Oeksoundから、またまた話題となっているプラグイン「bloom」がリリースされました!
Oeksoundといえば、soothe2が有名で今となれば定番になりつつあるダイナミックレゾナンスサプレッサープラグインですが、bloomも同様に注目が集まっています。
Bloomは、簡単に全体のトーンバランスを整えることが可能な適応型のトーンシェイパーです。この記事では、そんなbloomをエンジニアさんにレビューしていただきました。また、使い方やセール情報なども解説します。
是非参考にしてください。
1. Oeksound「bloom」とは?
bloomは、適応型トーンシェイパープラグインです。入力された信号を分析し、周波数をカットまたはブーストすることで、知覚される音のトーンバランスに補正を加えます。適応型であるため、補正は入力信号に応じて常に変化します。
不要な要素を自動的にカットし、必要な部分をブーストすることで、サウンドをよりバランスのとれたものにします。また、好みに応じて処理をバンドごとに微調整できます。ある周波数領域での変化を他の周波数領域で調整することで自動的に補正し、バランスの取れたサウンドを実現します。
開発会社 | oeksound |
操作画面 | |
製品名 | bloom |
価格(定価) | ¥34,311 |
主な仕様 | 適応型トーンシェイパー |
公式マニュアル | Manual(英語) |
2. 実際に使ってレビュー!
この記事のレビュアー
高慶航 (Rec / Mix / PA )
Sound AiDE所属のレコーディング・PAエンジニア
音のキャラクターやカラーを大切に、録音、ミキシング、PAオペレートしています。
■制作実績 : Funny Factures, TAMIW, Monomouth, um-hum, colspan, DuckHouse, DinoJr, Kuniyuki Natsu 他
■Spotify Playlist : https://open.spotify.com/playlist/2TskeAQyI0qYwohaAs3f82?si=CEc4Qt-oSyemv1czsQ1d8Q
■instagram : https://www.instagram.com/watarukokei/
ご依頼はmailにてお気軽にお問い合わせください→ kokei.soundaide@gmail.com
■Studio AiDE : https://soundaide.co.jp/rec-studio/
シンセベースに使用
先ず最初に試したのがシンセベースの処理で、どのくらい自然に整えられるのかチェックしました。
ソフトシンセのベース素材で少しアナログ的歪みを足したかったので、ドライブさせた後膨らんだ不要な帯域が自然に整えられ音符による大小が揃った印象になり、かつフォーカスが合った印象になりました。808のプリセットがあり、そこからスタートしたのですが、一瞬でまとめることができました。
ボーカルに使用
続いて、ボーカルトラックで試してみました。
今回は2曲で試してみたのですが、最初に試したのは録音状態の良いマイクで録られたソースで、穏やかな女性ボーカルの楽曲です。プラグインをインサートした瞬間からすでに整った印象になり、プリセットを使うとサウンドの方向性がはっきりする印象です。
ただ、楽曲がナチュラルで録り音がすでに良い音だったので、若干添加物っぽいサウンドになってしまった印象です。soothe2で整えるだけで充分だなという印象でした。
もう一方の楽曲は男性ボーカルのネオソウル的楽曲で、宅録で録られたマイクのサウンドが暗く、情報量が少ない印象だったのですが、一変して瑞々しいサウンドになりました。プラグインチェーン的には、最初にHAで少しエネルギーをプラスしてボリュームを丁寧に整えた後、bloomで調整して後に軽くCompといった流れで使用しました。
amountパラメーターを控えめに使用するとナチュラルな変化で整える印象ですが、グッと回して行くとsquashメーターが動き始め、コンプレッションが動作し始めるのですが、こちらもまたナチュラルでより鮮やかになる印象です。コンプで押さえているという印象は無く、かといってEQを強くした感じでも無く、指定している帯域のパラメータに即して鮮やかになると言う印象でとても自然に変化します。Compの後に必要なら少しEQをしても良いかもしれません。
マスターバスに使用
最後に、マスターバスに使用してみました。
ステレオチャンネルにインサートした場合、M/S Splitで動作することができ、middleとsideで別々な処理が可能で、低域はステレオ感を抑えつつ持ち上げ、高域はステレオ感を広げるといった処理を、EQでは無く自然に必要な時に整えてくれるので、マスタリング前のトータルの微調整が簡単にできました。
まとめ
使用してみて、このプラグインは音楽の事を理解して動いてくれるので、操作する側は感覚的に使える印象でした。補正は今まで通りsoothe 2で行い、トーンやキャラクターをコントロールしたい場合、Bloomを使えば整える作業はいっそう楽になると思います。
原音に潤いや深み、質感を与えられるプラグインでEQ Compの前に施しても、後に使ってもそれぞれ良く、とても賢いコントローラーです。ぜひお試しください。
3. bloomに関するセール情報
Oeksoundは、ブラックフライデーなどたまにセールを行います。
ただし、bloomのイントロセールは行われませんでした。メーカー自体はセールを開催しますので、今後セールになる可能性はあります。
最新のセール情報まとめはこちらの記事を参考にしてください。
4. 使い方を簡単に解説!
