「どこの音楽ディストリビューションサービスを利用しようか?」
このように考えて当記事を読んでいるのではないでしょうか?
今回は、複数曲を安価な年間手数料で音楽配信が行える海外の音楽ディストリビューションサービス「DistroKid」をご紹介。収益率は100%還元とアーティストにも良心的なサービスです。
また、収益分割もできるので、クレジットが複数人になる際も、事前に話し合いをし、収益を平等に分配することもできます。
しかし、複数曲を音楽配信するという側面だけならDistroKidは安価でおすすめですが、そのほかのツールやサービスなどの機能に関しては他者に劣り、結果オプションを追加すると割高になることもありますので注意しましょう。
この記事ではそんなDistroKidをレビュー、メリットやデメリット、知っておくべき仕様や付随するサービスなど解説していきます。
ぜひ参考にしてください。
音楽配信代行サービス(音楽ディストリビューション・ディストリビューター)に関するまとめ記事はこちらをご覧ください。
1. 音楽配信代行サービス「DistroKid」とは?
DistroKidは、アメリカの音楽ディストリビューションサービスです。
最大の特徴は、年額料金さえ支払えば、シングルだろうがアルバムだろうが関係なく無制限に音楽を配信できる点です。年額もアルバムの場合は競合に比べて安価です。
配信先も主要なプラットフォームは網羅しており、収益率は全てアーティストに還元されます。
DistroKidの概要
運営会社 |
DistroKid |
年間料金 |
・Musician(1枠のアーティストorバンド登録の場合):22.99ドル ・Musician plus(2枠のアーティストorバンド登録の場合):39.99ドル ・Label(5〜100のアーティストorバンド登録の場合):89.99ドル |
収益率(還元) |
100% |
個人的なおすすめとして、音楽配信を安価で済ませたいなら「Musician」、リリースなどを細かく調整しツールなども使っていきたいなら「Musician plus」が良いでしょう。ただ「Musician plus」は高くなるわりに他のプラットフォームとサービス内容はさほど変わらないので、他を検討して見ても良いかもしれません。
プラン①:Musician:22.99ドル
主な仕様
- 曲のアップロード無制限
- 歌詞のアップロード無制限
- Spotify verifiedチェックマーク
- スプリットによる収益の収集
年額22.99ドルというDistroKidの最も安価なオプションで、1人のアーティストまたはバンドにのみ利用できます。無制限で曲を配信可能です!
プラン②:Musician plus:39.99ドル
主な仕様
- Musicianプランのすべて
- インスタグラムに歌詞を同期
- 毎日のストリーミング統計
- カスタマイズ可能なレーベル名
- リリース日のカスタマイズ
- 予約注文日のカスタマイズ
- iTunesの価格設定をカスタマイズ可能
- 2アーティストまたはバンド
年額39.99ドルで、2人のアーティストやバンドまで使用できるプランです。
まず「Musician」の全てが含まれた上で 統計ツールの利用やリリースの設定が細かくできます。
プラン③:Label:89.99ドル〜
主な仕様
- Musician Plusプランのすべて
- 5〜100アーティストまたはバンド
年額79.99ドル〜でMusician plusのオプションが5〜100のアーティストorバンドで利用できます。
基本的には、レーベル向けでしょう。ただし、複数バンドのコミュニティがある方は、レーベルプランにする手もあります。
配信先一覧
- Spotify
- Apple Music
- iTunes
- Instagram & Facebook
- TikTok, Resso & Luna
- YouTube Music
- Amazon.com
- Soundtrack by Twitch
- Pandora
- Deezer
- TIDAL
- iHeartRadio
- ClaroMusica
- Saavn
- Anghami
- KKBox
- Boomplay
- Snapchat
- NetEase
- Tencent(QQ Music / Kugou Music / Kuwo Music / WeSing)
- Pretzel
- TouchTunes
- Audiomack
- Yandex Music
- Qobuz
- Joox
- Kuack Media Group
公式サイトの情報によると、これらの配信先以外のストアとストリーミングサービスを含むMediaNetにも配信できます。
