様々なビンテージシンセサイザーモデルの各部位を組み合わせる評価の高いソフトシンセu-he「Diva」の使い方第2弾です。
今回はエンベロープやLFO、チューニングなどの設定方法を解説します。また、Divaの難点である重い負荷を軽減するための設定もまとめています。
公式の英語マニュアルはこちらをご覧ください。
使い方①やレビューに関する記事は以下をご覧ください。
1. ENVLOPE
右上のパネルは2つのエンベロープで構成されており、それぞれに左下から3つのモデルを選択できます。
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スイッチでリリースステージをオフにすることができるので、長いディケイでもノートがリリースされるとすぐに停止します。
VEL:エンベロープのレベルをMIDIベロシティでどの程度変調させるかを決定します。
KYBD(キーボードフォロー):MIDIノート番号に応じてエンベロープをスケーリングします。これにより、高音のノートが短くなり、低音のノートが長くなります。
ANALOGUE
こちらのモデルは、他のエンベロープ同様のパラメータがあります。
DIGITAL
ANALOUGUEの後継機をモデルにしたエンベロープです。「Q」「C」というボタンがついています。
Q(Quantize):少しステップを踏んだようなエンベロープになります。
C(Curve):全体の曲線に影響を与え、少しカーブがかったエンベロープになります。
2. LFO
左下にはLFO 1、2があります。LFO1はビブラートの直接のソースとしても使用され、LFO 2はデフォルトでDivaの他のモジュールのいくつかのパラメータに接続されているため「Vibrato」「Mod」という名前が入っています。
Waveform:LFOの波形を選択します。
Restart:LFOをいつリスタートするかを選択します。
Sync:リスタートしません。
Gate:指定された「Phase(位相)」でノートごとにリスタートします。
Single:Syncに似ていますが、すべてのノートがリリースされた後、次のノートでリスタートします。
Random:音符ごとにランダムな位相でリスタートします。
Phase:Phase(位相)は、ノートが演奏されたときにLFOの波形をリスタートさせる周期内の位置を調整します。Randomに設定されている場合はこのパラメータは無視されます。
Delay:LFOを開始するタイミングをずらします。
Rate:LFOの速度を下の「Sync」で設定した基準を中心に変更できます。
Rate Mod:右側のセレクターで指定されたソースからのレートモジュレーション量をコントロールします。
Polarity:LFOは通常バイポーラですが、このスイッチを有効にするとユニポーラになり、正の値のみになります。
Depth Mod:右側のセレクターで指定されたソースからのLFOレベルモジュレーション量をコントロールします。
3. EFFECT
右下には、2つのエフェクトが表示されます。左上部のセレクターでエフェクトの種類を指定し、ボタンでオンオフします。
エフェクトは以下の種類があります。
- Chorus
- Phaser
- Plate
- Delay
- Rotary
一般的なエフェクトの他にRotaryもあり、「Controller」から利用可能なモジュレーションソース(ModWheel、Control A、Control B、Pressure)から、速度をモジュレーションするものを設定できます。
「Mode」ではNormal、Sync Bass、No Bassのいずれかを選択します。Normalモードではホーンとベーススピーカーは独立して回転しますが、Sync Bassモードでは位相が同期されます。No Bassモードでは、ベーススピーカーをオフにします。
上記Cory Henryの動画でCoryの奥にある大きな箱がレスリースピーカーです。
ドナルドレスリー(ドンレスリー)によって考案されたモーターによる回転でトレモロやビブラート、コーラスなどの効果を出すアンプ内蔵のスピーカーユニットです。代表的なレスリースピーカーは高音部、低音部のホーンスピーカー・ドラム(ベース)スピーカーが搭載されています。
4. TUNING
Vibrato:オシレーターがLFO1からピッチモジュレーションされる量をコントロールします。
Glide:ノート間のピッチ移行の時間を設定します。「Glide 2」はOSC2、3に適用されます。
「GlideMode」には2つのオプションがあります。
time:ノートが離れていても、グライドには同じ時間がかかります。
rate:ノートが離れていると、グライドは比例して遅くなります。
Fine:±1セミトーンの範囲でピッチをシフトします。
Transpose:±24セミトーンの範囲でピッチを半音単位でシフトします。
Up / Down:ピッチベンドの範囲を設定します。
Microtuning:様々なチューニングのマイクロチューニングフォーマットを選択できます。マイクロチューニングファイルを読み込んだ後、右下ボタンをクリックしてオンにします。
5. AMPLIFIER | PAN
VCA:VCAをEnvelope 1もしくはシンプルなGateから選択できます。つまりVCAにEnvelope 1を使用せず、他の目的のために解放することができます。
