳴るレトロな音が特徴です。
Rhodes Piano Bass
1960年代初頭、フルレンジのRhodes Electric Pianoの前に生産されたPiano Bass。
KeyscapeのPiano Bass音源はなんと8種類ものディストーションを選ぶことができ、歪んだベースとしても重宝します。
The DoorsのキーボーディストRay Manzarekが愛用するキーボードです。
Vintage Vibe Tine Bass
こちらもVintage Vibe公式と協力して作られた音源です。上記のRhodes Piano Bassを参考にVintage Vibeが手がけた44鍵、3オクターブ(C1からA4)のピアノベースです。
設定によりますが、Rhodes Piano Bassに比べて高音域に金属的な鳴りがあります。
Weltmeister Basset 1
Weltmeister Combo Bassとも呼ばれた最初のキーター(ショルダーキーボード)です。
Weltmeister Basset 2
Weltmeister Basset 1の卓上バージョンですが、多くの点で前身の1と同じです。
MKS-20
RolandのデジタルピアノMKS-20の音源です。
MK-80
Rolandのデジタル版Rhodes、MK-80の音源です。古典的なRhodesのサウンドと異なりますが、独特のサウンドでレイヤーに最適です。
JD-800
Roland JD-800の音源です。Crystal Rhodesの綺麗なサウンドは唯一無二です。
まとめ
Keyscapeは一気にピアノ系の音が揃うのでおすすめです。
特にエレクトリックピアノやトイピアノは種類が多く、それらはこれ一つで十分でしょう。ただし、あくまでピアノ系が中心ですので、オルガン系がないことだけお気をつけください。
ビンテージの名機がたくさんありますので、味のあるサウンドを楽曲につけることができると思います。
この記事が参考になれば幸いです。