ビンテージシンセサイザーをモデルとしたかなり評価の高いソフトシンセ「Repro」。
Repro-1とよく表記されますが、実際はRepro-1とRepro-5が同梱されたソフトシンセサイザーです。
そんなReproをレビュー、メリットや注意点、デメリットからインストール・アクティベーション方法、使い方まで解説します。
是非参考にしてください。
ソフトシンセに関するまとめ記事や、Repro同様に評価が高いu-heのシンセDivaに関する記事はこちらをご覧ください。
1. u-he「Repro-1」「Repro-5」とは?
Reproはu-heが開発するソフトシンセサイザーです。
Repro-1と表記されている場合がありますが、実際は「Repro-1」「Repro-5」二つのプラグインが同梱されています。
作曲ソフトDAWの拡張機能AU(Audio Unit)、VST2、VST3、AAXプラグインとして利用できます。
それぞれビンテージシンセサイザー
- Repro-1はSequential Circuits(SCI)「Pro-One」
- Repro-5はSequential Circuits(SCI)「Prophet-5」
をモデルとしています。
Prophet-5は巨匠Dave Smithが手がける最も有名なシンセサイザーで同時発音5音のポリフォニックシンセサイザーです。Pro-OneはそのProphet-5のモノフォニック版と呼ばれており、同時発音数は1音になります。
Sequential Circuitsというメーカーは1970年中盤にDave Smithらによって設立されますが、1987年にYAMAHA によって買収されます。しかし、その後、Dave SmithがSequentialの商標をYAMAHAから譲り受け、現在は「Sequential」という名前になります。
Dave Smithが手がけるシンセサイザーのメーカー名遍歴
Sequential Circuits inc. (SCI) → Dave Smith Instruments (DSI) → Sequential
Prophet-5、Pro-Oneに関する詳しい記事は下記をご覧ください。
開発会社 | u-he |
操作画面 | |
製品名 | Repro |
モデル | Repro-1:Sequential Circuits(SCI)「Pro-One」 Repro-5:Sequential Circuits(SCI)「Prophet-5」 |
プリセット | 500以上 |
価格(定価) | 149ユーロ |
2. 導入するメリット
Reproを導入するメリットは主に以下の3つあります。
- 実機の音にかなり似ていてクオリティが高い
- 実機ではできない細かな設定も可能
- プロも利用するソフトシンセ
実機に近くクオリティが高い
Repro-1、Repro-5ともにモデルとなった実機と比べた動画が出ています。こちらを見ていただけるとわかりますが、かなり実機の音に近くとても良い音です。
Repro-1とPro-Oneの比較動画
Repro-5とProphet-5の比較動画
実機を今手に入れようとするとPro-Oneは15〜30万円、Prophet-5は60〜100万円ほどしますので、似た音を安価で手に入れることが可能です。
実機ではできない細かな設定も可能
Prophet-5の同時発音数5音ですが、Repro-5は1〜8音まで設定できます。
しかし、これだけではありません。
Reproは実機ではできないような設定をかなり細かくできます。
例えば、オシレーターやフィルター、ENVELOPEのモードまで変えることができます。
実機を元にして正確に作ったものから、実機で稀に見られる異質なモードまで事細かく分析して作られています。端から端まで分析した職人魂を感じます。
プロも利用するソフトシンセ
プロの方が利用する場面もよく見ます。アナログシンセをモデルとしたソフトでは一二を争うほど、高クオリティなシンセサイザーでしょう。
3. 利用する前に知っておくべき注意点・デメリット
しかし、利用する前に知っておくべき注意点が一つだけあります。
それは「重い」という点です。
Repro-1はまだ大丈夫な方ですが、Repro-5はかなり重いです。特に同時発音数を最大の8音にした場合は、オーディオに書き換えなければ使用することは難しいでしょう。
なるべく同時発音数を実機と同じ5音かそれ以下にすることをおすすめします。
また、右上にHQ(High Quality)ボタンがあり、それを押すとさらに重たくなります。
Repro-5の同時発音数8音でHigh Qualityにするとあり得ない重さになります。
High Qualityボタンは押したくなるボタンですが、必ずしも押すべきボタンではないと公式は推奨しています。また、CPU負荷をおさえる機能もあります。その点に関しては使い方の項目で解説します。
4. 口コミ・評判を紹介!
