ベースやギター音源を数多く開発するAmple Soundから出ている無料のエレクトリックベース音源「Ample Bass P Lite」。2026年7月に「Ample Bass P Lite 4(ABPL4)」として大型アップデートされ、アーティキュレーションの追加や新MIDIエディター「Riffer 4」の搭載など、無料とは思えないレベルまで進化しました。
この記事では、そんなAmple Bass P Lite 4の概要や有料版との違い、使い方を解説します。無料で使えるおすすめのフリーベース音源は以下の記事にまとめています。
1. Ample Sound「Ample Bass P Lite 4」とは?
Ample Bass P Lite 4(ABPL4)は、Ample Soundが開発するFender Precision Bassをモデルとしたフリーエレクトリックベース(エレキベース)音源です。作曲ソフトDAWの拡張機能VST 2、VST 3、AU、AAXプラグインとして利用できる他に、Ample Soundのスタンドアロンホスト「Rectangles」を使って単体起動することも可能です。
| 開発会社 | Ample Sound |
| 価格(定価) | 無料(有料版Ample Bass P:119ドル) |
| 収録内容 | Fingerstyle 1ライブラリ(560MB / 16bit) |
| 音域 | D1〜F4(4弦ベースの標準音域・D1までのドロップチューニング対応) |
| 対応フォーマット | VST2 / VST3 / AU / AAX / スタンドアローン(Rectangles) |
| 対応OS | macOS 10.15以降 / Windows 7〜11(64bit) |
🆕 バージョン4での主な進化ポイント
- アーティキュレーションが5種類に増加:旧Lite IIでは非対応だったパームミュートとレガートスライドが追加
- 新MIDIエディター「Riffer 4」搭載:ピアノロールとタブ譜を切り替えながらベースフレーズを作成可能
- Tab Reader 4搭載:Guitar Pro 8までのgpファイルに対応
- アンプ&エフェクト内蔵:アンプシミュに加え8バンドEQ・コンプ・ディレイ・リバーブを搭載
- Polyphonic Legato & Slide Smoother:どんな音程間・速さでも自然なレガートを実現
2. 有料版との違いと利用する前に知っておくべき注意点
Ample Bass P Lite 4は有料版「Ample Bass P」のライト版として無料配布されています。有料版との違いは以下の通りです。
| Ample Bass P(有料版) | Ample Bass P Lite 4(無料版) | |
| 価格 | 119ドル | 無料 |
| 容量 / 音質 | 5.2GB / 24bit | 560MB / 16bit |
| 収録ライブラリ | 指弾き+ピック弾き | 指弾きのみ |
| 音域 | B0〜F4 | D1〜F4 |
| サンプリング方式 | 全弦・全フレットを個別収録 | 音程ごとに収録(別弦の同音は共有) |
| アーティキュレーション | 13種(スラップ・ポップ・タップ等) | 5種 |
| Riffer 4 | フル機能+全リフライブラリ | 全編集機能(プリセット制限・64小節まで) |
| ベースアンプ | 3種 | 1種 |
無料版で使えるアーティキュレーションは
- サスティン
- ハンマーオン&プルオフ
- レガートスライド
- パームミュート
- アクセント
の5つです。旧バージョン(Lite II)では3種のみでスライドも固定音源だったことを考えると、通常のベースラインの打ち込みなら無料版である程度できるレベルまで進化しています。
⚠️ 利用する前に知っておくべき注意点
- スラップ・ポップ・タッピングは非対応:スラップ奏法主体のベースを組み立てたい場合は有料版が必要です。
- ピック弾きは非対応:収録ライブラリは指弾き(Fingerstyle)のみです。
- 音質・サンプル数は有料版より簡略化:16bit収録で、別の弦の同じ音程は同一サンプルを共有します。
- Riffer 4は64小節まで:リフライブラリのプリセット数にも制限があります(編集機能自体はフルで使えます)。
また、有料版と共通のエンジンを使用しているため、有料版向けの一部キースイッチは無料版では機能しません。Ample Guitar M Lite同様、反応しないキースイッチがあっても不具合ではないのでご注意ください。
3. 基本的な使い方を簡単に解説!
