ドラムサンプラー音源といえばNative InstrumentsのBattery 4が有名ですが、全く新しいドラムサンプラー音源が登場しました。
それがXLN Audio「XO」です。
使い始めると「え?何これ?どうやって使うの?」と思うような操作画面で一瞬戸惑いますが、使い込むとかなり使えるドラムサンプラー音源だとわかりました。
この記事ではそんなXLN Audio「XO」をレビュー、口コミや評判、人気のドラムサンプラー音源「Battery 4」との比較もしていきたいと思います。
おすすめドラム音源に関するまとめ記事はこちらをご覧ください。
1. XLN Audio「XO」とは?
XOはAddictive Drums 2、Addictive Keysで有名なXLN Audioが開発するドラムサンプラー音源です。
宇宙の星を散りばめたようなかなり変わったGUI(操作画面)ですが、慣れれば簡単にほしいサウンドが見つけられかつ管理できるドラムサンプラー音源です。
作曲ソフトDAWの拡張機能VST、AU、AAXプラグインとして利用できますが、単体での起動(スタンドアローン)も可能です。
Liteバージョンとの違い
XOはLiteバージョンも発売しました。サンプル数は少ないですが、価格は安く手に入れることが可能です。
ただし、LiteはWAV、AIFFファイルのみに対応しおり、エクスポートも限定されています。
拡張パックXOpaks
新たに拡張音源としてXOpakも発売されました。有名プロデューサーやアーティストによるサンプル・プリセットを拡張することができます。
2024年6月現在、以下の拡張パックがあります。
- Preheated by J3PO:80プリセット / 147ワンショットサンプル
- Oscillations by Delhia de France:65プリセット / 162ワンショットサンプル
- Ultra Bionic by Peder Mannerfelt:118プリセット / 169ワンショットサンプル
- Pastel Punch by Rachel K Collier:39プリセット / 155ワンショットサンプル
- Dusty Gold by Radio Citizen:80プリセット / 188ワンショットサンプル
- Neon Dreams by Starcadian:96プリセット / 221ワンショットサンプル
- Sub Liminal by ATEQ:83プリセット / 383ワンショットサンプル
それぞれ39ドルで販売されています。
<XOの概要>
開発会社 | XLN Audio |
操作画面 | |
製品名 | XO(Lite版あり) |
サンプル数 | XO 8000以上 XO Lite 2000以上 |
容量 | 623MB程度 |
発売日 | 2019年4月19日 |
価格(定価) | XO 179.95ドル / Splice Plugins 4.99ドル×26ヶ月 XO Lite 119.95ドル |
- ドラムサンプルをまとめて管理したい!
XLN Audio XO 一覧 ▶︎Plugin Boutique ▶︎Splice Plugins(月額払い) ▶︎ADSR Sounds ▶︎PluginFox ▶︎Best Service ▶︎サウンドハウス ▶︎楽天 ▶︎Amazon ▶︎Rock oN ▶︎High Resolution ▶︎公式
XOはSplice Pluginsにて月額払い(Rent-to-Own:借りる→払い切ると自分のものに)でも利用可能です。Splice Pluginsは通常の月額払いと違い、全額支払いの義務はなく、いつでも利用停止そして再開することが可能です。Splice Pluginsに関する詳しい記事はこちらをご覧ください。
