じわじわと評価されているSoniccoutureのピアノ音源The Hammersmith。
21ベロシティレイヤーの高品質音源で、なんと無料でも利用することができます。
フリーバージョンを試してみて有料バージョンの購入を検討できますので、大変ありがたいです。
この記事では、そんなThe Hammersmithをレビュー、ProバージョンとFreeバージョンの違いから使い方まで解説します。
是非参考にしてください。
ピアノ音源に関するまとめ記事や簡単な比較はこちらをご覧ください。
1. Soniccouture「The Hammersmith」とは?
The Hammersmithは、Steinway Model Dを録音した6マイクポジション21ベロシティレイヤーのピアノ音源です。
名前にもなっているハマースミスは、西ロンドンの地名で、そこにあるMark Knopflerが所有するレコーディングスタジオ「British Grove」で録音されました。レコーディングルームは広く、二重の高さの天井があり、非常にクリアで純粋な音響です。
The Hammersmithは、有料のProバージョンと無料で利用できるFreeバージョンがあります。
どちらのバージョンもNative Instruments「Kontakt」もしくは無料で利用できるKontakt Playerのバージョン6.2以降で起動できる音源です。
2. ProとFreeの違い
ProバージョンとFreeバージョンの違いは以下のようになります。
Pro | Free |
---|---|
24bit 48khz ステレオサンプリング | 24bit 48khz ステレオサンプリング |
30,000以上のサンプル | 2,000以上のサンプル |
21ベロシティレイヤー | 21ベロシティレイヤー |
リアルサステインペダルサンプリング | なし |
〜6ステレオマイクチャンネル〜 NEUMANN M49 PAIR AKG D19 SCHOEPS MK4 PAIR NEUMANN KM133D PAIR NEUMANN M50 DECCA TREE NEUMANN KU100 HEAD |
〜1ステレオマイクチャンネル〜 SCHOEPS MK4 PAIR |
〜詳細コントロール〜 ルームノイズ ソフトペダル キーオフ ダンパーノイズ ペダルノイズ リアルペダル |
〜詳細コントロール〜 ルームノイズ ソフトペダル キーオフ ダンパーノイズ ペダルノイズ |
スケールプリセットライブラリ(ユーザーセーブ/ロード機能付き) マイクロチューン機能 |
なし |
エクスプレッションコントロール ベロシティカーブ編集 |
エクスプレッションコントロール ベロシティカーブ編集 |
カスタムコンボリューションライブラリを搭載したフルエフェクトパネル | EQ+コンボリューションリバーブのシンプルなエフェクトパネル |
52GBライブラリ | 4.8GBライブラリ |
Freeバージョンでも十分素晴らしいサウンドを奏でることができますが、Proバージョンの方がディテールが細かい奥深いサウンドを奏でることができます。Soniccoutureは、The Hammersmithのみならずいくつかのフリー音源を配布しています。Soniccoutureのフリー音源まとめは以下の記事を参考にしてください。
3. 実際に使ってレビュー!
実際にThe Hammersmithを使ってみてメリットだと感じた点は主に以下のような点があります。
一音一音が映える心地良い質感
音色の設定などにもよりますが、ナチュラルでよどみがなく弾いていて心地良い質感です。
Ivory 3、Pianoteq 8、Addictive Keysなど他の定番ピアノ音源と比べても、一つ一つの音が映えます。Hammersmithを弾いてから他の音源を弾くと装飾された音のように感じる場合もあります。ただし、さらに映えるきらびやかなピアノ音源が欲しい場合は、VSL「Vienna Synchron Pianos」もおすすめです。
シーケンサーなど充実したジェネレーター機能
ピアノ音源としては珍しく3つものジェネレーター機能が備わっています。
ピアノではあまり利用しないと思っていましたが、一度使ってみると面白くMIDIツールとしても十分利用できます。
HammersmithでMIDIを作成して、他の音源に差し替える使い方も十分できると感じました。
4. The Hammersmithに関するセール情報
Soniccouture製品は、ブラックフライデーのみならずセールで安くなる場合があります。
The Harmmersmithもセールの対象になる場合があります。最近では、Proバージョンがセール価格で99ドルで販売されていました。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。
5. 使い方を解説!
