評価の高い名機モデルソフトシンセを開発するSynapse Audio。
その中でMinimoogをモデルとしたThe Legendが、数々の受賞歴を誇る映画音楽作曲家ハンス・ジマーとのコラボレーションにより新バージョン「The Legend HZ」に進化しました!前回バージョンでも太いサウンドを奏でるソフトシンセでしたが、オシレーターが倍増しさらに深く、厚く進化しています。
この記事では、そんなThe Legend HZの使い方やレビュー、インストール・アクティベーション方法まで解説します。是非参考にしてください。
ソフトシンセに関するまとめ記事はこちらをご覧ください。

1. Synapse Audio「The Legend HZ」とは?
The Legend HZは、有名なビンテージアナログシンセのMinimoogをモデルとして設計されたソフトシンセ「The Legend」と数々の受賞歴を誇る映画音楽作曲家ハンス・ジマーとのコラボレーションにより開発されました。
オリジナルハードウェアのサウンド特性を忠実に再現しながら、ユーザビリティが高く、非常に多機能なソフトウェアシンセを作るために、細部に至るまで細心の注意を払って設計されています。The Legendの成功に基づき、ハンス・ジマーとチームを組み、アナログモデリングシンセシスの新境地を開拓しています。
The Legend HZには、これまでThe Legendでは利用できなかった複数の機能が追加されています。その中には、モジュレーションマトリクス、32ステップシーケンサー、モジュレーションコントロールを追加するMSEG、拡張されたエフェクトセクションなどが含まれます。
- 正確な回路シミュレーション
- 6つの高品質VAオシレーター
- 8倍オーバーサンプリングエンジン
- 包括的なエフェクトセクション
- ユニゾン、モノ、4、8、12ボイスポリフォニーモード
- MPE(MIDIポリフォニック・エクスプレッション)のサポート
- 高度なアルペジエーター/シーケンサー
開発会社 | Synapse Audio Sofware |
操作画面 | ![]() |
製品名 | The Legend HZ |
モデル | Moog Minimoog |
価格(定価) | 169ユーロ |
2. The Legend HZの特徴・導入するメリット
The Legend HZを導入するメリットは、主に以下のような点が考えられます。
倍になったオシレーターで極太サウンドを奏でることができる
HZにアップデートされ、基本的なサウンドの方向性は変わらないもののオシレーターが倍の6つになったこともあり、さらに深く厚みを出せるようになっています。
特にカットオフを閉じた丸みのあるサウンドでは、他には負けない厚みや深さを出せます。Moog本家のソフトシンセMarianaと比べても引けを取らない素晴らしいサウンドです。
Minimoogから離れたサウンドも奏でることが可能
一つのアナログシンセをモデルとしている音源は、どうしても似たような系統の音が多くなってしまいがちですが、Minimoogらしい太さがありつつも、Minimoogモデルであることを忘れてしまうほど多様なサウンドを奏でることができ、使い勝手も比較的良いです。ベースやリードはもちろん、キーやパッド、テクスチャーまで奏でることができます。
プリセットを無限に増やせる
複数プリセットを元に新しいプリセットを生成するジェネレート機能が搭載されているので、無限にプリセットを増やせます。
- 同じプリセットばかり使っていて飽きた…新しいプリセットが欲しい…
- お気に入りプリセット以上の音作りがなかなか見つからない…
など、音作りに行き詰まった時に、お気に入りのプリセットから派生したプリセットを生成できるので大変便利です。
3. 口コミ・評判を紹介!
