iZotopeが開発するAI機能搭載ボーカル向けマルチエフェクトNectarシリーズの最新バージョン4。
前回バージョンはNectar 3 Elements・Nectar 3・Nectar 3 Plusがありましたが、今回は、Nectar 4 Elements・Nectar 4 Standard・Nectar 4 AdvancedとOzoneやRXなどのiZotope製品同様の展開となっています。AI機能の仕様もOzone 11やNeutron 4に近い形になっています。前回バージョンと比べてかなり進化しているので、アップグレードを検討している方はバージョン4にすることをおすすめします。
AI機能に注目が集まりやすい製品ですが、アグレッシブなエフェクトやボリュームコントロールとしてかなり使えます。
この記事ではそんなNectar 4の概要やAI機能の解説や使い方をわかりやすく掲載。また、各エフェクトや機能レビューも掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
是非参考にしてください。
目次
- 1. iZotope「Nectar 4」とは?
- 2. Nectar 4の新機能!違いを解説!Nectar 3から何が変わった?
- 3. AI機能ボーカルアシスタント(Vocal Assistant)レビュー!バージョンによる違いなど注意点
- 4. 各エフェクトや機能をレビュー!
- 5. Nectar 4 Elements・Standard・Advancedの違いを比較!どれを買うべき?
- 6. おすすめの買い方
- 7. Nectar 4に関するセール情報
- 8. 口コミ・評判を紹介!
- まとめ
- <購入後はこちら> iZotope製品のインストールアクティベーション方法
- <Nectar 4のマニュアル>各エフェクトの紹介と使い方を解説!
1. iZotope「Nectar 4」とは?
Nectar 4は、iZotopeが開発するボーカル用に作られた複数エフェクトを搭載するプラグインです。
AI機能も搭載しており、誰でも簡単にボーカルの処理をすることが可能です。
※AI機能はあくまで「アシスタント」とされています。時短してパパッと聞かせる音源には便利ですが、iZotope公式では基本的にアシストしてもらう使い方が推奨されています。
低価格版「Nectar Elements」と通常版「Nectar 3」そして追加機能が搭載された「Nectar 3 Plus」がありましたが、バージョン4になり他のiZotope製品同様Elements、Standard、Advancedの3種類となりました。
Nectar 4には、
- マザーシッププラグイン:全てのエフェクトモジュールチェーンとAI機能ボーカルアシスタントが搭載されたプラグイン
- コンポーネントプラグイン:13種類それぞれの単体エフェクトプラグイン(Advancedのみ)
があり、一般的にボーカル用とされていますが、Advancedバージョンでは別々のプラグインエフェクトとしても利用できるので、他のオーディオのトラックメイクなどにも活用できます。
作曲ソフトDAWの拡張機能AU、AAX、VST3プラグインとして利用できます。
<Nectar 4の概要>
開発会社 | iZotope |
操作画面 | |
価格(定価) | Nectar 4 Elements ¥8,200 Nectar 4 Standard ¥33,000 Nectar 4 Advanced ¥49,700 ※価格は為替の影響で変動します。 |
主なエフェクト数 | 13種類 |
AI機能 | あり |
発売日 | 2023年9月6日 |
Nectarを含む主なパッケージ
時期によってパッケージが追加・廃止されたり、販売店独自のバンドルも存在する場合があります。人気のバンドルTonal Balance Bundleは、新しくAI機能搭載リバーブNeoverbが追加されたMix & Master Bundle Advancedとして販売されています。
※販売店によって旧バンドルの取り扱いがある場合があります。価格は為替の影響で変動します。
表は横にスクロールできます▼
パッケージ | Mix & Master Bundle Advanced | Music Production Suite 7 | Everything Bundle | Elements Suite | RX Post Production Suite 8.5 |
主な収録内容 | Ozone 11 Advanced Neutron 5 Nectar 4 Advanced (w/ Melodyne Essential) Tonal Balance Control 2 Neoverb Audiolens |
Neutron 5 Symphony 3D Stratus 3D Brainworx bx_boom! Brainworx bx_cleansweep Pro Brainworx bx_delay 2500 Brainworx bx_refinement Brainworx bx_saturator V2 Brainworx bx_subsynth Ozone 11 Advanced RX 11 Standard Nectar 4 Advanced (w/ Melodyne Essential) Neoverb Vocal Synth 2 Insight 2 Tonal Balance Control 2 Audiolens VEA Trash Raum Crushpack(3種) Modpack(3種) Supercharger GT Replika XT Solid Mix Series(3種) Transient Master Driver Guitar Rig Pro 7 |
Ozone 11 Advanced Neutron 4 Nectar 4 Advanced (w/ Melodyne Essential) RX 11 Advanced Dialogue Match VocalSynth 2 Insight 2 Stutter Edit 2 Exponential Audio Stratus 3D Exponential Audio Symphony 3D Tonal Balance Control 2 Neoverb Brainworx bx_boom! Brainworx bx_cleansweep Pro Brainworx bx_delay 2500 Brainworx bx_refinement Brainworx bx_saturator V2 Brainworx bx_subsynth Audiolens VEA Trash Raum Crushpack(3種) Modpack(3種) Supercharger GT Replika XT Solid Mix Series(3種) Transient Master Driver Guitar Rig Pro 7 |
Ozone Elements Neutron Elements Nectar Elements RX Elements |
RX 11 Advanced Dialogue Match Neutron 5 Nectar 4 Advanced (w/ Melodyne Essential) Insight 2 RX Loudness Control Stratus 3D Symphony 3D Tonal Balance Control 2 |
価格(定価) | ¥84,800 | ¥101,800 | ¥422,900 | ¥23,100 | ¥300,900 |
- DTM初心者
- 時短したい
- ボーカルの処理の仕方がわからない
NectarはSplice Pluginsにて月額払い(Rent-to-Own:借りる→払い切ると自分のものに)でも利用可能です。Splice Pluginsは通常の月額払いと違い、全額支払いの義務はなく、いつでも利用停止そして再開することが可能です。Splice Pluginsに関する詳しい記事はこちらをご覧ください。
iZotopeのサブスクリプション
iZotope公式のサブスクリプションサービスもあります。Native InstrumentsやBrainworx製品とともに「360」というサービスを展開しています。360 Essentials・360 Plus・360 Proの3種プランから選んでiZotope、Native Instruments、Brainworx製品の最大150以上プラグインを月額もしくは年額で利用できます。
