マルチバンドのディストーション・サチュレーションプラグインFabfilter「Saturn」が進化!「Saturn 2」となりました。
FabfilterといえばEQのPro-Q 3が有名ですが、こちらもかなり評価の高いおすすめプラグインです。
そんなSaturn 2をレビュー、メリットやデメリット・注意点、インストール・アクティベーション方法から使い方まで解説します。
是非参考にしてください。
Pro-Q 3に関する詳しい記事はこちらをご覧ください。
1. Fabfilter「Saturn 2」とは?
Fabfilterが開発するマルチバンドディストーション・サチュレーションです。
最大の特徴は繊細でクリーンな暖かみのあるチューブやテープのサチュレーションから、ワイルドなギターアンプのようなエフェクトまでマルチバンドで細かく操作できる点です。
そこまで歪ませず、迫力を出したいだけの場合でも十分に利用できるプラグインです。
Saturn 2となり、歪みの種類も増え、操作画面がとてもわかりやすくなりました。
開発会社 | Fabfilter |
操作画面 | |
価格(定価) | 129ユーロ |
主な仕様 | マルチバンドディストーション・サチュレーション |
2. 導入するメリット
Saturnを導入するメリットは主に以下3つあります。
- 細かく調整可能でどんな歪みにも対応
- モジュレーションがかけられる
- 充実したプリセット
(1)細かく調整可能でどんな歪みにも対応
これはFabfilter製品全ての特徴とも言えますが、かなり細かく調整可能です。6バンドまで分割でき、28種類のサチュレーションがあります。
<STYLE一覧>
Tube:Subtle、Clean、Warm、Broken
Tape:Subtle、Clean、Warm、Old
Amp:American Tweed Amp、American Plexi Amp、British Rock Amp、British Pop Amp、Smooth、Crunchy、Lead、Screaming、Power
Saturation:Subtle、Gentle、Heavy
Transformer:Subtle、Gentle、Warm
FX:Smudge、Breakdown、Foldback、Rectify、Destroy
New:Saturn 2から搭載された種類
一部の帯域だけに適応するほんの少しのサチュレーションから、全体にがっつりかけるディストーションまで対応できます。
(2)モジュレーションがかけられる
バンドごとにモジュレーションを設定できます。この機能もシンセなみに充実しており、自由にモジュレーションをアサインできるので無限の可能性を感じます。
(3)充実したプリセット
プリセットがたくさんあります。Saturn 2は初心者の方が使いこなすには少し難しいかもしれませんが、プリセットから微調整するだけでも十分利用できるでしょう。
Saturn 2になり、かなり使いやすくなったので、以前のバージョンよりは初心者でも扱いやすいプラグインになっていると思います。
3. 利用する前に知っておきたい注意点・デメリット
しかし利用する前に知っておくべき注意点が一つだけあります。
それはモジュレーションの知識が多少必要だという点です。
シンセサイザーに慣れている方はモジュレーションの使い方などある程度わかると思いますが、シンセサイザーに慣れていない方はモジュレーションの項目がさっぱりわからないかもしれません。
モジュレーション抜きでも十分利用できますが、ある程度理解しておく必要があるでしょう。
下記にある使い方の項目で解説していますので参考にしてください。
4. 口コミ・評判を紹介!
Saturn 2の口コミ・評判をまとめました。
Saturn 2はまだ出たばかりですので、口コミはあまりありませんでしたがSaturnはかなり評価が高く絶賛されています。
sFabfilter Saturn2でアタック感のあるkickを歪ませた。
Industrial感🏭マシマシ
FabFilterのSaturnはウチでは必ず使うのですが、オケ系の場合は特に金管系に使う事が多いです。この動画の後半でブラス・セクションでのサチュレーション効果による倍音付加されてエッジが丸くなった雰囲気の違いが音で聞けるのでオススメです。
#平成最後に絶対買った方がいいPlugin
Fabfilter Saturn
持ってない人まじで買った方がいい
引用:Twitter
5. Saturn 2に関するセール情報
Fabfilter製品は、たまにセールをおこないます。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。
6. Fabfilter製品のインストール・アクティベーション方法
Plugin Boutiqueにてインストール・オーソライズ方法が解説されています。
Fabfilter製品のアクティベーションは簡単で以下の3STEPで完了します。
- Fabfilterにてユーザー、シリアルコードを登録
- ログインしてライセンスコードをコピー
- ダウンロードして起動後、Enter Licenseから貼り付け
7. 使い方を解説!
