Universal AudioのサブスクリプションサービスUAD Sparkで、ハード機材なしでプラグインを利用できるようになりましたが、そのネイティブプラグインの単体販売も開始されました!エフェクトの方が有名なイメージがありますが、ソフト音源でも一筋縄ではいかない他にはない性能を持ち合わせています。
今回はそんなUniversal Audioのソフト音源の中からモーフィングシンセサイザー「Opal」についてレビュー、使い方なども解説します。
是非参考にしてください。
1. Universal Audio「Opal Morphing Synthesizer」とは?
Opal Morphing Synthesizerは、Universal Audioが開発するソフトシンセです。
アナログもしくはウェーブテーブルから選択できる3つのオシレーター+ノイズオシレーターで音作りをするシンセサイザーですが、最大の特徴は名前の通り「モーフィング」です。
一般的なシンセのようにいくつかのフィルターやLFO波形を選択するのではなく、それらをスムーズに変化させて中間の位置を設定することも可能です。
DAWの拡張機能VST3、Audio Units、AAXプラグインとLUNAのフォーマットに対応しています。
追記:単体販売開始!
Opalは、サブスクリプションサービスUAD Sparkのみで利用できるプラグインでしたが、単体での販売も開始しました。
運営会社 | Universal Audio |
製品名 | Opal Morphing Synthesizer |
価格 | 199ドル |
操作画面 | |
無料トライアル(UAD Spark) | 14日間 |
2. 導入するメリット
Opalを導入するメリットは以下のような点が考えられます。
- 選択式ではない、微妙な位置での調整が可能
- UAD譲りのエフェクト搭載
- アナログライクなサウンドでシンプルな波形でも映える
選択式ではない、微妙な位置での調整が可能
Opalは、スムーズに変化できるパラメータが特徴です。
フィルターではローパス→バンドパス→ハイパス→ノッチ→ローパスと360度スムーズに変化することができます。ローパスとバンドパスの間など微妙な位置でのフィルターができ、さらにフィルターの急峻さ(スロープ)までスムーズに調整できます。これにより、他ではできないような柔軟なフィルターモジュレーションが可能です。
LFO波形も同じように調整でき、サインとスクエアの間など微妙な波形をモジュレーションソースとして利用できます。
UAD譲りのエフェクト搭載
Opalには、Universal Audioの著名なDSP研究者によって開発された多くのエフェクトが搭載されています。
- EQ・Compressor
- Delay
- Tape Delay
- Harmonic
- Modulation
- Reverb
の6つのカテゴリに分類されます。
またこれらのエフェクトは、ルーティングも自在に設定可能で、センドもしくはインサートを選べます。
アナログライクなサウンドでシンプルな波形でも映える
ウェーブテーブル方式のソフトシンセは、複雑なことをすることで魅力を発揮することが多いイメージですが、Opalはシンプルな波形でも十分使えます。
個人的に気に入ったのは「Analog Solo Brass」というプリセット。OSC1のみかつモノラルという超シンプルなプリセットですが、和音を奏でることができるようにポリフォニックに変えてAMP ENVを
- アタック:お好みで
- ディケイ:0.08程度
- サスティン:10%程度
- リリース:0.02程度
に調整し、あとはリバーブ(FX2)をお好みで調整すれば、メロウで太い和音を奏でる音作りができます。耳に付く帯域が気になったら、デフォルトでかかっているEQ(FX1)を下げましょう。
3. 利用する前に知っておくべき注意点・デメリット
しかしながら、Opalを利用する前に知っておくべき注意点・デメリットもあります。
- CPU負荷が割とある
CPU負荷が割とある
使えないほど重いわけではありませんが、プリセットによっては重いなと感じるものもあります。
使っているパソコンのスペックによっては利用しづらい場合もあるかもしれません。
4. 口コミ・評判を紹介!