プラグインのサブスクリプションに関する詳しい記事は以下をご覧ください。
2. Nectar 4の新機能!違いを解説!Nectar 3から何が変わった?
Nectar 3との違いは何なのか?何が変わったのか?新機能や改良された機能をご紹介します。
Vocal Assistant (全バージョン)
Vocal Assistantは、前回バージョンから大きく進化し、強度やタイプなどの選択をあらかじめする必要なく、オーディオを読み込むだけで完了します。
分析完了後に表示されるボーカルアシスタントビューでは、詳しい知識がなくてもザックリと調整できる様になっており、Nectar 4のキャラクター、EQをガイドするためにターゲットライブラリを選択することも可能です。デフォルトでSinging(歌声)、Rap(ラップ)、Talking(音声ダイアログ)それぞれ強度の異なるターゲットを選択できます。また、+ボタンから独自のリファレンスターゲットをターゲットライブラリにアップロードすることができます。
- ライブラリの中の様々なターゲットから選択して、瞬時に求めているサウンドを実現
- カスタムリファレンストラックをインポートすることで、『Vocal Assistant』がトーンを自動的に合わせることが可能
- EQ、Intensity、Widthに関する効果的な決定を下して、ボーカルのサウンドを作ることが可能
- ディメンション、リバーブ、ディレイなどのボーカルエフェクトをシームレスにブレンド可能
- ボーカルをレイヤーしたり、シフトやピッチ調整をして動きと深みを加えることが可能
Audiolens referencing (全バージョン)
Nectar 4になり、Audiolensに対応できるようになりました。
Audiolensは、音源ファイルのダウンロードやDAWの設定に時間を費やすことなく、ストリーミングプラットフォームから直接楽曲の特性を収集し、Ozone 10やNeutron 4、Nectar 4とシームレスに繋げて収集した特性に合わせたミックスやマスタリングが可能なデスクトップアプリです。これを使ってターゲットライブラリを拡張することが可能です。
- Audiolensを使って様々な音源のオーディオを参照し、Nectar 4の『Vocal Assistant』を使ってボーカルプロセッシングを開始できる
- Audiolensの新しいセパレーション技術により、サウンドの目指すべきターゲットを提供し、あらゆるボーカルのトーンにもマッチ
- Nectarの『Vocal Assistant』内で独自のリファレンスターゲットのライブラリを作成し、どのセッションでも簡単にリファレンスにアクセスできるように
Voices Module (全バージョン)
簡単かつ即座にボーカルレイヤーを作成するVoicesモジュールを使えば、ボイスリードやハーモニックモーションを学習させることなく、ボーカルプロダクションに複雑なレイヤーを加えることができます。
※Elementsバージョンではスタイル選択のみで細かな設定はできません。
- スタイルセレクトのオートハーモニーの中から、好みのスタイルに合うものを選ぶことが可能
- MIDIモードを有効にすると、必要な特定の音程のボイスを正確にコントロール
- 強力なエディターで、ボイスの数や歌うコードをカスタマイズ
- ボイスの音域を調整し、メインボーカルの上や下の音域で歌わせることが可能
- ミキサービューで各ボイスを簡単に管理、操作することができ、ボーカルプロダクションのサウンドステージを直感的にコントロールすることが可能
Celemony Melodyne 5 Essential (Standard、Advancedのみ)
Nectar 4は、Pitchモジュールが内蔵されていますが、Standard以上ではさらに細かくピッチやタイミングを調整できる別製品「Melodyne 5 Essential」が付属します。Melodyneはグラミー賞を受賞したピッチおよびタイム修正ツールで、その正確かつ直感的な機能で知られ、世界中のプロフェッショナルなスタジオで広く使用されています。
Nectar 4購入後、Melodyne 5 Essentialを入手:https://www.izotope.com/en/lp/redeem/nectar/nectar.html
Backer Module (Standard、Advancedのみ)
Standard以上に搭載されているBackerモジュールを使えば、メインボーカルの後ろに人工的なバックシンガーを作成できます。8種類のスタイルの中から選ぶか、自分のアカペラをインポートしてサウンドをさらにカスタマイズできます。
- ボーカルを8つの異なるスタイルでシフトして、異なるバックシンガーを作ることが可能
- リファレンスターゲットで独自のスタイルを作ることも可能
- Tone、Pitch、Formant機能でバックアップシンガーをミックスすれば、トラックをリードボーカルの後ろに配置することが可能
- シフティングとスタイルの選択をオートメーションで完全にコントロールし、トラック全体に動きを生み出すことが可能
Auto-Level Module (Advancedのみ)
Advancedのみで利用できるAuto-Levelモジュールは、インテリジェントで透明なコンプレッサーに代わるモジュールです。シグナルチェーンの最初に配置することで、ボーカルレベルを簡単に制御してくれます。Auto-LevelのTame Noise機能は、ボーカルコンテンツの歌唱部分とそうでない部分を区別し、トーン要素のみをレベル調整します。これにより手動で音量を自動調整する必要がなくなり、時間と労力を節約することができます。Auto-Levelは従来のコンプレッサーのように不要なアーティファクトを発生させずに、一貫した音量レベルを提供し、クリーンで自然なサウンドを実現てくれます。
- Nectarのインターフェイスのどこにいても必要なボーカルコントロールができる新しいミニモジュールビューから『Auto-Leveler』へのアクセス
- 新しいTame Noise機能は、歌唱以外のボーカル要素を積極的に制御し、一貫性のあるバランスのとれたボーカルを実現
- 『Auto-Level』のMix、Strength、Rangeパラメータを微調整して、ボーカル信号を正確にコントロール
- サイドチェインモードを使って、ミックス内の別のトラックのボリュームレベルをボーカルに合わせることが可能
13 コンポーネントプラグイン (Advancedのみ)
Nectar Advancedには個別に使用できるコンポーネントプラグインが付属しています。
- 13種類のパワフルなボーカルプラグインがボーカルエフェクトチェーンのテンプレートに集結
- 『Pitch Tracking』と『Dynamic EQ』を活用して、シームレスにミックスに合う、バランスのとれたボーカルが実現
- Pitch、Backer、Voices FXを使用して、ボーカルチェーンに強力なレイヤーとシフトされたエフェクトを作成
- Reverb、Delay、Saturation、Dimensionでボーカルプロダクションを強化し、キャラクターや深み、動きを与えられる
- De-esser、Compressor、Gate、Auto-Level、Breath Controlの各プラグインで、ボーカルでも会話の音声でも、ダイナミクスをコントロールすることが可能
主な機能
- Vocal Assistant:機械学習技術を使ってカスタムプリセットを即座に作成、ミックス内でのボーカルのフィット感を最適化
- Improved Unmask:『Vocal Assistant』のメニュー画面から直接、競合するミックスの要素を減らして、ボーカルの優先度を簡単に調整
- Dynamic EQ(フォローEQモードを搭載):邪魔なレゾナンスをリアルタイムでトラッキングして除去、作業時間と労力を節約