ここからは、実際にHammersmithの使い方を解説します。
Hammersmithの公式マニュアルはこちらをご覧ください。
Instrument
メインページでは、Close、Mid、Roomの3つのマイクチャンネルがあります。各ボリュームノブの上には、電源ボタンとSボタンがあります。電源ボタンで、そのマイクチャンネルのサンプルをロードするので必要なサンプルだけをロードすることができます。Sボタンはそのチャンネルをソロにします。
名前部分を選択するとそれぞれのマイクチャンネルをさらに詳細にコントロールすることができます。各チャンネルには4バンドのEQと、AttackとDecayのコントロールが用意されています。EQは、EQという文字の横にある小さなボックスでオンになります。また、下部にはチャンネルの位相反転ボタンもあります。
マイクの名前部分を選択すると、他のオプションに切り替わります。Close、Mid、Roomそれぞれ2つのマイクのオプションがあります。
- CLOSE:NEUMANN M49 PAIR / AKG D19
- MID:SHOEPS MK4 PAIR / NEUMANN KM133D PAIR
- ROOM:NEUMANN M50 DECCA TREE / NEUMANN KU100 HEAD
ペダル
ページの中央には、3つのピアノペダルがあります。ソフトペダル、ソステヌートペダル、ダンパーまたはサスティンペダルです。これらは、それぞれCC67、66、64で制御されます。
マイクロチューニング
左上に音叉アイコンから、マイクロチューニングエディターを開くことができます。
タイトルバーは、マイクロチューニングのオンオフを切り替えるスイッチになっています。左上には、チューニングプリセットがあり、右上にはインポート/エクスポートのメニューがあります。 中央には、現在編集中のチューニングキーが表示されています。このキーのNOTES(半音)またはCENTS(セント)のオフセットを調整することができます。
ALL OCTAVES:そのキーのすべてのインスタンスが一緒に変化します。オクターブで繰り返すスケールを設計している場合、これは非常に便利です。
INITIALISE:マイクロチューニングを、どの音にもオフセットをかけないようにします。
MODE:ボタンがオフの場合、マイクロチューニングは希望するピッチに最も近いMIDI音を探し、それを再生してチューニングを調整します。オンの場合は、常に各キーの原音を再生し、原音からどんなに離れていても、希望のチューニングに引き伸ばします。
パフォーマンスオプション
右上の歯車アイコンから、オプションエディターを開くことができます。このエディターではExpression、Mechanicsを調整することができます。
Mechanics
NOISE:周囲の部屋のノイズのレベルを調整します。
KEY OFF:鍵盤を離すときの音量を調整します。
PEDAL:ペダルのメカニカルノイズのレベルを調整します。
DAMPERS:ノートが発生する度に、ダンパーが元の位置に戻るレベルを調整します。
Soft:ソフトペダル(CC67)のダンピング量を調整します。
Mechanicsの上にはメニューボタンもあり、オンオフできる他のオプションがいくつかあります。ラウンドロビンやリアルペダル機能のオンオフが可能です。
Expression
LIMIT LOW / LIMIT HIGH:ベロシティの範囲を小さく設定することができます。
VEL>VOL :ベロシティとボリュームの深さを調整できます。
CURVE:ベロシティカーブを調整できます。
VELOCITY RANDOMISE / TIMING RANDOMISE :演奏のベロシティやタイミングにランダム性を追加します。
Effects
EFFECTSパネルは、5つのセクションに分かれています。
インサートエフェクト
最大3つのインサートエフェクトを選択することができます。エフェクトは、タブ上部のエフェクト名の左にある四角い電源スイッチでオンオフでき、そのタブが選択されると下にコントロールが表示されます。タブのエフェクト名の右側にあるメニューボタンで、エフェクトの一覧から選択することができます。エフェクトは左から右へルーティング順に並んでいて、インサートエフェクトは、EQや他のエフェクトの前にあります。各タイプのエフェクトは1回しか選択できません。
イコライザー