Reproの口コミ、評判をまとめてみました。
やはり重い点が若干ネックではありますが、アナログシンセサイザーをモデルとしたソフトシンセでこれほど評価の高いものはないでしょう。
REPRO-1と5使ってますが
divaも欲しいなって思ってます
CPU食いなのが玉に瑕ですが
単純に音だけで言えば一番スゴいと思ったシンセはいまだにRepro-1だったりする。
引用:Twitter
5. Reproに関するセール情報
u-he製品は、あまりセールをおこないません。
稀にセールを行う場合もありますので、そのタイミングを逃さないようにしましょう。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。
6. u-he製品のインストール・アクティベーション方法
Plugin Boutiqueにてインストール・オーソライズ方法が記載されていますが、以下の3STEPで簡単に完了します。
- redeem.u-he.comにてシリアルナンバー登録、アカウント情報入力
- プロダクトをu-he.comからダウンロード、インストールして起動
- 届いたメールに記載してあるシリアルナンバー、ユーザーネームを入力してアクティベート
7. 使い方を解説!
ここからは実際にReproの使い方を解説します。
公式の英語マニュアルはこちらをご覧ください。
まずはRepro-1から解説します。Repro-5の使い方は後日別記事にて解説します。
起動すると右上にUNDO(戻る)、REDO(進む)、SAVE(保存)、HQ、zZz、MASTER TUNE(マスターピッチ)、OUTPUT(アウトプットレベル)があります。
HQ:その名の通りHigh Qualityモードで、押すとCPU負荷も上がります。公式では、極端なピッチなどモジュレーションでのみ必要で、それ以外ではほとんど意味がないとのことです。
zZz:Repro-1がノートを再生していないときは常にCPU消費が削減されます。
右上端の歯車マークからMIDIコントロールが設定できます。
Repro-1は左上の以下4つの項目から設定できます。
- SYNTH
- TWEAKS
- SEQUENCER
- PRESETS
PRESETS
左上DIRECTORYのLocalフォルダからプリセットの種類を選択し、真ん中一覧からプリセットを選択します。左上TAGSからタグで絞ることも可能です。
SYNTH
基本的な音作りをするエリアです。音の流れは以下の画像の通りです。
※英語マニュアル引用
OSCILLATOR A
FREQUENCYノブ:ピッチを2オクターブの範囲(+/– 12半音)で調整します。
OCTAVE:4オクターブの範囲でピッチのオクターブを変えます。
FINE TUNE:FREQUENCYノブとOCTAVEノブの間にある小さなノブでピッチを40セントの範囲(+/– 20セント)内で調整します。
SHAPE:ノコギリ波、パルス波のスイッチを上に上げることでオンになります。両方オフの場合はOSC Aの音は出ません。
PULSE WIDTH:パルス波のみに影響するノブです。パルス幅変調します。
SYNC:ハードシンクでOSC BがゼロになるたびにOSC Aの波形が強制的にリセットされます。
OSCILLATOR B
基本的にはOSC Aと同じですが以下の項目があります。
TRIANGLE SHAPE:三角波スイッチがあります。三角形は基本周波数をブーストするために使用できます。
NORM / LO FREQ:オシレーターBの範囲を、LFOとしての使用に適した周波数まで拡張します。 FREQUENCYの範囲はNORMモードの4倍です。
KYBD / OFF:これをOFFに切り替えると、キーボードフォローが無効になり、演奏されるノートに関係なく一定のピッチになります。
GLIDE / MODE
RATE:あるノートから次のノートにピッチが移行する時間です。
AUTO:NORMでは、すべてのノートのピッチがスライドします。 AUTOは前のキーがまだ保持されている間に新しいキーが押されるとスライドします。
RETRIG:NORMでは、エンベロープを再トリガーしませんがRETRIGをオンにすると、エンベロープは新しいノートごとに再トリガーされます。
REPEAT:LFOまたはClockのレートでエンベロープを再トリガーします。ドローンモードのように、キーを押し続けることなくノートが繰り返されます。
DRONE:AMP ENVELOPEを持続させます。
MIXER
OSC A / OSC B:ABそれぞれの出力レベルです。
FEEDB / NOISE:スイッチをNOISEにすると、ノブはノイズジェネレーターの出力レベルを設定します。スイッチをFEEDB(フィードバック)にすると、ノブはAMPの後からMIXERに送り返される信号の量を制御します。
FILTER
CUTOFF:ローパスフィルターのカットオフ周波数を設定します。
RESONANCE:フィルター回路内のフィードバックの量を決定します。レゾナンスが高いほど、カットオフポイントが強調されます。
ENVELOPE AMOUNT:フィルターエンベロープのカットオフモジュレーションの量を調整します。
KEYBOARD AMOUNT:キーによって変わるカットオフモジュレーションの量です。ノートが高いほど、カットオフが高くなります。
