Eventideの定番リバーブTverb。
一般的なリバーブとは少し異なる空間を再現できるリバーブです。
使いこなせばかなり使えますが、初心者の方は使い方が少しわかりにくいかもしれません。
この記事ではそんなEventide「Tverb」をレビュー、メリットや注意点、デメリットから、インストール・アクティベーション方法、使い方まで解説します。
是非参考にしてください。
1. Eventide「Tverb」とは?
Eventideが開発するリバーブプラグインです。
トニーヴィスコンティと開発したTverbは、部屋の鳴りを再現できるリバーブです。このバーチャルルームは、ベルリンのハンザスタジオをモデルにしています。
トニーヴィスコンティは1977年このハンザスタジオでDavid Bowie「Heroes」を録音し、そのボーカルリバーブがTverbを開発する元となっています。
開発会社 | Eventide |
操作画面 | |
モデル | ハンザスタジオ |
価格(定価) | 249ドル |
主な仕様 | リバーブエフェクト(ゲート、コンプレッサー付き) |
2. 導入するメリット
Eventide「Tverb」を導入するメリットは主に以下の3つあります。
- David Bowieのボーカルリバーブが再現できる
- 充実したプリセット
- 空間を再現できる
David Bowieのボーカルリバーブが再現できる
David Bowieのプロデュースなどで有名なトニーヴィスコンティとともに開発されたTverbはDaivid Bowie「Heroes」のリバーブを再現することが可能です。
プリセットのTony Visconti – Heroes Vocal Stereo Versionがそれです。
名曲のリバーブが再現できるだけでなく、そのセッティングを見ることで勉強にもなります。
充実したプリセット
David Bowieのプリセットがあるだけでなく、かなり多くのプリセットがあります。
有名なエンジニアやプロデューサーのプリセットは、トニーヴィスコンティだけでなく
- Ken Rich
- Peter Wetzler
- David Kaeser
- Kasson Crooker
- Jonathan Schenke
- Chuck Zwicky
- Aaron Nevezie
- Erin Tonkon
などがあります。
もちろん手がけた人物別だけでなく使用用途別、楽器別のプリセットもたくさんあります。
空間を再現できる
がっつりリバーブをかけることもできますが、ナチュラルに部屋の鳴りを再現することが可能です。
前後左右方向にマイクの位置を決めることができ、生楽器などに特に使えるエフェクトでしょう。
3. 利用する前に知っておきたい注意点・デメリット
しかしながら、利用する前に知っておくべき注意点が1点だけあります。それは、空間を再現するエフェクトであるという点です。一般的なリバーブにもあるパラメータはリバーブ後の効果ではなく、部屋自体の音をコントロールします。
もちろんがっつりリバーブをかけることもできますが、一般的なあからさまにかかるリバーブエフェクトを望んでいる方にとってはいまひとつ良さが分からない可能性があります。
4. 口コミ・評判を紹介!
Tverbに関する口コミ・評判をまとめました。
評価はかなり高く、空間を表現できる点が絶賛されています。
Tverbいいな。自分が持ってる中では一番好きなリバーブかも。
Dancing microphones…
Eventide TVerbはマイクロフォンの位置もオートメーション可能だというので踊らせてみた。
デモ試してみて良かったのでTverb追加した
引用:Twitter
5. Tverbに関するセール情報
Eventide製品は、頻繁にセールをおこないます。
割引率も高く50%以上の割引されることも多いですが、1回のセールで対象となる製品はかぎられているため、狙いの製品がセール中であれば手に入れるべきでしょう。
Tverbもセールの対象になることがあります。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。
6. Eventide製品のインストール・アクティベーション方法
Plugin Boutiqueにてインストール・オーソライズ方法が解説されています。
Eventide製品はiLokアカウントでの認証(iLok USBはなしでもOK)が必要になります。
iLok License Managerの使い方はこちらの記事を参考にしてください。
主に以下の3STEPで完了します。
- iLokアカウント登録・iLok License Managerダウンロード
- Eventideでアカウント登録。MY ACCOUNTのRegister a New Productから製品登録・ダウンロード
- iLok License Managerを起動しログイン・アクティベート
3をせずに、2を終えてDAWを起動した時点で自動でEventideのアクティベーションが始まり、iLok IDを入力して完了することもできます。
7. 使い方を解説!