多くのプラットフォームに配信することに加えて、歌詞のアップロードもできます。ただし、海外の音楽ディストリビューションサービスですので日本向けの音楽配信LINE、AWAなどはありません。
2. DistroKidを利用するメリット
DistroKidには、次のようなメリットがあります。
- 年会費の支払いで無制限配信が可能
- 還元率は100%
- 支払い分割機能
- Spotify for ArtistsやApple Music for Artistsとすぐ連携できる
(1)年会費の支払いで無制限配信が可能
(How Is DistroKid Better Than TuneCore?引用)
DistroKidでは、最低22.99ドルの年間手数料さえ支払えば、シングルだろうがアルバムだろうが無制限に配信できます。
22.99ドルと言う金額は一般的な音楽配信業者のアルバム配信レートと比べても、かなり安い部類に入ります。
そのため、安価でたくさん配信したいと言う人にはとてもおすすめです。
ただし、同じような仕様のサービスとしてDittoやnarasu、LANDRという音楽ディストリビューションもあり、年間費はDittoが一番安いです。
(2)還元率は100%
アーティストへの還元率が100%なのも良い点でしょう。
他のプラットフォームでは配信から得られた収益の全てがバックされないこともあります。安価で無制限に配信できて、100%還元なのでとても良いサービスだと思います。
(3)支払い分割機能
バンドなど、複数のクリエイターが絡む際は、事前の話し合いで配信による報酬の還元比率を決めておくのは重要なことです。
支払い分割機能を使えば、事前に決めた配分通りに報酬が分配されるので安心です。
(4)Spotify for ArtistsやApple Music for Artiestsとすぐ連携できる
DistroKidは世界最大級のストリーミングサービスSpotifyやApple Musicと連携しているので、Spotify for ArtistsやApple Music for Artistsをすぐに利用することができます。
Spotify for ArtistsやApple Music for Artistsでは、アーティスト写真などプロフィール設定をすることができます。
3. DistroKidを利用する前に知っておきたい注意点・デメリット
確かにDistroKidsは安価な手数料で音楽配信ができますが、注意すべき点があります。
- サービスを最大限に活用するにはMusician Plus以上へのグレードアップか追加課金が必要
- 英語のみ
- 収益引き出し手数料&最低基準額に注意
サービスを最大限に活用するにはMusician Plus以上へのグレードアップか追加課金が必要
サービスを最大限に活用するにはMusician Plus以上へのグレードアップか追加課金が必要です。
要するに、入り口を広くする代わりに、ちょっとしたサービスなどを追加オプションで用意している感じになります。
まず、下記のサービスを利用するにはMusician Plus(年額39.99ドル)へのグレードアップが必要です。
- 日々の統計情報がみれる。
- ラベル名をカスタマイズできる。
- インディーラベルの名前、または自分のアーティスト/バンド名をラベル名としてリストできます。この機能がない場合、ラベル名はデフォルトで「DistroKid.com」に。
- リリース日を事前に設定できます。
- アルバムの販売日に向けて先行予約販売ができます。
- iTunesの価格を自由に設定できます。
特に、プランをMusicianPlus以上にしなければ、音楽リリースの日程を設定できないのは明確なデメリットだと思います。他のプラットフォームでは、この機能は基本的に常備されています。
加えて、下記のような追加オプションもあります。
YouTubeの収益化(シングル年額4.95ドルorアルバム年額14.95ドル+YouTube広告収入の20%)
あなたの音楽がYouTubeで使用され発生した広告収入が還元されるYouTubeコンテンツIDサービスです。あなたの音楽がYouTubeのどこかで使用されていることを、コンテンツIDデータベースを介してこれを検知してくれます。サービス料金は年額4.95ドル〜で、加えて収益の20%がDistroKidsに徴収されます。
ストアマキシマイザー(年額7.95ドル)
新しいストリーミングサービスにDistroKidが対応した際、その新しい配信チャンネルに音楽を自動的に配信することができます。年額7.95ドルの追加費用が必要です。
ディスカバリーパック(1曲あたり年額0.99ドル)
