Arturiaが開発するソフトシンセPigments v2がリリース!
Pigmentsはもともとアナログとウェーブテーブルを組み合わせたシンセサイザーでしたが、Pigments 2からはさらにサンプルも加わり幅広い音を出すことが可能になりました。
この記事では、Pigmentsが他のウェーブテーブルシンセサイザーとどう違うのかをレビューします。また、導入するメリットや注意点、インストールやアクティベーション方法、使い方も解説。
この記事を読めば、Pigmentsに関する基本的な情報は全てを揃いますので、ぜひ参考にしてください。
ソフトシンセに関するまとめ記事はこちらをご覧ください。

目次
1. Arturia「Pigments 2」とは?
Arturiaが開発するシンセサイザーPigmentsのVersion 2です。
v1はアナログとウェーブテーブルをかけ合わせたハイブリットシンセサイザーで、アナログシンセのオシレーターだけでなくフィルターなどもエミュレートしたシンセサイザーでした。
そんなPigmentsがv2となり新たにサンプルが追加され、さらに幅広い音を出すことが可能となりました。
VST、AU、AAXなど作曲ソフトDAWの拡張機能「プラグイン」として利用できますが、単体での起動(スタンドアローン)も可能です。
開発会社 | Arturia |
操作画面 | ![]() |
製品名 | Pigments 2 |
オシレーターの種類 | アナログ / ウェーブテーブル サンプル(GRANULAR機能あり) |
価格(定価) | 199ドル Splice Plugins 9.99ドル / 20ヶ月 |
Pigments 2はSplice Pluginsにて月額払いでも利用可能です。Splice Pluginsに関する詳しい記事はこちらをご覧ください。Splice Pluginsは通常の月額払いと違い、支払いの義務はなくいつでも停止することが可能です。


2. 導入するメリット
実際に使ってみて次のようなメリットがあると考えます。
- 使いやすい
- 普通のウェーブテーブルシンセサイザーと違いアナログ感も出せる
- サンプルのGRANULARやシーケンサーなど変化する音も魅力
(1)使いやすい
SERUMやMassive、Avengerなどのシンセサイザーを使っている方は初見でも使いやすいでしょう。
PigmentsはLFOやENVELOPE部分が特にわかりやすく、発音するとリアルタイムで動くので、どのパラメータがどこにアサインされているか一目でわかるでしょう。
また、Pigmentsを起動して左上から7つのTutorialもありますので、英語ですが操作しながらチュートリアルをうけることが可能です。
(2)普通のウェーブテーブルシンセサイザーと違いアナログ感も出せる
アナログのオシレーターがあることはもちろん、フィルターなどにも同社ArturiaのV Collectionシリーズで培ったアナログシンセのエミュレートが活かされています。
もちろんデジタルなサウンドも出せますが、アナログよりなサウンドを出すことも可能です。
(3)サンプルのGRANULARやシーケンサーなど変化する音も魅力
常に分散して変化するGRANULARやシーケンサーなど、変化する音も魅力の一つです。
シーケンサーにはサイコロのマークがあり、ランダム性をパーセンテージでコントロールできます。シーケンサーはどうしてもループ感が出てしまいますが、この機能でランダム性を持たすことが可能です。

3. 利用する前に知っておきたい注意点・デメリット
しかし導入前に知っておくべき注意点が2点あります。
- 重い
- ジャンルによっては、他の製品が良い場合も
注意点1. 重い
設定によりますが、使い方次第ではかなり重たくなります。
注意点2. ジャンルによっては、他の製品が良い場合も
同じくサンプル、GRANULARにも対応したウェーブテーブルシンセサイザーとしてAvengerが挙げられます。
EDMなどダンスミュージックで使える音を求めているのであればAvengerの方が良いかもしれません。
Avengerは音が良いと定評があるソフトシンセです。ただし、Pigmentsに比べると使い方は難しいです。