ここからは実際にSaturn 2の使い方を解説していきます。英語のマニュアルは以下です。
https://www.fabfilter.com/help/saturn/using/overview
上部左から
- 一つ前に戻す/一つ先に戻す
- A/B比較
- COPY(A⇄Bにコピー)
- プリセット
- Help
となります。
最大6バンドまで使用可能で、カーソルをディスプレイに上部に合わせると+ボタンとなり、好きな周波数でクリックすることでバンドが分かれます。
各バンドの左上にS(Solo)、M(Mute)があり、バンド間のCrossover Slopeは5種類から選択できます。
それぞれのバンドは真ん中にLevelボタンがあり、クリックすることそのバンドの細かな設定ができるバンドコントロールノブが下部に表示されます。
バンドコントロールノブ
ノブはPro-Q 3同様にカーソルを合わせてマウスホイールで調整すると便利です。Shiftを押しながらマウスホイールで調整するとさらに細かく値を決めることが可能です。
ダブルクリックすることで値を入力することも可能です。ノブをデフォルトの位置にリセットするには、Ctrlキー(Windows)またはCommandキー(macOS)を押しながらノブを1回クリックします。
各バンド間の周波数はHzを入力する以外にもA4やC2などキーを入力しても反映されます。
左から順に紹介します。
電源ボタン:バンドのオンオフ
ディスクマーク:プリセット
MIX:バンドの未処理(ドライ)信号と処理済み/歪んだ信号のミックスを設定します。
FEEDBACK:バンドのフィードバックのレベルを設定し、処理されたオーディオをバンドの入力にフィードバックします。
FREQ(Frequency):フィードバックループのリンギング周波数を設定します。
DYNAMICS:バンド信号をゲートまたは圧縮できます。ノブを右に回すと圧縮が大きくなり、ノブを左に回すとゲーティングが可能になります。
STYLE:信号に適用される歪みのタイプを選択します。以下のタイプがあります。
<STYLE一覧>
Tube:Subtle、Clean、Warm、Broken
Tape:Subtle、Clean、Warm、Old
Amp:American Tweed Amp、American Plexi Amp、British Rock Amp、British Pop Amp、Smooth、Crunchy、Lead、Screaming、Power
Saturation:Subtle、Gentle、Heavy
Transformer:Subtle、Gentle、Warm
FX:Smudge、Breakdown、Foldback、Rectify、Destroy
※New:Saturn 2から搭載された種類
DRIVE:一番重要な真ん中のノブです。ドライブを増やしている間、出力レベルは自動的に調整され、全体のサウンドレベルが制御不能にならないようにします。
内側がドライブで外側はPANを設定できます。PANを使用すると、ステレオチャンネル間のドライブ量のバランスを変更できます。
TONE:Bass、Mid、Treble、Presenceの4つから歪みアルゴリズムによって生成された倍音を調整できます。これは各バンドで別々に調整可能です。
LEVEL:内側でレベル、外側でPANを調整できます。こちらも各バンドで別々に調整可能です。
右上のバツでバンドを削除します。
MODULATION
ほとんどすべてのパラメータをモジュレーションできます。
Add Sourceのとなりにあるプラスボタンで新たに加えます。
モジュレーションをアサインする
プラスボタンで追加したソースの上部にある点を掴みます。するとアサインできるノブなど以外が暗くなります。ドラッグ&ドロップすることで線を引いてアサインできます。アサインされたノブはソースの色が付いた点マークがつきます。
線を引いたソース上部にある点や、アサインしたノブの名前右、バンド右上に表示される点をクリックするとモジュレーション量を調整できます。+ / – ボタンを使用して変調信号を反転できます。ノブと同様に、Shiftキーを押しながら微調整します。
メーターの左側にカーソルを合わせると、電源ボタンが表示され、オンオフ可能です。スロットを削除するには、メーターの右側にあるバツボタンをクリックします。
ここからは実際にソースの種類について解説します。
+ボタンから追加したソースはクリックすることで詳細な設定ができるものがあります。下部にある下矢印からセクションのプリセットを選べ、右上バツボタンから削除します。
XLFO
XLFOはなんと16ステップまで作れるLFOです。
Frequency:波形の1サイクルが完了するまでにかかる時間を設定します。このノブはモジュレーションターゲットでもあるため、アサインすることも可能です。
Balance:FREQノブ(OFFSETノブ)の外側のリングは、ステップシーケンスの最初と最後の半分の時間バランスを調整します。たとえば、左に回すと、波形の前半は後半よりも速く生成されます。
DAWと同期されたサイクル(16〜1/64)のいずれかを使用すると、FREQノブはOFFSETノブに変わります。ノブの周りのドットをクリックして、同期に合わせた特定のオフセットにジャンプします。
