主にソフトシンセを開発するCherry Audioの代表となる製品Voltage Modular 2。
いくつかのパッケージがありますが、一番下のパッケージであるNucleusがSurrealistic MG-1 Plus同様に長期間無料で配布されています。
ただしモジュラーシンセなので、さわったことのない方は使い方に少し戸惑う可能性もあると思います。
この記事ではそんなVoltage Modular 2の利用する前に知っておくべき注意点などレビューから基本的な使い方まで解説します。
是非参考にしてください。
同じく無料配布されているMoog製造の実機モデルソフトシンセCherry Audio「Surrealistic MG-1 Plus」に関する記事や無料で使えるおすすめフリーソフトシンセ一覧はこちらの記事にてまとめています。


1. Cherry Audio「Voltage Modular」とは?
Voltage Modular 2は、Cherry Audioを代表するソフトウェアモジュラーシンセサイザーのプラットフォームです。
3つのパッケージがあり、Voltage Modular 2 Nucleusは2021年5月現在無料で利用することができます。
VSTやAUなどのプラグインの他に、スタンドアローン(単体で起動)でも利用することができます。
Voltage Modular Core + Electro Drums
- モジュール数:Voltage Modular Core 90+モジュール / Misfit Audio Electro Drums 15モジュール
- プリセット数:Core Presets 551プリセット / Electro Drums Presets 94プリセット
- 価格(定価):150ドル
Voltage Modular Ignite
- モジュール数:40+モジュール
- プリセット数:Ignite Presets 296プリセット
- 価格(定価):100ドル
Voltage Modular Nucleus
- モジュール数:20+モジュール
- プリセット数:Nucleus Presets 176プリセット
- 価格(定価):29ドル
入っているモジュールの種類など詳しい違いは公式をご覧ください。
2. 利用する前に知っておくべき注意点
Nucleusであれば現在無料で誰でも利用できますが、利用する前に知っておくべき注意点があります。
モジュールを組み立てる必要がある(プリセットそのままを利用しない場合)
当たり前といえば当たり前ですが、デフォルトの空モジュールでは音は出ません。また、プリセットを利用する場合でもつなぎ方をある程度知っておかなければ自分の思い通りにカスタマイズすることは難しいでしょう。
始めにBasic SquareやBasic Sawtoothなど基本的なプリセットから学ぶことをおすすめします。
Basic SquareやBasic Sawtoothは
- オシレーター
- アンプエンベロープ
- フィルターエンベロープ
- フィルター
- アンプ
のシンプルなプリセットでつなぎ方の基礎を知るのに最適です。
Nucleusはオシレーターの種類が少ない
現在無料配布中のNucleusは
- Oscillator
- Noise Generator
- Mini LFO
と、オシレーターの種類が少ないです。
他のモジュールで料理することはできますが、ベーシックなオシレーターをそもそも変えたいと思う方やPolyモジュールがほしい方は有料パッケージや個々のモジュールを別途で購入する必要があると思います。
3. 口コミ・評判を紹介!
Voltage Modularに関する口コミ・評判をまとめました。
他のCherry Audio製品や他社のモジュールをColtage Modular内に組み込むことができる点も魅力ですね。
ARP 2500に興味がある。でもベリンガーで揃える気も、、、とずっとモヤモヤしていたのだけれども、
Cherry AudioのVoltage Modular Nucleus(フリー版)を使って別途モジュールのVM2500 Collectionだけ買えばセール価格$39で済むのか!!
良く使うシンセたちが、
Massive→なんでも出来る凄い子なんだけど複雑
Voltage modular→パルス系などシンプルな音の方が向いてる
ES2→お前とは一生仲良くやれる気がしない
Model72→うおーーーー!!俺がシンセだうおーーーーーーー!!!!
