音楽やDTMに触れていると耳にする言葉「サンプリング」。
サンプリングってぶっちゃけ何?どうやってやるの?こう思っているのでは?
サンプリングとは、音をデータとしてを取り込むこと全般を指していましたが、近年ではサンプリングと聞くと既存曲を再利用する音楽制作の手法と捉えられることが一般的になりつつあります。
この記事では、これからサンプリングを使って音楽制作に取り組みたいと考えている方が最低限知っておくべき情報をまとめました。
ぜひ参考にしてください。
1. 本来の意味でのサンプリングとは?
本来サンプリングは音をデータとしてを取り込むこと全般を指しています。
弊サイトでも記事にしたサンプリングレート・サンプリング周波数(サンプリングする率、割合)がまさにそれを表していますが、音をデータ化したものつまり、DAWなどを利用してパソコンに取り込んだ時点で全てサンプリングということになります。
2. 現代の一般的なサンプリングの意味とは?
現在、サンプリングと言えば主にすでにできている音楽を再利用することを指します。
そして、このサンプリングという手法が徐々に音楽業界で当たり前の手法になってきています。特にアメリカのヒットチャートの多くを占めるヒップホップ、ラップシーンではサンプリングは当たり前のように全員が使う手法です。
DJやヒップホップのアーティストがレコードなどを収集する理由の一つもこのサンプリングにあります。
今回はそんなサンプリングについて深く掘り下げていきたいと思います。
3. サンプリングに欠かせない機材だった「サンプラー」とは?
サンプラーとはパッドが並んだサンプリングができるハード機材のことです。
サンプリングしたものをパッドに割り当てて押すことでサンプリングした音を鳴らすことができます。またサンプリングする前からプリセットで音色が入っており、それらを利用することも可能です。
楽曲制作だけでなく、ライブはもちろん演劇やテレビ、ラジオなどの効果音をリアルタイムに合わせて音を出したい場合も利用できます。
サンプラーの例
Roland SP-404シリーズ
一般的なサンプラーで今なおテレビやラジオの裏方など様々な場面でよく見るものはRoland SP-404シリーズです。
Teenage Engineering PO-33 K.O!
びっくりするほど小型で録音を自動で切り刻み、面白いエフェクトが多数あるTeenage Engineering PO-33 K.O!などサンプラーも様々な形に進化しています。
サンプラーからMIDIパッドへ
しかし、DAWの普及によってパソコン内にサンプリングすることが増えたためサンプラーのようなパッドはMIDIでパソコン内の音を出すMIDIパッドとしての役割が増えました。DAWに関してはこちらの記事を参考にしてください。
現在ではNative InstrumentsのMASCHINEシリーズなど基本DAWなどソフトウェアと連動するドラム、パーカッション等の音源かつMIDIコントローラーとしてのパッドが多いです。(MACHINEは録音できる機種、できない機種があります)
MPCシリーズで有名なAKAIも仕様を変えMACHINEと同じようにソフトウェアと連動や液晶画面をつけることによって一つで曲作りが完結するサンプラーを出しています。
ビンテージサンプラーの魅力
しかし、サンプリングはDAWで可能とはいえサンプラーならではの荒い質感、音があり今なお人気のものもあります。
ビンテージのサンプラーE-MU SP 1200は現在でも中古で60万円前後します。
パソコン内へのサンプリングであってもプラグインエフェクトなどを使用して、わざとビンテージサンプラーの質感をエミュレートする場合もあります。
4. 元ネタの調べ方!ラップシーンなどで実際どれほど使われているのか?