Opalに関する口コミ・評判をまとめました。
かなり気になっている方がいる印象でしたが、買い切りなしのサブスク限定ということもあり手がでづらい方も多いようでした。
UAのシンセかっこいいわねぇ
スイヤセン、Universal Audioのこのシンセなんとか買い切り版も出してくんないッスかね?出音が超好みです。
引用:Twitter
5. インストール・アクティベーション方法
Universal Audioのインストール・アクティベートは以下の4STEPで完了します。
- Universal Audioでアカウント作成・ログイン
- https://www.uaudio.jp/my/redeemでメールアドレスとシリアルナンバーを入力
- 案内にしたがってUA Connectをダウンロード・インストール
- UA Connectを起動して製品のACTIVATE LICENSE→DOWNLOADを選択
※iLokでライセンスを管理したい場合は、UA Connect右上Settings→License Location「Manage」からiLok Cloudで管理することが可能です。
Opalが利用できるUAD Sparkへの登録方法・オーソライズ方法は以下の記事を参考にしてください。
6. Opalの最新セール情報
Opalは、単体販売も開始されセール価格で安く購入できる場合があります。
最新のセール情報は以下の記事を参考にしてください。
7. 使い方を解説!
ここからは実際にOpalの使い方を解説します。
公式の英語マニュアルはこちらをご覧ください。
Opalは、左上からプリセットを選択できます。好きなジャンルやタイプのタグでソートできます。
右上のVOICE、MATRIXや下部にあるそれぞれのモジュール右上のボタンを選択することで、上部のディスプレイに詳細な設定や波形が表示されます。
VOICE
右上のVOICEからはOpal全体に適用されるパラメータをコントロールする設定ができます。
VOICES:シンセサイザーのボイス数を設定できます。
NOTE TRIG:VOICESがMONOに設定されているときのアンプエンベロープのトリガー動作を設定できます。ALWAYSは、アンプエンベロープが常にリトリガーされます。LEGATOは継続して音を鳴らした場合、アンプエンベロープをリトリガーしません。
PRIORITY:レガートキーの優先順位を設定できます。LOWはレガート演奏時に、現在保持している音より下の音だけを演奏します。HIGHはレガート演奏時に、現在保持している音より上の音だけが演奏されます。LASTは最後に演奏された音が常に優先されます。
VIBRATO RANGE:モジュレーションホイールを上げたときに生じるピッチビブラートの範囲を設定できます。
BEND RAGE:ピッチベンドホイールの範囲を設定できます。
GLIDE
RATE:ノートのポルタメントの速度を設定できます。
MODE:PITCHは、グライドの速度は一定で、大きなノート間隔ではより長いグライドになります。TIMEは、演奏されているノート間隔に関係なく、全体のグライド時間が固定されます。
TRIG:ALWAYSは、常にグライドが発生します。LEGATOは、レガートの間だけグライドが発生します。
TUNING:グローバルチューニングを設定できます。
OSC
OSC1〜3の右上にあるボタンを押すことでディスプレイにウェーブテーブルが表示されます。
オシレーターはANALOG、WAVE TABLEを選択して波形を選びます。どちらもディスプレイもしくは波形ノブを上下にドラッグすることでテーブル間を移動して波形をシェイプすることができます。ディスプレイの右下にある鍵盤マークは、MIDIキーボードにピッチを追従させるかどうかをオンオフできます。
COARSE:ピッチを±48半音単位で粗調整できます。
FINE:ピッチを±100セント単位で微調整できます。
ENS:1つのオシレーターを、ユニゾンで動作する3つのデチューン可能なボイスに変えます。
FM:OSC1は、OSC2の出力によってその周波数をモジュレーションさせることができます。ディスプレイ上部でもスライダーで調整できます。
SYNC:多くのクラシックアナログシンセサイザーに見られるオシレーターシンクサウンドを生み出します。
AM:ディスプレイ上部スライダーで調整できるAMは、OSC3の波形がOSC2の振幅を変調させるものです。スライダーは、このモジュレーションの強さを設定できます。
NOISE:ノイズジェネレーターは、画面を上下にドラッグしていくつかの異なるフレーバーのノイズをモーフィングすることができます。
MIXER
OSC1〜3 / NOISE:オシレーターそれぞれのレベルを調整できます。
FILTER
各オシレーターの出力先を選択するボタンです。フィルターモジュールの右上にあるボタンを選択することで、ディスプレイ左にROUTINGが表示されるのでそちらで確認しやすいです。