4. 口コミ・評判を紹介!
Pigments 2の口コミ・評判をまとめました。
v1はそこまで評価の高いシンセサイザーではありませんでしたが、v2になり評価はうなぎのぼりです。
Arturia Pigments Ver.2
ほぼほぼ違うシンセになってしまった笑
色々変わったのだけどまず出音が全く違う。
比較的薄め、細めだったのがバージョンアップで太くなり存在感強めの音になった。
単なるSerumフォロワーだったのが、 sample engineにgranulaと大きく進化した。
最近のArtiriaは凄い。 pic.twitter.com/XmUjWQiX2m— Fionatich (@fionatching) December 13, 2019
Pigments2をアプデしてグイグイした後の感想。音は太くなってる。プリセットがよくできすぎているからひとまず全部FXもなにもかも切ってデフォにするとよくわかる。初心者でもすぐカッコイイ音がでるが慣れている人が使えば相当のところまでいける。できることが多すぎるwhttps://t.co/9gZ1IFa9qY pic.twitter.com/M1kvSweAfD
— ADSRX (@adsrx) December 14, 2019
5. Pigments 2に関するセール情報
Arturia製品は、頻繁にセールをおこないます。
割引率もそこそこ高く、半額ほどになる場合が多いです。Pigments 2もセールの対象になることがあります。
最新のセール情報はこちらの記事をご覧ください。