feat.Bruno Marsの「Uptown Funk」でご存知の人もいるかもしれませんMark Ronsonによる「サンプリングが音楽を変えた」スピーチがTEDにて公開されています。
ここでは史上5番目に多く547回サンプリングされたというSlick Rick, Doug E. Freshのヒット曲「La Di Da Di」がどう進化していったかを例にあげています。
こちらはNintendoのゲーム音をサンプリングした楽曲をまとめられた動画です。楽曲はもちろん効果音や会話音、自然音など音が鳴れば全てサンプリングの素材となります。
大ヒットを記録したケンドリックラマー「DAMN.」のサンプリング元(元ネタ)を集めた動画です。
サンプリングと言えば古い音源から利用することが一般的ですが、楽曲「LOYALTY.」では2016年に発売したブルーノマーズ「24K Magic」からサンプリングするなどかなり新しい楽曲の再利用もされています。(動画1:20~)
このように現在、特にアメリカではサンプリングによる音楽制作は、当たり前のように使われる手法となっています。
サンプリング元ネタを調べる方法
検索することでサンプリング元がわかるWho Sampledというサイトもあります。Who Sampledはアプリも出しており音声認識や自分のApple Music、Spotifyライブラリからスキャンして調べることも可能です。
5. サンプル(サンプリング元)の入手方法・やり方
サンプリングという手法が使われるようになって新しいサービスが生まれました。
上記動画にあるケンドリックラマーの「FEEL.」(動画1:05~)から使われているサンプルは販売されているサンプルです。
サンプリングが手法として有名になるにつれ、サンプルをパックなどにまとめて販売するという業者やアーティストが出てきました。
しかし、サンプルはパックで売られることが一般的でいらない素材も含めて高値で買わなければいけないという問題があります。
そこで生まれたのが次に紹介する、サンプル音源のプラットフォームです。
6. サンプル音源プラットフォーム一覧
サンプル音源のプラットフォームの代表例としてSplice Soundsが挙げられます。
Splice Soundsではサブスクリプション(月額制)で200万を超える膨大なサンプルから一つ一つ好きなサンプルを使用できるサービスです。また、クリエイターはサンプルを提供する側にもなることができSplice Soundsで稼ぐことも可能となります。
他にもOutput「Arcade」やLoopcloud、LANDR Samplesなど次々にサンプルを提供するサブスクリプションサービスが出てきています。
チャートの上位にくるような有名アーティストもこれらのサービスを利用しており、またサンプルを提供する側にもなっています。
7. AIによるサンプル音源ジェネレーター登場!
ついにサンプリングをAIが生成する時代に突入しました。Co-Producerは、Output社が開発したジェネレーティブAI技術でCo-Producerの最初のツールは「Pack Generator」では、テキストプロンプトで説明するだけで、誰でもユニークなロイヤリティフリーのサンプルパックを作ることができます。
8. サンプル音源を利用するってぶっちゃけどうなの?
楽器を演奏することを覚えてからDTMを始めた方はサンプリングという手法に違和感を覚える方もいると思います。
しかし、もしあなたの楽曲がサンプルを利用することによってより良い曲になるのであれば利用すべきだと思います。
また今後もどんどん増えてくるであろう手法なので一度は必ずトライしてみましょう。
サンプリングは楽するために利用しているように思いますが、サンプルの選び方、処理の仕方などやってみると意外と奥が深く個性を出すことも可能です。
9. サンプル音源の著作権について
サンプリングと著作権に関する問題はもう何年も議論され、幾度となく裁判がおこなわれています。
もちろん他人の曲を許可なく利用することは著作権の侵害です。
演奏家が奏でた音や声は許可が必要で著作隣接権としての録音権により、演奏した音のサンプリングを禁止することができます。
もちろんアーティストの中にはサンプリングを一切許可していない方も存在します。
しかし、ドラムの音一つで著作権侵害で訴えられるのかと言われると答えはほぼNOとなってしまうでしょう。
サンプリングをされた側もサンプリングされたと気づくことが大変難しく、そこに対する問題点もあります。
重要なのは創作性のあるサンプルであるかどうかです。
サンプルに明らかな創作性がない限りはドラムの音一つで裁判沙汰になることはほぼないでしょうし、インディーズでかつ他の国の音源であればなおさらです。
しかし許可なく創作性のあるサンプルを使うことは著作権の侵害ですので、上記にあげたサンプル音源のプラットフォームを利用することをおすすめします。
またアメリカにはサンプリングの許可をサンプリング・クリアランス・エージェンシーと呼ばれるスペシャリストが存在します。
詳しくはHIPHOP DNAさんの「サンプリングの許可を取るスペシャリストが語る。サンプル使用許可のフロー、許可を出さないアーティスト、エミネムやドレイクの例など」をご覧ください。
日本ではあまり考えられないですが、それほどアメリカの音楽業界においてサンプリングは中心となっている手法である表れでしょう。
サンプリング問題を題材にしたドキュメンタリー
「コピーライト・クリミナルズ〜音楽は誰のもの?」
まとめ
サンプリングについて解説しました。
サンプリングとは音をデータとしてを取り込むこと全般を指していましたが、現在では楽曲を再利用することを主に指します。
Splice Soundsなど画期的なプラットフォームが登場しているので、サンプリングを利用した音楽制作はより主流となっていくでしょう。
今後とも、サンプリングとうまく付き合いながら、あなたの音楽作成をアップデートしていってくださいね。
質問等ございましたら下部のコメント欄からどうぞ!