即戦力の現代的なアプローチができるプラグインを開発するOutput。
その中でストリングス音源のANALOG STRINGSは、普通のストリングス音源とは全く異なるアプローチの音源です。
この記事では、そんなAnalog Stringsをレビュー。導入するメリットやデメリット・注意点からインストール・アクティベーション方法、使い方まで解説します。
是非参考にしてください。
1. Output「ANALOG STRINGS」とは?
ANALOG STRINGSはストリングスをトラディショナルな方法ではなく、現代的なアレンジで利用できる音源です。
Orchestral、Synths、Creativeの3種サウンドソースを組み合わせてリズミックジェネレーターやアルペジエーターで変化ある即戦力のサウンドを鳴らすことができます。
60人の弦楽合奏団、22人のオーケストラ、数人のソリストだけでなくピアノ、サンプリングされたフィードバック、テープノイズ、ギター、そしてストリングスサウンドで知られるビンテージシンセをサンプリングしており、プラックやスタブから、太くてノイジーなパッドまで奏でることができます。
Native Instruments「Kontakt5.6.5以上」で起動する音源で、無料のKontakt Playerでも動作します。
開発会社 | Output |
操作画面 | |
価格(定価) | 199ドル |
主な仕様 | ストリングス/シンセ/その他クリエイティブサウンド音源 |
2. 導入するメリット
ANALOG STRINGSを導入するメリットは主に以下のような点が考えられます。
- リアリティあるサウンドとファットなシンセが融合したサウンド
- プリセットが優秀
リアリティあるサウンドとファットなシンセが融合したサウンド
ANALOG STRINGSは、他のOutput製品SIGNALやSUBSTANCEなどと同様に生楽器とシンセサイザーが融合できるような音源です。
ストリングスというよりファットなソフトシンセやシネマティックサウンドとしても十分に利用できる音源で、ストリングス以外のサウンドソースのみを選択することも可能です。
プリセットが優秀
これも他のOutput製品にもいえることかもしれませんが、プリセットそのまま利用するだけでクオリティを出せます。リズムジェネレーターやモジュレーションで動きのあるサウンドが含まれており、そのまま利用するだけで楽曲のクオリティを簡単にあげることができます。
多少音を変化させたい場合も、4つのマクロコントロールで変化させるだけでも十分に利用できます。
3. 利用する前に知っておくべき注意点・デメリット
しかしながらANALOG STRINGSを利用する前に知っておくべき注意点もあります。
パートごとにカスタマイズするような設定はできない
ヴァイオリン1、2、ヴィオラ、チェロなどパートごとに細かくアレンジできるような音源ではありません。基本的にはすでに作られたサウンドソースを元に音作りします。ですので、パートごとにアレンジされたストリングスの代わりになる音源ではないでしょう。
一般的なストリングス音源を求めている方には、ANALOG STRINGSはおすすめできません。
4. 口コミ・評判を紹介!
ANALOG STRINGSの口コミ・評判をまとめました。
現代的なアプローチができ、評価はとても高いです。
先日OUTPUTに「ANALOGSTRINGSめっちゃいい!」ってDMしたらこんなGIFが返ってきました。
あの前衛的且つカッコイイ音源作るディベロッパーのイメージからすると、なかなかお茶目かもです(笑)
【ちょっとしたアレンジの豆知識】
「Macro」がついているシンセは積極的にオートメーションを書いていこう😊
Macroは複数のパラメータを一気にいじれるヤツ。これにオートメーションを書くことで簡単に複雑なサウンドをつくることができる
【仕事でよく使うプラグイン〜シンセ編〜】
✅Serum
使い勝手バツグンの最強シンセ
✅Omnisphere2
Serumが苦手なオーガニックなサウンドはこっち。音良し!!
✅Analog Strings
今っぽいストリングスサウンド
✅Arcade
サブスクのサンプラー。便利!!
最近はシンセはほぼこれだけです😊
引用:Twitter
5. ANALOG STRINGSに関するセール情報
Output製品はセールを行います。
割引率は20〜30%程度とブラックフライデーなどでもそこまで割引されないですが定期的にセールを行います。
ただし、稀に割引率が高くなる場合もあります。
最新のセール情報は以下をご覧ください。
6. Output製品のインストール・アクティベーション方法
Output製品のインストール・アクティベーション方法はエフェクトの場合以下の4STEPで完了し、Kontakt音源の場合はさらにNative Accessで登録が必要になります。
- Outputでユーザー登録
- https://output.com/registerでシリアルナンバー登録
- Output Hubをダウンロード、インストール
- Output Hubを起動してログイン、製品をインストール
Kontakt音源の場合は、インストールが二重になることを防ぐためNative Accessからインストールする方法をおすすめします。
- Native Accessでシリアルナンバー登録(シリアルナンバーはOutput Hubに記載)
- Native Accessでインストール
Output HubでKontakt音源をインストールした場合、Native Accessで同じフォルダを設定してインストールをする必要があります。Output Hubですでにインストールされているので同じフォルダを選択すると瞬時に完了します。無料版の場合はシリアルナンバーはなく、Output HubでインストールしKontaktを起動してインストールしたフォルダを開きます。
7. 使い方を解説!