ここからはAmple Bass P Lite 4の基本的な使い方を画面ごとに簡単に解説します。画面は左上に並ぶ6つのアイコンで「メイン(楽器)」「Riffer(MIDIエディター)」「Tab Reader」「アンプ」「エフェクト」「Settings」に切り替えられます。各ボタンやノブはカーソルを乗せるとツールチップで機能説明が表示されるので、操作に迷ったらまずホバーしてみてください。なお、すべての機能を網羅した完全な解説ではないので、細かい仕様や操作は公式サイトのマニュアルページも併せて参照してください。
メイン画面

メイン画面はベース本体がそのまま操作パネルになっているのが特徴で、実物のベースを触るように直接クリック・ドラッグして操作します。
チューニング(ペグ):ヘッドにある各弦のペグをドラッグして回すと、弦ごとに最大2半音までチューニングを下げられます。4弦(E1)を2半音下げればドロップDに。スペック上の最低音D1はこの状態を指します。
トーンノブ:ボディ上のノブ(10.0表示)でトーンを調整できます。
弦・フレット表示:ネック下の表示(例:String 4, Fret 4, G#1)に、鳴っている弦・フレット・音名がリアルタイムで表示されます。
アーティキュレーションボタン:●=サスティン&アクセント、⏸=パームミュート、<>=レガートスライド、◀▶=ハンマーオン&プルオフの4ボタンで現在の奏法を切り替えられます(キースイッチC0〜F0と連動)。上にあるグレーの2枠は有料版用のスロットのため、無料版では押せません。
音量系スライダー:DI(DIボリューム)、ST(ステレオDI)、MASTER(マスターボリューム)、PAN、REL(リリース音)、FX(FX音)、FSR(フィンガリングノイズ。隣の電源スイッチでオンオフ)を個別に調整できます。
プレイモード切替:スライダー右のベースアイコンのボタンを押すと、インストゥルメントモード / キーボードモード / ソロモードをドロップダウンで切り替えられます(各モードの違いは次項)。
オートレガート切替:その下のボタンでオートレガートモードを切り替えられます。ボタンのアイコンは選択中のモードによって変化します。
バーチャルキーボード:画面下部の鍵盤は、色分けされたゾーンがキースイッチに対応しています。
演奏モードについて
インストゥルメントモード:同じ弦の2音を同時に鳴らせないなど、実際のベース演奏と同じ制限がかかるモードです。リアルな挙動を優先するならこちら。
キーボードモード:弦の制限なく複数音を同時に鳴らせるモードです。鍵盤感覚で自由に打ち込みたい場合に便利です。
ソロモード:単音のみ発音するモードです。なお、キーボードモードとソロモードでは次のオートレガートが無効になります。
オートレガートモード:自動スライド / 自動ハンマーオン&プルオフ / オフの3モードを切り替えられます。キースイッチD#6でも切替可能で、高ベロシティ=自動スライド、低ベロシティ=自動ハンマーオン&プルオフになります。
ビブラート:MODホイールを前後に動かして手動でコントロールできます(値0.75以上でビブラートノイズも発音)。SettingsのAuto Modをオンにすると自動でビブラートがかかります(後述)。
弦・ポジション指定:キースイッチE6〜G6で演奏する弦(4弦〜1弦)を指定できます。またA#0を押した後にE1〜A#2を押すと、フレットポジションを手動で切り替えられます。
HOLD PEDAL:オンにすると音が切れず伸ばしたままになります。
アーティキュレーションとキースイッチ
| アーティキュレーション | キースイッチ | 内容 |
| サスティン&アクセント | C0 | 基本の指弾き。ベロシティ125以下はサスティン、126〜127はアクセント(強く弾いたニュアンス)で発音されます。 |
| パームミュート | D0 | 刻みフレーズに必須のミュート音。高ベロシティでパームミュート、低ベロシティではデッドノート(ゴーストノート)になります。 |
| レガートスライド | E0 | E0を押した状態で2つのノートを重ねて入力するとスライドで繋がります。旧Lite IIの「固定4種のスライド音」から進化し、任意の音程間でスライド可能・速さも移動先ノートのベロシティでコントロールできます(2フレット以上のスライド時)。 |
| ハンマーオン&プルオフ | F0 | F0を押した状態で2つのノートを重ねて入力すると、音を滑らかに繋げて演奏します。実行後は自動で元のアーティキュレーションに戻ります。 |
補足として、C0とD0を同時に押すと混合モードになり、高ベロシティ=サスティン/低ベロシティ=パームミュートとベロシティで奏法を弾き分けられます。またレガートスライドとハンマーオン&プルオフはPoly Legato対応で、別々の弦の複数ノートから同時にレガートをかけることも可能です。
