操作画面が明らかに他とは違うソフトシンセAbyss。
変わった面白い仕様で色など視覚的、感覚的に音作りできます。
この記事では、そんなAbyssをレビュー。導入するメリットやデメリット・注意点からインストール・アクティベーション方法、使い方、セール情報まで解説します。
是非参考にしてください。
1. Tracktion「Abyss」とは?
AbyssはTracktionが開発するテクスチャー、ドローン、パッドなどに最適なビジュアルシンセサイザーです。
独自のトーンカラーエディットにある色付いた点で表現されたマップから自由にアサインして組み合わせることでサウンドを作り上げることができます。
また、クラゲやイカなどの絵が特徴的な独特なエフェクトで磨きをかけることができます。
作曲ソフトDAWの拡張機能AU(Audio Unit)、VST3プラグインとして利用できます。
開発会社 | Tracktion |
操作画面 | |
製品名 | Abyss |
価格(定価) | 129ドル |
主な仕様 | トーンカラーエディットシンセ |
2. 導入するメリット
Abyssを導入するメリットとして感覚的、視覚的に音作りができる点が挙げられます。
他のソフトシンセなどとは全く異なるトーンカラーエディットを駆使して暖かい、冷たい、暗い、柔らかい、エネルギッシュなど音のトーンから選択して自由に組み合わせることができます。
映像と合わせた音など雰囲気作りに大変便利なシンセだと思います。
一般的なパラメータであるLFOやエンベロープもドラッグしてカスタマイズできる仕様で感覚的に操作できます。
また、90日間のフリートライアルがありますのでじっくりさわりながら購入するかどうか検討することも可能です。
3. 利用する前に知っておくべき注意点・デメリット
しかしながら、Abyssを利用する前に知っておくべき注意点もあります。
それは中心となる音はテクスチャー、ドローン、パッド系である点です。
Abyssはあくまでテクスチャー、ドローン、パッド系が中心のシンセです。プリセットのカテゴリも
- PAD
- DRONE
- SYNTH
- PULSE
- NOISE
となっており、一般的なLEADだったりBASSだったりはありません。
もちろん音作り次第ではそういった音も全然出せますが、特化しているのは雰囲気を作るサウンドでしょう。
エフェクトも空間系なものが多いです。
4. 口コミ・評判を紹介!
Abyssに関する口コミ・評判をまとめました。
まだリリースされたばかりですので導入した方はあまり見受けられませんが、気になっている方はかなり多いようです。
これは面白い。新しいスタイルのヴィジュアル・シンセサイザー音源。まるでXOのようなGUIでサウンドカラーをスペクトルで操作できる。リンク先に更に詳しい動画あり。AU/VST3
すごいペースで新案シンセプラグインを発表するTracktion>https://t.co/1G6Mxuw6te 前回のFMのはスルーしたけど「Abyss」はオモロイ。いわゆるシェーピング音源なんだけど、変調ソースで変化させる「GaraXynth」みたいな音色パレット方式。パッド向けかーとスルーしかけだが、プラック系もイケてる。
引用:Twitter
5. Abyssに関するセール情報
Tracktionはブラックフライデーのみならず、たまにセールを行います。
Abyssもセール対象となる場合があります。
最新のセール情報は以下をご覧ください。
6. インストール・アクティベーション方法
Tracktion製品のオーソライズは以下の3STEPで完了します。
- https://marketplace.tracktion.com/activateでシリアルナンバーと個人情報を入力(販売サイト購入の場合)
- Tracktion Download Managerをインストール
- 起動してログインし、製品をインストール
7. 使い方を解説!
