オーケストラなどあらゆる高品質音源を開発するVSL(Vienna Symphonic Library)。
その中でもピアノ音源Synchron Pianosシリーズは、評価の高い音源です。数々のマイクポジションやリリースサンプル、一音ごとの細かな調整が可能で、あらゆるジャンルに対応する響きを奏でることができます。
この記事では、そんなSynchronPianosシリーズの中からスタインウェイをモデルとしたConcert D-274やヤマハをモデルとしたYAMAHA CFXをレビュー、使い方なども解説します。使い方は、他のSynchron Pianosもほぼ同様ですので、是非参考にしてください。
ピアノ音源に関するまとめ記事や簡単な比較はこちらをご覧ください。
1. VSL「Synchron Pianos」とは?
Synchron Pianosは、VSLが開発するピアノ音源シリーズです。
Synchron PianosはSynchron Playerエンジンをベースにして、マルチマイクの録音を細かく管理できるように設計されています。それぞれStandard LibraryとExtended Libraryを追加したFull Libraryの2種類がありマイクポジションを拡張することができます。
マイクポジション数(Standard→Full)
- BLÜTHNER 1895:4→8
- CONCERT D-274:5→11
- YAMAHA CFX:5→10
- BÖSENDORFER IMPERIAL:5→11
- BÖSENDORFER UPRIGHT:4→8
- BÖSENDORFER 280VC:4→7
- GERMAN UPRIGHT 1904:4→8
- FAZIOLI F212:4→8
- FAZIOLI F308:5→11
VSLでは、無料のピアノ音源「SOFT IMPERIAL」も利用することが可能です。
開発会社 | Vienna Symphonic Library(VSL) | ||||||||
操作画面 | |||||||||
製品名 | SYNCHRON PIANOS CONCERT D-274 | SYNCHRON PIANOS YAMAHA CFX | SYNCHRON PIANOS BÖSENDORFER IMPERIAL | SYNCHRON PIANOS BLÜTHNER 1895 | SYNCHRON PIANOS BÖSENDORFER UPRIGHT | BÖSENDORFER 280VC | GERMAN UPRIGHT 1904 | FAZIOLI F308 | FAZIOLI F212 |
モデル | Steinway | Yamaha | Bösendorfer | Blüthner | Bösendorfer | Bösendorfer | C. Bechstein | Fazioli | Fazioli |
サンプル数 | Standard 99,735 / Full 219,417 | Standard 119,020 / Full 238,040 | Standard 108,025 / Full 237,655 | Standard 62,232 / Full 124,464 | Standard 59,732 / Full 119,464 | Standard 81,504 / Full 142,632 | Standard 63,556 / Full 127,112 | Standard 165,060 / Full 363,132 | Standard 105,380 / Full 210,760 |
容量(インストールファイルサイズ) | Standard 118GB / Full 266.3GB | Standard 115GB / Full 239.9GB | Standard 128.8GB / Full 295.3GB | Standard 45.9GB / Full 98.6GB | Standard 48.6GB / Full 99.4GB | Standard 93.1GB / Full 174.4GB | Standard 63.6GB / Full 135.9GB | Standard 173.8GB / Full 399.9GB | Standard 68.7GB / Full 148.6GB |
価格(定価) | Standard 285ユーロ / Full 540ユーロ__________________ | Standard 255ユーロ / Full 490ユーロ__________________ | Standard 285ユーロ / Full 540ユーロ__________________ | Standard 195ユーロ / Full 345ユーロ__________________ | Standard 165ユーロ / Full 290ユーロ__________________ | Standard 285ユーロ / Full 445ユーロ__________________ | Standard 165ユーロ / Full 290ユーロ__________________ | Standard 315ユーロ / Full 590ユーロ__________________ | Standard 295ユーロ / Full 490ユーロ__________________ |
Concert D-274とは?