Legendに関する口コミ・評判をまとめました。
かなり評価が高く、他社製品と比べても使用頻度が高いという口コミもありました。
最近ここぞでTHE LEGEND HZばかり使っている自分に草wです。 U-he Divaも好きだけど自分的にソフトシンセの”ヌケ良く太い”ってこう言う感じ。
Legend HZもH3000も最高でーす。
最高位ミニモーグエミュと誉高いSynapse Audio+ハンス・ジマー共同開発のシグネチュアモデル「The Legend HZ」アプデ。3VCOから倍に。ハンスの914フィルターバンクを移植したアナログエミュの最高峰。物理モデル的な音色もプリセット可能。u-he「Zebra HZ」のパッド志向と違ってアタック鋭い構造に。
The Legend HzとDivaと比較してるけど、前者の方が音作りしやすい(つまみが大きいw)
音色に関しては好みの部分がありそうだけど誤解を恐れずにいうと、Sub37とVoyagerみたいな違いを感じるかも…(音が似てるとかそういう意味じゃなく、もう一歩狙った音作りがしやすいという意味で)
引用:X
4. The Legendに関するセール情報
Synapse Audioはブラックフライデーなどの期間以外にも稀にセールをおこないます。
半額程度で買える場合もあるので、その時期を逃さないようにしましょう。
ただし、セール期間や対象製品はかなり限られている場合があります。
最新のセール情報は以下の記事をご覧ください。


5. 基本的な使い方を解説!
ここからは、実際にThe Legend HZの基本的な使い方を解説します。
公式の英語マニュアルはこちらからご覧ください。
プリセットは右上から選択できます。プリセット名の左側のリストアイコンを選択するとプリセットブラウザが立ち上がります。
GENERATE:プリセット一覧から2〜3のプリセットを選択(ctrl or commandキーを押しながら)、右クリック→Geneticsを選択するか、GENETICSエリアにプリセットをドラッグ&ドロップしてGENERATEボタンを選択することで、それらのプリセットを元に新しいプリセットを作成できます。
AUTO:クリックするたびに現在のディレクトリから2つの新しいパッチをランダムに選択して組み合わせてジェネレートします。
Amountで、選択したプリセットのウェイトを調整することができます。SAVEでGeneticsにプリセットを保存します。
Pitch Bend(PB):ピッチベンドを調整できます。
Modulation Wheel(MW):モジュレーションホイールを調整できます。
GLIDE:音の移行時間を調整できます。
MOD MIX:オシレーター3とノイズジェネレーターのブレンドが、モジュレーションホイールのデフォルトのモジュレーションソースとして使用されます。MOD MIXは、これら2つのソースのミックスを調整します。
OSC:スイッチをオンにすると、すべてのオシレーターのピッチに対してモジュレーションが有効になります。
FILTER:スイッチをオンにすると、カットオフのモジュレーションが有効になります。
MSEG
MSEGは、パラメータの精密なコントロールを可能にする汎用性の高いモジュレーションソースです。4つあり、1〜4の数字を選択することで切り替えが可能です。線や点をドラッグして調整でき、ダブルクリックで新しいポイントを作成できます。
PRESET / EDIT:プリセットや基本的なエディットのメニューが表示されます。
LENGTH:MSEGの長さを調整できます。
MODE:MSEGには以下の5つのモードがあります。
- Note On:ノートが押されるとすぐにMSEGがトリガーされ、最後までいきます。
- Note Off:キーを離すとMSEGがトリガーされます。そのため、リリースを高めに設定する必要があります。
- Loop:エンベロープを周期的にループさせます。Note On、Offと違いこのモードではモノフォニックです。つまり、MSEGによって変調されたすべてのデスティネーションが同じ信号を受信します。
- Key On:主にアルペジオシーケンスのモジュレーションに使用します。Note Onがアルペジオシーケンスで新しいノートが発生するたびにMSEGをリトリガーするのに対し、Key Onは新しいMIDIキーが押されたときだけMSEGをリトリガーします。
- Trigger:Mod Matrixのデスティネーションとしてのみ使用可能です。MSEGのエンベロープを、いずれかのモジュレーションソースが命令したときだけトリガーする機能です。