ここからは実際に使い方について解説します。
英語のマニュアルはこちらをご覧ください。
https://downloads.eventide.com/audio/manuals/plug-ins/Tverb+User+Guide.pdf
このリバーブはトニーヴィスコンティによるDaivid Bowie「Heroes」のボーカルリバーブに触発され開発されています。まずはそのボーカルリバーブがどのように作られたかを知ることで、Tverbの設計意図がわかるでしょう。
David Bowie「Heroes」のボーカルリバーブについて
トニーヴィスコンティ
これを再現できるようにするため、Tverbでは3つのマイクをセッティングできます。
クローズマイク(MIC 1)はクリーンな信号または圧縮された信号を提供し、2つのゲートマイク(MIC 2、3)はバーチャルルーム内の任意の場所に移動して、カスタマイズ可能なゲートリバーブを実現できます。
上部からプリセットをLOAD、SAVEできます。その他に以下のボタンがあります。
COMPARE:プリセットが変更されると、COMPAREが点灯します。 COMPAREをクリックすると、変更されていないプリセットとプリセットの調整済み状態が切り替わります。
MIX LOCK:となりのMIXパーセンテージをロックします。
MIC 1
入力音源が部屋の正面から来ると想定しているため、マイク1は所定の位置に固定されており、David Bowieの近接マイクを表します。部屋全体に移動することはできませんが、マイクの上にカーソルを置くと設定を調整できます。
ローカット、ハイカットとマイクの指向性を選べます。
マイクの指向性は左から以下の3つになります。
無指向性:全ての方向から同じ感度で収音。
カーディオイド:最も一般的な単一指向性で、正面から来る音に対して感度が高く、背面から来る音に対して感度が低くなります。3つの中で最もクリーンで、リバーブを追加せずにクリーンな信号のみをピックアップします。
双指向性:正面または背面からの音に対して同等の感度を持ち、側面からの音に対して感度が低くなります。
MIC2、3
近距離および遠距離のマイクで、部屋のどこにでもドラッグして移動できます。
マイクを部屋内で移動すると、プリディレイが追加され、マイクの位置に対応するリバーブの初期反射が変更されます。
MIC2、3はドラッグでは全く同じ位置に移動できませんが、それぞれを選択して、テキストに同じ値を入力することで全く同じ位置にできます。
便利なコマンド
Shift+MIC2、3をドラッグ:Shiftを押している間、ソロモードになります。
右クリックでMICをドラッグ:横方向にのみ移動します。
Command+MICをドラッグ:細かく位置を調整できます。
コンプレッサー
クローズマイクであるMIC1にコンプレッサーが適用されます。このマイクの極性パターンにより、この信号がどの程度クリーンであるかが決まります。
カーディオイドは直接のドライ信号をキャプチャしますが、全指向性と双指向性は少し部屋の鳴りを加えます。左上のスイッチでオンオフでき、パラメータは一般的なコンプレッサーと同じです。
ゲート
MIC2と3に対応するチャンネル2と3には、ゲートモジュールがあります。左上のスイッチでオンオフでき、パラメータは一般的なゲートと同じです。
ただし、以下2つのスイッチがあります。
PRE:PREを選択すると、マイク1の信号がゲートとして使用されます。デフォルトでは、PREは選択されておらず、各ゲートの信号は入力と同じです。 PREは、リバーブ前の信号でゲートをトリガーする場合に便利です。
LINK:2つのゲートのコントロールをリンクします。LINKがオンの場合、ゲート2の値はすべて、ゲート1の値と一致するように変更されます。いずれかのゲートをさらに変更すると、両方に影響します。さらに、ゲートのTHRESHOLDの入力もリンクされるため、一方のゲートが開くと、もう一方のゲートも、それ自体で開くのに十分な信号を受信していなくても開きます。
ルーム
部屋を調整できます。リバーブ後の効果ではなく、部屋自体の音をコントロールするので注意しましょう。
HI:高音域のFREQ(中心周波数)、GAIN(ゲイン)
LO:低音域のFREQ(中心周波数)、GAIN(ゲイン)
DIFFUSION:部屋の拡散レベル
DECAY:リバーブの長さ
コンソール
トニーヴィスコンティが「Heroes」で使用した70年代のNeveに触発され、コンソールは3つのマイクのミキシングと信号処理を提供します。ルームマイクは実質的にコンソールに接続されているため、すべてのコンソール処理はリバーブ後に行われます。
フェーダー:それぞれのレベル
M:ミュート
S:ソロ
Sの下にあるマークは信号を反転します。これは、MIC2と3を近づけて配置し、位相キャンセルが発生する場合に便利です。
MIC2と3のフェーダーは、Shiftキーを押しながらいずれかのフェーダーをドラッグすることでグループ化できます。
まとめ
Tverbは空間を表現できる便利なリバーブプラグインです。
一般的なリバーブとは少し使用用途が異なりますが、使いこなすとかなり使えるプラグインです。
David Bowieのようなリバーブを手に入れることに興味がない方も十分に利用する価値があるでしょう。
Evetideは他にも名機SP2016をモデルとしたSP2016 Reverbというプラグインもおすすめです。
質問等ございましたら下部のコメント欄からどうぞ!