2. 導入するメリット
実際に利用していますが、これから導入するなら次のようなメリットがあると思いました。
- 必要なサウンドが見つかりやすい
- 管理ソフトとして優秀
- Splice Soundsなどのサンプルサービスと相性抜群
(1)必要なサウンドが見つかりやすい
一見パッとみるとなんだこのGUI(操作画面)は?となるかも知れませんが、
左:低音、右:高音
上:短い、下:長い
となっていて、慣れると必要なサウンドが見つけやすいです。
また、一つのサウンドを選択すると似ているサウンドが下に14個表示されます。
その内から一つを選びまた似ているサウンドを表示させることができ、数珠つなぎのように自分の求めるサウンドを見つけることが可能です。
一回慣れてしまうと、他のドラム音源もこんな感じに選べたらと思うほどです。
(2)管理ソフトとして優秀
ただのドラム音源ではなく、ドラムサンプルを入れて、管理することができます。
ドラムサンプルを入れると勝手に低音、高音、短い、長いを読み込み位置を決めてくれるので宇宙に次々と星を増やすようなイメージで管理できます。
この管理方法は求めている音を探す際に大変便利だと思いました。
(3)Splice Soundsなどのサンプルサービスと相性抜群
Splice Soundsなど自由にサンプルをダウンロードできるプラットフォームとの相性が良いと思います。
Splice Soundsに関してはこちらの記事を参考にしてください。
ダウンロードしても結局使わなかったり、一度使ったっきりだったりします。
そんなサンプルをこの宇宙の中に入れておけば、まとめて管理できます。
これはかなり便利ですね。
新しくXOでSpliceのフォルダをスキャンするかどうか通知が出るようになりました。
また、Splice Pluginsにていつでも止めることが可能なRent-to-Own月額払いも開始されています。
3. 利用する前に知っておきたい注意点・デメリット
確かにメリットの多いドラム音源ですが、注意点もあると感じました。
それは、「慣れるまで少し時間が必要」という点です。
なんども申し上げているように、XLN Audio「XO」は一般的でない特殊なGUI(操作画面)なので、慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。
宇宙の上下左右の違いを頭で覚えるまでは使い勝手はよくないでしょう。
しかし、慣れれば欲しい音が瞬時に見つかるでしょう。
4. 口コミ・評判を紹介!
実際に、利用している人の口コミが気になりませんか?そこで口コミ・評判をまとめました。
全体的な評価はとても高いです。
一度慣れてしまうと必須プラグインとして使い続けるプラグインだと思います。個人的にもかなり使用頻度の高いプラグインです。
YouTuberの瀬戸弘司さんの意見がまさにXOの魅力を的確にとらえているなと思いました。
みんなサンプルは膨大に持ってるんですよね。その巨大なライブラリの中から、適切で面白い組み合わせをいかにすばやく見つけ出すかという課題を解決するために生まれたソフトが、ADSR Sample ManagerとかXLN Audio XOということなんでしょう。
音源たくさん持ってても使いこなさないと意味ないからね
— 瀬戸弘司 (@eguri89)
XLN Audio の新作 XO 試した。使い勝手は素晴らしいです👍。
でも僕のいにしえから使い慣れたサンプルライブラリをオーディションしようとすると落ちる。特定のフォルダに原因があるようだ。
10日試せるから買うかどうかはもうちょっと考えます。
もうホントXLN Audio XO便利すぎて他のドラムサンプラー使う気にならない!!PCに入ってるドラムサンプル全部にアクセスできるなんてなぜ今まで使わなかったのか