Volume:バイポーラのゲインコントロールです。正の値ではアンプを微妙にオーバードライブさせることができます。「Vol Mod」は、左側セレクターのモジュレーションソースを介してゲインモジュレーションを行います。
Pan:ボイスを左右にシフトさせます。「Pan Mod」はパンポジションをモジュレーションします。
6. VOICE
Mode:モノフォニック、ポリフォニック2種類だけでなく、発音のためのいくつかのモードがあります。
Poly:ポリフォニック。
Mono :モノフォニック。新しいノートは、常にエンベロープをトリガーします。
Legato:モノフォニック。連続したノートは、エンベロープをリトリガーしません。
Duo:デュオフォニック、スプリットボイス。Osc 2は一番高いノートをフォローし、連続したそれより下のノートを無視されます。
Poly 2:Polyの変形版で、リリース段階のボイスが新しいボイスにぬすまれてしまいます。
Note Priority:発音の優先順位です。MonoモードとLegatoモードにのみ適用されます。
last:最も新しいノートを優先します。(デジタル制御のシンセサイザーモデル)
lowest:最も低いノートを優先します。(Moogシンセモデル)
high:一番高いノートを優先します。(EMS、日本のモノシンセモデル)
Accuracy:CPU負荷とリアルタイムのオーディオ品質を決定するためのパラメータです。
draft:CPUには優しいですが、FMは音が荒く、レゾナンスが原始的です。
fast:許容できる品質でより多くのポリフォニーが必要な場合に最適です。
great:品質とポリフォニー間の最高の妥協点です。
divine:最高品質のゼロディレイフィードバックフィルターです。
Offline Acc:オフラインオーディオレンダリングの精度を決定するものです。「best」もしくはAccuracyで設定したものと同じ精度を選択する「same」があります。
Voices:Voicesは、Voice-Stealingが発生する前の最大のボイス数を設定します。
最も古い音(まだ鳴っている最初に演奏された音)がカットされ、新しい音を演奏すること。
Stack:ユニゾンボイスの数を最大6まで設定できます。CPU負荷が格段に上がりますが、かなり太いモノフォニックの音が鳴ります。
7. CLOCK | ARPEGGIATOR
Clock:アルペジエーターのクロックを設定します。Clockの文字右のセレクターでレートを決め、「Multiply」からDAWのBPMを中心に調整できます。「Swing」でスウィングすることも可能です。
Arpeggiator
Mode:アルペジエーターは以下の6つのモードがあります。
played:再生された順番で再生します。
up:低い音から高い音へ再生します。
down:高い音から低い音へ再生します。
up+dn 1:「up」+「down」のバージョンです。
up+dn 2:「up」+「down」ですが、最高音と最低音はリピートされます。
random:ランダムに再生されます。
Progression:アルペジオが次のオクターブに進むタイミングを決定します。
serial:全ての音を弾いた後、オクターブ上に移動します。
round:serialと同じですが、上まで行った後、オクターブ下に下がっていきます。(オクターブを3または4に設定)
leap:2番目のノートからオクターブ上に移動します。
repeat:leapに似ていますが、次のノートの前に同じ音を全オクターブで繰り返します。
Octave:アルペジオをトランスポーズします。オクターブは、縦一列のLEDで表示されます。
Restart:アルペジエーターが再び最初から演奏を開始するまでに演奏するノートの数を設定します。拍子を合わせるのに便利です。
8. MODIFICATIONS
VCO
FM & Cross Mod Depth:選択したモジュレーション・ソースからのFM量を調整できます。この機能は、DUAL VCOの「Cross Mod」パラメータを反映しています。
Noise & Dual VCO Mix:選択したモジュレーションソースから、すべてのオシレーターモデルのノイズ(またはノイズの原因となるオシレーター)のレベルを調整することができます。
FILTER
Resonance Mod:選択したモジュレーションソースからResonance / Emphasis / Peakをモジュレーションすることができます。
Filter FM Mod:選択したモジュレーションソースからのフィルターFM(OSC1)量を調整します。
FEEDBACK
Feedback Mod:選択したソースからのフィードバック量を調整することができます。
メインパネルにある「M」はモジュレーションされているマークです。
RECTIFY:モジュレーションソースのすべての負の値を正の値に変換します。
INVERT:モジュレーションソースを逆さまにして、負が正になり、正が負になります。
QUANTIZE:離散的(数値がとびとびになる)ステップを作成します。
LAG:ソースの急激な変化を遅くします。方形波をより丸みを帯びたものにします。
MULTIPLY:2つのモジュレーションソースの積を出力します。
ADD:2つのモジュレーションソースの和を出力します.