Synchron Pianosの中で、Concert D-274はハンブルグモデルSteinway & Sons D-274を収録したピアノ音源になります。全長274cm、重量500kgのD-274は、世界のステージで演奏されるコンサートグランドの90%を占めていると言われています。圧倒的な音のボリュームとパワーで、あらゆる時代の一流アーティストがスタインウェイを好んで弾いています。
1鍵盤あたり4,000サンプル以上、1マイクポジションあたり20,000サンプル以上を収録しています。
マイクポジション
マイクポジションは以下画像になります。
Standardでも利用可能なマイクポジション
- Room Mic (Mix):ルームミックスチャンネルには、Fullで利用可能なすべてのルームマイクのステレオミックスが収録されています。
- Condenser – Close 1:Schoeps MK 4のペアをハンマーエリアにできるだけ近い位置に配置したORTF方式(2本の単一指向性マイクを使って角度を開いたセッティング方法)セットアップです。ポップピアノのサウンドを作り出す際に最適です。
- Mid 1:Sennheiser MKH 800マイクをORTF方式で2本使用し、ワイドで暖かく、かつ明るく芯のあるサウンドを実現しています。
- Main/Room Mic – Decca Tree Stereo(L/R) Mono(C):Decca Tree Array(マイク3本を使ったLCRセッティング方法。上記画像の青い三角)にDPA 4006マイクを3本使用しています。Synchron Stage Viennaの細部まで捉え、ステレオミックスで使用するとピアノがどこに配置されているのかが簡単にわかります。
Fullのみで利用可能なマイクポジション
- Ribbon – Close 2:Royer SF-24を使用してBlumlein方式(2つの双指向性マイクを使って角度を開いたセッティング方法)でセットアップし、高速でダイレクト、かつナチュラルなサウンドを実現しました。
- Tube – Close 3:Neumann M-149ステレオペアのORTF方式セットアップで、スタインウェイDの美しさを、伝説の真空管マイクならではのアナログ的な暖かさと豊かさで表現しています。
- Mid 2:ORTF方式セットアップにSennheiser MKH 8040マイクを2本使用し、Mid 1よりもセンター寄りで硬くフォーカスされたサウンドを実現しています。
- Main Surround – Stereo (L/R):DPA4011カーディオイドマイクロホンを2本使用したワイドA-Bステレオセットアップです。ステレオミックスの中では、より広々とした印象を与えることができます。
- High Stereo (3D) – Stereo (L/R):AKG C-414コンデンサーマイク2本によるステレオA-Bセットアップ、Synchron Stage Viennaの天井の素晴らしい反射を捉えています。ステレオミックスでは、メインマイクの代わりとして使用することもできますし、より拡散した信号をダウンミックスすることも可能です。メインマイクに比べ、よりきらびやかで残響のあるサウンドが得られます。
- High Surround (3D) – Stereo (L/R):High Stereo (3D)と同様、AKG C-414を2本使用したA-Bセットアップです。
YAMAHA CFXとは?