わかりやすい4バンドパラメトリックEQです。右端のフェーダーは、EQからの出力レベルです。
BELLとSHELFはドロップダウンメニューで、どちらかを選択することができます。左上の電源スイッチで、EQをオンオフできます。
ステレオイメージ / サチュレーション
ステレオ幅を調整できます。(自然な録音は12時方向)コントロールを左に動かすと幅が狭くなり、右に動かすと幅が広くなります。ステレオ入れ替え機能があり、丸が重なったマークからオンオフできます。SATURATIONから、サチュレーションも調整します。
スペース
コンボリューションリバーブセクションです。ドロップダウンメニューでインパルスレスポンスを選択できます。
左上に、電源スイッチがあり、その下にプリディレイ(PRE)、コンボリューションインパルスサイズ(SIZE)、ハイパス(HPF)、ローパスフィルター(LPF)、そして中央の大きなノブはリターンのミックスレベル(MIX)です。
Generative Tools
このパネルには3つのオプションがあり、左上のメニューで選択します。
JAMMER
左下の音符再生アイコンで、JAMMERをオンオフできます。
中央上部の大きなノブはプリセットホイールで、12個のプリセットがあります。ホイールの右側にあるメニューで、これらの上書き、コピー、インポート、エクスポートを行うことができます。
以下のノブが調整できます。
MODE:パターン作成に使用するアルペジオの種類を設定します。
RATE:スピードをコントロールできます。これは常にKontaktまたはホストシーケンサーのテンポと関連しています。
LENGTH:作成されたノートの長さに対するオフセットです。中央の位置では、ノートはRATEで設定された同じ長さで作成されますが、LENGTHを使用して、長くしたり短くしたりすることができます。
VELOCITY(OFFSET):作成したノートのベロシティを加算または減算します。
SWING:オフビートのノートに時間を加えて、リズムにシャッフルやスイング感を与えることができます。
DENSITY / STEPS:DENSITY(密度)がSTEPS(ステップ数)と同じ大きさであれば、すべてのステップがアクティブで、何も変わることはありませんが、DENSITYがSTEPSより小さいと、パターン全体に均等にリズムのずれが生じます。
横スライダーで以下のパラメータを調整できます。
NOTE:音程にランダムなオフセットを追加します。これは半音単位なので、1に設定すると演奏した音から+1または-1の音を出力します。
OCTAVE:作成したピッチにランダムなオクターブオフセットを追加します。このコントロールはオクターブを加算するだけで、オクターブを減算することはありません。
TIME:タイミングにランダムな変化を加えます。
VELOCITY:出力されるノートのベロシティにランダムな変化を加えます。
GAPS:シーケンスにランダムな休符や無音ビートを追加します。
EVOLVE:真ん中あるEVOLVEボタンは、右側には16という数字があります。(デフォルトの場合)EVOLVEモードは、JAMMERが常に新しいデータを生成するように動作することを意味し、ランダマイザーは常に入力されたノートから新しいパターンを作成します。EVOLVEを選択すると、ボタンがLOOPに変わります。これでJAMMERは、直近に作成したパターンを繰り返すことになります。このパターンの長さは右側の数字で決まるので、デフォルトでは最後に生成された16個の音を繰り返します。
左側には以下の3つのボタンがあります。
RETRIGGER:すべてのノートが終了後、最初から強制的にスタートさせます。
DOUBLE:両手で同時に演奏しているように、各ステップで2つの音をトリガーします。
LATCH:新しいノートを受信するまで現在のノートを保持します。
右側には、ピッチフィルターを表す小さなキーボードがあります。ここで、JAMMERの出力音を特定のキーやコードに制限することができます。小さなキーボードの下には、よく使われるスケールのドロップダウンメニューがありますが、キーボードを直接選択して、必要なピッチのみ許可することも可能です。
WEAVER
入力された音で演奏するリズムのシーケンスを定義することができるツールです。
メインページの上部にはPRESETメニューが選択できます。ページの中央にはWEAVERのパターンを大まかに表現したものがあります。クリックするとWEAVER EDITORが開きます。