ここからは実際にANALOG STRINGSの使い方を解説します。
公式の英語マニュアルはこちらをご覧ください。
ANALOG STRINGSは上部からプリセットページ、その下にある5つのメニューから設定できます。
main
メインページでは下部から2つのレイヤーがあるインストゥルメントの設定、真ん中の4つのスライダーからマクロを調整することができます。
マクロスライダーは左右にドラッグして調整します。
下部のインストゥルメント(A/B)は以下のパラメータがあります。
電源ボタン:それぞれのレイヤーをオンオフできます。
volume:レイヤーのボリュームを調整できます。
インストゥルメントメニュー:絵のついたインストゥルメントボタンはクリックすることで別のメニューが開きます。
- One Shot
- Pad
- Tape
の3種類と
- Orchestral
- Synth
- Creative
の3種類に分かれたインストゥルメントから選択することができます。右上からサンプルの距離感をclose / farスイッチから選択できる場合があります。
tune:チューニングを調整できます。下部の表記をクリックするとオクターブや半音の調整ができます。
reverse / loop / loop rate:サンプルを逆再生、ループする設定ができます。波形から再生位置とループする範囲をドラッグして設定できます。
edit
それぞれのインストゥルメントを細かく調整するエリアです。
envelope:ADSR(アタック、ディケイ、サスティン、リリース)の他にcurveからアタックのスロープを調整できます。
flutter
ピッチをモジュレーションするLFOです。
fade in:LFOがピッチに完全な効果をもたらすまでの時間をms単位でコントロールします。
freq:LFOによるピッチモジュレーションの速度をHzで指定します。
amount:ピッチモジュレーションの深さを調整できます。
stereo
pan:ソースのパンフィールドを調整します。
spread:ソースのステレオ幅を拡大縮小します。
monophonic:モノフォニック及びレガートをオンオフできます。
advanced
keyrange:インストゥルメントのレンジを設定できます。
color:同じピッチのままで別のサンプルをトリガーすることができ、録音された2つのサンプルの違いによるキャラクターの変化を得ることができます。例えば、C3を再生するとC3として録音されたサンプルが聞こえてきます。その後colorを+2にすると、音程はC3のままですが、再生されるサンプルは元々D3で録音されたものをC3の音程に落としたものです。
L-R / R-L:ステレオの視点を入れ替えるスイッチは、オーケストラの音源を観客の視点と演奏者の視点の間で変更できます。
glide:連続して演奏される2つのノート間のポルタメント、スライドの時間を調整します。relativeをオンにすると、グライドタイムはノートの距離に比例します。
vel. sens:ベロシティ感度を調整できます。
fx
エフェクトは、個々のインストゥルメント用のlayer fxと両方のレイヤーにかかるgloabal fxがあります。
layer fx
filter:カットオフ、レゾナンス、ベロシティセンシティビティカットオフモジュレーション、フィルターエンベロープを備えた11種類のフィルタータイプから選択可能なフィルターです。
eq:3つの周波数バンド、バンド幅の調整、ゲインカット/ブーストコントロールができるイコライザーです。
dist:tubeは真空管アンプで発生する自然なコンプレッションとサチュレーションをエミュレートしています。driveはディストーションの量を決定し、dampenはディストーションによって追加された高周波のハーモニクスを低減するローパスフィルターとして機能します。lo-fiは、サンプルレートとビット数の削減するローファイエフェクトです。
comp:スレッショルド、レシオ、アタック、リリース、ゲインコントロールのあるコンプレッサーです。
delay:テンポ同期されたディレイタイム、フィードバック、L-Rパン量、Wet / Dryコントロールが搭載されたディレイです。
reverb:プリディレイ、サイズ、Dry / Wetのコントロールが可能なルームモデルリバーブです。
Global FX
filter:カットオフ、レゾナンスコントロールのあるハイパス、ローパスフィルターです。
eq:3つの周波数バンド、Qとゲインのカット/ブーストを調整可能なイコライザーです。
dist:クラシックなブリティッシュギターアンプを再現しています。gainはプリアンプのゲインを設定しベース、ミドル、トレブルのトーンカラーコントロールがあります。
comp:コンプレッサーとリミッターがあります。コンプレッサーはスレッショルドコントロール、レシオ、アタック、リリース、ゲインを備えています。リミッターは入力ゲインコントロールとリリースタイムを備えています。