YAMAHA CFXは、275cmのコンサートグランドYAMAHA CFXを収録したピアノ音源です。1鍵盤あたり最大4,200サンプルで、YAMAHAの演奏再生システム「Disklavier ENSPIRE PRO」を搭載しており、録音プロセス全体において最高の精度と解像度、一貫性で収録されています。
マイクポジション
マイクポジションは以下画像になります。
Standardでも利用可能なマイクポジション
- Room Mic (Mix):ルームミックスチャンネルには、Fullで利用可能なすべてのルームマイクのステレオミックスが収録されています。
- Close 1:Schoeps MK 4のペアをハンマーエリアにできるだけ近い位置に配置したORTF方式(2本の単一指向性マイクを使って角度を開いたセッティング方法)セットアップです。ポップピアノのサウンドを作り出す際に最適です。
- Mid 1:Sennheiser MKH 800マイクをORTF方式で2本使用し、ワイドで暖かく、かつ明るく芯のあるサウンドを実現しています。
- Main/Room Mic – Decca Tree Stereo(L/R) Mono(C):Decca Tree Array(マイク3本を使ったLCRセッティング方法。上記画像の青い三角)にDPA 4006マイクを3本使用しています。Synchron Stage Viennaの細部まで捉え、ステレオミックスで使用するとピアノがどこに配置されているのかが簡単にわかります。
Fullのみで利用可能なマイクポジション
- Close 2:Royer SF-24を使用してBlumlein方式(2つの双指向性マイクを使って角度を開いたセッティング方法)でセットアップし、高速でダイレクト、かつナチュラルなサウンドを実現しました。
- Mid 2:ORTF方式セットアップにSennheiser MKH 8040マイクを2本使用し、Mid 1よりもセンター寄りで硬くフォーカスされたサウンドを実現しています。
- Main Surround – Stereo (L/R):DPA4011カーディオイドマイクロホンを2本使用したワイドA-Bステレオセットアップです。ステレオミックスの中では、より広々とした印象を与えることができます。
- High Stereo (3D) – Stereo (L/R):AKG C-414コンデンサーマイク2本によるステレオA-Bセットアップ、Synchron Stage Viennaの天井の素晴らしい反射を捉えています。ステレオミックスでは、メインマイクの代わりとして使用することもできますし、より拡散した信号をダウンミックスすることも可能です。メインマイクに比べ、よりきらびやかで残響のあるサウンドが得られます。
- High Surround (3D) – Stereo (L/R):High Stereo (3D)と同様、AKG C-414を2本使用したA-Bセットアップです。
2. Synchron Pianosのプリセット
Synchron Pianosのプリセットは主に4つのカテゴリーに分かれています。
- Room-Mix Presets(Standard):できるだけ少ないマイクで、リソースを節約したプリセットです。
- Decca Tree Multi-Mic Presets(Standard):Room-Mixプリセットに比べ、よりスレンダーで拡散が少ないサウンドを特徴としています。
- Surround to Stereo Downmix(Full Library):実行時の遅延時間の異なる利用可能なすべてのルームマイクが含まれており、ルームの深さの知覚に多様性を生み出します。
- Surround (Full Library):マイクの信号を利用可能なサラウンドチャンネルに送信するように設計されています。
また、起動時に画面下部に表示される6つのキャラクタープリセットもあります。
- Concert:ピアノコンサートで最適なSynchron Stage Viennaの壮大な空間表現で、CloseとMidのマイクにリバーブを追加し、Room-Mixチャンネルに35msのランタイムディレイがあります。
- Intimate:親しみやすいバラードや低く力強いコードに最適な、高域の減衰とボディーの共鳴を加えた緊密で魅力的な音になります。Closeマイクに小さなリバーブ、絞ったRoom-Mixチャンネルに33msのランタイムディレイがあります。
- Player:理想的なレコーディングプリセットとして、EQを追加することなく自然で近い音で、部屋の柔らかいタッチを再現しています。鍵盤のステレオ幅をフルに生かした即応性と本物のスタインウェイの演奏感覚を表現しています。Closeマイクにほとんどリバーブを追加せず、高域を減衰させ、絞ったRoom-Mixチャンネルに21msのランタイムディレイがあります。
