コード進行を作成するソフト「Scaler」がバージョンアップ「Scaler 2」になりました。
正直個人的にはこういった作曲支援ソフトには半信半疑な部分もありましたが、実際に使ってみると音楽に関する知識が多少ある方でも利用できる便利なソフトでした。
この記事ではそんなScaler 2をレビュー、メリットやデメリット・注意点から使い方まで解説します。
是非参考にしてください。
1. Plugin Boutique「Scaler 2」とは?
Plugin Boutiqueはプラグインを販売するサイトですが、いくつかの自社プラグインも開発しています。そのうちの一つが「Scaler 2」です。
Scaler 2はコード進行を作成できるソフトです。プリセットなど様々なコードの提案はもちろん、オーディオを読み込んでコード進行を解析することも可能です。
開発会社 | Plugin Boutique |
操作画面 | |
価格(定価) | 59ドル |
主な仕様 | コード進行アシストプラグイン |
Plugin Boutiqueに関する詳しい記事はこちらをご覧ください。
2. 導入するメリット
Scaler 2を導入するメリットは主に以下の2点が考えられます。
- 様々なコード進行やパターンのプリセットがある
- オーディオを解析できる
様々なコード進行やパターンのプリセットがある
ジャンルごとに分けられたコード進行やアーティストが作成したコード進行を利用することができます。
複雑なコードを使用するJazzやBossa Novaなどもありますので、作曲初心者のみならず利用できるでしょう。
また、様々な再生パターンもあり、コードとメロディを自動で演奏することも可能です。
オーディオを解析できる
オーディオ入力やファイルからコード進行やスケールを解析することも可能です。
この解析能力は高いとは言い難い部分もありますが、簡単なピアノコードであれば十分利用できるでしょう。
3. 利用する前に知っておくべき注意点・デメリット
しかしながら、利用する前に知っておくべき注意点、デメリットがあります。
- DAWの拡張機能プラグインとして利用するソフト
- 最低限の知識は必要
DAWの拡張機能プラグインとして利用するソフト
もしDTMについてあまり知らない作曲初心者の方がいれば、Scalerの仕様には注意しましょう。
このソフトは作曲ソフトDAWの拡張機能プラグインとして利用するソフトになります。
単体では使用できませんのでご注意ください。
最低限の知識は必要
Scaler 2を完全に活用するためには、音楽に関する知識が全くない人には少し厳しいと思います。
展開が浮かばなかったり、自分の作るコード進行に限界を感じた時や、スケールを確認する場合などに補助として利用する形がベストだと思います。
しかし、利用しながら知らない用語を調べて勉強するのには便利なソフトかもしれません。分からない用語やジャンルによる特徴なども実際に音を鳴らして確認できるので、理解が深まります。
4. 口コミ・評判を紹介!
Scaler 2に関する口コミ・評判をまとめました。
評価はかなり高いですが、英語ですので使い方がわからないという声もありました。
Scaler2にアップデートしたらサークルオブフィフスが出てきた!こないだ勉強して便利だなと思ったやつ!
そういえば昨夜、ScalerをScaler 2にアプグレしてみた
めちゃくちゃ使いやすくなった、ってわけでも無いけど痒いところに手が届くようになって嬉しい(☝ ՞ਊ ՞)☝ウェーイ
引用:Twitter
5. Scaler 2に関するセール情報
Plugin Boutiqueは販売サイトですので、他社の製品はもちろん自社の製品もよくセールを行います。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。
6. インストール・アクティベーション方法
Scaler 2のインストール・オーソライズ方法は上記PIB Japan公式のインストール方法をご覧ください。以下の4STEPで完了します。
- Plugin BoutiqueのMy Accountからダウンロード・インストール
- Plugin BoutiqueのMy Accountからライセンスファイルをダウンロード
- DAWでScaler 2を起動し、ライセンスファイルを選択
- Plugin Boutiqueに登録しているメールアドレスを入力
7. 使い方を解説!