引用:Twitter
5. Native Instruments「Battery 4」との比較?どっちがおすすめ?
ドラムサンプラー音源の代名詞といえば、Native Instruments「Battery 4」です。
結局、「Battery 4」を買えばいいんじゃない?と思いがちですが、XLN Audio「XO」にも十分メリットはあります。
ここでは、Native Instruments「Battery 4」と「管理性・音作り・パターン作成」の面などから比較していきたいと思います。
結論を言うと、
- 初見である程度操作でき、エフェクトを含む完全な音作りをしたい方はNative Instruments「Battery 4」
- 外部のサンプルの管理やパターン作成をしたい方、コンプなどのエフェクトは外部でする方はXLN Audio「XO」
を利用するといいでしょう。
初見ではBattery 4の方が扱いやすいかもしれませんが、個人的にはXOの方がおすすめです。
管理性
まず、サンプル管理ソフトとしてですが、一覧で見れるXOの方が優秀でしょう。ただし、パッと見で操作できるのはBattery 4かもしれません。
音作り
次に音作りの点ですが、エフェクトなど操作できることはBattery 4の方がかなり充実しているでしょう。
ただし、XOはトランジェントがありアタック感を変えられるのは大変便利だなと思いました。XOでも十分に音作りは可能です。
パターン作成
もう1点あげられるのはパターン作成です。これはXOだけある機能で、XO内でリズムマシンのようにパターン作成が可能です。そのパターン作成の幅も広く、これを使うことでMIDIで直接打ち込むのとは別の新たなリズムが生まれると思います。
6. XOに関するセール情報
XLN Audio製品は、たまにセールをおこないます。
XOも対象になる場合があります。ブラックフライデーなど最安値では半額程度の7000円台まで下がる場合があります。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。
7. XLN Audio製品のインストール・アクティベーション方法
Plugin Boutiqueにてインストール・オーソライズ方法が解説されています。
主に以下の4STEPで完了します。
※アカウント作成時に I HAVE A PRODUCT KEY TO REGISTER (OPTIONAL)にチェックを入れるとシリアルナンバーとともに登録可能。トライアル版の場合チェック不要です。
- XLN Audioでアカウント登録
- XLN Online Installerをダウンロード
- XLN Online Installerを起動、Register Productからシリアルナンバー入力
- XLN Online Installerから製品をインストール
8. 使い方を解説!
ここからはXLN Audio「XO」の使い方について解説していきます。
公式の英語マニュアルはこちらをご覧ください。
上部からプリセットを選択できます。
でかい再生ボタンでリズムパターンを再生、メトロノームマークでDAWのテンポと同じテンポになります。小さい再生ボタンでDAWの再生と連動して再生されます。
それではそれぞれの項目を見ていきましょう。
<項目一覧>
- SPACE
- SEARCH & FILTER
- EDIT
- フォルダ追加
- EXPORT
SPACE
宇宙の星のような特徴的な画面です。
左:低音、右:高音
上:短い、下:長い
となっており、クリックすると音がなります。そのままドラッグすると線を結んで音が次々となります。
スクロールで拡大縮小でき、右下にも拡大、縮小マークから操作できます。
拡大すると思っている以上に無数のサンプルがあるのがわかります。
サンプルを選択すると下に出るSimilarityは選択したサウンドに近いサウンドが14個現れ、そのうちの一つを選択し、右側の更新マークを押すとそれを基準に新たな14個が提示されます。
そのさらに右側にあるHistoryはサンプルの宇宙をドラッグして描いた線を戻るように一つ前に鳴らした音に戻ります。右端のハートマークはお気に入りです。
同じくサンプルを選択すると右側にでるShortlistは仮で押さえておくストックです。プラスボタンでストックされ、選択するとゴミ箱マークになり削除できます。
左側にある8つのサンプルが選択されたサンプルで、MIDIキーボードのC1〜G1まで半音ずつ下から順番に割り当てられています。
宇宙内で選んだサンプルを割り当てるには、赤い◀︎マークを押すことで適用できます。
逆に選択されているサンプルから変更するには、左側それぞれ選択されているサンプル(色付きの●)をクリックします。すると、そのサンプルが宇宙内に表示されます。
そこからドラッグしたり、Similarityで近い似たサウンドに変更し、緑のチェックボタンを押すと変更完了です。キャンセルマークからは変更をキャンセルできます。
サンプル(色付きの●)の両隣の◀︎▶︎はSimilarityで隣の近い似たサウンドに変更されます。