FILTER 1:信号は1つ目のフィルターとINSERT FXを通り、ROUTINGがSERIESに設定されている場合、出力は2つ目のフィルターにも送られます。
FILTER 2:信号は2つ目のフィルターに送られます。
FILTER 1+2: 両方のフィルターに送られます。
THRU:フィルターモジュールをスキップして直接AMPに送ります。
FILTER
2つのモーフィングマルチモードフィルターが搭載されています。
フィルターモード:フィルターの形状が表示されたノブは上下にドラッグすることでローパス、バンドパス、ハイパス、ノッチ、ローパスへと連続的に360°一周して変化します。
CUTOFF:フィルターのカットオフ周波数を調整できます。
RES:フィルターのレゾナンス量を調整できます。
SLOPE:フィルターの急峻さを調整できます。4極(24dB/オクターブ)スロープから1極(6dB/オクターブ)設計まで、スムーズにフィルターをモーフィングすることが可能です。
KB AMT:キーボードで高い音や低い音を演奏すると、フィルターのカットオフ周波数を自動的に上下できる機能です。キートラッキングの強さを調整できます。
VEL:ディスプレイ上部にある横スライダーVELは、ノートベロシティがフィルターカットオフ周波数をどのようにモジュレートするかを調整できます。
FM – LFO 2:ディスプレイ上部にある横スライダーFM – LFO 2は、2つ目のLFOを使って、フィルターカットオフ周波数を変調させることができます。
ROUTING
フィルターモジュール右上のボタンを選択して、上部ディスプレイ左に表示されるルーティングです。
SERIES:FILTER 1の出力がINSERT FXを経由してFILTER 2の入力にルーティングされます。
PARALLEL:FILTER 1の出力は、INSERT FXを経由してOUTPUTセクションに送られます。FILTER 2の出力は、INSERT FXモジュールを経由せずにOUTPUTセクションに送られます。
INSERT FX
いくつかのエフェクトが利用可能なインサートFXモジュールを備えています。FILTER 1の直後に配置され、歪み系など音色に豊かさを加えるために使用されます。
オシレーターやフィルターと同様に波形ノブを上下にドラッグして設定できます。フィルターモジュール右上のボタンを選択して、上部ディスプレイに表示されるINSERT FXのドロップダウンメニューからもエフェクトが選択できます。
- DISTORTION
- OVERDRIVE
- FOLD
- SIGN
- COMB+
- COMB-
それぞれのエフェクトは、3つのパラメータで調整できます。基本的には以下の3つのパラメータになります。
DRIVE:エフェクトの入力ゲインを調整し、入力された信号がクリッピングスレッショルドをどの程度こえるかを決定します。
OFFSET:入力信号にDCオフセットを導入し、非対称な歪みを作り出します。
OUTPUT:エフェクトの出力レベルを調整できます。
COMBのみパラメータが異なります。COMBフィルターは信号を複製し、その複製を小さな時間間隔で遅らせてから原音に加減算するエフェクトです。
PITCH:複製された音のコピーに適用される小さな遅延量を調整することで、フィルターのピッチを設定できます。
FEEDBACK:出力の一部を入力に戻すことで、音色のバリエーションを増やすことができます。
DAMP:高音域の一部を減衰させ、エフェクトの明るさを調整できます。
LFO
2つのLFOを搭載しています。LFOモジュール右上ボタンを選択して、上部ディスプレイから細かく調整できます。
RATE 1/2:各LFOの発振周波数を設定できます。
SYNC:DAWのテンポ同期オンオフを切り替えるボタンです。
PHASE:LFOの位相オフセットを調整し、サイクルの開始位置を調整できます。
TRIG
LFOの波形をリスタートまたはリトリガーするためのオプションがあります。
- FREE:LFO はエンドレスに動作します。
- NOTE-ON:ノートが演奏されるとLFOはリトリガーされます。
- LFO 1/2:もう一方のLFOがサイクルを完了するとリトリガーされます。
- MULTI-SEG 1/2:マルチセグの各新しいセグメント開始時にLFOがリトリガーされます。
SHAPE:LFO波形の形状を設定できます。LFOはトライアングル、サイン、スクエアの間で滑らかにモーフィングすることが可能です。
TILT:LFOの形状に非対称性を持たせることができます。
RANDOM:LFOの波形にランダムな変化をもたらします。ランダムに変化する範囲が画面に表示されるのでわかりやすいです。
SAMPLE + HOLD
LFOモジュールの右上ボタンを選択すると、上部ディスプレイの右側にS&H(サンプルアンドホールド)が表示されます。
SOURCE 1/2:S&H回路がサンプリングするソースを選択できます。