9. TRIMMERS
OSCILLATOR VOICE DETUNE:オシレーターごと(縦列)にボイス(横列)をデチューンすることができます。ダブルクリックでリセットできます。再生中のボイスがLEDで表示されます。ペアになっており左側のLEDが1〜8、右側が9〜16となっています。
VOICE MAP MODULATOR:モジュレーションソースにある「VoiceMap」の値を指定します。
OSCILLATOR VOICE DETUNEとVOICE MAP MODULATORには、使用可能な16のボイスすべてに対応した8つのノブがあります。8つよりも多くの音色を持つプリセットは、これらの値を再利用します。
Detune Amt:OSCILLATOR VOICE DETUNE全体のデチューン尺度を設定できます。
Voice Drift:全体的な音程のゆるやかなゆらぎを調整できます。
VARIANCE:カットオフ(Cutoff)、エンベロープ(Env)、パルス幅(PW)、グライド(Glide)にランダムなオフセット量を適用します。ボイスごとに個別のノブがあるのではなく、OSCILLATOR VOICE DETUNEやVOICE MAP MODULATOR同様に8つの値をランダムに設定することができます。
LED Colour:DivaのすべてのLEDライトの色を決定します。
RESET PHASE:3つのオシレーターがリセットされる位相を設定します。この機能は、アタックに一貫性を持たせる必要があるサウンドに特に有効です。
Transient Mode:新しいボイスの最初の数ミリ秒の処理方法に影響を与えます。トランジェントモードの選択によって、パンチの効いた音やクリック感がある音などアタックに違いが出てきます。
Bipolar Noise:オンのままにしておくことが推奨されています。初期のプリセットとの互換性のために含まれています。
STACK TUNE:ユニゾンされたSTACK各ボイスのピッチを±2オクターブの範囲内で設定します。
10. SCOPE
オシロスコープは「Frequency」で水平方向の解像度をコントロールし、「Scale」で垂直方向の解像度をコントロールします。
オシロスコープウインドウ内を右クリックすると、描画モードを切り替えることができます。オプションの「glow」「fire」「wind」では余分なCPUを犠牲にしてフェードアウト効果を追加することができます。これらのモードは、「eco」「fast」モードに比べて、少し動きが鈍くなります。CPU負荷を最小限に抑えたい場合は、「eco」を選びましょう。
11. Divaの負荷を軽くする設定まとめ
以上の説明したパラメータのうち改めて負荷を軽くできるパラメータをまとめました。
音質に関係がないところ
- オシロスコープをecoモードにする
SCOPEは右クリックして「eco」にすることで負荷を減らすことが可能です。
音質に関係があるところ
- Accuracy・Offline Accの設定
Accuracyの設定を「draft」、Offline Accの設定を「same」にすることで負荷を減らすことができますが、音質は悪くなります。
演奏や音作りに関係があるところ
- Voices・Stack・Modeの設定
これが一番効果てき面ですが、同時発音数が限られてしまいます、、
Voices・Stackを最小にして、Modeを「poly」以外にすることで負荷はかなりおさえられます。
- オシレーターやフィルターの選択
エンベロープの選択では、負荷はあまり変わらない印象ですがオシレーターは「DUAL VCO ECO」、フィルターは「BITE」もしくは「CASCADE」「MULTIMODE」が比較的軽いです。
まとめ
Divaは音も素晴らしくかなり使えるソフトシンセですが、設定によって重い点だけ難点です。
上記で軽くする方法をまとめましたが、ボイス数をあげたりすると簡単に負荷は上がりますのでご注意ください。
この記事が参考になれば幸いです。
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