左下にある黒い小宇宙内のサンプル(色付きの●)は選択されたサンプルたちです。こちらも◀︎▶︎があり、選択すると全てのサウンドがSimilarityで隣の近い似たサウンドに変更されます。
SEARCH & FILTER
膨大な宇宙の星から選ぶのは大変ですので、右上サーチマークから求める音を選択することができます。
そのまま名前で検索することもできますし、9種類のドラムの種類、お気に入りや、フォルダーの選択もできます。
以下3つのパラメータもあります。
- Main Freq:音程の範囲を表します。左低い、右高い
- Length:長さの範囲を表します。左短い、右長い
- Drumminess:ドラムらしさのパーセンテージを表します。左ドラムっぽくない音、右ドラムっぽい音
右上の更新マークを押すとサーチの選択が解除されます。
EDIT
エディットはそれぞれのサンプルの音作り、パターン作成ができます。
音作り
一番左にそれぞれの波形がありクリックすることで開始位置、終了位置、Fade In、Fade Out、モノラル、ステレオなど変更できます。
PAN:LRの調整ができます。
Envelope:T(トランジェント)、H(ホールドタイム)、D(ディケイ)を調整できるエンベロープです。こちらは操作すると実際に表示が変化するのでわかりやすいです。
Pitch:ピッチを調整できます。
Tone:トーンを調整できます。
Cut:ローパス、ハイパスフィルターを調整できます。
VelSens:ベロシティによる変化の度合いを調整できます。
Playback:リバースの他に、ポリフォニックorモノフォニック、アウトプットの割り当て(パラアウト)、ハイハットのオープンとクローズで使用すると便利なミュートグループ(同じグループに入った音が鳴るとミュートする)があります。
FX Send:FX 1、2のセンド量です。FX1、2は下部にあり、9種リバーブと6種ディレイから選択できます。
その他、下部Kit全体でコントロールするLevel、Pitch、FX SendとMasterで調整する8種のCRUNCH、SOFT CLIPとCUT(ローパス、ハイパスフィルター)があります。
リズムパターン
音作りの右側がリズムパターンが作成できるエリアです。A、Bの二つのリズムパターンが作成できます。
それぞれクリックでリズム入力、上下にドラッグしてベロシティを調整します。各リズムの下にある小さな点を選択することでRoll(リピート2〜4回)の設定もできます。
Groove:それぞれのトラックをスウィングしたり、わざとずらしたりすることができます。右下にあるGROOVEボタンをオンにして一括で管理することも可能です。
Nudge:それぞれの音を前気味、後ろ気味に設定することが可能です。
ACCENTUATOR:下部にACCENTUATORというアクセントをコントロールするものがあり、アクセントに表情をつけることが可能です。サイコロマークでランダムにアクセントを作り、更新マークで元に戻します。ACCENTUATORを適応するトラックはそれぞれリズムパターンの左にある「〜」をクリックして選択できます。
SAMPLE COMBINER / BEAT COMBINER
上部右にあるSAMPLE COMBINERは、Similarityの音が一覧で出てきます。
ここから全トラック一括で変更やランダム化、サーチも可能です。
上部左にあるBEAT COMBINERは、様々なパターンを組み合わせることで新たなグルーヴを生むことが可能です。
Originalが現在のパターンで、右側から様々なパターンを選択できます。
フォルダ追加
新しいサンプルを追加する場合は右上のフォルダマークからできます。
Add New Folderでフォルダを選択し、Scan & Refreshでスキャンします。
EXPORT
エクスポートも可能です。エクスポートするフォルダを設定して
- Beat as WAV:ビートのWAV
- Beat as MIDI:ビートのMIDI
やそれぞれの音のWAVをドラッグ&ドロップするだけでDAW上に書き出せます。
Render WAVsでProcessed、Beat as WAVが生成されます。
Rawは未加工、Processedは加工済みです。
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まとめ
XLN Audio「XO」は管理ソフトとしてはかなり優秀で、管理性においてはBattery 4より良いでしょう。
ただし、Battery 4の方が音作りは充実しているかもしれません。
- 初見である程度操作でき、エフェクトを含む完全な音作りをしたい方はNative Instruments「Battery 4」
- 外部のサンプルの管理やパターン作成をしたい方、コンプなどのエフェクトは外部でする方はXLN Audio「XO」
を選択すれば大きなミスマッチはないでしょう。
XOは、外部のサンプルなどを組み合わせて魅力が倍増するドラムサンプラー音源だと思います。
サンプルがたくさんありすぎて管理に困っている方には特におすすめできるソフト音源です。
この記事が参考になれば幸いです。
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