💡 公式もマニュアル内で案内していますが、アーティキュレーションやレガートの操作に迷ったら、キースイッチを覚えるよりRiffer 4で打ち込んでDAWにドラッグする方が簡単です。Riffer上の再生結果とDAW上の再生結果は一致します。
FXサウンドと便利なキースイッチ
アーティキュレーション以外にも、リアルさを足すためのFXサウンドや便利機能がキースイッチに割り当てられています。
| キースイッチ | 内容 |
| F5 / F#5 | スクラッチ音1 / スクラッチ音2 |
| G5 | 単弦を叩くスラップ音(シングルストリングスラップ) |
| G#5 / A5 | 左手 / 右手によるスラップノイズ |
| A#5 / B5 / C6 / C#6 | FXスライド各種(スライドターン4弦・3弦、スライドダウン4弦・3弦) |
| B4 / C5 / D5 / E5 | 直前の音に対して4度下 / ユニゾン / 5度上 / オクターブ上をオクターブ奏法の形で発音 |
| C#5 / D#5 | 演奏中のノートをリピート(複数ノート対応) |
G5などのスラップ「ノイズ」はあくまで単発のFX音で、スラップ奏法としてベースラインを組み立てることはできない点は従来通りです。本格的なスラップ・ポップは有料版のアーティキュレーションで対応できます。
Riffer 4(MIDIエディター)画面

今回のアップデート最大の目玉が、撥弦楽器専用に設計されたMIDIエディター「Riffer 4」です。主な機能は以下の通りです。
- デュアルビュー:ピアノロールとタブ譜をリアルタイムに切り替えながら編集できます。鍵盤に慣れている人もベーシストも、自分の見やすい画面でフレーズを確認できます。
- 弦の可視化システム:ピアノロール上に弦が表示され、同じ弦での同時発音を自動的に防ぎ、運指も自動で割り当ててくれます。実際に弾ける形のMIDIになるため、打ち込み臭さが出にくいのが特徴です。
- MIDIインポート/エクスポート完全対応:外部MIDIの読み込みも、Riffer上で作ったフレーズのDAWへの書き出しも、再生結果が一致した状態でやり取りできます。
- 奏法の直接編集:運指・アーティキュレーション・レガート・表情付けをノートごとに指定でき、面倒なキースイッチやMIDI CCの打ち込みは不要です。
- 新MIDI CC / ベロシティエディター:複数のCCレーンを色分けして同時表示・編集でき、ワンクリックのカーブプリセットも用意されています。
- リフライブラリ:ベースリフのプリセットを読み込んでそのまま使ったり、編集して自分のフレーズに作り替えたりできます(無料版は収録数と64小節の制限あり)。
📍 Riffer画面右上の6つのアイコン
初見では分かりにくいですが、Rifferパネル右上には6つのアイコンが並んでいて、左から順に「ピアノロール/タブ譜切替」「カラーテーマ」「インストゥルメントパネル表示」「右サイドバー表示」「CCパネル表示」「パネルのリサイズ」です。ピアノロール⇔タブ譜の切替は一番左のボタンで、タブ譜モードでは弦の左端にある色付きドットをクリックすると、その弦上のノートを全選択できます。
画面の見方としては、小節バー下の帯がコードトラック(ダブルクリックでコードを追加、コードをダブルクリックで編集)、ピアノロール上の色付きカーブが各弦の運指ライン(左端の丸数字①〜④が弦番号)です。画面下部にはベロシティやMODなどを色分けして重ねて表示するCCエディター(目のアイコンで表示切替)と、スクラッチやスラップノイズなどの単発FX音を置くFXレーンがあります。右サイドバーには編集履歴のほか、Dice(フレーズの自動生成)、MIDIヒューマナイズ、タイムストレッチ、クオンタイズスウィングといったMIDI加工機能がまとまっています。
📝 編集の基本は「ノートを選択→上部のプロパティバー」
Rifferで最初に迷いやすいポイントですが、奏法の変更は右クリックメニューではなく、ノートを選択すると画面上部に表示されるプロパティバーのドロップダウンから行います。
- アーティキュレーション:Sustain(C0) / Accent(C0) / Palm Mute(D0) / Dead Note(D0)から選択できます。SlapやPopなど有料版専用の奏法もリストに表示されますが、グレーアウトしていて選択できません。
- レガート:スライドとハンマリングはアーティキュレーション欄ではなく、隣のレガート欄で「Legato Slide」「Legato HP」を指定します。
- 弦:1〜4のドロップダウンで演奏する弦を変更できます(ピアノロール上でShift+ドラッグでも変更可)。
- FXレーンのノート:同様に選択して、Scratch / Single String Slap / FX Slide等をドロップダウンで切り替えられます。
