ドラム音源の代表格の一つBattery 4。
とても使いやすく、音も豊富で、細かく音作りでき、エレクトロ系などで即戦力のドラムサンプラー音源です。
しかし、他の代表的な生ドラム音源とは違う仕様のものですので、注意が必要です。
この記事ではNative Instruments「Battery 4」をレビュー、導入するメリットや注意点、使い方も解説していきます。
ぜひ参考にしてくださいね。
おすすめドラム音源に関するまとめ記事はこちらをご覧ください。
1. Native Instruments「Battery 4」とは?
Battery 4は、Native Instrumentsが開発するドラムサンプラー音源です。
上の画像のように、パッドのようなもの(セル)が並んだ仕様です。
豊富な音があるドラム音源ですが、サンプラーでもあります。
Battery 4は単体だけでなく、Battery 4を含めた多くの音源を網羅したバンドルKOMPLETE 15(Select Beats以上)にも含まれます。
また、最近ではKomplete NOWという月額サブスクリプションプランでも利用することができます。
作曲ソフトDAWの拡張機能VST、AU、AAXプラグインとして利用できますが、単体での起動(スタンドアローン)も可能です。
<Battery 4の概要>
開発会社 | Native Instruments |
操作画面 | |
製品名 | Battery 4 |
ドラムセット | 143のキット |
発売日 | 2013年 |
価格(定価) | 単体 ¥26,800 (アップデート¥13,400) Komplete NOW 月額¥1,380 / 年額¥13,800 |
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2. 導入するメリット
実際に、私がNative Instruments「Battery 4」を使用していて、メリットだと感じたのは次の5点です。
- 初めてのソフト音源におすすめできるKomplete 15に含まれる
- 豊富なドラムサンプル
- サンプラーとして利用可能
- わかりやすいGUI(操作画面)
- 細かく音作りができる
順に解説していきます。
(1)初めてのソフト音源におすすめできるKomplete 15に含まれる
Battery 4は、Komplete 15に含まれる音源の1つです。
Komplete 15はシンセサイザーのみならず、ドラム、ベース、ピアノなどほぼ全ての音源を網羅しているパッケージですので初心者の方にもおすすめです。
<Battery 4が含まれるパッケージ>
Komplete 15 Select Beats
Komplete 15 Standard
Komplete 15 Ultimate
Komplete 15 Collector’s Edition
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(2)豊富なドラムサンプル
143のキットを搭載しています。これは普通のドラム音源に比べるとかなり多いです。
普通のアコースティックドラムを再現した音源はせいぜい10、20セットくらいです。
しかし、あくまでドラム「サンプラー」音源であることをお忘れなく。これについては、後々注意点の項目で解説します。
(3)サンプラーとして利用可能
外部からサンプルをセットして自分独自のドラムキットを作成できます。
サンプラーとして利用する場合でもいじれるパラメータが多く、エフェクトも多数搭載していますので大変便利です。
Splice Soundsなどのサンプルサービスからサンプル音源を持ってきて自分独自のキットを作ってみる方法もおすすめです。
(4)わかりやすいGUI(操作画面)
単純にサンプルが並んでいて、MIDIキーボードやMIDIパッドで鳴らせるわかりやすい仕様で初心者の方でも扱いやすいでしょう。
細かく設定しようとすると奥が深いソフトではありますが、初見でも十分利用することが可能です。
(5)細かく音作りできる
Battery 4は、かなり細かく音作りが可能です。
ビンテージサンプラーの質感を加えるなど豊富なエフェクトだけでなくモジュレーションやレイヤー、MIDI設定など細かく音作りすることが可能です。
個人的に特に便利だと感じたのはアーティキュレーションです。
- Alternate Stroke
- Release Stroke
- Flam
- Drag
- Three Stroke Ruff
- Roll
- Buzz
- Muted
- Speed Roll
- Geiger Counter
と豊富な種類のアーティキュレーションを選択できます。
細かくMIDIを作成することなく、一発でロールやフラムなどを作成できるのは大変便利です。
3. 利用する前に知っておきたい注意点・デメリット
しかしながら、Native Instruments「Battery 4」を利用する上で注意点があります。
それは「あくまでサンプラー音源」だという点です。
ここはしっかり理解しておく必要があります。
Battery 4はあくまでサンプラー音源です。アコースティックドラムセットを再現するものではありません。
そこが他のドラム音源
- FXpansion「BFD 3」
- XLN Audio「Addictive Drums 2」
- IK Multimedia「MODO DRUM」
- Slate Digital「Steven Slate Drums(SSD5)」
- Toontrack「Superior Drummer 3」
などとの違いです。上記のドラム音源は主に実際のドラムセットを再現しています。
同じようなドラムサンプラー音源としてはXLN Audio「 XO」が挙げられます。
サンプラー音源Battery 4とアコースティックドラムセットを再現している音源の違いとは?