GLIDE:GLIDEはLFOの傾斜、形を調整します。
MIDI Sync:FREQノブの右上隅でMIDI同期オプションをアクティブにすると、ノートオンMIDIメッセージ(キーを押すなど)により、波形のサイクルが(Phase Offsetで設定されたポイントに)再開されます。リトリガーモードでは、ノートオンMIDIメッセージで、波形のサイクルを再開します。レガートモードに設定されている場合、XLFOは最初のノートオンMIDIメッセージによってのみトリガーされ、ノートが押されている間、連続するノートをリトリガーしません。
Snap:鍵盤マークをクリックすることにより、XLFOをアルペジエーターとして使用できます。スナップを有効にすると、小さな鍵盤が表示され、XLFOの範囲が2オクターブに変わり、ピアノキーボードのノートにスナップします。
Phase Offset:ステップエディターに表示されている三角形のことです。形状の垂直線は、各サイクルの開始を示します。この三角形を移動して、XLFOサイクルの開始を変更できます。
ステップエディター
ステップは右端プラスボタンで追加、マイナスボタンで削除されます。それぞれのステップを選択して、ステップエディター内で上下に動かすことによって位置を決めますがこれはVALUEノブでも設定でき、連動して動きます。VALUEの上にあるRandomを選択するとランダムに位置が動きます。
波形は4つから選択でき、各ステップ個別にGlideを設定できます。ただし、左にある全体のGlideノブがマックスだった場合、各ステップのGlideは反映されません。
Envelope Generator
エンベロープジェネレーター(EG)は、通常のADSR+Delay・HoldとADRのSlopeが調整可能で、NormalモードとNatural Sustainモードが選べます。
スレッショルドノブは、EGがトリガーする入力信号のレベルを設定します。
各バンド、メイン入力、サイドチェイン入力、MIDIの入力によってトリガーできます。 MIDIを選択すると、THRESHOLDノブが非表示になります。
Envelope Follower
各バンド、メイン入力、サイドチェイン入力に基づいてエンベロープ信号を出力します。
Attack、Releaseが調整でき、EnvelopeモードとTransientモードが選べます。
これはSaturnに比べてかなり見やすくなりました。
MIDI Source
MIDIキーボードまたはMIDIコントロールノブを使用してさらに制御します。最初にMIDIトラックからSaturnにルーティングする必要があることに注意してください。
XY Controller / Slider
マウスの動きで2つのパラメーターを制御できます。
XYコントローラーには2つの出力があるため、XとY2つのソースをドラッグするボタンがあります。
XYコントローラーをデフォルトの位置にリセットするには、Ctrlキー(Windows)またはCommandキー(macOS)を押しながら1回クリックします。
枠内の右下にある下矢印からXY、Sliderを変更することが可能です。2次元ではなく1次元でコントロールしたい場合はSliderを使います。
0 … 1:0〜1の範囲で表示するため、0が最小値になります。
-1 … 0 … 1:-1〜1の範囲で表示するため、0が真ん中となり、マイナスの値も可能です。
最後にバーの下部分にあるパラメータについて解説します。
Linear Phase:マルチバンドクロスオーバーフィルターと内部オーバーサンプリングの両方がLinear Phase Filterを使用して行われます。これにより位相の歪み/にじみが回避されます。
HQ:内部歪みアルゴリズムのオーバーサンプリングを制御します。多くのドライブを適用する場合にエイリアシングが発生します。 HQモードを有効にすると、内部サチュレーションセクションを8倍オーバーサンプリングすることにより、CPUパワーをより多く使用し、エイリアシングアーティファクトを削減します。
Goodモードは8倍のオーバーサンプリングで、Superbモード32倍のオーバーサンプリングです。ただし、CPU負荷が大幅に増加する可能性があります。
四角に上部直線が付いているマーク:Bypassにします。
画面右下にカーソルを合わせるとInput、OutputのGain、Panノブがあらわれます。L/RはM/Sに変更可能です。
フェーダーは全体のミックスを調整します。
Unrestricted Feedback:無制限フィードバック(FB)が有効になっている場合、DAWでの入力または再生が停止していなくても、フィードバックによりプラグインは無限に自己発振できます。デフォルトでは、無制限フィードバックは無効になっています。つまり、プラグイン入力がサイレントになると、各帯域のフィードバック量が自動的に減少します。
まとめ
Saturn 2はかなり細かく調整できる万能なサチュレーションです。使える場面はたくさんあるでしょう。
モジュレーションも搭載されているため、可能性は無限大にあります。モジュレーションを使ってアバンギャルドな歪みエフェクトを作ることも可能ですし、アタックだけ付加させたり、逆にリリースから立ち上がる歪みも可能です。
この記事が参考になれば幸いです。
質問等ございましたら下部のコメント欄からどうぞ!