- Auto Levelモジュール:ボーカル・レベルを処理前に自動的に調整、ダイナミクスの補正や手動でのフェーダー調整が不要に
- プラグイン間コミュニケーション:Nectar 4はセッション内の他のiZotopeプラグインと通信し、トーンバランスとマスキングを処理
- 13コンポーネントプラグイン:ダイナミックEQ、オートレベル、モーフ、ブレスコントロール、コンプレッション、ボイス、ピッチ、ディエッサー、サチュレーション、リバーブ、ゲート、ディメンションなど、ボーカルに特化した制作やミキシングのツールの包括的なセットを収録
追加機能
- Nectar 4のブレスコントロールプラグイン:音質を損なわずに不要なブレスノイズを低減
- Melodyne 5 Essential:数々の賞を受賞したタイム&ピッチ修正ソフトウェア
- iZotope Relay:ミックスとiZotopeプラグインをインテリジェントに接続してくれるセントラルハブ
- 数百にも及ぶプロ品質のプリセット:音楽用とダイアログ用に設定済み
3. AI機能ボーカルアシスタント(Vocal Assistant)レビュー!バージョンによる違いなど注意点
Nectar 3同様、Nectar 4にもAI(人工知能)機能「ボーカルアシスタント(Vocal Assistant )」が搭載されています。ボーカルアシスタントは、ボーカルトラックを再生して読み込ませることで自動で調整してくれるAI機能になります。この機能により初心者でも簡単にボーカルトラックを調整でき、大幅な時短にもなります。
前回バージョンから大きく進化し、強度やタイプなどの選択をあらかじめする必要なく、オーディオを読み込むだけで完了し、その後に表示されるアシスタントビューで簡単にカスタマイズできます。
詳しい使い方はこちら「Vocal Assistant」で解説しています。
Nectar 3とNectar 4のボーカルアシスタントを同じ楽曲の同じ部分を読み込ませて比べてみましたが、まず第一印象としてはNectar 4の方がよりウェットなサウンドのボーカルになりました。これはNectar 4では、アシスタント機能でReverbだけでなくDelayやDimension、Widthなど様々なエフェクトが使われているからでしょう。これらのエフェクトが必要なければ、ボーカルアシスタント完了後に表示されるアシスタントビューでオンオフできます。
Nectar 3とNectar 4では、以下のようなエフェクトチェーンとなっていました。
※エフェクトチェーンのオンオフはオーディオ素材によって異なる場合があります。
Nectar 3 Plus(タイプ:Modern / 強度:Moderate)
- Pitch(オフ)→Gate(オフ)→EQ1→De-esser→EQ2→Compressor1(Solid State)→Reverb
※Auto Level Modeオン
Nectar 4 Advanced
- Auto Level→Gate(オフ)→EQ1→De-esser(オフ)→Compressor1(Optical)→EQ2→Voices(オフ)→Dimension(オフ)→Delay→Reverb
EQ2とCompressor1の順番が逆である点やコンプレッサーの種類が違う点などは、新しいAuto Levelモジュールでエフェクトに入る前に細かなボリュームコントロールができているからかもしれません。実際に、2つを比べてみるとNectar 4の方がより息づかいが聞き取れやすく高音域が抜けるサウンドになっていました。
この点も踏まえて、ボーカルアシスタントを利用するメリットと利用する前に知っておくべき注意点を解説します。
ボーカルアシスタントの利用メリット
AI(人工知能)機能ボーカルアシスタントを利用することで、下記のようなメリットが考えられます。
- 初心者でもボーカルトラックを処理できる
- 瞬時に調整でき、時短になる
- AIの処理が勉強になる
バランスのとれたボーカルを作ろうとすると初心者の方はプロに比べて音量差が大きすぎたり、肝心なところで抜けが悪かったりする場合があります。しかし、この機能を利用すれば一瞬で抜けの良いボーカルトラックが完了するので、初心者には大変ありがたい機能となっています。今回のバージョンからボーカルアシスタント完了後にアシスタントビューが表示され、詳しい知識がなくてもザックリと調整できる様になっています。また、AIによる処理を見ることで勉強にもなります。
利用する前に知っておくべきボーカルアシスタントの注意点
ボーカルアシスタントは便利な機能ですが、利用する前に知っておくべきいくつかの注意点があります。
頼り過ぎ注意
頼り過ぎてもいけません、AIによるエフェクトはある程度の決まったエフェクトしかかからないため不十分な点もあります。ボーカルアシスタントでボーカル処理を学びながら、最後は自らの手で行うことも大事です。
特に空間系エフェクトなどの処理は自分で調整するべきでしょう。ボーカルアシスタントはあくまでボーカルトラック単体を聞いて判断した処理ですので、楽曲と合わないリバーブやディレイなどがかかっている場合があります。
個人的には、ボーカルアシスタント後にAuto Levelなど一部機能のみ利用する形をおすすめします。
※AI機能はあくまで「アシスタント」とされています。時短してパパッと聞かせる音源には便利ですが、iZotope公式では基本的にアシストしてもらう使い方が推奨されています。
アシスタントビューの設定は各種エフェクトの設定と連動している
アシスタントビューの設定は、各種エフェクトの調整と連動しています。ですので、アシスタントビューはあくまで各種エフェクトの重要なパラメータの集まりと言えるでしょう。
Shape
- Amount = EQ 2モジュールのGain
- 電源ボタン = EQ 2モジュールのバイパス
Intensity
- Amount = Compressor 1モジュールのThreshold・Ratio・Attack・Release
- 電源ボタン = Compressor 1モジュールのバイパス
FX(MixとIntensityによるXYコントロール)
- X(縦軸) = ReverbモジュールのWidth・Predelay・Decay、DelayモジュールのRate・Depth・Feedback L R・Amount、DimensionモジュールのDepth・Feedback・Width
- Y(横軸) = ReverbモジュールのWet Mix、DelayモジュールのWet Mix、DimensionモジュールのWet Mix
- 電源ボタン =Reverb・Delay・Dimensionモジュールのバイパス(XYコントロール上部にある3つのまるマークからそれぞれをバイパスできます。左からReverb・Delay・Dimensionになっています。)
Voices
- Amount = VoicesモジュールのWet Mix
- 左右の矢印 = VoicesモジュールのStyle
- 電源ボタン = Voicesモジュールのバイパス
Backer
- Amount = BackerモジュールのWet Mix
- 左右の矢印 = BackerモジュールのTargets
- 電源ボタン = Backerモジュールのバイパス
Width
- Width = Globalコントロール(右側メーターの下)のWidth
鍵盤マーク
- 鍵盤マーク = エフェクトチェーン左下にあるキーとレンジの設定
バージョンによる違い
Elements・Standard・Advancedなどバージョンによって、搭載されているエフェクトやコントロールできるパラメータが違うので、ボーカルアシスタントの結果も異なる場合があります。
特にAuto Levelモジュールは、Advancedのみのエフェクトになります。Auto Levelでボリューム調整があるのとないのとでは、その後のエフェクトのかかり方にも影響してきます。
4. 各エフェクトや機能をレビュー!