6. Arturia製品のインストール・アクティベーション方法
Plugin Boutiqueにてインストール・オーソライズ方法が解説されています。
- まずはArturiaにてアカウントを作成します。
- ログインしてRegister My ProductからSN(シリアルナンバー)、UC(アンロックコード)を入力して登録します。
- Arturia Software Centerをダウンロードし、製品をアクティベートして完了です。Software CenterからをPigmentsなどをインストールできます。
7. 使い方を簡単に解説!
ここからは実際にPigments 2の使い方を簡単に解説していきます。
公式の日本語のマニュアルが出ていますので、がっつり知りたい方はこちらをご覧ください。
Pigmentsは上部にプリセット、上部右側からSynth、FX、Seqの3つの項目に別れています。
音作りの中心となるシンセサイザー部分であるSynthから解説します。
ENGINE
左上ENGINE部分にENGINE1、ENGINE2のオシレーターがあります。それぞれ電源部分でオンオフ、コピーマークでもう一方のENGINEにコピー、with modulationsでモジュレーションごとコピーします。
ENGINEのタイプはAnalog、Wavetable、Sampleの3つがあります。
Analog
3つのオシレーターからなるアナログシンセサイザーのエミュレートです。
OSC 1
SyncでOSC 2とハードシンクします。4つの波形(サイン波、三角波、ノコギリ波、矩形を)から選択、Coarseで半音ごとにキーを調整でき、Widthで三角波、矩形波のパルス幅を調整できます。
OSC2・OSC3
OSC2とOSC3のパラメータは一緒です。
Keyで音程を反映させ、Coarseの他にFineでもキーを調整できます。
OUTPUT
Filter MixでFILTER1、2どちらに反映させるかをパーセンテージで決め、VolumeでENGINE全体の音量を調整します。
NOISE
Red、White、Blueからなるノイズカラーを調整、Volumeでノイズレベルを決めます。
MODULATION
OSC1、2のみにかかるモジュレーションです。Amountで量、SourceでモジュレーションソースをOSC3もしくはNOISEにでき、ブレンドも可能です。
Wavetable
左上からプリセットのWaveformを選択できます。Importedで自分の波形をインポートすることも可能です。右側2D、3Dで波形の表示を変更します。
上部の「Morph」はモーフィング機能でオンの場合ウェーブテーブル間をスムーズに移動します。
右側のOUTPUTはAnalogと同じ仕様で、その下のWAVETABLEにあるPositionでテーブルの位置を調整します。これは3D波形にするとわかりやすいです。
ここからは下部のモジュレーション部分に解説しますが、これらは2Dにすることで波形の変化がよくわかります。
FREQ MOD(FM)
FM(Frequency Modulation)はリニア(Linear)とエクスポネンシャル(Exponential)から選びます。リニアの方が基音が動かずどちらかと言うとナチュラルなのに対してエクスポネンシャルは基音ごとアバンギャルドに変化します。
PHASE MOD
4種類の設定ができる位相モジュレーションです。
Key:MIDIノートでウェーブテーブルの位相がリセット
Mod Osc:モジュレーターの位相が0にリセットするたびウェーブテーブルもリセット
Self:メインのCoarse、Fineに従って位相がリセット
Random:MIDIノートでウェーブテーブルの位相がランダムにリセット
PHASE DISTORTION
6種類のTARGET波形から選択し、その波形に応じてソース波形がねじ曲がります。
WAVEFOLDING
波形のピークを折りたたむようにして変化させます。3つの曲げ方(FOLD SHAPE)があります。
MODULATOR
上記の波形加工するMODへのモジュレーションソースとして機能します。10の波形から選択できます。
Sample
v2で新たに追加されたSampleはA〜Fまで6つのスロットがあります。
それぞれを選択し、Wavetable同様に左上からサンプルを変更できます。
MAIN(GRANULAR)
MAINには下部にGRANULARがあります。電源ボタンをオンにすることでサンプルが分散して発音されます。真ん中Shapeで分散した発音を変形させます。
Densityで分散させる速さを決めます。Hertzでヘルツ、SyncでBPMに合わせた速さです。Densで密度を調整し、Directionで方向、Pitchでピッチの分散を設定できます。Startはスタート位置が変更されます。右側真ん中にある開始位置を決めるStartノブが基準となります。
Sizeで分散させる長さを決めます。その他Width(広がり)やPan、VolumeそしてLimitで分散させる量を制限できます。
EDIT
ここからサンプルをエディットできます。範囲やチューニング、リバース、ループなど設定可能です。
MAP
ここでA〜Fまで複数サンプルをどう発音するか設定できます。
ランダムや順番に発音したり、 キーマップなど設定可能です。
TUNE
左側にTUNE、UNISONがあります。
Coarseは半音ごと、Fineは半音の1000分の1単位でキーを変えます。
鍵盤マークで音程が反映され、Qはクオンタイズモードです。クオンタイズモードではモジュレーションにアサインしたキーを制限して発音されるようになります。鉛筆マークからその音程を設定できます。いらない音程をクリックして消します。
UNISON
Classic、Chord、Super3つのモードからなるUNISONです。Voice数(最大8)、Detune、Stereoを調整できます。このUNISON部分はオシレーターがSampleの場合のみResonator、BitCrush、Modulationに変えることが可能です。
FILTER
フィルターは2つありそれぞれのバンドのタイプを選べるだけでなく、SEM、Matrix 12、Mini MoogなどV Collectionでエミュレートされた名機のフィルターがあります。
AMP MOD
ソースを選択してAMPにモジュレーションすることが可能です。ここは通常ベロシティが選択されており、これによりベロシティによって音量が変わることになります。
Voice Pan
全体のPanです。
Send Level
エフェクト(FX)にあるSEND BUSに送る量です。
FX
エフェクトはBUS A、BUS B、SEND BUSの3つに分かれており、それぞれ3つまで計9つのエフェクトが可能です。13種類のエフェクトがあります。
BUS A、Bの送り方は右上Routingから選択可能です。その下INSERTでBUS A、BのレベルとSENDでSEND BUSに送る量(Send)、出力量(Return)を調整できます。
Seq(Sequencer)
シーケンサー、アルペジエーターを設定するエリアです。
左上からSeq(シーケンサー)、Arp(アルペジエーター)もしくはOffにします。どこが再生されているかもわかりやすく、初見でも十分に設定できる機能です。
モジュレーションアサイン方法
真ん中にあるENVやLFOなどにパラメータをアサインするには、まずENVやLFOなど名前の部分をクリックします。次にアサインしたいノブにカーソルを合わせると、それぞれの色(LFOなら黄色、FUNCTIONなら緑など)に光りますので、上下にドラッグして量を設定します。
アサインされているものをみる場合も同じく名前のところクリックし、その下にあるリアルタイムで動いている部分をクリックすることでそれぞれの細かな設定ができます。
まとめ
Pigmentsはv2になりかなり進化しました。v1は評価も高くなく、薄い音の印象だったので大幅なアップグレードです。評価もかなり上げました。
個人的にはアバンギャルドな音をたくさん作りたくなるシンセだと思いました。
この記事が参考になれば幸いです。