TRIG:S&H回路のトリガーを選択できます。ノートオンの他にLFOやMULTI-SEGによってトリガーすることも可能です。
MIX:2つのSOURCEをクロスフェードさせることができます。ノブを最小または最大に設定すると、SOURCE 1またはSOURCE 2のみがサンプリングされます。
ENVELOPE
Opalは、3つのエンベロープが搭載されています。
AMP ENV:アンプエンベロープは出力レベルをエンベロープADSR(アタック、ディケイ、サスティーン、リリース)スライダーでコントロールできます。
FILTER ENV:フィルターのカットオフ周波数をエンベロープADSR(アタック、ディケイ、サスティーン、リリース)スライダーでコントロールできます。
AUX ENV:多くのパラメータをコントロールするための補助的なエンベロープとして使用することができます。
エンベロープのヘッダーをクリックすると、2つの追加コントロールが表示されます。
VELOCITY:MIDIノートベロシティを使用してエンベロープの振幅を変化させることができます。
GATE SOURCE:通常のノートオン以外にもエンベロープのトリガーを決定するソースを選択できます。
OUTPUT / FX
OUTPUTセクションでは、アウトプットのボリュームやステレオパンを調整の他に、2つのエフェクトスロットがあります。
FX 1/2:これらのノブは、2つのエフェクトそれぞれの強度を調整します。エフェクトがSERIESにルーティングされている場合、このノブはWET/DRYコントロールとして機能し、オリジナルと処理された信号のバランスを設定できます。エフェクトがPARALLELにルーティングされている場合、センド量を設定できます。
FX ROUTING:OUTPUT / FXモジュール右上ボタンから表示されるディスプレイ右からFXのルーティングを設定できます。メニューからいくつかのルーティングを選択できますが、ディスプレイでどのようにルーティングされるか一目でわかると思います。
MATRIX
右上から選択できるモジュレーションマトリクスは、LFOやエンベロープなど様々なソースをオシレーターのピッチやフィルターのカットオフ周波数など任意のデスティネーションに接続することができます。上部4つのMACROノブもここで設定できます。
左端+ボタンで新たなモジュレーションを作成し、右端×ボタンで削除します。
MUTE:モジュレーションをミュート(オフ状態)にします。
SOURCE:モジュレーションソースを選択できます。
AMOUNT(SOURCE):モジュレーションソースの量を調整できます。
OFFSET:モジュレーションソースに正または負のオフセットを追加することができます。例えばLFOの場合、横のゼロクロスラインから上下に移動し、デフォルト位置が変更されます。
MOD VIA:セカンダリーモジュレーターによるモジュレーションルートの強さを調整することができます。
AMOUNT(MOD VIA):MOD VIAのスケーリングを調整できます。
DESTINATION:モジュレーション先となるターゲットパラメータを選択できます。
MULTI-SEG
エンベロープ、LFO、ステップシーケンサーなどとして使用できるマルチセグ(マルチセグメントファンクションジェネレーター)を2つ搭載しています。MULTI-SEGモジュール右上のボタンを選択して上部ディスプレイから細かく調整できます。
SPEED:全体のレートを調整できます。
SYNC:DAWテンポ同期のオンオフを切り替えるボタンです。
LOOP:ループ再生をオンオフします。再生マークの付いたマーカーを左右にドラッグして調整することができます。
TRIG:トリガーするイベントを設定できます。LFOと同じように設定できます。
SEGMENT
最大32個のセグメントを設定することができます。選択されているセグメントはハイライト表示されます。画面右端の+ボタンからセグメントの追加ができます。
LEVEL:選択されたセグメントのコントロールポイントのレベルを調整できます。
RATE:現在選択されているセグメントの再生速度を調整できます。
CURVE:セグメントの形状を調整できます。
GATE:セグメントごとに、ゲートの長さを調整することができます。
これら4つのパラメータは、線を直接ドラッグして調整することも可能です。
LOAD TEMPLATE:プリセットをロードできます。
COPY / PASTE:セグメントをコピー、ペーストできます。
まとめ
エフェクトで有名なUniversal Audioですが、ソフト音源も充実した仕様になっています。
Opalもこだわり抜かれた設計のソフトシンセで、他では代用できないようなパラメータが搭載されています。
この記事が参考になれば幸いです。
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