ここからは実際に、Nectar 4の各エフェクトや機能を使ってレビューしていきます。
AI機能などに目が行きがちですが、Nectar 4となり、クリエイティブなボーカルエフェクトの機能がより充実してきたなという印象です。また、前回バージョンからあったALM(Auto Level Mode)がAuto Levelモジュールとして、追加されたのはかなり嬉しいアップデートでした。
Unmaskのレビュー
Nectar 4とは別のトラックのRelayやNeutron、Nectarと通信し、ミックス内の他の要素からボーカルのマスクを解除することで、ミックス内でボーカルを際立たせることができます。完了するとボーカルトラックではなく、Relayなどのプラグイン側にて、Unmaskの調整ができます。
細かい設定は難しいですが、ダイナミックEQとして使え強度も調整できるので、ナチュラルめに利用することができ、結構使えます。
13種各エフェクトのレビュー
Nectar 4には全部で12のモジュールがあり、それぞれ強力なプラグインでAdvanced版では単体でも使うことも可能です。また、Breath Controlという別途プラグインも付属します。
1. EQのレビュー
最大24ものバンドを使えるイコライザーです。
なんといっても一番の魅力は追従モードで、ゲインだけでなく周波数にも合わせてバンドを追従させることができます。Advancedでは単体のプラグインとしても利用できるようになったので、ボーカル以外のトラックでも簡単に利用できそうです。大胆にカットして追従させることでクリエイティブなエフェクトとしても機能します。
2. De-Esserのレビュー
ボーカルの耳につく音を低減してくれるディエッサーです。Nectarのディエッサーはレベルに依存せず、シビランスを一貫して低減することができます。指定された周波数カットオフ以上の現在のレベルを分析し、そのレベルを信号の全周波数帯域幅のレベルと比較することで動作します。シンプルな操作性で低減された信号コンテンツが単独で再生できるListenボタンもあるので、初心者の方でも使いやすいです。
3. Gateのレビュー
一定以下の音を排除するゲートです。開くしきい値Openと閉じるしきい値Closeを調整して動作します。Breath Controlと組み合わせて、ボーカルの息づかいを残しつつゲートすることが可能です。
4. Dimensionのレビュー
Dimensionは、3つのモードを選択できるモジュレーションエフェクトです。特徴的な仕様は特になく一般的なモジュレーションエフェクトですが、Advanced版では単体のプラグインとして利用できるようになったので、ボーカル以外でも利用できそうです。
5. Compressorのレビュー
4つのモードが搭載されたコンプレッサーです。4つのモードから最適な選択を選ぶことができます。Opticalの場合は、RMSにすることで名機Optoコンプレッサーのような振る舞いになります。ただし、個人的には別途でOptoコンプレッサープラグインなどをかけること多いです。
6. Delayのレビュー
5つものモードから選択できるディレイです。モード選択できるだけでなく、ポストフィルターがあるのでボーカルラインを邪魔せずディレイをかけることができて便利です。
7. Reverbのレビュー
EMT 140ST Stereo Plate Reverbをモデルにしているリバーブです。名機モデルのプレートリバーブをかけることができ、こちらもDelay同様にポストフィルターでリバーブのみをフィルターしてボーカルラインを邪魔せずリバーブをかけることができます。ただし、モード選択はありませんので、プレート以外のリバーブを欲している場合は別のリバーブを使う必要があります。
8. Saturationのレビュー
7つものモードから選択できる歪み系エフェクトです。かなりシンプルなエフェクトで基本的には、モード選択、Amount、ポストフィルターのみで構成されています。フィルターエフェクトと組み合わせることでラジオボイスにしたりできます。ただしNectar 4の中では出番の少ないエフェクトです。
9. Pitchのレビュー
マザーシッププラグインではミニモジュールとして左下に表示されるピッチエフェクトです。全体的にピッチ補正やフォルマントをいじれるエフェクトでNectar 4 Standard以上は、Melodyne 5 Essentialが付属していますので、個々のノートのピッチとタイミングを細かく編集したい場合はこちらを使いましょう。
Nectar 4購入後、Melodyne 5 Essentialを入手:https://www.izotope.com/en/lp/redeem/nectar/nectar.html
Registerやキーの設定などは、Voices、Backerなど他のモジュールと共有される場合があります。VoicesやBackerのコンポーネントプラグインでは、左側にPitchモジュールが付いていますが、マザーシッププラグインでVoicesやBackerを利用する時は、まずはじめにRegisterやキーの設定をしましょう。
10. Auto Levelのレビュー
Auto Levelモジュール(ALM)は、シグナルチェーンの最初に配置することで、ボーカルレベルを楽に管理できます。かなり便利なプラグインで、Learnからオーディオを読み込んで全体のレンジや強さもカスタマイズもできます。Advancedのみのエフェクトですが、このエフェクトがあるのとないのとでは、後にかかるエフェクトの動作も変わってきます。
ただし、歌声以外のノイズコンテンツが無視されるTame Noisesは、息づかいをノイズと勘違いして不自然に無視することがあったのでオフにしました。
11. Backerのレビュー
かなり特徴的な操作画面をしているクリエティブなボーカルエフェクトです。歌唱音声変換技術を使用して、入力ボーカルをターゲットボーカルに変換するエフェクトで同社iZotopeのボーカルエフェクトVocalSynth 2と似たものを感じます。
なんと自分でターゲットボーカルを追加できるという拡張性の高い仕様となっていますが、割と似た感じのエフェクトになりやすいので、はじめにあるプリセットだけでも十分に機能します。
12. Voicesのレビュー
ピッチシフトされたボーカルトラックのコピーを作成することで、自在にボーカルハーモニーを構築できるエフェクトです。
細かく調整できるエフェクトでかなりおすすめです。単純なオクターブやユニゾンではなくスケールに基づいた各キーそれぞれによって変動した度数にすることができます。例えばキーがCメジャーの場合、長3度上で全ての音にボイスを重ねると、DにはF#、EにはG#と音階外の音が含まれてしまい楽曲に合わせると不自然なハーモニーになる場合があります。検出されたスケールに基づくスタイルはこういったことを避けて音階ごとに設定してくれます。また、HappyやSadなどわかりやすいスタイルプリセットでハーモニーを作成してくれます。
Voicesでハーモニーを作った後に、そのハモリを実際に歌ってレコーディングするといった使い方もできるでしょう。
13. Breath Controlのレビュー
こちらのプラグインは、Nectar 4とは別のコンポーネントプラグインとして付属していますのでご注意ください。息づかいを調整できるエフェクトでシンプルなコントロールですが、かなり正確に息づかいを汲み取ってくれるのでおすすめです。
Nectar 4レビューまとめ
Nectar 4の各エフェクトや機能をレビューしました。個人的には、Voices、Auto Level、Breath Controlあたりが特に便利だな感じました。クリエイティブなエフェクトや処理前のボリュームコントロールとしてとても重宝するエフェクトです。