みたいな印象がある。使い分けできつつある。
いじってると、時間吸われる´д` ;
音色によっては、u-he Repro よりも重くなって、192KHz じゃ無理で、96に落とすけど。
(モジュレーションを増やしてボイス数多めになるとヤバい)
Voltage Modular にVSTとして組み込むのも楽しい。
引用:Twitter
4. インストール・アクティベーション方法
Voltage Modular Nucleusのオーソライズは以下の4STEPで完了します。
- Cherry Audioでユーザー登録
- シリアルナンバーをhttps://store.cherryaudio.com/redeemから登録
- Voltage Modularをダウンロード
- 起動してログイン
ライブラリに新しく追加されたモジュールはすべて、自動的にVoltage Modularの中にダウンロードされます。Voltage Modularが起動している場合は更新ボタンを押します。
5. 基本的な使い方
各モジュールによって使い方が異なりますが、基本的な使い方で重要となる上部のI/Oパネルやつなぎ方について解説します。
公式の英語マニュアルはこちらをご覧ください。
Voltage Modularは起動すると空の画面が表示されます。左側のモジュールから選択してAddもしくはドラッグ&ドロップすることで追加、移動できます。プリセットは左上から選択できます。
ジャックからドラッグ&ドロップでケーブルをつなぐことができ、目的地として利用できないジャックはグレーアウトされます。ケーブルの切断は接続されたケーブルをジャックからドラッグして適当な場所で離すと消えます。
各ジャックはクリックすることで複数の入出力が表示されます。
モジュールを選択した後は、上部に固定されているI/Oパネルから各モジュールに接続することで音作りを始めます。
起動した空の状態では音が鳴らないのでご注意ください。
CV Sources
OCT:出力されるピッチコントロールのピッチをオクターブ単位で移調します。右のLEDは移調の間隔を表示します。
PITCH:ピッチコントロールの出力です。オシレーターのPITCH CV入力に接続することで、オシレーターのピッチがキーボードに追従するようになります。
GATE:キーが押されている間、5Vのゲート信号を出力します。一般的には、エンベロープジェネレーターに接続して振幅を制御します。
TRIG:トリガー信号はゲート信号とよく似ていますが、一時的に5Vを出力し、その後0Vに戻るという特徴があります。何かをON/OFFしたり、ワンショットのドラムサウンドを鳴らしたりする時に使われます。
Single / Multi:キーを押しながら別のキーを押したときの、ゲートとトリガーの動作を定義します。シングルモードでは、それまでに押さえていたキーをすべて離すまで、新しいゲートとトリガーは送られません。マルチモードでは、新しい鍵盤が演奏されるたびに、新しいゲートとトリガーが送られます。
VEL:0V~5Vのベロシティコントロールを出力します。
AFTERTOUCH:アフタータッチを送信するコントローラーを使用している場合、0V〜5Vのコントロールを出力します。
SUS:64以上のMIDIサステインペダルメッセージを受信した場合、5Vのコントロールを出力します。
BEND:ピッチホイールの動きに比例して、-5V〜5Vのコントロールを出力します。
MOD WHEEL:Mod Wheelの位置に比例して、0V〜5Vのコントロールを出力します。
POLY SOURCE
これは、特殊なポリモジュールで使用するためのもので最大16個の個別のCVレーンを伝送できるジャックです。ポリパッチの作成と演奏が簡単にできます。
POLY PITCH:ピッチコントロールの電圧を送信します。
POLY GATE:キーが押されている間、5Vのゲート信号を出力します。
POLY VEL:0V~5Vのベロシティコントロールを出力します。
NUMBER OF VOICES:最大16ボイスまでのポリボイス数を設定します。負荷を減らしたい場合は、ボイス数を減らしましょう。
MIDI
MIDI端子は、外部のキーボードコントローラーなどからポリフォニックピッチ、ノートオンオフ、MIDI CCデータを送信します。様々なMIDI対応モジュールと併用することで、ポリフォニックなパッチやアルペジオなどが可能になります。ボルテージのMIDIケーブルは、標準的なパッチケーブルよりも少し太くポリオシレーター、アルペジエーター、MIDIファイルプレーヤーなどMIDI端子を持つモジュールにのみ配線することができます。ジャックの横にあるLEDは、コントローラーからMIDIデータが受信されていることを示します。
TRANSPORT
PLAY:DAWでプレイが開始されると、5Vトリガーを送信します。
STOP:DAWでストップが開始されると、5Vのトリガーを送信します。
SYNC OUT:シーケンサーやその他のモジュールをDAWのテンポに同期させるために使用されるコンスタントな信号を送信します。この信号はSync Dividerモジュールと組み合わせて使用することを想定されています。完璧なタイミングを得るためにRESETを使います。Sync Dividerなどのシーケンサーモジュールには、リセット入力端子があります。
MAIN OUTS to Host
マスター出力部です。
VOLUME:マスターボリュームです。
LIMITER:リミッターがかかります。
1L(M) / 1R:パッチの最終モジュールが接続されるメインアウト端子で、最終モジュールはこの端子か隣のAUXアウトに接続されないと音が出ないです。
AUX OUTS to Host:MAIN OUTS to Hostと同様に機能しますが、追加出力にルーティングされます。ドラムモジュールをパラアウトする時などに利用できます。
VARIATIONS
個々のノブ、スライダー、スイッチコントロールの位置のみを設定をSAVEから保存することができます。ルーティングは保存しません。
PREV VAR:2.5V以上の電圧を受信したときに、バリエーションの選択を前に変更します。
NEXT VAR:2.5V以上の電圧を受信したときに、バリエーションの選択を次に変更します。
RAND VAR:2.5V以上の電圧を受信した場合、新しいバリエーションをランダムに選択します。
CV SEL:0~5Vの電圧入力で、任意のバリエーションを選択できます。バリエーションの総数は、0~5Vのスパンで均等に分割されます。例えば2つのバリエーションがあった場合、0〜2.49Vであればバリエーション1、2.5〜5Vであればバリエーション2が選択されます。
バリエーション管理:Manageからバリエーションの名前の変更、削除、順番の変更ができます。また、任意のMIDIコントローラーを特定のバリエーションの選択に割り当てることができます。
まとめ
モジュラーシンセを扱ったことがない方は、無料で手に入れることができますので学ぶ上でもおすすめです。
ただし、逆に簡単に扱えるシンセがほしい方は、扱いに困る場合があると思います。
この記事が参考になれば幸いです。
質問等ございましたら下部のコメント欄からどうぞ!