ラジオやテレビ、お店、レストラン、パーティーなどでこのシングルが流れているのを聞いた人が、そのシングルを簡単に識別できるようにします。Discovery Packには、ShazamやiPhone Siriのほか、ACRCloud、Jaxsta、Gracenote、MRCなどの新しい音楽検出ベースのプラットフォームが含まれています。
Leave a Legacy(シングル1枚につき29ドル / 2曲以上のアルバム1枚につき49ドル)
Leave a Legacyを追加することで、メンバーシップの支払いが失効した場合でも削除されないようにすることができます。退会した場合でも、Leave a Legacyに追加したリリースは、ストアやストリーミングサービスに残ります。
その他にもカバーソングライセンス(1曲あたり年額12ドル)、Tidal Master(シングル1曲につき8.99ドル、2曲以上のアルバム1曲につき17.99ドル)、Social Phone(月額12.99ドル)、Dolby Atmos(1曲あたり26.99ドル)、ラウドネスノーマライゼーション(1トラックにつき2.99ドル)などのオプションもあります。
その他追加プランについては、こちらをご覧ください。
英語のみ
DistroKidは、日本語には対応していません。
困ったことがあればサポートに英語で問い合わせる必要があります。
収益引き出し手数料&最低基準額に注意
DistroKidは、収益の引き出しに手数料がかかり、最低基準額もあります。
詳しくは下記にて記載しています。
4. 登録・支払い方法
DistroKidは、以下の3STEPで簡単に登録することができます。
STEP 1. サインアップ
- メールアドレス
- パスワード
- パスワード再入力
を入力して、サインアップします。これらを入力せずにGoogleやApple、Facebookアカウントですぐにサインアップすることもできます。
STEP 2. プランを選択
- Musician(1枠のアーティストorバンド登録の場合):22.99ドル
- Musician plus(2枠のアーティストorバンド登録の場合):39.99ドル※いくつかのオプションが追加
- Label(5〜100のアーティストorバンド登録の場合):89.99ドル※いくつかのオプションが追加※レーベル向き
の3種類からプランを選択します。
STEP 3. 支払い方法を入力
最後に支払い方法を
- Apple Pay
- クレジットカード(Master / VISA / AMEX / DISCOVER)
から選択して、情報を入力して完了です。
5. 収益の引き出し方法や手数料
DistroKidの収益を引き出すには、最低基準額以上の収益が必要です。
最低基準額
- PayPal:最低2ドル
- eCheck(アメリカ外):最低5ドル
- 紙小切手:最低3ドル
- 電信送金(アメリカ):最低15ドル
- 電信送金(国際線、現地通貨建て):最低20ドル
- 電信送金(国際通貨建て):最低26ドル
さらに、引き出しには手数料がかかりますのでなるべく大きな金額を貯めてから引き出すことをおすすめします。
引き出し手数料
- PayPal(非アメリカ居住者):1ドル+2% 21ドルまで
- eCheck(米国以外):1回につき5.00ドル
- 紙小切手:1枚につき3ドル
- 電信送金(国際線、現地通貨建て):1回につき20ドル
- 電信送金(国際通貨建て):1回の支払いにつき26ドル
また、支払い通貨が選択した国と異なる場合、最大3%のFX手数料が適用される場合があります。
PayPalでの受け取りについて
PayPalは登録しているメールアドレスを教えるだけで入金を受けることが可能です。
収益を自分の口座に入れる流れは以下です。
PayPalアカウントでドルを受け取る
↓
PayPalアカウントで円に変える
↓
自分の口座に送る
ただし、為替手数料があります。
PayPalの登録方法や使い方に関する詳しい記事はこちらを参考にしてください。
まとめ
DistroKidは、安価かつ無制限で音楽配信ができるプラットフォーム。還元率も100%と素晴らしいです。
しかし、安価な代わりに痒いところに手が届かないようにしている印象を受けます。統計ツールやリリース設定などを活用したいならMusician plus以上の課金が必要です。
とにかくコストを抑えて配信しまくりたいという方にはおすすめですが、オプションがしっかりしているプラットフォームや引き落としなどが簡単な日本に対応したプラットフォームを検討した方が良い場合があります。
この記事が参考になったなら幸いです。
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