特に処理前のボリュームコントロールは、その後に続くエフェクトの効き具合にも影響し、より調整しやすくなります。
5. Nectar 4 Elements・Standard・Advancedの違いを比較!どれを買うべき?
ここからはNectar 4 Elements、Standard、Advancedどれが良いか?どれを買うべきなのか解説します。
Nectar 4 Elements・Standard・Advancedの違い
Nectar 4 Elements、Standard、Advancedの主な違いは以下です。
Elements | Standard | Advanced | |
モジュールエフェクト | なし | 10 | 12 |
モジュールAuto Level | ◯ | ||
Breath Control | ◯ | ||
個別のプラグインになる | ◯ | ||
Melodyne 5 Essential同梱 | ◯ | ◯ |
これ以外にも違いはありますので詳しくはiZotope公式ページをご覧ください。
Nectar 4 ElementsはAIによるボーカルアシスタント及びアシスタントビューがついた仕様となります。Nectar 4 Elementsにモジュールは含まれません。
購入すべきバージョンとその理由
結論を先に言いますと買うなら、Advancedかなといった感じです。Standardでも十分機能しますが、Advancedにしかない重要な機能があります。
詳しい比較は以下の記事を参考にしてください。
6. おすすめの買い方
Nectar 4を購入する前に知っておくべきおすすめの買い方が2点あります。
- アップグレード・クロスグレード
- バンドル
アップグレード・クロスグレード
iZotopeの製品を持っているとアップグレード(バージョンをアップする)・クロスグレード(その製品からバージョンアップや他の製品を安く購入できる)が可能です。
- Upgrade from 〜:〜からアップグレード
- Crossgrade from 〜:〜からクロスグレード
- Crossgrade from any paid iZotope product:iZotopeの有料製品からクロスグレード
例えばElementsを持っている場合は
- Upgrade、Crossgrade from Elements:Elementsからアップグレード・クロスグレード
- Crossgrade from any paid iZotope product:iZotopeの有料製品からクロスグレード
が購入可能となります。
バンドル
Nectar 4 Advancedを購入する場合、単体で買うよりお得なパッケージがあります。
特におすすめなパッケージがMix & Master Bundle AdvancedもしくはMusic Production Suite 7です。
以前人気だったバンドルTonal Balance Bundleは、新しくAI機能搭載リバーブNeoverbが追加されたMix & Master Bundle Advancedとして販売されています。
※販売店によって旧バンドルの取り扱いがある場合があります。価格は為替の影響で変動します。
Mix & Master Bundle Advanced:価格(定価)¥84,800
- Ozone 11 Advanced:マスター向けマルチエフェクト
- Nectar 4 Advanced:ボーカル向けマルチエフェクト
- Neutron 5:トラック向けマルチエフェクト
- Melodyne 5 Essential:ピッチ補正プラグイン
- Neoverb:AI機能搭載リバーブ
- Tonal Balance Control 2:バランス確認ツール
- Audiolens:ストリーミングサイトから音楽特性を収集できるアプリ
Music Production Suite 7:価格(定価)¥101,800
- Ozone 11 Advanced:マスター向けマルチエフェクト
- Nectar 4 Advanced:ボーカル向けマルチエフェクト
- Audiolens:ストリーミングサイトから音楽特性を収集できるアプリ
- Neutron 5:トラック向けマルチエフェクト
- VEA:ボイスオーディオエンハンサー
- Trash:クリエイティブディストーション
- Symphony 3D:サラウンド対応リバーブ
- Stratus 3D:サラウンド対応リバーブ
- RX 11 Standard:修正・補正ツール
- Melodyne 5 Essential:ピッチ補正プラグイン
- Neoverb:AI機能搭載リバーブ
- Vocal Synth 2:ボーカル向けエフェクト
- Insight 2:メーターツール
- Tonal Balance Control 2:バランス確認ツール
- bx_boom!:キックドラムにパンチを加えるプラグイン
- bx_cleansweep Pro:ハイパス/ローパスフィルター
- bx_delay 2500:ディレイ
- bx_refinement:不快な高域を除去し活性と輝きを加えるハーシュネスコントロール
- bx_saturator V2:マルチバンドサチュレーション
- bx_subsynth:サブハーモニックシンセサイザーエフェクト
- Guitar Rig Pro 7:ギター、ベースアンプシミュレーター&エフェクター
- Raum:複雑なサウンドデザインを実現するリバーブ
- Crushpack(3種):多機能なビットクラッシャー / ディストーション / フリケンシーシフター
- Modpack(3種):革新的なコーラス / フランジャー / フェイザー
- Supercharger GT:迫力の真空管コンプレッションサウンド
- Replika XT:柔軟性に富んだスタジオクオリティディレイ
- Solid Mix Series(3種):精確な6バンドのイコライザー / コンプレッサー&エクスパンダーゲート / バスコンプレッサー
- Transient Master:ドラムやパーカッションのアタックを引き上げるダイナミクスプロセッサー
- Driver:包括的かつクリエイティブなディストーション&フィルターエフェクト
特にAI機能搭載自動でトラックメイクできるNeutron 5や定番のAI機能搭載マスター向けエフェクトOzone 11 Advancedを持っていない方は一緒に手に入れるべきでしょう。
これら二つを組み合わせクロスグレード+パッケージで買うのが一番お得になります。
Neutron 5やOzone 11、Mix & Master Bundle Advancedに関する記事はこちらをご覧ください。
7. Nectar 4に関するセール情報
iZotope製品はブラックフライデーのみならず頻繁にセールをおこないます。
およそ50%OFF〜ものによっては90%OFFをこえるものもあります。
特に時期によって限定で販売されるパッケージ品
- Black Friday Bundle
- Music Maker’s Bundle
- Holiday Bundle
- 初めてのiZotopeセット
などは割引率が高いの場合が多いです。
※これらのパッケージはセール期間が終わると販売しません。
また、Nectar Elementsは無料配布されたことがあります。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。
8. 口コミ・評判を紹介!
Nectar 4の口コミ・評判をまとめました。
評価はまずまずといったところでしょうか。
Nectar4のお試しをしてみましたが、
一番の売りの「Auto Level」は、そもそも安定しているボカロ等ではあまり実感できないかな…と
空間系や横の広がりが感覚的にできるのが便利?
(似たようなプラグインは他にもありそう)
ハモリ自動生成は便利ですね!