SYNC:DAWなどホストテンポに同期します。
RATE:エンベロープの移動速度を調整できます。
OUTPUT
EFFECTS:エフェクトをオンオフします。
ARP:アルペジエイターをオンオフします。
DETUNE:ボイス数に対するピッチオフセットの量を設定します。高めに設定するとボイス間のピッチに微妙な違いが生じ、低めに設定するとボイス間のピッチにわずかな不一致が生じます。
SPREAD:UNISONモードすべてのPOLYモードでは、使用するボイス数に応じたステレオパノラマをコントロールできます。いずれのPOLYモードでも、SPREADは、1番目と3番目のボイスを右へ、2番目と4番目のボイスを左へ、というようにパンニングして統合されます。
POLYHPONY:ボイス数を設定します。モノフォニックは、MONOとUNISONの2種類があります。MONOモードでは、パッチは厳密に1つのボイスを使用します。UNISONモードでは、4つのボイスが同時にスタックされます。その結果、コーラスエフェクトが得られます。
VOLUME:シンセサイザー全体のマスターボリュームを調整できます。
OSCILLATORS
オシレーターは縦に3つ×横に2列並んでおり、全部で6つのオシレーターがあります。
WAVEFORM:波形を7種類からスイッチで選択できます。
RANGE:オクターブ単位でオシレーターのピッチを調整できます。LOは、主にLFOとして使用する際に使用しますが、特殊なエフェクトを作成する際にも使用できます。
SEMI:オシレーターのピッチを半音単位で調整できます。
FINE:半音(+/-50セント)以内のピッチ調整ができます。
ON / OFF:オシレーターをオンオフします。
KEYTRACK:オンにするとモジュレーションレートは、押されたMIDIノートによって決定されます。高いピッチではモジュレーションレートが徐々に速くなり、低いピッチではモジュレーションレートが徐々に遅くなります。オフにすると、押されたMIDIノートとは無関係になります。つまり、キーボードやMIDIコントローラーの音域全体を通して、モジュレーションレートは安定したままとなります。
MIXER
VOLUME:それぞれのオシレーターの音量を調整できます。
NOISE:PINK、WHITEノイズから選択できるノイズジェネレーターです。
DRIVE:フィルターに送られる信号のゲインを調整できます。DRIVEを高くするとフィルターがサチュレーションし、歪みます。複数のオシレーターが動作している場合、DRIVEを低く設定しても聴感上サチュレーションすることがあります。この効果を望まない場合は、オシレーターのボリュームを下げる必要があります。
FEEDBACK:マスター出力をフィルター入力に戻し、フィードバックループを作ることができます。
FILTER
CUTOFF:カットオフ周波数を調整できます。
RESONANCE:フィルターのレゾナンスを調整できます。
ENV AMT:フィルターエンベロープがサウンドに与える影響の度合いをコントロールします。
12 / 24 dB:1オクターブあたり12dBまたは1オクターブあたり24dBのいずれかで、どれだけ早く減衰させるかフィルターの傾斜を設定できます。
LP / BP:フィルターをローパス、バンドパスから選択できます。
KEYTRACK:スイッチを有効にすると、現在演奏されているキーに応じてカットオフ周波数が上がります。1つ目のスイッチはキートラックの1/3、2つ目のスイッチは2/3を有効にします。
FILTER ENVELOPE:エンベロープの時間経過(ADSR)とともにフィルターをコントロールできます。
AMPLIFIER ENVELOPE:音量をコントロールするADSRです。
BACKPANEL
GLOBAL
SYNC MODE:ホストもしくはINTERNALからMSEGとアルペジエーター、シーケンサーのトリガーを決定します。
POLY MODE:音色の優先順位を指定します。CYCLEは、音色を1つずつ順番に処理します。LASTでは、順番にこだわらず、同じ音色を必要に応じて繰り返し使うことができます。LASTはCYCLEよりも、同じ音色を連続して繰り返し演奏したい場合に効果的です。
MONO MODE:MONOとUNISONのモードで重なった音をどのように扱うかを決定します。RETRIGに設定すると新しいノートを演奏すると、常にエンベロープがアタックステージから再開されます。LEGATOに設定すると、新しいノートは現在保持されているノートがない場合にのみエンベロープをトリガーします。