では、アコースティックドラム音源とどう違うのかが気になりますよね?
サンプラー音源は、一つ一つ孤立した音が鳴ります。(干渉し合う設定も多少できます)
対して、生のドラムセットを再現している音源はドラムのマイク録音を再現しているので、互いに干渉した設定や全体の音を録るマイクの再現が可能です。
例えば、ドラムセットのスネアの音を鳴らすとします。実際に生ドラムを録音する場合、スネアの音はキックのマイクにも、タムのマイクにも音が入ってしまいますよね。生ドラムを再現している音源では、これもしっかり再現できます。またルームマイクなど全体の音を録るマイクも再現できます。
一方で、サンプラー音源は音が個々に孤立しています。Battery 4は、あくまでサンプラー音源であることを忘れないでください。
4. 口コミ・評判を紹介!
さて、実際に使っている方がNative Instruments「Battery 4」をどのように評価しているのかなど気になりますよね?
ここでは、Twitterでの口コミや評判を集めてみましたのでご覧ください。
評価は高いですが、少し古い音源ですのでツイートも古いです。しかし、現在でも人気の高いドラムサンプラー音源です。
Native Instruments Battery 4
どのバンドやプロジェクトでも、ドラムやパーカッションのトラックはこれで作ってる。
パラアウト、レイヤリング、セルごとのエンベロープ、フィルターなど、いたれりつくせりで、これでドラムトラックを作れない奴は他の何を使ってもダメだ!とすら思ってる。
今さらだけど、BATTERY 4っていいね
Native Instrumentsの
Battery 4
むっちゃ欲しい……
Logicでのカットアップ、Battery的な感じで出来る、いい方法ってあるのかな…?
引用:Twitter
5. Batteryに関するセール情報
Native Instruments製品は、たまにセールをおこないます。
Batteryは、ブラックフライデーで半額の¥13,400で販売されていました。
単体でセールになることもBattery 4を含むパッケージ品Komplete 14がセールになる場合もあります。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。
6. Native Instruments製品のインストール・アクティベーション方法
Native Instruments製品のインストール・オーソライズ方法は簡単で以下の4STEPで完了します。
- Native Instrumentsにてアカウント登録
- Native Access 2をダウンロード・インストール、起動してログイン
- 左下「Add Serial」からシリアルコードを入力
- 製品をインストール
※Battery 4は、ソフトウェアの他にBattery 4 Factory Library(音源ライブラリ)をインストールする必要があります。
7. Battery 4の使い方を解説!
ここからは使い方を下記の順番で解説していきます。
公式のマニュアルはこちらをご覧ください。
- セルのセット・設定
- セルの音作り
(1)セルのセット・設定
まず左側のLibraryからドラムキットプリセット(Kits)もしくはドラムサンプル(Samples)を選びます。これらは上部にあるサーチマークで開閉可能です。Fileからは、任意のファイルを選択することも可能です。
Library下部の音量マーク、ボリュームスライダーでセット前に試聴することが可能です。
左下のリロードマークはサンプルを選択するとすぐにセットされます。オフの場合は2回選択(ダブルクリック)でサンプルがセルにセットされます。
おすすめのプリセット
- Glitch Kit:名前の通り、グリッチサウンドのキットで適当に押しても、細かで複雑なエレクトロドラムに見せることができます。プラスアルファの装飾系ドラムとして利用できます。
- Jack Kit:707、808、909などRoland名機リズムマシンのサンプルをまとめたキット。707、808、909個々のキットの方が様々なサンプルがありますが、まとめて簡単に使いたい方におすすめです。
- Steve Land Vinyl Kit:好みが分かれるかと思いますが、レコードノイズがかったドラムでスネアがかなり好みです。
一つ一つのサンプルは左下にソロ、ミュートがついており、右クリックでカットやコピー、ペーストなどセルの編集が可能です。
その中でも一番使うのはOutputです。Direct Out1〜32に分けることで音を別々アウトするパラアウトが可能となります。
Direct Outを設定した後は、DAWのオーディオトラックで別々のアウトを受け取ります。パラアウトの受け取り方法はそれぞれのDAWによって異なります。
セルは縦にABC〜、横に123〜となっており、それぞれクリックすると列を全て選択することが可能です。またセル自体はシフトを押しながらクリックすることでも複数選択可能です。列を加えたい場合は縦ABC〜、横123〜を右クリックしてAdd Row、Add Colummを選択します。
(2)セルの音作り
それぞれのセルをクリックすると下にオーディオ波形が出てきます。Sがスタート、Eがエンドを表し、サンプルの再生する長さドラッグして調整できます。
右側には
- Tune:チューニング
- Reverse:リバース
- Pan:パンニング
- L⇆R:LRチェンジ
- 位相反転
などの設定ができます。
Key Rangeはセルを鳴らすMIDIキーを決めますが、MIDIケーブルのマークをクリックした後にキーを押すことで設定できます。キーは2回押す必要があり、1回目と2回目が違うキーを押した場合はその間の範囲が全てそのセルが鳴る設定になります。