ここからは実際に使い方を解説します。公式の英語マニュアルはこちらをご覧ください。
Scaler 2は2つのプラグイン
- Scaler 2:MIDIトラック用
- Scaler 2 Audio:オーディオトラック用
として表示されます。
起動した後にも、左真ん中からMIDIもしくはAudioを選択できます。
上部の表示セクションは以下のような表示とボタンがあります。
NOTES:コードの構成音を表示します。
CHORD:コードを表示します。
MIDIの場合MIDI入力、オーディオの場合は、オーディオ入力を解析して表示されます。
MIDI!:MIDI Panicボタン。ノートをオールオフにします。何かしらMIDIの入力がおかしくなった場合に使用します。
AUDIO:オーディオ検出ボタンオンオフ。オーディオの解析をオンオフします。オフにすると、オーディオ入力をミュートします。
左上から音色や、コードの表示方法を設定できます。
鍵盤マーク:鍵盤を表示します。デフォルトでは鍵盤です。鍵盤マーク下「< >」から表示するキーの範囲を変えることが可能です。
ギターマーク:ギターでキーを表示します。下から横に6弦〜1弦(E,A,D,G,B,E)をあらわします。ギターマーク下から様々なチューニングや、ベースやウクレレなどに変更することも可能です。
Sound Selector:音色を変更します。OFFにすることも可能です。
Scaler 2は主にSECTION A〜C3つのコードを配置するセクションがあります。
SECTION A
SECTION Aは主に検出したコードやジャンル、アーティストのプリセットのコード進行を配置します。
DETECT
このモードでは、互換性のあるスケールを、MIDIまたはオーディオ信号から検出します。
MIDIもしくはAudioを設定して、RECボタンを押してコードを鳴らします。ゴミ箱マークで削除、再生マークで再生できます。ファイルをScalerにドラッグ&ドロップすることでも検出可能です。
SCALES
スケール(キー、調)を選択します。選択するとSECTION Bにスケールのコードが適応されます。SECTION Bの左端からOCTAVEを選択できます。
CHORD SETS(SONGS / ARTISTS / USER)
コードセットは、Scalerのプリセットコード進行、コードのリストです。
コードセットは、3つのメニューのいずれかから選択します。
SONGS:ジャンル別のセット。
ARTISTS:アーティストが作成したアーティストセット。
USERS:ユーザーが作成したユーザーセット。
それぞれ選択するとセクションAに反映され、左端の「ST」で半音単位でキーを変えることができます。※STでキーを変えると全てのセクションのキーが変わります。
鍵マークからロックすることができます。
Maintain Current Scale:スケールを維持します。
Maintain Current Tonic:トニックを維持します。
Force into Scale:コードセットのすべてのコードを特定のスケールに適合させます。
SECTION B
SECTION Bは主にスケールのコードが表示されます。
TRIADS:トライアド、7th、9th、11th、13thのコードに変更できます。
VOICINGS:ボイシングを変更できる様々な設定があります。
VARIATIONS:トニック、ドミナント、サブドミナントなどそれぞれのバリエーションを表示します。
MODULATION VIEW
選択したスケールに関連するコンテンツをさらに探索します。モジュレーションビューは、変調のさまざまな側面をカバーする複数のプリセットを提供します。
PROGRESSIONS
このプリセットは、現在選択されているパターン(SECTION C)からの変調に役立ちます。上の行は現在の進行状況を表します。左側のサークルオブフィフスでは、目的のスケールを選択できます。十分に類似している場合、元のスケールから宛先スケールへのパスを提案します。
SECONDARY SCALE
このプリセットは、現在選択されているスケールから2番目のスケールに変調するのに役立ちます。上の行は現在のスケールとそのコードを示しています。左側のサークルオブフィフスは、目的のスケールを選択できます。選択すると、一番下の行に宛先スケールのコードが表示されます。
MODAL INTERCHANGE
このプリセットは、かりるコードを見つけるのに役立ちます。選択したスケールが上部に表示され、縦に同じ根音のコードが表示されます。
MEDIANTS
任意の和音から始まるメディアントを生成するのに役立ちます。和音をクリックすると、新しい行が生成されます。メディアントは、コードのルートの上または下の短三度または長三度です。
BIND & KEYSWITCHES
MODULATIONの各行は、画面右側のBINDボタン(緑色ボタン)を切り替えて演奏できます。キーボードで緑色にハイライトされているキースイッチで1〜最大7まで変更し、灰色の部分でコードを鳴らします。
SECTION C
SECTION Cでコードをドラッグして配置することによりコード進行を作成します。コードは右クリックすることEditや削除(Remove)など様々な設定が可能です。
CHORD EDIT PANEL
コードを右クリックして「Edit Chord」をクリックするとCHORD EDIT PANELが表示されます。鍵盤をクリックして構成音を決めるか(鍵盤肌色部分)、提案されているコード(SUGGESTED CHORDS)をドラッグして下部の現在のコードを変更します。APPLYで適応します。
PATTERN
+ボタンからパターンを追加でき、最大で7つのパターンが作成可能です。一つのパターンは8つのコード進行を設定できます。PATTERNをダブルクリックして名前変更、右クリックで削除、コピー、複製などが可能です。
MIDI CAPTURE
SECTION Cの右端にあるMIDI CAPTUREボタンをクリックすると、MIDIクリップとして記録されます。STOPボタンを押し、次にDRAGボタンを押して、録音したMIDIクリップをDAWにドラッグします。CLEARボタンを押して、録音したMIDIクリップを削除します。SAVEボタンを押すと、いつでも進行状況を保存できます。
PAD VIEW
