大型アップデートでかなり強化され、使いやすくもなったTrilian。
この記事ではそんなTrilian1.5の使い方第2弾として
- 拡張されたシンセシス機能
- モジュレーション・LFO
- 進化したアルペジエーター
などを解説します。
使い方①やレビューは、こちらの記事を更新していますのでご覧ください。
1. シンセシス機能
OSCILLATORエリアの画面下にはFMやRMなど4つ機能があります。
それぞれ名前をクリックすると拡大でき、下部の黄色い四角をクリックしてオンオフします。
FM(FREQ MODULATION)
FMは、「キャリア」と呼ばれるある波形の音色を、「モジュレーター」と呼ばれる別の波形の周波数で変調することで変化させるオーディオ合成の一形態です。
FM MODULATOR:多くのFMシンセサイザーがモジュレーターとしてサイン波のみを使用するのに対し、Trilianはトライアングル、ソー、ノイズも使用できます。
TRACKING:キーの追従を有効または無効にします。
FREQUENCY:モジュレーターオシレーターの周波数をコントロールします。モジュレーターは聴こえないので、オシレーターのピッチを変えるのではなく、オシレーターの波形の音色特性を変化させます。
DEPTH:モジュレーターの深さをコントロールします。
NORMAL / BOOST:NORMALを選択すると、DEPTHの範囲は狭くなりますが、より解像度が高くなり、サウンドに微妙なFM色を加えるのに便利です。BOOSTを選択した場合はレンジが大きくなり、よりドラマチックなFMサウンドを作り出すことができます。
FM SHAPE:モジュレーターとして選択された波形をシェイプします。波形画面が変化するのでわかりやすいです。
FM SYMMETRY:モジュレーターとして選択された波形のスパンを変化させます。一般的な場合、PWM(パルス幅)に使用されます。こちらも波形画面が変化するのでわかりやすいです。
FM SYNC:別のオシレーターを同期させるハードシンク効果です。TrilianはFM Hard Sync専用の隠れたオシレーターが搭載されています。FM Hard Syncオシレーターがスレーブとなり、FMオシレーターがマスターとなります。こちらもスライダーを動かすと波形が変化してわかりやすいと思います。
RM(RING MODULATION)
FMとパラメータは同じですが、リングモジュレーションでは、両方のオシレーターの周波数が掛け合わされ、全体の振幅が変化します。
一般的なリングモジュレーションは、TrilianのRing Modulatorは「TRACKING」から鍵盤を追従させることができます。
他のシンセで見られるリングモジュレーションより、かなり便利に利用することができます。
WS(WAVE SHAPER)
オシレーターの波形を数学的に生成されたカーブに通し、様々なタイプのディストーションを加え、波形のハーモニクスの内容を変化させます。WAVE SHAPERは単体のエフェクトではなく、オシレーターの一部で合成機能となっています。
BIT CRUSH:デジタルオーディオの解像度を下げることで歪みをもたらします。
CRUSH FORCE:独自のディストーションを加えることができます。このパラメータは、BIT CRUSHがゼロに設定されている場合には効果がありません。
DEPTH:SHAPERでは、DEPTHを使ってサウンドに適用するウェーブシェイプ量をコントロールできます。これが右にいくほど、効果がより顕著になります。
OFF〜4:4つのプリセットからウェーブシェイプを選択できます。
SAMPLE RATE:オシレーターに導入されるサンプルレートリダクションの量をコントロールします。サンプルレートを下げることで、音に歪みやエイリアシングが発生します。
ANIMATION:サウンドに時間変化のあるキャラクターを追加します。このパラメータは、SAMPLE RATEが0に設定されている場合には効果がありません。
MIX:オリジナルのオシレーターの信号とWSの音のバランスを調整します。
AUDIO PATH:3つのスイッチから、Trilianのオーディオパスのどの位置にWSを配置するかを決定します。「OSC」「FILTER」「AMP」の後に配置することができます。
GAIN:出力に適用されるゲインの量をコントロールします。
HARM(HARMONIA)
4つのオシレーターをレイヤーに追加します。ピッチを「TRANSPOSE」「DETUNE」でコントロールし、音量とパンそして、番号をクリックすることでそれぞれオンオフ、電源ボタンで全体をオンオフできます。左上からミックス量も調整できます。
2. MODULATION
モジュレーションは「A」「B」の左上にありますが、任意のパラメータを右クリックすると、「Mudulate」から簡単に設定できます。
設定すると左側にパラメータが表示されて簡単に調整できます。
SOURCE:ターゲットを制御するモジュレーションソースが表示され、選択できます。下のスライダーはモジュレーションソースからモジュレーションターゲットに送信されるモジュレーションの量を制御します。
TARGET:ソースの出力先を選択します。メニューから「Modulate All Layers」を選択すると、そのモジュレーションソースはAB両方のレイヤーのモジュレーションターゲットに適用されます。下のスライダーでターゲットの範囲を設定できます。
MUTE:表示されているモジュレーションルーティングをミュートすることができます。
INVERT:モジュレーションの極性を反転させます。
SMOOTH:SMOOTHは左側に表示された場合もしくは、拡大マークからモジュレーション一覧表示画面から設定できます。入力されたモジュレーションソースをソフトにします。
拡大マークからはモジュレーションを一覧表示できます。右上1〜4で画面を切り替え最大48個を利用できます。
モジュレーションはエフェクトも利用できます。
