VSLの高クオリティピアノ音源シリーズにFazioli F212が登場しています。
広いステージAでレコーディングされた別製品のF308と異なり、小さくドライなステージBで収録された音源です。親しみやすく、深く豊かなサウンドで親密で暖かい映画音楽からポップス、クラシックまで利用できる音源です。
この記事では、そんなStudio Fazioli F212の使い方やレビュー、インストール・アクティベーション方法、セール情報など解説します。
是非参考にしてください。
1. VSL「Studio Fazioli F212」とは?
Studio Fazioli F212は、Synchron Stage Viennaで入念にサンプリングされたピアノ音源です。壮大なステージAで収録された兄貴分のF308とは異なり、F212は小さくてドライなステージBで収録されました。ダイレクトな信号が多く、室内の音が少ないこの親密な環境では、力強い低音から温かみのある中音域、鮮明な高音域まで、その豊かなサウンドのあらゆるニュアンスが輝いています。
German Upright 1904として発売されているC.ベヒシュタインのアップライトピアノと同様に、ピアニストで映画音楽の作曲家でもあるMick Baumeister(Hornberg breath controllerの共同開発者)が所有しているピアノです。
ステージBでこの楽器をキャプチャーするために、レコーディングエンジニアは複数のハイエンドマイクアレイを使用しました。フルライブラリーには、コンデンサー、リボン、チューブオプションの3種類のクローズマイク、2組のミッドマイク、そしてサラウンドを追加したデッカツリーが搭載されています。
※追記:狭いステージBで収録された音源は、SynchronからStudioに名前が変更されています。
マイクポジション
マイクポジションは以下画像になります。

Standardでも利用可能なマイクポジション
- Condenser(Close 1):Neumann KM 184
- Mid 1:Sennheiser MKH 40
- Main/Room Mic – Decca Tree Stereo (L/R)
- Main/Room Mic – Decca Tree Mono (Center)
Fullのみで利用可能なマイクポジション
- Ribbon(Close 2):Royer SF-24
- Tube(Close 3):Neumann M 149
- Mid 2:AKG C414
- Main Surround – Stereo (L/R)
プリセット
プリセットは3つのカテゴリーで分けられています。
- Decca Tree Multi Mic(Standard): デッカツリーステレオ録音のクラシックサウンドは、Room Mixプリセットに比べて拡散が少なく、より細身のサウンドが特徴です。
- Surround to Stereo Downmix(Full):利用可能なすべてのルームマイクと様々なランタイムディレイが含まれており、部屋の奥行きの知覚に多様性をもたらします。
- FX Presets(Full):より思い切った、実験的なプリセットです。
3. 実際に使ってみてレビュー!
Fazioli F212は、同じくFazioliのF308など壮大なステージAで収録されたグランドピアノ音源とは異なり小さくてドライなステージBで収録されているため、サウンドやマイクの設定も異なりますのでご注意ください。
ステージAで収録されたSynchron Pianos
- Synchron Fazioli F308
- Synchron Yamaha CFX
- Synchron Concert D-274
- Synchron Boesendorfer Imperial
ステージBで収録されたSynchron Pianos
※追記:狭いステージBで収録された音源は、SynchronからStudioに名前が変更されています。
- Studio Concert D 1887
- Studio Bluethner 1895
- Studio Fazioli F212
- Studio Boesendorfer 280VC
- Studio Boesendorfer Upright
- Studio German Upright 1904
- Studio FX Piano
ステージBの方が狭くマイクポジションも少ないですが、ステージBのマイクポジションでも十分利用でき、ジャンルによってはステージAの方が使わないマイクポジションが出てくる可能性があります。ポップスなどでは、ステージBの方が比較的扱いやすい場合があります。ただし、ステージAのピアノ音源もステージBのピアノ音源も音の響きは変わるものの、マイクのセッティングやリリースサンプルなどをちゃんと調整すればどちらも幅広いジャンルで利用でき、近いサウンドから遠いサウンドまで調整可能です。
マイクポジション数(Standard→Full)
- Synchron Fazioli F308:5→11(Essentials 2)
- Synchron Yamaha CFX:5→10(Essentials 2)
- Synchron Concert D-274:5→11(Essentials 2)
- Synchron Boesendorfer Imperial:5→11(Essentials 2)
- Studio Concert D 1887:4→8
- Studio Bluethner 1895:4→8