- Pop:ポップスなどのために、MIDI感度を下げ、低域と高域を強調し、短いリバーブをかけたパワフルで主張のある音になっています。Midマイクにほとんどリバーブを追加せず、低域と高域を強化し、絞ったRoom-Mixチャンネルに21msのランタイムディレイがあります。
- Ambience:映画音楽などに最適なゆったりとした余裕のある、柔らかいアタックで、ミックスのバックでも主張のある音になります。すべてのマイクに多くのリバーブをかけ、Room-Mixチャンネルに27msのランタイムディレイがあります。
- Mighty:映画のような風景や広いフィールドに最適な弾けるような響きと、スラップバックが特徴的な音になります。すべてのマイクに多くのリバーブをかけ、EQで調整されています。スラップバックは、MidマイクとRoom-Mixチャンネルのランタイムディレイで作成されています。
※Concert Centered(YAMHA CFXのみ):Concert Presetに非常によく似ていますが、部屋の中央に配置されています。EQとパンニングの適応が付属しています。Yamaha CFXを使ったソロ演奏に最適です。
3. 利用するメリット
Synchron Pianosを利用するメリットは主に以下のような点が考えられます。
- きらびやかな美しいサウンド
- ポップスからオーケストラまで対応する充実したマイクポジション
- ノート単位で細かく調整可能
きらびやかな美しいサウンド
弾いた瞬間感じた第一印象として、そのきらびやかなサウンド、響きに驚きました。
他のピアノ音源と比べても、圧倒的にきらびやかという言葉が似合う音源だと感じました。高音域では特にその美しさが際立ちます。
YAMAHA CFXは、Steinwayに比べるときらびやかな伸びは少しひかえめ(それでも他のピアノ音源に比べると十分きらびやかです)ではありますがその分、粒立ちが良いサウンドです。もちろんプリセットによってはアタック感がわかりにくい場合もありますが、ポップス向けのプリセットでは、一音一音がしっかり粒立ち良く鳴ります。どちらの音源も素晴らしいですが、そういった面においてはCFXの方が比較的扱いやすい音源と言えるかもしれません。
ただし、Yamaha CFXは、ポジションに注意が必要です。右側に寄った配置になっているため、プリセットによっては右側に偏りがある場合があります。「Concert Centered」と書かれたプリセットであれば、中央に配置したプリセットを利用できます。
ポップスからオーケストラまで対応する充実したマイクポジション
Synchron Stage Viennaの細部まで捉えた充実したマイクポジションがあります。ポップスでは、そこまで多くのマイクポジションを活用することは少ないかもしれませんが、Fullではかなり充実したマイクポジションを設定することが可能です。上記画像を確認することで、どの位置のマイクを扱っているかすぐにわかるので便利です。
もしSynchron Stage Viennaの鳴りやリバーブ感を少なくしたい場合は、MIXページでリバーブをオフにしてピアノに近いマイクポジション(Condenserなど)のみにし、そこから徐々にカスタマイズすることをおすすめします。
そうすることで、楽曲に合った自分好みの鳴りをカスタマイズできます。ただし、ピアノに近いマイクでもダイレクト音の後にリリースの響きを感じます。Synchron Pianos以外のピアノ音源と比べると、他の定番ピアノ音源の方がさらにデッドです。逆にいうと、Syncron Pianosの方がリアルな響きを奏でることができますが、これらもリリースサンプルを調整することで完全にデッドにすることも可能で自分で調整できます。リリースサンプルの調整方法は下記の使い方の項目で解説しています。
もう少し響きを抑えた音源を求めている場合は、ステージAより狭いステージBで収録されたSynchron Pianosをおすすめします。こちらも響きを感じますが、ステージAほどの広がりはなく、親しみやすいサウンドの音源です。
ステージAで収録されたSynchron Pianos
- FAZIOLI F308
- BÖSENDORFER
- CONCERT D-274
- YAMAHA CFX
ステージBで収録されたSynchron Pianos
- FAZIOLI F212
- GERMAN UPRIGHT 1904
- BÖSENDORFER 280VC
- BÖSENDORFER UPRIGHT
- BLÜTHNER 1895
ノート単位で細かく調整可能
ノート単位で細かく調整できると言えばフィジカルモデリング音源Pianoteqが挙げられますが、サンプルにも関わらず、Synchron Pianosでもノートごとの調整がかなり細かく可能です。なんと、鍵盤の一つ一つにEQをかけることも可能で、オケで合わせた時などに気になるキーがあればそのキーのみを自由にカスタマイズできます。