色々あるので表現幅を広げられそうです
Nectar4ヤバすぎる ボーカルをいろんな声質に変える機能がついてるし、なんならファイル用意すれば自分の声に変えることもできるっぽいの狂ってる 簡易的なコナン君
引用:Twitter
まとめ
Nectar 4はAI機能が搭載された多機能なボーカル用プラグインです。
バージョン4となり、Advanced版では単体のコンポーネントプラグインとして利用することもできるようになったのでボーカルのみならず、様々なトラックに利用しやすくなりました。AI機能ボーカルアシスタントに目がいきがちですが、アグレッシブなボーカルエフェクトとして魅力的なモジュールがたくさんあります。
また、音量差の激しいボーカルを細かくボリュームコントロールできるので、その後のエフェクトのかかり方にも影響を及ぼすことができます。
Nectar 4は、おすすめのプラグインですがNectar 4の他に、Neutron 5やOzone 11 AdvancedなどがついてくるMix & Master Bundle AdvancedもしくはMusic Production Suite 6.5というプラグインバンドルがあり、ほかのプラグインも持ってない方にはこちらもおすすめです。
<購入後はこちら> iZotope製品のインストールアクティベーション方法
iZotope製品のインストール・オーソライズ方法はこちらの記事を参考にしてください。
<Nectar 4のマニュアル>各エフェクトの紹介と使い方を解説!
ここからはiZotope「Nectar 4」の使い方について次の項目で解説していきます。
公式のマニュアルは、Nectarを起動して右上?マークから確認できます。
- ボーカルアシスタント(Vocal Assistant)
- Unmask機能
- 各エフェクトについて
ボーカルアシスタント(Vocal Assistant)
AIによるトラックメイク機能ボーカルアシスタントは以下のステップで完了します。
1. 上部の虹色まるマークを選択
マザーシッププラグイン上部の虹色まるマークを選択します。
2. オーディオを読み込む
ボーカルを再生して、Nectarに読み込ませます。
3. ボーカルアシスタントビューで調整
読み込みが完了するとアシスタントビューが表示されます。上部ヘッダーから以下の設定ができます。
ブラウザタブマーク:ボーカルアシスタントで適用された各種エフェクトのチェーンを表示して細かく調整できます。
Bypass:処理の無効にします。
Relearn:オーディオを読み込むフェーズに戻ります。
ボーカルアシスタントビューに表示されているエフェクトは全て、ブラウザタブマークからアクセスできる各エフェクトと連動しています。以下の機能と同じパラメータになります。
Shape
- Amount = EQ 2モジュールのGain
- 電源ボタン = EQ 2モジュールのバイパス
Intensity
- Amount = Compressor 1モジュールのThreshold・Ratio・Attack・Release
- 電源ボタン = Compressor 1モジュールのバイパス
FX(MixとIntensityによるXYコントロール)
- X(縦軸) = ReverbモジュールのWidth・Predelay・Decay、DelayモジュールのRate・Depth・Feedback L R・Amount、DimensionモジュールのDepth・Feedback・Width
- Y(横軸) = ReverbモジュールのWet Mix、DelayモジュールのWet Mix、DimensionモジュールのWet Mix
- 電源ボタン =Reverb・Delay・Dimensionモジュールのバイパス(XYコントロール上部にある3つのまるマークからそれぞれをバイパスできます。左からReverb・Delay・Dimensionになっています。)
Voices
- Amount = VoicesモジュールのWet Mix
- 左右の矢印 = VoicesモジュールのStyle
- 電源ボタン = Voicesモジュールのバイパス
Backer
- Amount = BackerモジュールのWet Mix
- 左右の矢印 = BackerモジュールのTargets
- 電源ボタン = Backerモジュールのバイパス
Width
- Width = Globalコントロール(右側メーターの下)のWidth
鍵盤マーク
- 鍵盤マーク = エフェクトチェーン左下にあるキーとレンジの設定
Target Library
画面中央にあるドロップメニュー(Balanced部分)からNectar 4のキャラクター、EQをガイドするためにターゲットライブラリを選択できます。デフォルトでSinging(歌声)、Rap(ラップ)、Talking(音声ダイアログ)それぞれ強度の異なるターゲットを選択できます。また、+ボタンから独自のリファレンスターゲットをターゲットライブラリにアップロードすることができます。Audiolensアプリケーションによって保存されたターゲットカーブはここに表示されます。
Unmask機能(他のトラックとかぶり解消)
Nectar 4とは別のトラックのRelayやNeutron、Nectarと通信し、ミックス内の他の要素からボーカルのマスクを解除することで、ミックス内でボーカルを際立たせることができます。
マザーシッププラグイン上部にあるUnmaskを選択し、トラックを選択、オーディオ再生します。
完了するとボーカルトラックではなく、Relayなどのプラグイン側にて、Unmaskの調整ができます。
Amount:EQカットの強度を調整できます。
Dynamic:ダイナミックEQを有効にします。
Sidechain:ダイナミックEQの検出入力をサイドチェインソースに設定できます。
ここからは、13種類の各エフェクトについて解説します。マザーシッププラグインのエフェクトチェーン画面では、基本的にエフェクトは左から右にかかり、それぞれにMix、電源ボタン(オンオフ)、Sボタン(ソロ)、×ボタン(エフェクト削除)があります。追加でエフェクトを入れたい場合は+から入れることが可能です。ドラッグ&ドロップでエフェクトの位置を入れ替えることができます。
Auto Level
Auto Levelモジュール(ALM)は、コンプレッサーに代わるインテリジェントで透明なモジュールです。シグナルチェーンの最初に配置することで、レコーディングエンジニアのように機能し、ボーカルレベルを楽に管理できます。マザーシッププラグインの左上ミニモジュールとして、またNectar 4 Advancedのコンポーネントプラグインとして利用できます。
Learn:短い分析パスが有効になり、オートレベルモジュールが最適なRMSターゲットを設定できるようになります。ターゲットとなるレベルは垂直スライダーで調整できます。
Mix:入力信号に適用されるレベリングの量を調整します。100%に設定すると、入力信号全体にレベリングが適用されます。
Tame Noise:入力信号に適用されたレベリングによって、歌声以外のノイズコンテンツは無視され、最終的にレベリングされたボーカルでは、ノイズが目立たなくなります。耳のマークを選択して、Tame Noiseが検出した信号を聞くことができます。
Range:入力信号の許容レベリングを調整します。
Strength:入力信号に適用されるレベリングの感度を調整します。
Sidechain:サイドチェインモードは、ダイナミックなアレンジメントにボーカルを合わせる場合に役立ちます。有効にすると、サイドチェイン入力をガイドとして入力信号にレベリングを適用します。
Blend:サイドチェイン入力のRMSレベルと一定のターゲットレベルをミックスします。100%に設定するとサイドチェインのRMSレベルが入力信号全体に適用されます。