ここからは、実際にbloomの使い方を解説します。
英語の公式マニュアルは、こちらをご覧ください。
amount:信号に適用される全体的な処理量をコントロールします。値が大きいほど適応的にブースト、減衰します。
squash:Amountを7.0以上にすると、周波数に依存した上下方向のコンプレッションがかかります。Squashメーターは、平均的な信号の圧縮量を紫色で表示します。ただし、Squashの量は周波数に依存するため、メーターはおおよそしか示さないことに注意が必要です。
attack:入力信号のレベルが上向きに変化した後、Bloomが変化を適用する速さを調整します。速くすると、処理はより高いエネルギーレベルに速く反応します。
4elease:入力信号のレベルが下方に変化した後、Bloomの回復速度を調整します。基本的に、リリースを速くすると、低いエネルギーレベルに対して処理が速く反応します。
処理グラフ
処理グラフは、信号がどのように処理されているかを示します。
- 紫色:未処理の信号と処理された信号の両方に存在する信号
- 中央の線の下の灰色:カットされた部分
- 中央の線より上の白色:ブーストされた部分
処理グラフ上部の4バンドトーンコントロールを調整もしくはカーソルを合わせると、そのバンドの色で処理グラフに変化が表示されます。
処理範囲:処理グラフの端にある黒い部分を左右にドラッグして処理範囲を調整できます。処理範囲のスロープは、通常12 dB / octで、レンジを互いに近づけると、スロープは24 dB / octに向かって滑らかに急峻になります。処理グラフ左上2つのボタンで処理を、範囲内もしくは範囲外に設定することができます。
ローカット / ハイカット:処理グラフの左下、右下を左右にドラッグして、ローカットフィルターとハイカットフィルターで出力周波数範囲を制限します。フィルターのスロープは18 dB / octで、調整できません。
トーンコントロール
トーンコントロールを使用して、Bloom による補正のトーンを調整します。4つのトーンコントロール(ロー、ローミッド、ハイミッド、ハイ)を使って調整します。それぞれバンド名の隣にある黒丸をクリックしてオンオフできます。
バンドポイント:特定の周波数帯域におけるトーンの強調度をコントロールします。ポイントを上下に動かすと、帯域のレベルが調整されます。これにより、トーン全体の形状が変化します。つまり、Bloomによる補正を好みに合わせて調整します。ポイントを左右に動かすと、帯域のトーンエリア中心周波数を調整します。
トーンレベル:それぞれのバンド上部にある値ボックスをドラッグするか、ダブルクリックして値を入力して、帯域のトーンレベルを調整します。値はdB単位ではなく、参考値です。この値は、それぞれのバンドポイントを使って調整することもできます。
ヘッドホンアイコン:ヘッドホンアイコンをクリックして、トーンコントロールの影響を最も受ける周波数帯域を聞くことができます。
トーン周波数コントロール:それぞれのバンド下部にある値を左右にドラッグするか、ダブルクリックして値を入力して、帯域の中心周波数を設定します。
quiality:モードを変更すると、処理の位相応答と時間分解能に影響します。
stereo mode:デフォルトでは「linked」に設定されています。これは、ステレオチャンネルが一緒に分析され、同じように処理されることを意味します。L/R SplitやM/S Splitでは、ミッドとサイド、LとRで別々に処理され、処理グラフ上部にいくつかのコントロールが表示され、各バンドコントロールがL/RもしくはM/Sの2つになります。
link:処理グラフ上部に表示されたリンクアイコンをクリックすると、相対的な値を保ったままリンクしてL/R、M/Sを調整できます。linkの値を0%に設定すると、チャンネルは別々に分析されます。値を100%に設定すると、チャンネルは合計され、一緒に分析されます。
focus:各チャンネルに適用される処理量をコントロールします。
squash cal:Squashまでどの程度の感度なのか調整するために使用します。どのような信号レベルに対しても適切なSquashレベルを調整する場合に役立ちます。Squashレベルの単位はデシベル(dB)です。set(クリックor長押し)で、入力レベル(LUFS)に応じたSquashレベルの最適値が表示されます。
wet trim:wet trimを使用して、ミックス前の処理済み信号レベルを調整できます。処理によるゲインの変化を補正することができます。set(クリックor長押し)で、短期の入出力差(LUFS)に合わせて出力補正用のwet trimを簡単に設定することができます。
mix:出力の信号のウェット/ドライバランスを調整します。0%の場合、ドライ(未処理)の入力信号のみが出力されます。100%に設定すると、ウェット(処理済み)信号のみが出力されます。
Output:出力ゲインです。ミックス後の出力信号レベルを調整します。
まとめ
Oeksoundのプラグインは、DTM上級者向けと思われがちですがbloomは比較的誰でも感覚的に扱うことが可能なプラグインです。
むしろ、録音がどうしても良い状態で録れない方などのほうが、利用する価値があるかもしれません。
この記事が参考になれば幸いです。
質問等ございましたら下部のコメント欄からどうぞ!