- Studio Fazioli F212:4→8
- Studio Boesendorfer 280VC:4→7
- Studio Boesendorfer Upright:4→8
- Studio German Upright 1904:4→8
- Studio FX Piano:4→8
Synchron Pianosは、過去にスタインウェイをモデルとしたConcert D-274やヤマハをモデルとしたYAMAHA CFXを使っていますが、それらは圧倒的にきらびやかなサウンドの印象でした。それらに比べるとFazioli F212はきらびやかというより親しみやすいサウンドをしています。
マイクポジションは、Standardが4つ、Fullが8つになります。Standardの場合は、クローズマイクがCondenserのみになりますが、Fullの場合、RibbonとTubeが追加されよりサウンドに深みや豊かさを出すことができます。より多くの近いマイクポジションを拡張できるのでFullバージョンおすすめです。
Synchron Pianos以外のピアノ音源と比べると、他の定番ピアノ音源の方がさらにデッドで狭いステージBとはいえピアノに近いマイクでもダイレクト音の後にリリースの響きを感じます。逆にいうと、Syncron Pianosの方がリアルな響きを奏でることができますが、これらもリリースサンプルを調整することで完全にデッドにすることも可能で自分で調整できます。リリースサンプルの調整方法は下記の使い方の項目で解説しています。

また、サンプルにも関わらず、Synchron Pianosはノートごとの調整がかなり細かく可能です。なんと、鍵盤の一つ一つにEQをかけることも可能で、オケで合わせた時などに気になるキーがあればそのキーのみを自由にカスタマイズできます。
フレーズや和音の構成音の聞こえ方などを調整できます。ただし、各キーの設定は、鳴らした際に全て適用されますのでご注意ください。
4. Synchron Fazioli F212に関するセール情報!
VSLは、ブラックフライデーのみならず頻繁にセールを行います。
ただし、Synchron Pianosがセール対象になるタイミングは限られていますので逃さないようにしましょう。
最新のセール情報は以下の記事を参考にしてください。
5. VSLのインストール・アクティベーション方法
VSLのインストール・アクティベーション方法は以下の5STEPで完了します。
- VSLアカウントとiLokアカウントを作成
- VSLページのマイアカウントからシリアルナンバーを入力して製品登録
- Vienna Assistantをダウンロード・インストール
- Vienna Assistantを起動しログイン、サンプルコンテンツとPlayerをダウンロード
- iLok License Managerを使ってアクティベート
iLokに関する詳しい記事は以下を参考にしてください。
6. Synchron Fazioli F212の使い方を簡単に解説!
ここからは、実際にSynchron Fazioli F212の使い方を簡単に解説します。
公式の英語マニュアルはこちらをご覧ください。
プリセットは右上のフォルダマークから選択できます。
上部から3つのページを選択できます。
- Play:Synchron Pianosの主要なパラメータを調整できます。
- Mix: 利用可能なすべてのチャンネルとリバーブ設定に対応する多機能なミキサーページです。
- Edit: EQとダイナミックレンジをノート単位でさらに細かく調整することができます。
Play
左側には以下の3つのパラメータがあります。
REVERB:リバーブセンドです。各チャンネルに加えるべきリバーブの量を調整します。Mixページの右側でリバーブの設定ができます。
VOLUME:全体の音量を調整します。Playページ左側と上部ヘッダーにあり、連動して調整できます。
DYNAMIC:ダイナミックレンジを拡張または最小化することができます。
下側には、ペダルに関する以下の3つのボタンがあります。
Soft:MIDI CC 67でトリガーされるソフトペダルは、鍵盤を横に動かしてピアノの音を柔らかくします。右クリックすると、永久的に有効になります。
Sost:MIDI CC 66でトリガーされるソステヌートペダルは、サスティンさせたい音を選択的に押さえます。右クリックすると、永久的に有効になります。
Sus:MIDI CC 64でトリガーし、サスティンペダルを踏むとダンパーが弦から離れ、演奏した音が鳴り続けるようになります。ハーフペダルは、ボタンの周囲の円にメーターのように表示され、CC 64の値26で始まり102で終わります(Editページで調整可能)。
右側には、ピアノ自体の音作りに関するパラメータがあります。
Body:すべての音の基本周波数を動的に調整することによって、楽器の知覚的な大きさを調整します。
Sympathetic:近接マイクの弦楽器の共振の量を設定します。音を出さずにキーを押したまま、他のキーを短く叩くと、この効果を聞くことができます。
Timbre Shift:再生時にサンプルのピッチによって音色をシフトさせ、マイナスの値では暖かみのある音に、高い値では明るい音になります。
Smooth Attack:低いベロシティでのアタックを滑らかにします。
MIDI Sensitivity:MIDI感度を-100から+100の範囲で調整できます。キーストロークのMIDIベロシティに対してピアノがどのように反応するかを決定します。