FILTER ENVELOPE
フィルターをコントロールするエンベロープは、ノートが演奏されるたびに開始され、キーが押されている限り、エンベロープはATTACKおよびDECAYステージを進みます。その後、キーが放されるまでSUSTAINレベルのままになり、RELEASEノブで設定されたレートで下がります。
AMP ENVELOPE
ボリュームをコントロールするエンベロープです。基本的にはFILTER ENVELOPEと同じですが、二つの小さなノブがあります。
Volume Curve Trimmer:オリジナルのPro-Oneでは、VOLUMEノブはアンプエンベロープが最終VCAを変調する量を制御します。また、設計によるものではなく、動作の副作用として、エンベロープの曲率にも影響を及ぼします。 この癖を実装するために、DECAYとSUSTAINの間のトリマーノブがあります。
Volume Curve Trimmerを0と100に設定した場合のアタックとディケイは下画像のようになります。
※英語マニュアル引用
Velocity Trimmer:サステインとリリースの間のトリマーは、アンプエンベロープのベロシティーモジュレーションの量を調整します。
LFO
HOST SYNC / RATE:HOST SYNCに設定すると、LFOはクロック設定に従います。RATEにするとLFOの速度を自由に調整できます。
SHAPE:OSC Bと同じオプションですが、LFOのパルス幅は固定で50%です。
MODULATION SECTION
Repro-1は3つのモジュレーションソースを提供し、これらを混合して2つの異なるパスを介して5つのモジュレーションターゲットにルーティングできます。
以下のようにルーティングされています。
※英語マニュアル引用
MOD FIL ENV、MOD OSC B、MOD LFO:WHEELまたはDIRECTへのモジュレーション量。WHEELにルーティングされるモジュレーションの深さは、モジュレーションホイール(MIDI CC#01)によって制御されます。
CLOCK
DAWのテンポに合わせた8/1から1/64までの分割ができます。
ARP / SEQUENCER
※SEQUENCERに関してはSEQUENCERの項目で解説します。
LFO / KEY / CLOCK:このスイッチは、アルペジエーター、シーケンサー、REPEAT機能の駆動に使用する信号を選択します。 CLOCKでは、CLOCKパラメーターを介してDAWのテンポに同期します。LFOでは、LFOに同期します。 KEYにすると、シーケンスはキーを押すたびに1つずつノートが再生されます。
UP / OFF / UPDOWN:UPもしくはUPDOWNのアルペジエーターを有効にします。
LATCHスイッチ:アルペジオを演奏しながら、LATCHスイッチを上にスライドさせます。キーから手を離して、さらに他のキーを押してもアルペジオは持続されます。
SEQUENCER
左上のSEQUENCERからシーケンサーの設定が可能です。
Repro-1のシーケンサーでは、それぞれ最大32音の2つのパターンをステップ録音できます。
録音方法:SEQUENCERコントロールで、パターン(1、2、または1+2)を選択し、REC / PLAYをRECにスライドさせます。好きなノートを再生しパターンを作ります。パターンは1音でも可能です。終了したらRECからPLAYに切り替えて再生できます。
STEPS:これらは、各シーケンスの長さ、つまり、ステップ1に戻る前に再生するステップ数を指定します。1〜32のいずれかをクリックしても最終地点を選択できます。
TYPE:クリックするか、マウスホイールを使用して、通常の音(黒丸)、タイ(弧)、または一時停止(X)を切り替えます。
NOTE:0をノートされた音とし、そこから半音を1として-36〜36まで設定できます。
VEL:1〜127(デフォルトは90)のベロシティです。
SEQUENCERコントロール:SEQUENCERコントロールはSYNTHエリアのARP / SEQUENCERと同じです。
ON KEY / ALWAYS:ALWAYSを使用すると、すべてのキーがはなされてもシーケンスが再生され続けます。 ON KEYは、すべてのキーがリリースされるとすぐにシーケンスを停止し、新しいキーが押されるとシーケンスを再起動します。
REC / OFF / PLAY:レコーディングのためにシーケンサーを準備します。ノートを演奏すると録音が開始され、OFFまたはPLAYに切り替えると停止します。録音は、ステップ32に達すると自動的に停止します。
1+2 / 2 / 1:記録または再生するパターンを1、2、1+2から選択します。
REST:記録中にステップに休符を挿入します。
EDIT
PRESET:クリックすると、パターンのコピー、保存機能、シーケンサーパターンのフォルダが開きます。
ROTATE:このボタンは、シーケンスのアクティブな部分を左または右に一つ移動します。
CLAER:シーケンサーをクリアします。
KEYS / PERFORM
PB RANGE:各方向(上下)に個別にピッチベンド範囲を選択できます。
BYPASS FX:エフェクトをバイパスにするボタンです。