ここからは実際にAbyssの使い方を解説します。
公式のマニュアルはこちらをご覧ください。公式動画でも少し解説がありますので参考にしてください。
プリセットは左上から選択できます。
真ん中上部には以下のパラメータがあります。
PITCH:ピッチを±24の範囲で調整できます。
TUNE:ピッチを細かく調整できます。
POS:トーンカラーグラデーション上の位置を調整できます。
CUTOFF:フィルターのカットオフ周波数を調整できます。
RESO:フィルターのレゾナンスを調整できます。
DIRT:ディストーションを付加します。
LEVEL:アンプレベルを調整できます。
PAN:LRのパンニングを調整できます。
EQ:左で低音寄りに、右で高音寄りになるチルトEQです。
これらのパラメータは、それぞれクリックすることで左右にあるエンベロープやLFO、MIDIコントロールなどのモジュレーション量を調整できます。
トーンカラーグラデーション
Abyss最大の特徴である中央のトーンカラーグラデーションは下部のEDITから色付いた点を自由に選んで設定できます。
色づいた点の集合をドラッグもしくはクリックすると音が鳴るので鳴らしながら音を選べます。選択した点はEDIT右上に表示されます。
決めた右上の点をトーンカラーグラデーションにドラッグしてアサインできます。
トーンカラーグラデーションは右端、左端などすでにアサインされている点にかぶせて入れ替えるだけでなくどの場所でも自由に付け加えることができます。
付け加えた点は左右にドラッグしてグラデーションの好きな位置に移動できます。EDITの色づいた点のマップは右側のパラメータから仕様を設定できます。これらの設定によって点の色も変わります。
LEVEL:選択されている音色のレベルを調整できます。
PITCH:選択されている音色のピッチを調整できます。
TUNE:選択されている音色のピッチを細かく調整できます。
STRAIGHTEN:大きくするとよりクラシックなオシレーターのようにストレートな音色になります。
DETAIL:小さくするとディテールの薄い音になります。
NOISE:ノイズを加えます。
ORGANIC:大きくするとわずかに動きのあるコーラスサウンドに変化します。
ENVELOPE / LFO
右側には、エンベロープが2つ、LFOが3つ搭載されています。一番右上のエンベロープはアンプエンベロープでもあります。エンベロープはカーソルを合わせると点が表示されますので、ドラッグして自由に変形できます。
LFOは、カーソルを合わせるといくつかのパラメータが表示されます。左上の三本線からプリセットを選択でき、その隣に左右、上下反転、SYNCボタンでDAWと同期、POLYボタンでそれぞれのボイスでLFOが独立します。RATEで速さを調整し、SMOOTHでスムーズになり変化をぼかします。LFOは波形をドラッグして自由に描くこともできます。
右下にある鍵盤マークは、カーソルを合わせると右側に表示されるSCALEもしくはARPをクリックして変更できます。
SCALE:スケールを制限できます。鍵盤をクリックして選択したキーのみ発音されます。
ARP:ピッチモジュレーションで変化するスケールを設定できます。
鍵盤マークの真ん中あたりをクリックするといくつかのスケールプリセットが表示されます。
MIDIコントロール
左側にはMIDIでコントロールする設定があります。MPEにも対応しています。
PRESS:プレッシャー(MPE)もしくはアフタータッチで変化する量を調整できます。
MPE SLIDE:スライド(MPE)で変化する量を調整できます。
GLIDE:グライド(MPE)もしくはピッチベンドで変化する量を調整できます。
VELOCITY:ストライク(MPE)もしくはベロシティで変化する量を調整できます。
MODWHEEL:初期設定でモジュレーションホイールになっているこのパラメータはクリックすることで他のMIDI CCなどを選択できます。同じパラメータが下にもう一つあります。
SPREAD:左右のオーディオチャンネルの違いを調整できます。
KEYTRACK:MIDIキーによって変化する量を調整できます。このパラメータは、真ん中下にある鍵盤から細かくカーブを調整できます。真ん中下にある鍵盤にカーソルを合わせて、クリックすることで点を追加し、ドラッグして調整できます。点を消したい場合はダブルクリックします。
FX
FXのエリアには4つのエフェクトが搭載されています。電源ボタンでオンオフ、それぞれ絵を上下にドラッグしてDry/Wet量を調整でき、名前をクリックすることでいくつかのモードを選択できます。
左から順に以下のエフェクトです。
SHIMMER:深さと明るさを調整できるシマーエフェクトです。
DELAY:ディレイタイムとフィードバック量を調整できるディレイエフェクトです。
REVERB:ルームサイズとステレオ幅を調整できるリバーブエフェクトです。
PHASER:レートとフィードバックを調整できるフェイザーエフェクトです。
まとめ
Abyssは他とは一味違う面白いソフトシンセです。
ただしテクスチャー、ドローン、パッド系が中心ですので作る楽曲のジャンルによっては十分に活用できない場合もあるのでご注意ください。
この記事が参考になれば幸いです。
質問等ございましたら下部のコメント欄からどうぞ!