motion:コーラスとフェイザーがあります。デプス、スピード、フィードバック、フェーズ、Wet / Dryのコントロールが可能です。
delay:2つ搭載されたディレイはテンポに同期したディレイタイム、フィードバック、LRパンニング量(Ping Pong)、Wet / Dryのコントロールがあります。
reverb:コンボリューションリバーブです。クリエイティブなインパルスレスポンスとリアルなインパルスレスポンスから選択できます。プリディレイタイム、アーリーリフレクションサイズ、レイトリフレクションサイズ、ハイパス、ローパスフィルターのカットオフ、Wet / Dryのコントロールが可能です。
rhythm
各レイヤーには、LFOまたはステップシーケンサーの2つのリズムジェネレーターがそれぞれ2つずつあります。
電源ボタン:rhythmをオンオフします。
rate:rhythmの右にあるレートは、モジュレーションレートを選択できます。
vol〜s.rate:それぞれのモジュレーション量を名前右側を上下することで調整できます。名前部分にカーソルを合わせるとノブマークになりクリックするとそのパラメータが表示されているページに移行し、デフォルト値を調整できます。
下部からLFO(wave)またはステップシーケンサー(step)のモジュレーションタイプを選択できます。
wave
LFOが選択されている場合は、shapeボタンをクリックして、プリセットのLFO波形から選択するか、左右の矢印を使ってメニューの波形を循環させます。retriggerを有効にすると、ノートを演奏するたびにモジュレーションの位相がリセットされます。fade inは、LFOをms単位で遅らせます。波形の画面を左右にドラッグして開始位相を調整することもできます。
step
ステップシーケンサーが選択されている場合、同様にプリセットパターンから選択することができますが、さらに細かな調整が可能です。stepsでシーケンスのステップ数を設定したり、flipでシーケンスの順序を逆にしたり、randomでランダムなパターンを生成したり、smoothの量を増やしてステップ間にグライドを加えたりできます。また、画面をドラッグすることで直接ステップパターンを描くこともできます。画面左右にある矢印は、全体のステップをずらします。
flux
fluxは、すべてのリズムジェネレーターのモジュレーションレートを決定するステップレートシーケンサーとして再構築されています。fluxボタンでオンオフを選択して設定マークからフラックレートシーケンサーを表示できます。各ステップには、レートパラメータが設定されています。各ステップに到達すると、現在のフラックスレートシーケンサーのステップに設定されているレートでモジュレーションされます。さらに、下部からフラックスシーケンサーの各ステップが一定時間、現在のステップに留まるように設定することもできます。
arp
アルペジエーターは左上からプリセットを選択できます。pedalの設定は最低音(low)または最高音(high)とシーケンスの連続する各音を交互に鳴らします。
アルペジエイターに表示されるステップは、アルペジオの各音のアクセントレベルをプログラムするためのものです。基本的にはリズムジェネレーターにあるものと同じような仕様です。repsはアルペジオの各ステップの繰り返しの量をコントロールします。
rate:アルペジオの速度を設定するか、ボックスをクリックしてレート値の表を開きます。
settings
duration:すべてのステップのゲートタイムをコントロールします。
swing:スウィング量を調整できます。
octaves:オクターブノブは、アルペジオが何オクターブを通過するかを設定します。
fixed velocity:アルペジオパターンのすべてのノートが同じベロシティで再生されます。
macros
mainにあるマクロスライダーは、右上をクリックして設定できます。右上1〜4から選択し、main以外のページのパラメータをクリックしてアサイン(assign)します。アサインされたパラメータを再度クリックして解除(remove)でき、他のマクロにアサインされているものは上書き(override)できます。
mainページに戻ると、それぞれアサインされたパラメータが一覧で表示されており、スライダーから量を設定、バイパスとバツボタンから解除も可能です。
まとめ
Analog Stringsは、ストリングス音源というよりシンセやシネマティック音源といった要素も強い音源です。
ソフトシンセとしてもかなり使えると思いますが、一般的なストリングス音源として使うには癖が強すぎるかもしれません。
この記事が参考になれば幸いです。
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