Main
Volume Envelope / Pitch Envelope:ボリューム、ピッチの変化を調整するエンベロープはそれぞれ右上2種類のマークから選択でき、左上の電源マークをオンにすることで適用されます。ノブを回して調整すると上部にエンベロープカーブが表示されますので、どのように変化したのかわかりやすいです。
Velocity:ベロシティによって音量(To Volume)、ピッチ(To Pitch)が変化する量を調整できます。
Engine:Sampler、Stretchの2種類が選択できます。それぞれの違いはピッチを変えた際にオーディオが伸び縮みするかどうかの違いです。Samplerは伸び縮みするのに対し、Stretchは一定に保ちます。
SamplerはStandardとVintageがあります。Standardは、その名のとおり標準の仕様です。DFDはDirect From Diskの略でRAMの負荷を減らすために全てをロードせず再生するための手法です。VintageはSP1200など名機サンプラーのエミュレートした質感を出すことが可能です。
StretchはStandardとProがあります。Standardはスピード(ピッチ)を調整するSpeedの他にサウンド片のサイズを設定するGrain、クリップ等をおさえるSmoothがあります。ProはBatteryのプロストレッチエンジンを起動します。
Mainページにはその他Filter、Compressor、Send(Delay、Reverb)のエフェクト設定があります。
Effects
Effectsページには5つのエフェクトが搭載されています。
- Saturation、:Classic、Drums、Tapeから選択できるサチュレーション
- LoFi:ノイズ付加やビットクラッシャーなどローファイエフェクト
- Filter / EQ:フィルターや3バンドイコライザーなど
- Compressor:Classic、Pro、Solid Bus Compから選択できるコンプレッサー
- TM(Transient Master Module):トランジェントシェイパー
Modulation
Modulationページにはモジュレーション用の2つのLFOとModulation Envelopeがあります。Volume EnvelopeやPitch Envelopeと同様にLFOやエンベロープはノブを回すと上部にカーブが表示されますので、変化がわかりやすいです。
右側にモジュレーションをセットするスロット(Modulation Slots)が8つあります。Noneの部分からモジュレーション元とモジュレーション先を選択し、真ん中のスライダーでモジュレーション量を調整します。Invはモジュレーションが反転します。
個々に細かくモジュレーションできますが、発音の短いドラムの場合、変化がわかりにくいこともあります。
Setup
Velocity:ベロシティカーブを調整できます。カーブのポイント部分を上下にドラッグして調整できます、Key Trackは、同じサンプルにピッチを持たせることができ、Note Latchはノート発音中にキャンセルして新しいノートを発音することができなくなります。
Cell Activation:セルの発音条件を設定します。ほとんどの場合は通常のNote Onで常に(Always)トリガーする設定で問題ありません。
Voice Groups:同じグループに設定しVoicesを1にすることで、他のセルが鳴ると途中で鳴り終わる設定ができます。特にハイハットオープン、クローズで必要な設定です。
Articulation、:左上電源ボタンをオンにして装飾音をつけることができます。速さ(Speed)と、強さ(Dynamics)をコントロールできます。
MIDI Echo:左上電源ボタンをオンにしてMIDIディレイを設定できます。ディレイタイム(Time)、フィードバック(Feedback)の他にTuneでチューニング、Gravityでタイム間を変化させることができます。
Humanize:左上電源ボタンをオンにしてリアルな演奏感を出します。Soundが強さ、Timeがタイミングにばらつきを持たせます。
Editor
Editorページはその名のとおりサンプル波形自体を切ったり、編集したりできる他にレイヤーも可能です。
グラフの縦がベロシティで、横がレイヤーになります。右クリックしてAdd Layerを選択することで新しいサンプルを付け加えることができます。アコースティックドラム系のサンプルは初期状態でベロシティによってサンプルが変化している(ベロシティレイヤーあり)場合があります。
Master
MasterページはEffectページと同じエフェクトの他にSendでかかるReverb、DelayそしてOutputの設定でできるBus1〜4やMasterのボリュームを調整できます。
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まとめ
Battery 4はリズムマシン、シンセドラムなどエレクトロ系のドラム音源として重宝します。
しかし生ドラムに関しては他の音源の方が良い場合もあるかもしれません。Battery 4とは別に他の生ドラムを再現している音源を持つことをおすすめします。
他のドラム音源とそれぞれ得意な部分が違いますので、あなたの曲にBattery 4の音が合うかどうかよく吟味しましょう。
この記事が導入の参考になれば幸いです。
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