フレーズや和音の構成音の聞こえ方などを調整できます。ただし、各キーの設定は、鳴らした際に全て適用されますのでご注意ください。
4. Synchron Pianosに関するセール情報!
VSLは、ブラックフライデーのみならず頻繁にセールを行います。
ただし、Synchron Pianosがセール対象になるタイミングは限られていますので逃さないようにしましょう。
最新のセール情報は以下の記事を参考にしてください。
5. VSLのインストール・アクティベーション方法
VSLのインストール・アクティベーション方法は以下の5STEPで完了します。
- VSLアカウントとiLokアカウントを作成
- VSLページのマイアカウントからシリアルナンバーを入力して製品登録
- Vienna Assistantをダウンロード・インストール
- Vienna Assistantを起動しログイン、サンプルコンテンツとPlayerをダウンロード
- iLok License Managerを使ってアクティベート
iLokに関する詳しい記事は以下を参考にしてください。
6. Synchron Pianosの使い方を簡単に解説!
ここからは、実際にSynchron Pianosの使い方を簡単に解説します。
公式の英語マニュアルはこちらをご覧ください。
プリセットは右上のフォルダマークから選択できます。
上部から3つのページを選択できます。
- Play:Synchron Pianosの主要なパラメータを調整できます。
- Mix: 利用可能なすべてのチャンネルとリバーブ設定に対応する多機能なミキサーページです。
- Edit: EQとダイナミックレンジをノート単位でさらに細かく調整することができます。
Play
左側には以下の3つのパラメータがあります。
REVERB:リバーブセンドです。各チャンネルに加えるべきリバーブの量を調整します。Mixページの右側でリバーブの設定ができます。
VOLUME:全体の音量を調整します。Playページ左側と上部ヘッダーにあり、連動して調整できます。
DYNAMIC:ダイナミックレンジを拡張または最小化することができます。
下側には、ペダルに関する以下の3つのボタンがあります。
Soft:MIDI CC 67でトリガーされるソフトペダルは、鍵盤を横に動かしてピアノの音を柔らかくします。右クリックすると、永久的に有効になります。
Sost:MIDI CC 66でトリガーされるソステヌートペダルは、サスティンさせたい音を選択的に押さえます。右クリックすると、永久的に有効になります。
Sus:MIDI CC 64でトリガーし、サスティンペダルを踏むとダンパーが弦から離れ、演奏した音が鳴り続けるようになります。ハーフペダルは、ボタンの周囲の円にメーターのように表示され、CC 64の値26で始まり102で終わります(Editページで調整可能)。
右側には、ピアノ自体の音作りに関するパラメータがあります。
Body:すべての音の基本周波数を動的に調整することによって、楽器の知覚的な大きさを調整します。
Sympathetic:近接マイクの弦楽器の共振の量を設定します。音を出さずにキーを押したまま、他のキーを短く叩くと、この効果を聞くことができます。
Timbre Shift:再生時にサンプルのピッチによって音色をシフトさせ、マイナスの値では暖かみのある音に、高い値では明るい音になります。
Smooth Attack:低いベロシティでのアタックを滑らかにします。
MIDI Sensitivity:MIDI感度を-100から+100の範囲で調整できます。キーストロークのMIDIベロシティに対してピアノがどのように反応するかを決定します。
Half Pedal:連続したMIDI CCデータを送信するサスティンペダルで演奏するときに得られる効果の強さを調整することができます。
Pedal Noise:サスティンペダルのノイズの大きさを調整します。
Key Rel. Noise:キーリリースノイズの音量を調整します。
Tuning:Synchron Pianosの全体的なチューニングを調整します。
Octave:オクターブシフトにより、ピアノの音を最大4オクターブ高く、または低くすることができます。
Semitone: ピアノの音を最大で12半音高く、または低くできます。
Mix
EQ:チャンネルのイコライザーです。ダブルクリックすると、利用可能なすべての設定を含むウィンドウが開きます。