使い方の基本フローは、①リフライブラリから近い雰囲気のフレーズを読み込む → ②ピアノロール/タブ譜で音程や奏法を編集 → ③MIDIとしてDAWへドラッグ&ドロップという流れが最も簡単です。もちろんゼロから自分で打ち込むこともできます。
リフの保存・読み込みやMIDIの入出力は、Riffer左下のファイルメニュー(書類アイコン)にまとまっています。New(新規リフ) / Load / Save / Save Asのほか、Import MIDI / Export MIDI / Export Audioが用意されていて、作ったフレーズをMIDIだけでなくオーディオファイルとして書き出すことも可能です。
DAWで録音したMIDIをRifferで編集したい場合、CubaseとNuendoはMIDIブロックをRifferへ直接ドラッグ&ドロップできます。それ以外のDAWでは、一旦MIDIファイル(.mid)として書き出し、このファイルメニューから「Import MIDI」で読み込みます(フォーマットはMIDI 0または1、1トラックのみ対応)。逆にRifferからDAWへは、どのDAWでもDrag MIDI to Hostアイコンからドラッグ&ドロップで書き出せます。

なお、Riffer(MIDIエディター)ページとは別に「Tab Reader」のページも用意されています。Riffer内のタブ譜ビューが打ち込んだMIDIをタブ譜表示に切り替える機能なのに対し、こちらはGuitar Proのタブ譜ファイル(GP3〜Guitar Pro 8)を読み込んで表示・再生する機能です。読み込んだベーストラックは運指や奏法を保持したままRifferへインポートして編集することもできます。
アンプ&キャビネット(AMP画面)

アンプ画面では、無料版に収録されているベースアンプ「Vintage-15」を操作できます。1966 / 1964の2チャンネルにそれぞれVolume・Bass・Trebleノブがあり、ULTRAスイッチやチャンネル切替も実機さながらに操作可能です。下部の電源ボタンでアンプ自体のオンオフを切り替えられ、アンプ専用のプリセットも用意されています。
また、画面右上のアイコンからキャビネット画面に切り替えられます。キャビネットに立てられた2本のマイクと、右側の5チャンネルミキサー(Dyn421 / Dyn57 / ROOM / DI / 1×15)で音作りが可能で、各チャンネルにパン・フェーダー・ミュート(M) / ソロ(S)・位相反転・リンクが用意されています。DIとマイクのバランスで音の輪郭を調整するのが基本です。
エフェクト(FX画面)

FX画面では、左端に並ぶ4つのアイコンで
- コンプレッサー
- 8バンドEQ
- ディレイ(テンポ同期対応)
- コンボリューションリバーブ(Room等のIRを選択し、Size / Pre Delay / Bass / Trebleで調整)
を切り替えて使えます。各エフェクトには個別の電源ボタンとプリセットが用意されており、DAW側でアンプシミュやエフェクトを別途挿さなくても、プラグイン内だけである程度音作りが可能です。
Settings:押さえておきたい設定
歯車アイコンから開くSettingsは項目が多いですが、押さえておきたいのは以下です。
Auto Mod(自動ビブラート):Modulationセクションのチェックをオンにすると、演奏に自動でビブラートがかかります。Mod Time / Mod Gain / Mod Pitchとカーブで揺れ方を細かく調整でき、MODホイールでの手動ビブラートと使い分けられます。
Bend Range:ピッチベンドの可変幅を設定できます(デフォルトは2半音)。
Velocity Sens:MIDIタブのVelocity Sensでベロシティ感度を調整できます。手持ちのMIDIキーボードのタッチに合わせて反応を変えたい場合に便利です。
その他:マスターチューニング(440Hz)や最大同時発音数のほか、UIの言語設定・スケーリング・ツールチップのオンオフなどもここで設定できます。
まとめ
旧Lite IIは「無料だけど制限が多い」という印象でしたが、バージョン4でパームミュート・レガートスライドが追加され、Riffer 4によるフレーズ作成まで無料でできるようになったことで、無料エレキベース音源の中では頭ひとつ抜けた存在になりました。スラップ・ポップやピック弾きが必要になったら有料版のAmple Bass Pへアップグレードする、という流れで長く付き合える音源です。まだベース音源を持っていない方はぜひ活用してみてください。この記事が参考になれば幸いです。
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