Pitch
Pitchモジュールは、ピッチ補正処理を調整するためのコントロールを備えています。マザーシッププラグインの左下ミニモジュールとして、またNectar 4 Advancedのコンポーネントプラグインとして利用できます。
※Nectar 4 Standard以上は、Melodyne 5 Essentialが付属しています。個々のノートのピッチとタイミングを細かく編集したい場合はこちらを使いましょう。
Nectar 4購入後、Melodyne 5 Essentialを入手:https://www.izotope.com/en/lp/redeem/nectar/nectar.html
Mix:ウェット信号とドライ信号をミックスする値に設定すると、ダブリング効果をもたらすことがあります。
Register:入力信号のピッチデータをどのように分析・検出するかを決定します。Midオプションは、幅広いボーカル素材に有効です。ピッチ補正処理でアーティファクトやその他の望ましくない動作が発生する場合は、LowまたはHighの設定でより良い結果を得ることができます。
キー設定:ドロップダウンメニューからピッチ補正に使用するキーを設定します。このキーによって入力されたボーカルの補正されるノートが決定します。Customを選択して、自分で除外する鍵盤のピッチを設定することも可能です。Detectを選択してオーディオを再生することでキー候補を自動検出してもらうこともできます。
※ピッチの設定は、Pitch、Voices、EQ、Backerの各モジュールで共有されます。
Correction
オンオフ可能なピッチ補正は、処理の特性とスピードを調整できます。これらのコントロールは、Pitchモジュールの処理にのみ適用されます。
Speed:入力されたピッチが、選択した音階のノートに修正されるスピードを決定します。
Strength:入力された信号を、選択した音階のノートにどの程度厳密に補正するかを決定します。
Transpose:補正されたボーカルに適用されるピッチシフトの静的な量を決定します。
Formant:ShiftとScaleを微調整するための高度なコントロールを有効または無効にします。
Shift:補正後のボーカルに適用されるフォルマント移調の量を決定します。一般的に、ほとんどの素材にはデフォルト値の0が適しています。
Scale:ピッチシフト時にフォルマントに適用されるスケーリングの量を決定します。量を増やすとピッチシフトの方向にフォルマントがシフトします。
Voices
ピッチシフトされたボーカルトラックのコピーを作成することで、ボーカルハーモニーを構築するために使用できます。音階C〜Bまでそれぞれに個別のハーモニーを構築することも可能です。Pitchモジュールのキーを設定する事で全てのスタイルが表示される点にご注意ください。
Solo:生成されたボイスのみを聞くことができます。
Filter:Voicesモジュールの出力を形作るためのローシェルフとハイシェルフフィルターコントロールです。
Pitch Correction:ピッチ補正のスピードと量をXYコントロールで調整できます。
Time:生成されたボイスの時間を調整して、ばらつき、バリエーションを加えます。
Pitch:生成されたボイスのピッチを調整して、ばらつき、バリエーションを加えます。
ピッチスタイルビュー
デフォルト表示であるピッチスタイルビューは、上部メニューから様々なプリセットスタイルを選択できます。スタイルはUnisonやOctaveなど全ての音階に同じ度数のボイスを重ねる一般的なスタイルと検出されたスケールに基づいた各キーそれぞれによって変動した度数にするスタイルがあります。
例えばキーがCメジャーの場合、長3度上で全ての音にボイスを重ねると、DにはF#、EにはG#と音階外の音が含まれてしまいます。検出されたスケールに基づくスタイルはこういったことを避けて音階ごとに設定してくれます。
さらに、鉛筆マークから自分でカスタマイズすることも可能です。中央画面は、縦列がボイス数、横列がキーとなっています。それぞれのボイスをダブルクリックしてピッチを変更することができ、上下の+ボタンでボイスを増やします。右側から8veからは、オクターブの位置を調整できます。123 / ABCから表記を度数もしくはキーで表示することができます。
ビジュアルミキサービュー
左上の半円マークから、各ボイスのレベルとパンニングを簡単に調整できるビジュアルミキサービューを表示します。
各ボイスは左側から以下の設定ができます。
- 電源ボタン:ボイスをオンオフします。
- S:ボイスをソロで聞きます。
- Gain:ボイスのゲインを調整できます。
- Pan:ボイスのパンニングを調整できます。
- Fine:ピッチを細かくセント単位で調整できます。
- Delay:ボイスのタイミングを調整できます。
MIDIモード
Voicesモジュールは、MIDIで制御することも可能です。MIDIコントローラーおよびMIDIトラックのMIDIアウトをNectarに送ることでMIDIに対応したボイスのピッチになります。ボイスは1から順にトリガーされ、和音のMIDIを送信すると低い音が優先されます。例えば、CEGと和音のMIDIを送信した場合、C=ボイス1、E=ボイス2、G=ボイス3といった形になります。
Backer
歌唱音声変換技術を使用して、入力ボーカルをターゲットボーカルに変換します。歌う音声変換は、人工知能を使用してフォルマントとサイビランスをキャプチャしてシフトする技術です。+ボタンからボーカルファイルを選択して、カスタムのターゲットボーカルを作成することも可能です。
※PitchモジュールのRegister設定は、Backerに影響します。
Blend:モジュールの出力とターゲットペルソナと元の信号をミックスします。
Tone:ハイエンドを明るくしたり、ローエンドを暗くしたりするチルトEQです。
Formant:ボーカルフォルマントを調整できます。
Pitchスライダー:上下1オクターブピッチを調整できます。
Compressor
コンプレッサーは「Digital(クリーンで正確なコンプレッション)」「Vintage(クラシックなコンプレッション)」「Optical(微妙な色合いで滑らかで透明なコンプレッション)」「Solid-State(ユニークなハーモニックカラレーションを持つクリアでアグレッシブなコンプレッション)」から選ぶことができます。
それぞれ特色の違うコンプレッサーで設定できる範囲も以下のようにことなります。
Digital | Vintage | Optical | Solid-State | |
Ratio | 1:1 〜 50:1 | 1:1 〜 50:1 | 4:1(固定) | 4:1 〜 12:1 |
Attack | 0.1ms 〜 300ms | 0.1ms 〜 300ms | 1ms 〜 100ms | 0.2ms 〜 80ms |
Release | 1ms 〜 1200ms | 1ms 〜 1200ms | 40ms 〜 200ms | 50ms 〜 1200ms |
Peak: 入力信号の瞬間的なピークレベルを使用して、コンプレッサーへの入力レベルを決定します。
RMS: 入力信号のレベルを平均化してコンプレッサーの入力レベルを決定します。Opticalモードは、RMSレベル検出モードにすることでよりハードウェアオプティカルコンプレッサーのサウンドをより忠実にエミュレートできます。
Threshold:スレッショルドレベルを超えると、コンプレッサーがトリガーされます。
Ratio:スレッショルドレベルを超えた信号に対して、どの程度のゲインリダクションが適用されるかを決定します。