Delay: この設定を調整すると、各チャンネルにランタイムが追加されます。値はミリ秒単位です。この値の隣にあるマークでは、チャンネルの位相を反転させることもできます。
Reverb:リバーブセンドです。各チャンネルに追加するリバーブの量を調整します。リバーブの設定は、右側で可能です。
Pan:チャンネルのパンニングを調整できます。右クリックから通常のLRパンニングができる「Balance」と広がりを含めた細かな設定ができる「Power Pan」から選択できます。Pan Law(左右と中央でのレベル差)の設定は、ヘッダー右上設定マークのEngineから調整できます。
FX:全てのエフェクトスロットを表示して自由にエフェクトを加えることができます。
AUX: 追加のルーティングオプションを作成します。
BASIC: 各チャンネルのEQ、ディレイ、リバーブ、パンニングオプションを表示するMixページのデフォルト画面です。
ボリュームスライダー:チャンネルのボリュームを調整できますが、シフトを押しながらドラッグすることで細かく調整できます。
M:選択したチャンネルをミュートします。
S:選択したチャンネルをソロにします。
Output:利用可能な出力チャンネルを選択し、パラアウトできます。
チャンネルオンオフ:チャンネルの名前部分をクリックすることでオンオフすることが可能です。
右側には以下のリバーブに関するパラメータがあります。
Decay:リバーブが持続する時間を調整できます。
PreDly:最初の反射音が聞こえるようになるまでの時間を調整できます。
Level:リバーブのレベルを調整できます。
Damp:高音域をどの程度減衰させるかを調整できます。
リバーブオンオフ:チャンネル同様に下部の「Reverb」と記載されてある部分をクリックすることでオンオフすることが可能です。
マイクポジションの設定は、ピアノや拡張ライブラリによって異なります。
Edit
Editページでは、ノート一つずつに細かな設定ができます。下部の鍵盤にある各ノートの上を選択して(青くなります)、指定したノートの調整を行うことができます。右端にあるVOLUME、DYNAMIC RANGE、TUNINGを選択して、各ノートの黒いバーを上下にドラッグして調整することも可能です。
EQ:左上にあるイコライザーでは、なんとノート単位でかけることができます。通常のEQ同様にポイントを選択し、ドラッグして調整できます。下部のGain、Frequency、Qの値を上下にドラッグしたり数値を入力して調整することも可能です。Resetボタンで全ての設定をリセットすることも可能です。
Velocity Curve:キーボードのベロシティに対するマッピングを調整できます。ダブルクリックでポイントを追加、ドラッグして調整できます。Command/Ctrl+クリックでポイントを削除できます。
Global Dynamic RangeとGlobal MIDI Sensitivityは、Playページにある設定と同期しています。
Half Pedal Range:ハーフペダル範囲を設定できます。
Note Dyn. Range:選択したノートのダイナミックレンジを調整できます。
Note Volume:選択したノートのボリュームを調整できます。
Note Tuning:選択したノートのチューニングを調整できます。
Max Voices / Mic:マイク1本あたりの最大再生ボイス数を調整できます。
Max Voices / Key:キーごとの最大再生ボイス数を調整できます。
上級者向けにリリースサンプルの設定なども可能です。
RX Fix:リリースサンプルに追加されるリリース拡張時間を調整できます。
RX Dyn:ノートオンサンプルに追加されるノート/ベロシティに応じて調整されるリリース拡張時間を調整できます。
RX Dyn.Shape:ノート/ベロシティに応じて調整されるリリース拡張時間の転送曲線を調整します。
Repetition Smear:レペティションスミア機能(繰り返し音をスムーズにするか)のオンオフを切り替えます。
RS Level:リリースサンプルの音量レベルを調整できます。
まとめ
Synchron Pianosについて解説しました。
Synchron Pianosは、たくさんのマイクポジションを持ち、ポップスからオーケストラ、シネマティックまで対応するハイクオリティ音源です。
マイク設定やリリースサンプルの設定次第で、楽曲に合わせたあらゆる鳴りを作り出すことができるでしょう。
この記事が参考になれば幸いです。
質問等ございましたら下部のコメント欄からどうぞ!