Bias:モジュレーションソースにあるBiasはポイントを支点にし、上下に直線的なブーストやダウンをかけることができます。
3. LFO
Trilianには、各パートに6つの独立したLFOが用意されています。6つのLFOはすべて同じパラメーターを持ちます。「▼」からプリセット選択でき、「1〜6」で6つのLFOを切り替えます。
Waveform:「▼」「▲」から9種類の波形を選択できます。
DEPTH:モジュレーションターゲットへの深さを調整します。
RATE:LFOのサイクルをコントロールするもので、「SYNC」ボタンでDAWと同期したレートで調整できます。
DELAY:ノートがトリガーされた後、どのくらいの速さでLFOの深さが最大の強さに達するかを決定します。
Trigger Mode
LFO波形の下から以下のトリガーモードを選択できます。
Free:ノートがトリガーされた時に関わらず、LFOは独立してサイクルを繰り返します。
Note:新しいノートが演奏されるたびにLFOはサイクルを再開します。
Legato: 最初のノートが演奏されるとLFOはサイクルを開始しますが、レガートされたノートが演奏されるとサイクルを継続します。
Song Pos:LFOは曲の小節と拍をトラッキングします。
Unipolar Switch:波形右上の小さなプラスボタンは、ユニポーラスイッチボタンです。
Phase:波形上の小さなスライダーは、LFO 波形のサイクルを開始するポイントを決定します。
4. FX
マルチのFXと違い、それぞれ4つのインサートラック(A/B各レイヤーに1つ、AUXラック、パッチ全体のCOMMONラック)が用意されています。
COMMONラックとA/Bラックは、右上の「AUX SEND」を使用してAUXラックにオーディオを送ることができます。A/Bラックは「PRE-POST」スイッチを介してオーディオのPREまたはPOSTレイヤーレベルを送ることができます。
AUXラック出力のレベルは、右上の「AUX RETURN」スライダーでコントロールできます。
5. ARPEGGIATOR
アルペジエーターは右上からプリセットを選択できます。最大32ステップのパターンを持つことができ各ステップは、中央の黄色いバーを上下してベロシティを変えます。下のボタンは各ステップを有効にします。
- 1回クリック:発音(黄色+四角の赤)
- 2回クリック:タイ(黄色)
3回クリックするとオフに戻ります。それぞれのステップの長さは上部の「LENGTH」でまとめて調整できますが、個々に調整する場合はシフトを押しながらベロシティのバーを左右にドラッグします。
ステップの範囲は下部のスライダーを左右にドラッグして調整できます。
左上のボックスメニューからアルペジエーターの設定ができます。
Note Pattern:ノートの順序を決定します。19種類のパターン、モードが表示されます。
Play Mode
プレイモードメニューには3つのオプションがあります。
Loop:パターンの最初から演奏し、押さえていた音符を離すまで繰り返し演奏するモードです。
Chaos:ノートパターン、ステップベロシティ、ステップモディファイアを維持したままアクティブな範囲内のステップをランダムに並べ替えます。
Once:アクティブレンジを一度再生して停止します。
Clock:各ステップの音価を決定します。
Octave:アルペジオのオクターブの範囲を選択します。ALTモードを使用すると、パターンの各音が選択したオクターブの範囲で演奏され、次の音に移ることができます。
Trigger
3つのトリガーモードがあります。
Legato:ノートがレガートで演奏されている限り、すべてのステップで継続されます。
Song Position:パターンはDAWの位置(小節と拍子)に従います。
Note:新しいノートが発動するたびに、パターンは最初のステップから再開されます。
Latch:LATCHを有効にすると、ノートを離してもアルペジエーターパターンは演奏を続けます。
SPEED:テンポのオフセット量をコントロールします。1.00(センターポジション)に設定すると、スピードは4分音符でDAWのテンポにロックされます。
LENGTH:ステップ全体の長さをコントロールします。
SWING:設定を上げると、イベントはより大きなスインググルーヴを持つようになります。
VELOCITY:弾いたベロシティ(KEY)と設定したベロシティ(ARP)をどちらを優先するか決定します。
Step Modifier
Step Modifierは、任意のステップに特定の動作を追加するツールで、複雑で創造的なパターンを作成することができます。ステップが有効の状態で上部をクリックして選択できます。
Transpose:再生されるノートのピッチをトランスポーズします。
Slide:演奏されたノートを上下にベンドすることができます。ベンドの速度は、上部にあるスライダーを動かして設定できます。
Chords:コードを演奏します。様々なボイシングの設定があります。
Hi-Low:ノートの最も低い音もしくは最も高い音を演奏します。
Step Dividers:ステップを細かく分割します。ベロシティが上昇するRiseと減少するFallがあります。
CAPTURE:右下隅にあるCAPTUREボタンは、アルペジエーターの出力を録音してキャプチャし、MIDI クリップを作成することができます。小節数を選択して録音し、黄色くなると完了です。あとは十字マークからMIDIをDAWなどにドラッグできます。
アルペジエーターは下部の「GROOVE LOCK」にMIDIファイルを入れることで逆に適用することもできます。
まとめ
今回のアップデートでTrilianはかなり使いやすくなったと思います。
しかも、機能や操作画面が改善されただけでなく単純に音源も増えてます。
お持ちの方は必ずアップデートすることをおすすめします。
この記事が参考になれば幸いです。
質問等ございましたら下部のコメント欄からどうぞ!