左下のパッドマークをクリックすると全てのパターンをキースイッチを使用して変更しならがら演奏できます。鍵盤の緑色がキースイッチ、灰色がコードをあらわします。
EDIT PLAYBACK VIEW
左下EDITから発声、アーティキュレーション、タイミング、繰り返しをコードごとに編集できます。EDITモードは左上にUndo(元に戻す)/Rendo(やり直す)ボタンがあります。
OCTAVE:オクターブを変更します。
INVERSION:コードを反転します。
SEMITONE:半音ずつ増減します。
DURATION:各コードが演奏される時間の長さを調整します。
REPEAT:繰り返しを設定します。
Setting Panel
右上設定マークからセッティングパネルがあらわれます。
上部から
- PLAYBACK
- PREFERENCES
- SESSION
3つの項目があります。
PLAYBACK
BIND MIDI
MIDIを使用して、Scalerで生成されたコードとノートをトリガーするSECTIONを選択します。
EXPRESSIONS
様々なパターンで選択したコードを再生します。EXPRESSIONSはSetting Panel以外にも上部右側PERFORMからオンオフ可能です。
LATCH:コードトリガーを放した後でも、エクスプレッションはループし続けます。
CHORDS ONLY:トリガーされたコードの音だけがエクスプレッションに使用されます。
PLAY QUANTIZE:パターンの開始を次のビートに合わせます。
PATTERN
パターンは3つのモードがあります。
PERFORMANCES:現在のコードノートのみを使用して、事前定義されたパフォーマンスを再生します。
PHRASES:選択したスケールと現在演奏されているコードに基づいてメロディックなフレーズを生成します。
RHYTHMS:事前定義されたリズムですべてのコード音を再生します。
RESOLUTION:トラックに合うように速く/遅く再生します。
PHRASE STYLE:メロディックなフレーズを単独で演奏するか、トリガーされたコードの上で演奏するかを選択します。
PHRASE MODE:クリックしたコードまたは現在選択されているコードに基づいてメロディックなフレーズを計算します。スケールベースモードは、コードを切り替えるときにメロディーを同じ位置に保ちます。
ARPEGGIO
アルペジオもEXPRESSIONS同様に上部右側PERFORMからオンオフ可能です。
TIMING:アルペジオの2つのノート間の最大持続時間を設定します。
PATTERN:アルペジオのパターンです。8種類あります。
NOTE LENGTH:各音の長さ
STRUMMING
ギターのように各コードのかき鳴らす速度と方向を選択します。同様に上部右側PERFORMからオンオフ可能です。
KEY LOCK
スケールやコードをキーボードのキーにマッピングして、メロディーを簡単に演奏できます。
Scale Notes Mapped:スケール外のノートは再生されず、押すと近いスケール内のノートが再生します。適当に弾いてもさまになるモードです。
Scale Notes Only:スケール外のノートは再生されません。
Scale White Keys:スケールを白鍵にマップします。黒鍵は無効になります。
Scale Notes:キーボードの事前定義された一部領域をロックして、最後に演奏したコードからのノートをトリガーします。一部領域の黒鍵は無効になります。
Scale Extensions:キーボードの事前定義された一部領域をロックして、最後に演奏したコードからExtensionsコードのノートをトリガーします。一部領域の黒鍵は無効になります。
VOICE GROUPING
コード間のスムーズな変化を可能にするために、特定の範囲のノートをグループ化します。
Dynamic:周りのノートを自動的にグループ化することにより、コード間のスムーズな変更を可能にします。現在選択されているスケールの色調の中心により、ダイアトニックの低いコードから高いコードに移動するときに間隔が大きくジャンプするのを防ぎます。
Grouping:C1-B2、C2-B3、C3-B4などは定義された範囲内で和音を演奏するようにボイシングを自動的に調整します。
Open Voicing:コードを自動的に調整して、オープンなボイシングを演奏します。
Extracted Voicing:コードからボイシングを抽出したら、Voicing Lockを使用して、同じボイシングで演奏されているかのように他のコードをプレビューできます。
HUMANIZE
速度やタイミングを少しランダム化することにより、より自然な演奏スタイルを生み出します。
VELOCITY:各ノートのベロシティをランダム化します。
TIMING:各ノートのタイミングをランダム化します。
BOTH:各ノートのベロシティとタイミングをランダム化します。
PREFERENCES
TOOLTIPS ON MOUSE HOVER:マウスをかざすと右下に説明がでます。
PLAY CHORDS ON CHANGE:変更時にコードを演奏する。
THEME:ビジュアルテーマを選択します。
CHORD ITEMS:コードのボックスを明るいまたは暗いボックスで表示します。
FONT:全体で使用するフォントを選択します。
VIEW SIZE:ドロップダウンメニューからウィンドウサイズを選択します。
SESSION
IMPORT STATE:EXPORT STATEからエクスポートされたファイルから、保存されたすべてのセッションパラメータを呼び出します。
EXPORT STATE:すべてのパラメータを含むセッションをファイルとしてエクスポートします。これは、別のDAWでセッションを再開したい場合に便利です。
CLEAR STATE:最初に開いた場合と同様に、現在のセッションをリセットします。
SYNCHRONIZE:複数の開いているScalerを同期します。
まとめ
Scaler 2は初心者向けというよりは、少し知識をつけた後に利用すべきプラグインだと思います。
無知の状態で利用することも可能ですが、最大限活用することは難しいでしょう。
もし知識が足りない場合は勉強しながら、活用していくことをおすすめします。
この記事が参考になれば幸いです。
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