Attack:スレッショルドを超えたときにコンプレッサーがゲインリダクションを適用するまでの時間を調整します。
Release:入力信号がスレッショルド以下になったときにコンプレッサーが処理を停止するまでの時間を調整します。
Makeup:圧縮後の出力信号に適用されるゲイン量を決定します。
A:入力信号のレベルに合わせて、圧縮信号のゲインを自動的に調整します。
De-esser
De-esserは、ボーカルトラックのようにレベルが変化する信号のシビランスを一貫して透過的に低減することができます。ボーカルには特に必要な「S」など耳につく音を処理できます。
縦の線で帯域を設定し、横の線Tresholdでしきい値を設定します。Listenで処理する音がわかります。
Delay
ディレイは、モノラルトラックの場合1つとステレオトラックの場合2つ(LR)のパラメータを持ちます。
Delay:繰り返されるディレイの時間を調整できます。左上の音符マークからDAWのテンポに同期して調整することが可能です。
Feedback:ディレイのフィードバック量を調整できます。
リンクマーク:ステレオトラックの場合、LRのディレイをリンクすることができます。
モード選択:ディレイは「Digital(透明でクリーン)」「Tape(磁気テープ上で信号が時間の経過とともに劣化するカラフルなドライブ)」「Analog(回路の歪みに基づいた粗いエッジ)」「Grunge(ポストフィードバッククランチドライブ)」「Echo(テープサチュレーションリピート&フェードアウト)」の5種類あります。
Modulate:オンオフ可能なディレイタイムのLFOモジュレーションです。Rateで速度、Depthで強度、深さを調整できます。
Post Filter: Delayモジュールにはハイパス、ローパスフィルターが搭載されています。ウェット信号のみに適用されます。
Dimension
入力信号を複製し、LFOを使って複製された信号の一部を変更し、元の信号と変更された信号をミックスすることで機能するモジュレーションエフェクトです。
モード選択:「Chorus」「Flanger」「Phaser」の3種類のエフェクトをかけることが可能です。
Rate:LFOモジュレーションのスピードを調整できます。左上の音符マークからDAWのテンポに同期して調整することが可能です。
Depth:LFOモジュレーションの強さを調整できます。
Width:モジュレーションエフェクトの出力に適用されるステレオワイドニングの量を決定します。
Freq:Phaserが適用するオールパスフィルターの開始周波数を決定します。
こちらは一般的なそれぞれのエフェクトとほぼ同じパラメータです。Rateの「♪」はテンポに合わせたレートになります。
「Width」はステレオ感をコントロールします。(Phaserのみ)
EQ
最大24ものバンドを作成できるイコライザーです。
EQのライン上にカーソルをおくと「+」になりクリックしてバンドを足します。通常のイコライザー同様に、上下でゲイン左右で周波数を調整します。
それぞれのバンドをクリックすることでバンドの詳細があらわれます。詳細の数値を上下することでも調整でき、Sマークからソロ、バツマークからバンドを削除、電源マークでオンオフできます。バンド両端の「◯」を左右にドラッグすることでQを調整でき、帯域幅や傾斜を調整できます。
バンドの種類は以下です。
- Bell(Bell、Proportional Q、Vintage Bell、Band Shelf)
- Low Shelf(Analog、Baxandall、Resonant、Vintage)
- High Shelf(Analog、Baxandall、Resonant、Vintage)
- Lowpass(Flat、Resonant)
- Highpass(Flat、Resonant)
Dynamic(追跡モード)
バンドの詳細にある「▶︎」を押すことで追従モードを開くことができます。
Gain:スレッショルド「Thresh」が設定でき、信号がスレッショルドレベルを超えると、選択したEQバンドのゲインを動的に更新します。(ハイパス、ローパス以外)またバンドに「▲」「▼」が選択できます。
「▲」の場合:スレッショルドレベルを超えたときにフィルターのゲインが増加します。EQポイントを0より上に配置している場合はトリガーされるまでフィルターのゲインは0dBに設定されます。
「▼」の場合:スレッショルドレベルを超えたときにフィルターのゲインが減少します。EQポイントを0より下に配置している場合はトリガーされるまでフィルターのゲインは0dBに設定されます。
Freq:選択したEQバンドの周波数を動的に更新し、ハーモニクスの変化に追従させる機能を有効にします。
Gate
ボーカルトラックのフレーズとフレーズの間にある望ましくない信号コンテンツを減衰させるために使用できるゲートです。
Open Threshold:ゲートが開き、信号を通過させるレベルを決定します。
Close Threshold:ゲートが閉じるレベルを決定します。
Ratio:Close Thresholdを下回る信号に適用されるゲインリダクションの量を決定します。
Attack:信号がOpen Thresholdを超えた時に、閉じた状態から開いた状態に遷移するまでの時間を決定します。
Release:信号がClose Thresholdを下回ったときに、開いた状態から閉じた状態に遷移するまでの時間を決定します。
Reverb
ボーカルにスペースとキャラクターを加えるために使用できるリバーブです。クラシックなEMT 140ST Stereo Plate Reverbをモデルにしており、EMT 140STハードウェアユニットにはないPre-DelayとWidthを調整するコントロールが追加されています。
Pre-Delay:処理されたウェット信号が出力から遅れる時間を調整できます。
Decay:反射が消えるまでの時間を調整できます。
Width:Reverbの出力に適用されるステレオワイドニングの量を決定します。
Saturation:処理されたウェット信号に加えられる微妙なハーモニックディストーションの量を決定します。
Post Filter:カスタマイズ可能な3つのポストフィルターを備えています。ウェット信号のみに適用されます。
Saturation
ボーカルトラックに微妙な暖かさや強烈な歪みを加えるために使用でできるサチュレーションです。
モード選択:「Analog(マイルドで硬質な歪み)」「Retro(シャープで攻撃的な歪み)」「Tape(クラシックなアナログテープサチュレーション)」「Tube(リッチでトーンの高いエキサイトメント)」「Warm(繊細でハーモニックな暖かさ)」「Decimate(独自のデジタルデシメーション)」「Distort(アグレッシブでダーティなサチュレーション)」の7種類ものモードから選択できます。
Amount:選択されたサチュレーションモードに適用されるドライブ量を決定します。
Post Filter:処理された信号に含まれる望ましくない高周波成分を低減することができます。ウェット信号のみに適用されます。
Breath Control
Breath Controlは、コンポーネントプラグインとして別途付属していますのでご注意ください。息づかいを調整できるエフェクトでシンプルなコントロールですが、かなり正確に息づかいを汲み取ってくれます。
Gain:息づかいのゲインを調整できます。
Sensitivity:感度を調整できます。
Breaths Only:息づかいのみを聞くことができます。
Gain / Target:一定のゲインもしくはターゲットを目標として調整を行います。
質問等ございましたら下部のコメント欄からどうぞ!