その下にあるDECAYスライダーではシーケンス全体のディケイタイムをコントロールできます。
下部には以下のパラメータがあります。
LATCH:新しいノートを受信するまで現在のノートを保持します。
INPUT QUANTISE:ホストと同期するクオンタイズが設定できます。
POLY:1~8までポリフォニックを設定できます。
DURATION:WEAVERによって生成されるノートの持続時間で値を設定するか、レガートに設定できます。
RANGE:WEAVERの音域を制限することができます。左手でベースラインを演奏し、WEAVERが右手で演奏した音にのみ反応するようにするなどの設定が可能です。
MUTE INPUT:WEAVERに送られるMIDIをオフにし、WEAVERが生成した音だけを聞くことができます。
WEAVER EDITOR
このウィンドウは、右上の×で閉じることができます。ノートは、受け取った順番に列が割り当てられます。各列に割り当てられたノートは、演奏時に列の左端に表示され確認することができます。
各列の左側には、その列の速さ(RATE)とステップ数(STEPS)を設定することができます。
OCTボタンを押すと、オレンジ色のテーブルではなく、青色のテーブルが表示されます。これはオクターブシフトテーブルで、入力された音を1オクターブまたは2オクターブ上にトランスポーズすることができます。
列の真ん中にはベロシティステップテーブルがあります。好きなように描き込むことができます。このパターンは入力ベロシティを使うので、最大出力ベロシティは、パターンをトリガーした音のベロシティになります。ALT&ドラッグすると、すべてのアクティブなステップを同じベロシティに設定することができます。
右側にあるHITSとSHIFTでは、これらはパターンテーブルに新しいデータを書き込み、描いたものを上書きしてします。HITSでヒット数を、SHIFTで位置をパターン内で左右に移動させます。PANでは、その列で生成された音にランダムなパンニングを導入します。右端には、列を操作するためのいくつかのドロップダウンツールを備えたメニューがあります。
PHRASER
PHRASERは、一連のノート(フレーズ)をバッファに記録することができるというものです。このバッファは、MIDI入力によって再トリガーされ、演奏したノートを置き換えて、記録したフレーズに基づく新しいメロディーを生成します。フレーズを手動でトリガーすることも、一定の速度で自動的に再生させることもできます。
中央にはトランスポートコントロール、巻き戻し、再生、録音ボタンがあり、再生ボタンの下には小さなキーボードアイコンが表示されています。新しいフレーズを録音したり、既存のフレーズを完全に消去したりするには、録音ボタンを選択します。フレーズを録音したら、中央のメイン再生ボタンの下にあるキーボードアイコンを選択します。これで、MIDIキーボードを演奏する際、どのような音を弾いても、録音したフレーズの音がトリガーされることになります。もちろん、メイン再生ボタンを押しても、演奏したフレーズが自動的に再生されます。
5つのノブでフレーズを調整できます。
TIME:フレーズのタイミングを調整できます。コントロールは自動再生にのみ影響しますが、他の4つのノブは自動再生とリアルタイムトリガーの両方に影響します。TIMEノブの下にはスイッチがありR(RATE:一定のテンポ)、W(WAIT:2つフレーズがあっても待って同じタイミングになる)モードにも変更できます。
VELOCITY(OFF SET):フレーズのベロシティを調整することができます。
PITCH:小さなキーボードアイコンがあり、これをオンにすると入力されるMIDIがフレーズのピッチをトランスポーズするようになります。(トランスポーズ=0であるミドルCを基準として)
START / END:ノブを操作したり、リンクさせてフレーズの範囲を移動させることが可能です。
まとめ
The Hammersmithは、他の定番ピアノ音源と比べてもリアルかつ質感が素晴らしいピアノ音源です。
無料でも利用することができますので、一度Freeバージョンを試してみて購入を検討してみてはいかがでしょうか?
この記事が参考になれば幸いです。
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