PERFORM:タッチキーボードの右側には、モジュレーションをアサインできる二つのスクリーンがあります。スクリーンからノブなどにドラッグアンドドロップすることでアサインすることができます。スクリーン下「▼」からソースを選択し、右クリックでもアサイン先を一覧で表示できます。
EFFECTS
下部パネルの左端のボタンから、キーボードとエフェクトを切り替えます。
FX CHAIN:左側のブロックは、クリックしてエフェクトをオンオフ、ドラッグ&ドロップで順番を変更します。信号はブロックの上部から下部へ流れます。
エフェクトの種類は以下です。
- JAWS WAVEFOLDER:ウェーブシェイパー、ウェーブフォルダー
- LYREBIRD:ディレイ
- RESQ:レゾネイター、イコライザー
- DRENCH:プレートリバーブ
- SONIC CONDITIONER:トランジェント、ゲイン、WIDTH
TWEAKS
TWEAKSページは、個々のモジュールの基本的な動作を変更できるようにするためのものです。5つのJUMPER(ミニ回路コネクター)と5つのモジュール調整SELECTORがあります。
JUMPER
LFO INV:INVに変えることで反転します。N(標準)では、LFOはオーディオオシレーターと同様に上昇するノコギリ波で、INV位置では下降するノコギリ波になります。
LFO DC offset:JUMPERがDCにある場合、パルス波とノコギリ波は正のみ(単極)です。 NO DCオプションは、それらをバイポーラにします。 LFOの三角形は常にバイポーラであり、JUMPERがDCにあるときはわずかなDCオフセットがあります。
OSC2 saw INV:INVにすると、ノコギリ波が反転します。
Microtuning:上部の小さな赤いスクリーンからマイクロチューニングのプリセットを選べます。
Microtuning on / off:選択したマイクロチューニングテーブルを有効/無効にします。
Note Priority:一度に複数のノートを演奏するときのRepro-1の反応を設定します。 LOWは最低音(オリジナルのハードウェア)を再生し、HIGHは最高音(EMSおよびほとんどの日本のシンセ)を再生し、LASTは最新の音(現代、デジタル制御シンセの典型)を再生します。
Key Tracking Source:KEY+PBにすると、カットオフはピッチベンダー(PB)も追跡します。
SELECTOR
JUMPERとは別に、TWEAKページには5つのSELECTORがあります(各オシレーターに1つ、フィルターに1つ、各エンベロープに1つ)。これらを使用して、メインのSYNTHページで過剰になっていたRepro-1の基本的な特性を変更します。
Oscillator tweaks
P1、P5は標準のIdealよりWarmなサウンドになります。名前でわかる通りP1はPro-One、P5はProphet-5のことでしょう。最も明らかな違いは、P5パルスが反転することです(そのため、SawとPulseを同時に使用する場合、P5はP1よりもはるかに大きいです)。それほど明らかではない違いは、SYNCがオンの場合、P1モードのOSC Aは常に基本周波数の一部を保持することです。
OSC BでのみBottomが選択でき、三角形の形状を強調します。
Filter tweaks
Crispy:Repro-1分析用に購入したハードウェアシンセ(おそらくPro-One)フィルターの正確なモデルです。比較的鮮明で明るい。
Rounded:Repro-1分析用に購入した他のハードウェアシンセ(おそらくPro-One)のフィルターの特に正確なモデルです。RoundedのカットオフはCrispyよりも数半音低く、レゾナンスにも大きな違いがあります。
Driven:このモデルは、新しい3320フレーバーを求めて内部フィルターパラメーターのバランスを調整したバージョンです。
Poly:関連するポリシンセフィルターの近似(おそらくProphet-5)。
Envelope tweaks
通常:通常の古いADSR。
High Sustain:実機のいくつかのバージョンで見られる興味深い障害をモデル化しています。アタックの終わりが約85を超えるサスティンレベルに到達しません。
One Shot:ゲートは無視され、ディケイはサステインレベルに到達するまで続き、すぐにリリースが続きます。このタイプのエンベロープは、パーカッションサウンドなどに特に適しています。
Piano 1 / 2:これら2つのモードは、CEM 3310エンベロープチップに関する雑誌Electronics and Music Maker(E&MM)のややこっけいな記事に従って実装されたとのことです。どちらのピアノモードでも、アタックとディケイはワンショットモードと同じです。ただし、リリース段階でキーを持ち上げると、追加のリリースがあり、ピアノ2モードよりもピアノ1の方が長くなります。
まとめ
Reproはかなり評価の高いソフトシンセサイザーです。
名機によく似た素晴らしいサウンドが手に入るのでかなりおすすめできます。
ただし、重いので使い方は少し制限されるかもしれません。
この記事が参考になれば幸いです。
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