Half Pedal:連続したMIDI CCデータを送信するサスティンペダルで演奏するときに得られる効果の強さを調整することができます。
Pedal Noise:サスティンペダルのノイズの大きさを調整します。
Key Rel. Noise:キーリリースノイズの音量を調整します。
Tuning:Synchron Pianosの全体的なチューニングを調整します。
Octave:オクターブシフトにより、ピアノの音を最大4オクターブ高く、または低くすることができます。
Semitone: ピアノの音を最大で12半音高く、または低くできます。
Mix

EQ:チャンネルのイコライザーです。ダブルクリックすると、利用可能なすべての設定を含むウィンドウが開きます。
Delay: この設定を調整すると、各チャンネルにランタイムが追加されます。値はミリ秒単位です。この値の隣にあるマークでは、チャンネルの位相を反転させることもできます。
Reverb:リバーブセンドです。各チャンネルに追加するリバーブの量を調整します。リバーブの設定は、右側で可能です。
Pan:チャンネルのパンニングを調整できます。右クリックから通常のLRパンニングができる「Balance」と広がりを含めた細かな設定ができる「Power Pan」から選択できます。Pan Law(左右と中央でのレベル差)の設定は、ヘッダー右上設定マークのEngineから調整できます。
FX:全てのエフェクトスロットを表示して自由にエフェクトを加えることができます。
AUX: 追加のルーティングオプションを作成します。
BASIC: 各チャンネルのEQ、ディレイ、リバーブ、パンニングオプションを表示するMixページのデフォルト画面です。
ボリュームスライダー:チャンネルのボリュームを調整できますが、シフトを押しながらドラッグすることで細かく調整できます。
M:選択したチャンネルをミュートします。
S:選択したチャンネルをソロにします。
Output:利用可能な出力チャンネルを選択し、パラアウトできます。
チャンネルオンオフ:チャンネルの名前部分をクリックすることでオンオフすることが可能です。
右側には以下のリバーブに関するパラメータがあります。
Decay:リバーブが持続する時間を調整できます。
PreDly:最初の反射音が聞こえるようになるまでの時間を調整できます。
Level:リバーブのレベルを調整できます。
Damp:高音域をどの程度減衰させるかを調整できます。
リバーブオンオフ:チャンネル同様に下部の「Reverb」と記載されてある部分をクリックすることでオンオフすることが可能です。
マイクポジションの設定は、ピアノや拡張ライブラリによって異なります。
Edit

Editページでは、ノート一つずつに細かな設定ができます。下部の鍵盤にある各ノートの上を選択して(青くなります)、指定したノートの調整を行うことができます。右端にあるVOLUME、DYNAMIC RANGE、TUNINGを選択して、各ノートの黒いバーを上下にドラッグして調整することも可能です。
EQ:左上にあるイコライザーでは、なんとノート単位でかけることができます。通常のEQ同様にポイントを選択し、ドラッグして調整できます。下部のGain、Frequency、Qの値を上下にドラッグしたり数値を入力して調整することも可能です。Resetボタンで全ての設定をリセットすることも可能です。
Velocity Curve:キーボードのベロシティに対するマッピングを調整できます。ダブルクリックでポイントを追加、ドラッグして調整できます。Command/Ctrl+クリックでポイントを削除できます。
Global Dynamic RangeとGlobal MIDI Sensitivityは、Playページにある設定と同期しています。
Half Pedal Range:ハーフペダル範囲を設定できます。
Note Dyn. Range:選択したノートのダイナミックレンジを調整できます。
Note Volume:選択したノートのボリュームを調整できます。
Note Tuning:選択したノートのチューニングを調整できます。
Max Voices / Mic:マイク1本あたりの最大再生ボイス数を調整できます。
Max Voices / Key:キーごとの最大再生ボイス数を調整できます。
上級者向けにリリースサンプルの設定なども可能です。
RX Fix:リリースサンプルに追加されるリリース拡張時間を調整できます。
RX Dyn:ノートオンサンプルに追加されるノート/ベロシティに応じて調整されるリリース拡張時間を調整できます。
RX Dyn.Shape:ノート/ベロシティに応じて調整されるリリース拡張時間の転送曲線を調整します。
Repetition Smear:レペティションスミア機能(繰り返し音をスムーズにするか)のオンオフを切り替えます。
RS Level:リリースサンプルの音量レベルを調整できます。
まとめ
Fazioli F212は、ステージAのピアノ音源に比べると抑えられた響きで、きらびやかというより親しみやすいサウンドをしています。
Synchron Pianosシリーズを検討している方は、まずステージAかステージBかどちらで収録している音源がチェックすることをおすすめします。ただし、どちらの音源もマイクポジションやリリースサンプルを調整することで幅広いジャンルに使えるハイクオリティ音源です。
この記事が参考になれば幸いです。
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