MODEL REVISION:Legend HZには2つのリビジョンが用意されています。リビジョンの違いは、矩形波、ワイド波、ナローパルス波形のパッチを使用する場合に顕著になります。
COARSE:ピッチを-2~+2オクターブ単位で調整できます。
FINE:ピッチをセント単位で微調整できます。
PB RANGE:ピッチホイールが上下にトランスポーズする最大の半音数を調整します。
MPE:MPEは、特にピッチベンド、ブライトネス、アフタータッチなど、鍵盤ごとに個別のコントローラーメッセージを送信できる規格です。
VELOCITY:ベロシティのカーブを調整できます。
TIMBRE:CC74のカーブを調整します。
ATOUCH:タッチ後のカーブを調整します。
MODULATION
PITCH RANGE:モジュレーションホイールがピッチに与える影響を増減させることができます。
CUTOFF RANGE:モジュレーションホイールがフィルターのカットオフ周波数に与える影響を増減させることができます。
SHAPE:モジュレーションホイールの直線的な反応と指数的な反応をスムーズにブレンドすることができます。
OSCILLATORS
PHASE:OSC1〜3の初期位相を調整できます。
KEYTRACK:キーボード全体の範囲でチューニングがどのように変化するかを決定します。中間値(0)に設定すると、キー・トラッキングは正確で、3つのオシレーターは鍵盤全体で完璧にチューニングされます。プラスまたはマイナスの値を選択すると、音符同士が相対的に少しずつずれていきます。音符間の距離が大きくなるほど、デチューン効果は強くなります。
DRIFT:各オシレーターの時間経過に伴うランダムなピッチ変化をコントロールします。
OSC3 Lo-Sync:オシレーター3がLoモードの場合、レートをホストのテンポに同期させます。
FILTER
CUTOFF RANGE:フィルターのカットオフ範囲を調整します。
RESONANCE RANGE:フィルターのレゾナンス範囲を調整します。
SYMMETRY:フィルター回路は、サチュレーション状態に追い込まれると非対称な効果を示し、フィルター出力に偶数次のハーモニクスが現れるようになります。Legend HZは、この動作を忠実に再現しSymmetryノブで調整することができます。本格的なアナログスタイルのサウンドを得るには、0以外の値を推奨します。
AMP
SATURATION:信号をサチュレーションさせます。
MAIN FREQUENCY:電源によるサウンドへの影響をモデル化しています。主電源の周波数は50Hzと60Hzの間で切り替えることができます。
ARPEGGIATOR / SEQUENCER
TYPE:Sequencerは、最大32ステップのモノフォニックパターンを作成できます。MIDIは、シーケンスパターンを作成するためのMIDIファイルを選択できます。
MODE:シーケンスの動作を決定するさまざまなモードが搭載されています。
PRESET:プリセットを選択できます。
STEPS:シーケンスの長さをステップで設定できます。
OCT:シーケンスが使用するオクターブ数を指定します。
RATE:シーケンスで使用するノート値を指定します。
LENGTH:シーケンスの各ノートの長さを変更できます。
SWING:1音おきにリズムの配置を変えることで、シャッフル効果を生み出します。
NOTE:入力音高に対する1ステップのMIDIノート番号を指定します。「—」に設定するとそのステップはバイパスされます。
PAR 1〜4:シーケンサーには、モジュレーションソースとして使用できる4つのパラメータ(PAR)があります。
VEL:PAR 1〜4の他にベロシティも選択可能です。ステップに応じたベロシティの変化を作成できます。
TIE:クリックすることでそのステップを長くして、次のステップにつなぎます。
MM (Modulation Matrix)
SOURCE:モジュレーションソースを選択するドロップダウンメニューを表示します。
AMT:モジュレーションの量を調整できます。
DESTINATION:モジュレーションデスティネーションを選択するドロップダウンメニューを表示します。モジュレーション先を選択するプロセスを効率化するために、DESTINATIONの隣にある十字線を、変調したいパラメータにドラッグ&ドロップすることも可能です。
質問等ございましたら下部のコメント欄からどうぞ!